工藤栄一監督作品 1984フジ/東映
キャスト
迫井勘兵衛/高橋英樹
椿姫/宮崎美子 中津川主馬/夏木勲
高橋英樹主演の、素浪人がお家騒動に介入し事態を打開する痛快作。
焦らすような「逃げ回り」が急転直下ラストの大殺陣へと導かれる。
舞台は上州沼田藩、城代家老と殿の側室が藩政を壟断し腐敗を極める事態に、有志の若侍たちが立ち上がる。
お話は側室らに始末されかかる姫の保護がメイン。様々な経緯からこれに関わる浪人・迫井(さこい)官兵衛、どたばたと姫を連れて逃げ回るくだりがコミカルに描かれる。彼らを追っかける城代の手先は官兵衛の剣友にして姫の思い人だったりして、最後は二人の仲立ちをして送り出す結末を迎える。
ロケ地、行きずりの侍に両親への金を託された官兵衛が訪ねる片貝邸、例の太い築地を従えた「庄屋屋敷」、民家(前畑越しに門で導入)。片貝の墓、北嵯峨か。姫を隠した長持を守り道中の官兵衛、関所を突破するため花嫁行列に潜り込もうとする谷地田、大内付近に似る。姫を船で落とす利根川、木津川流れ橋下。ラス立ち、市街から移動の水辺、広沢池東岸汀から池底、堤(水無)。
*城代配下の追っ手の一人に福本先生、けっこうな頻度で出てくる。台詞もあり、ラス立ちの際城代を呼ばわるくだりは傑作、喚きながら後退してゆき最後まで逃げ回り、城代の直前に斬られてのけぞる。倒れてからも、城代の立ち回りのうしろにセンセイの断末魔の声が入っていて笑える。福ちゃんだけでなく、小峰さんに小船秋夫とお馴染の面々もいて楽しい。
*長持に姫を籠めて野をゆく勘兵衛のくだり、長持に入れたまま姫に小用を足させるシーン(ぶっとい竹筒からじゃー)があり、美人女優にエラいことをさせると思っていると、中には下男の妻女の老婆が入っていて勘兵衛も騙されているのだった。