暴れん坊将軍
VI 1〜25話 (1994-1996)

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吉宗潜入!謀略の城 偽将軍宣下を阻止せよ!標的は将軍様若殿新さんいじめられる!吉宗、まさかの新妻道中頑張れ!江戸っ子若君江戸城危うし 吉宗の寝所虹をつかんだ女め組が運んだ涙の訴状お婆よ泣くな江戸の春おいらん高尾太夫の正夢大喧嘩!め組対定火消人情落語長屋母と子の南部牛追い唄伊賀者一代血の詫び状遠い夢の花嫁衣裳俺は天下の偽将軍人参に咲いた花祝言母恋い人形、やじろべえ五千両の恋泥棒!愛と憎しみの孤剣しっかり女房、降参する我が子を裁く鬼の父剣難女難の恋指南怪奇!天狗の花嫁


第1話「吉宗潜入!謀略の城 偽将軍宣下を阻止せよ!」1994.10.8

 紀州藩士の兄妹を刺客から助ける新さん、聞くと紀州藩に紛争の匂い。抜け荷騒動に怪しのフィクサー、執拗に元藩主の侍女だった妹を狙う刺客、人が変わったという紀州藩主、遂に上様は紀州へ。そこでは、帝をかっさらい無理矢理将軍の首をすげ替えようとする企みが着々と進行していた。

ロケ地
・江戸城イメージ、姫路城天守
・紀州公が献上の蜜柑を持ってめ組へ向かう新さんが上がる船着、大覚寺大沢池
・紀州藩目付と天竺屋が御用船からの荷を上げる船着、大覚寺大沢池船着(小)。現場を押さえようと見張っていた穂高源四郎が斬られ水に落ち、通りかかった新さんとめ組の衆が助け上げるのは天神島朱橋大沢池北辺水路
・穂高兄妹を追捕の捕り方が出る紀州藩上屋敷、妙心寺龍泉庵。逃れた妹・千恵が忍びに囲まれる橋、中ノ島橋(新さん介入、庭番が用意の船で場を離れる)
・調査のため紀州へ馬を走らせる庭番・佐平次、谷山林道切り通し。
・元家継側用人のフィクサー、中津川伯翁の隠居所・風月庵(忠相が事件との関わりを打診しに行き狸芝居)中山邸門
・紀州を望む峠に立つ佐平次、谷山林道頂上付近。和歌山城、本物(県庁から見た?全景)。また城でお手討ちとの噂を聞く茶店、大覚寺境内か。
・峠に伯翁の駕籠を出迎える紀州藩次席家老、上様が女形に化けて押し通る関所、不明。
・謹慎の身を押して登城の穂高内蔵介、二条城本丸西虎口
・偽者が宗直とすりかわった御狩場、酵素河川敷
・宗直が幽閉されている和歌浦・青嵐寮、中山邸通用門
・静養にやってきた帝の一行を国境の峠に襲う忍び、谷山林道両側切り通しの道。
・紀州を発つめ組の衆が新さんが来ないと騒ぐ渡し場、広沢池東岸。その頃海辺で千恵と別れの挨拶を交わす上様、不明(本物の海、ちょっとした砂丘)
*千恵に西村知美、兄・源四郎に橋爪淳、父・内蔵介に内田稔、紀州藩主・宗直に本物も偽者も三ツ木清隆。伯翁に睦五朗、抜け荷首謀者の目付に宮口二郎、尾張宗春の罪を一身にとどめ切腹する三郎佐に和崎俊哉。関所の役人で福ちゃんチラリ。


第2話「標的は将軍様

 上様を暗殺し後釜に座ろうと画策の「縁戚」戸田山城守、思い切り怪しい外見の武芸者が加担。スナイパーに選ばれた元猟師の植木職人、父が帰らぬと辰五郎に哀訴した幼女から事は次第に明るみに。その職人が新さんを撃つよう強要され芝居を打つ一幕を経て、事成ったと高笑いのワルは上様に乗り込まれて一巻の終わり。

ロケ地、増上寺参詣の警護役を山城守に下命の上様、姫路城西の丸。植木職の和助を連れ込んでいるアジト、鹿王院(本堂、客殿、参道脇塀とくぐり戸)。父を案じ佇む娘を励ます新さん、大覚寺天神島汀。和助を救出し事情を聞く新さん、木津河原流れ橋(真下)。撃たれる芝居で川落ちもあり。
*EDロケ地、庭番のくだりに妙心寺法堂回廊。


第3話「若殿新さんいじめられる!

 プチ忠臣蔵、恥をかかされ自刃した大殿の恨みをと高家にかかってゆく「浪士」は四人。これに関わった上様、若殿の代わりに「稲葉守」に扮して高家の悪行を体験しに入るという無茶をやらかす。見てる間に意地悪く扱われた大名がもう一人犠牲になったり。ラス立ちは浪士の討ち入りが導入となり「引き継ぐ」上様、今回はいたずらっぽくお茶目なシーン多し。

 ロケ地、お城の庭、姫路城好古園御屋敷の庭築山と石橋、滝組も映る。大殿の仇を狙い市中に潜む浪士に真実をと迫る恋人の芸者、梅宮大社神苑汀・門内の石橋上。浪士たちが屯する寺、粟生光明寺本堂(内部)。小山藩主の変死を上様に報告の才蔵、粟生光明寺石段
*高家に遠藤太津朗、イジワルというより下品な右京太夫を好演。恰幅のよい体に豪奢な大紋烏帽子がよく似合う。


第4話「吉宗、まさかの新妻道中

 じいにたばかられお見合いの席につかされる上様、遅延の加賀の姫と間違って席に「追われる姫」を連れ込んじゃう田之倉さま、ここからドタバタ展開で富商への貢物にされかかる「姫」を助ける運びに。

 ロケ地、「見合い」の寺へ入る上様の駕籠、門不明。幸姫を狙う刺客が走る、赤山禅院参道。遅延の姫を迎えに出る田之倉、粟生光明寺石段上部。幸姫の乳母が射殺される道、大覚寺大沢池堤。幸姫を町娘に作り縁日へ連れ出す新さん、神光院(中興堂、放生池橋、本堂、茶室)。刺客から逃れ乗り込む屋形船、広沢池東岸に船着きセット。大川を下った船は観音島に着く。川越への道をゆく幸姫と新さん、大沢池堤。川越城、彦根城天守。家老の衛士をボコる庭番、神光院蔵前。
*札差に公金借りて私腹肥やしの江戸家老に菅貫、ラス立ちでは姑息風味満点。


第5話「頑張れ!江戸っ子若君

 相模・蟹江藩のお家騒動、殿と嫡子を暗殺しよそから養子を迎え藩政を壟断する企みの家老と、これを阻止するため「殿が昔芸妓に生ませた子」を求める家老。お血筋の若君は定職にも就かず偽名で娘を誑かし孕ませるなどのやんちゃを仕出かしていて、これをシメて根性入れる上様、すったもんだの挙句悪家老は成敗され、若君と御生母と嫁は相模へ向かいメデタシ。

 ロケ地、田之倉のじいを自領に招いて浜辺で宴会の蟹江美作守、琵琶湖東岸(バックに沖ノ島、地続きに近江八幡の山なみ…水茎浜あたりか)。新之助と名を騙り娘を誑かした平太郎を追っかけてシメる新さん、今宮神社地主稲荷。ボコってるところへ当の娘が現れ泣いて止める、高倉脇坂。平太郎の仕事場近くで昼飯を使いながら相模行きを勧める新さん、梅宮大社神苑汀。平太郎が孕ませた娘の父が暗殺される、梅宮大社楼門(内側、設定は寺)。ラスト、今回の件について礼を述べる田之倉のじい、二条城清流園
*藩主暗殺は料理自慢の殿が手ずから捌いた河豚に食傷って頓死設定、食べてすぐに「うぐぅ」のちょっと笑えるパターン、醤油に毒仕込みというオチ…時代劇の「毒」ってば即効性きつく、ムムッとか言って放り投げると畳がじゅっと焼けたりするんだよね。ラス立ちは能狂いだった嫡子を演出の「田村」で出てくる上様、面は外すが衣装はそのままで殺陣。


第6話「江戸城危うし 吉宗の寝所

 飛騨郡代に陥れられ離散した浅井一族の残党が上様を狙う。一味の女が旗本にからまれているのを助けた新さん、思い切り信頼され将軍暗殺に協力を求められてしまい、寝所へ手引きをする羽目に。頬っかむりで案内ののち、素早く上様ルックに着替え御簾の中で待ち構え、斬りかかるのを真剣白刃取りという派手さ、真のワルを成敗のラス立ちに彼らを伴い仇を討たせてやる。

 ロケ地、元飛騨郡代の新勘定奉行が下城の駕籠を襲われる、二尊院紅葉の馬場。これを上様に報告の庭番、姫路城西の丸芝地(ガーデンセットに上様トリオ)。城内を警戒する衛士のシーンや城に侵入の浅井衆のくだりは姫路城はの門下坂など各所と彦根城佐和口多門櫓など使用。綾たちを助ける新さん、大覚寺五社明神に茶店セット。一族離散後、山野に起き臥す浅井衆のシーンに琴滝広沢池東岸など。老中邸に潜入し殺された久美の遺体を荼毘に付す、罧原堤下河原。事後、江戸を発つ浅井衆の船、広沢池(東望、林の上に天守合成)
*浅井氏は元国司の家柄設定、綾たちの衣装が水干ぽい中世ふう、市女笠被ってたり。


第7話「虹をつかんだ女

 薬種問屋・相模屋の主は老いてなお元気いっぱい。息子をいつまでも半人前扱いするが、若旦那はもう41歳で実は十年来日蔭の身に置いた妻子もいたりする。ここへ持ち上がる騒動は「孫」の誘拐、脅迫状来て日蔭の母子の存在が知れ大騒ぎ。抜き差しならぬ事態と周囲の説得に加え、お百度を踏む「嫁」の健気さを見て大旦那は折れ、事件は収束に向かい中年夫婦の子連れ祝言でメデタシ。誘拐犯は完っ璧に金目当ての元書院番頭、返り咲きのための猟官運動資金ゲットの企み。こやつらは別に米泥棒なんかも働いていて、山田浅右衛門に阻まれたりしている情けない役どころ。

 ロケ地、「孫」直八が魚とりの水辺、広沢池西岸湿地(誘拐現場もここ)。新さんに行方不明の直八探索の報告をする朝右衛門、今宮神社参道に茶店セット、バックは楼門。身代金持って来い指定の本英寺裏むささびの森、鳥居本八幡宮(鳥居下、広場を使用。庭番がワイヤー吊りで降下の派手なアクションあり)。ラスト、お庭を逍遥の上様、二条城清流園
*大旦那に小林昭二、クサいまでに泣き入る演技がキマっている。若旦那は小倉一郎、日陰の女房は三浦リカ。*新さんは直八の父親役を頼まれお芝居←煮え切らない若旦那の目を覚まさせる目的。じいも「お芝居」で大旦那説得に一役買う。*ラス立ちちらっと福ちゃん入り・暗くてなかなか判りにくい。もちろん栗塚旭の殺陣もちゃんとある。


第8話「め組が運んだ涙の訴状

 信州・峰山藩の城代家老が進める新田開発、百姓たちに苛酷な労働を強いる。しかも収穫はごっそり横流しで私腹肥やしまくり。これを将軍に訴えるべく江戸へ向かう庄屋の娘、め組や新さんの助けを得てめでたく訴状は届けられるのだった。

 ロケ地、直訴に向かう娘たちが追いつかれて斬られる峰山藩国境、酵素(河川敷、降り口ダート)。一人逃れて江戸入りのおいちが追われる、大覚寺五社明神裏〜有栖川(娘は川へ入りやり過ごす)。新さんたちに拾われる茶店、梅宮大社神苑汀にセット。峰山藩の新田開発、荒地開墾現場を偵察する左平次、酵素(櫓を立ててあったり大人数が入ってたり派手)。おいちに事情を聞く新さん、大覚寺心経宝塔放生池畔。おいちを助けて死んだ吉兵衛の墓、くろ谷(墓参の幼い息子がおいちのスケジュールをべらべらと「墓」の父に喋り、ワルモノに聞かれてしまう)。峰山出の大奥中揩ノ訴状をを取り次いで貰うため直訴のおいち、代参の寛永寺は粟生光明寺(山門、本堂、阿弥陀堂)。馬を飛ばして峰山入りの上様、酵素ダート〜河川敷。横流し米の運び出しを見るのは広沢池東岸。事後、お庭を逍遥の上様、阪口青龍苑(築山をバックに切石橋を渡る)
*福ちゃん二態、開墾地で難儀して木の根引っこ抜いてるお百姓(台詞あり)と、ラス立ちの藩士。


第9話「お婆よ泣くな江戸の春

 ぐれた孫でも孫は孫、博打で作った借金のことで泣きつかれた祖母は勤め先の金を持ち逃げという挙に出る。盗った相手は名うての因業高利貸し、勘定奉行を抱き込み小藩の侍など朝飯前に始末するワルどもは、持ち逃げされた三百両を求め孫息子を拉致ったり。上様との関わりは、おきん婆さんが財布を忘れた上様の団子代を立て替えたことから。

 ロケ地、おきん婆さんに団子代立て替えてもらう新さん、上御霊神社(楼門〜境内)。大川に土左ヱ門となって流れ着く岡部藩勘定方、桂川松尾橋付近汀。
*おきん婆さんに三崎千恵子、柴又くるまやの「おばちゃん」。


第10話「おいらん高尾太夫の正夢

 大身武士の辻斬り、吉原の花魁のマジ恋愛、大藩のお家騒動とてんこ盛り。辻斬りは松倉藩江戸家老の所業で、村正とか正宗とか口走っててフェチっぽく、庭番が調べに入ってわんさかため込まれた武具にげんなりしてたり。花魁の恋は紺屋の若旦那と、売られる前から続く十年来の純愛。その紺屋の若旦那が実は松倉藩主の実弟で、これを利用し藩政改革を進める殿の追い落としを図る辻斬り家老は、上様に乗り込まれちゃって一巻の終わり。

 ロケ地、め組と夜回りの新さんが辻斬りを撃退、大覚寺五社明神。船で逃げやがるのは大沢池。花魁の回想、松倉領から売られる際の松次郎との別れ、山室堤道。弓のお稽古上様、嵐亭前庭。
*藩主と双子の弟の紺屋の若旦那はもちろん二役、坂上忍。養父の阿波屋には初期シリーズでめ組の小頭をつとめた岡田裕久がいて楽しい。そして高尾太夫を連れてゆく女衒には福ちゃん、松次郎が渡した柿を取り上げ放ったり、幼女の襟首を掴んで乱暴に扱ったりする。役名もあり、「女衒」とかではなくちゃんとクレジットに「仁助」とあるが、劇中呼ばれることは無し。


第11話「大喧嘩!め組対定火消

 いつもめ組と火事場で角突き合わす水野の定火消。その火事、実は放火で水野の仕業、火事場泥棒を働き猟官運動資金に使うという無法ぶり、辰五郎をダイレクトに殺そうとしたりもする(水野の殿様が自ら槍持ってチャンバラ…抜き足差し足で辰五郎のいる湯殿に近付く大出俊に注目)。こやつらに狙われた両替商、その娘の恋物語をからめて話が進む。

 ロケ地、め組と定火消の喧嘩の件を話す上様トリオ、二条城清流園。弓のお稽古上様、二条城二の丸(幔幕あしらい)。奸計に陥ち店を放逐された佐吉と会うお久、大覚寺護摩堂(バックに心経宝塔)。火事場泥棒を目撃した佐吉が追われ船をつける川端、広沢池東岸(お久が番頭に連れ込まれる船宿の裏手でもある)。ラスト、馬をやる上様、下鴨神社馬場


第12話「人情落語長屋

 恋しい女の身売りを止めるため盗っ人に身を落とした男、七年を経て巡りあった女には既に亭主がいた。男は義賊を気取り、大名や富商から奪った金を貧乏人に撒くが、或る日盗んで配った小判が偽金、そのことで恋しい女の気のいい亭主が捕縛され、また盗法伝授の島仲間の老爺が殺されるにおよび自訴を決意、新さんはこれのサポートにまわる。

 ロケ地、義賊の撒いた金が偽金と報告の忠相、大覚寺聖天堂前に茶店セット。偽金つくりの職人が消され上がる汀、桂川自転車道下右岸汀。朝吉の回想、心中者を助ける橋、中ノ島橋
*朝吉に「田中さま」山内としお。タイトルの落語は押入れに隠した朝吉を逃がす小頭と、ラスト田所のじいと時そばをやる上様など。上様のヘンな顔で止め絵となる。


第13話「母と子の南部牛追い唄

 自らの剣に封印を施す浪人、それは激情に駆られ妻を斬るところだった己の心になされた戒め。不義をはたらいた妻と幼馴染の親友、逆上し斬りかかってきた彼を斬ったその刀は、妻を成敗しおおせず封印されたが、たつきを求める浪人の弱味に付けこんだワルの企みでそれが解かれ悪事に利用されかかるのだった。

 ロケ地、封印した剣を抜けず用心棒をしくじった父のことで近所の悪童に苛められる正太郎、大覚寺天神島。「南部牛追い唄を歌う女中」のいる深川弓町の料理屋・ひさごの裏手、広沢池東岸に塀などセット。浪人の回想、入水した妻の草履と遺書を見る小西半兵衛、琴滝。小西が仕官話で小普請支配・井出の用人に呼び出される深川万年橋たもとの屋台、中ノ島橋。ラスト、牛追い唄を歌う上様と逍遥のじい、姫路城りの門〜西の丸。武士を捨て旅立つ小西一家、大覚寺放生池堤
*不倫相手の幼馴染に峰蘭太郎、ラス立ち福ちゃん入り・家士。


第14話「伊賀者一代血の詫び状

 大名家御取り潰し方針に乗っかり悪事をはたらく目付あり、二十年も新発田藩勘定奉行に奉公した伊賀者の「草」を使い、抜け荷受け取り文書を偽造し追い詰め、切腹に至らしめる。永年仕えた主を裏切り死に追いやったことで苦悩する中間の「草」、これに隠し妻あり、その娘が切腹勘定奉行の遺児と恋仲という錯綜した人間関係が描かれる。

 ロケ地、新発田藩勘定奉行切腹の報を受け庭番に調査を命じる上様、阪口青龍苑(ラスト鯉に餌やりも同所)。勘定奉行の遺児・兵馬が大目付殺しの犯人にされかかる愛宕神社、大覚寺天神島(その前に川合伸旺が斬殺)。「草」多助の墓、二尊院墓地。父である多助の墓参の帰り、兵馬に父のことを詫びるおたよ、紅葉の馬場。目付と組んだ佐渡屋の寮、中山邸通用門
*全ての悪事に裏で糸を引く目付に川合伸旺、野心ギラギラのワルを演じる。悪徳商人は頭師孝雄。


第15話「遠い夢の花嫁衣裳

 夫を藩の内紛で失った女は、息子に夢を託し学問で身を立てさせようとする。しかし入門した塾が、公金横領の勘定奉行とつるんだ悪の巣、塾の蔵で怪しの金を見てしまった息子は襲われ半死半生。小太刀の名手だった母は敢然とワルに向かってゆくも敢無く返り討ち、看取った新さん祝杯あげるワルの座敷に乱入し成敗。

 ロケ地、本郷の孔子塾、妙心寺龍泉庵(門、路地)。母・杉原縫がお参りの学問の神様、松尾大社本殿。新さんに昔を語りつつくぐるのは楼門。旗本の若様たちにボコられた傷を洗う清一郎、亀の水場。そこへめ組衆がやって来る橋、および塾の下女のさえが来る橋、境内桂川用水の橋。蔵で金を見た清一郎がさえにその事を話す、本殿左手の摂社群。塾頭の内意を受けた旗本の若様たちが清一郎を襲う石段、常寂光寺本堂下石段(斜めに通じるランダムな段も使用)。事後、じいと逍遥の上様、二条城清流園(バックに本丸櫓門)
*杉原縫に土田早苗、息子を害した旗本の若様たちを成敗する大立ち回りを演じる。また、回想の夫を松平健がつとめ、舞う縫の傍らでかっぽんと鼓を叩いて見せる。


第16話「俺は天下の偽将軍

 のっけから上様が「水戸黄門漫遊記」の黄表紙を見ているのが伏線の、「印籠」関係パロディ満載のコミカルなお話。田所のじいが「フィクション」「発禁」などと言い立てるくだりも。辻斬りが落としていった三つ葉葵の印籠を使って「これにおわすは吉宗公なるぞ」と詐欺を働く若者の一団あり、「こたびは差し許す。財布を出せ」は爆笑もの。辻斬り探索のため悪ノリぎみに彼らの用心棒となる新さん、新刀の試し斬りをしていやがった印籠の落し主の旗本を突き止め、成敗する経緯が描かれる。

 ロケ地、お城の庭で黄門漫遊記を読む上様、二条城清流園池端(ガーデンセットあしらい)。ケチな詐欺を働く若者たちが辻斬りを目撃の水辺、大覚寺大沢池・天神島北辺の水路。辻斬りの報告を上様に上げる忠相、二条城内濠(バックに本丸櫓門)。魚住藩上屋敷、大覚寺大門。新さんが偽者と知っていて付き合っていたと話す若者たち、天神島。ラスト、馬をやる上様、下鴨神社馬場
*被害者の傷から得物は大業物と推理させるため、山田朝右衛門を登場させる。骨のあるのを斬ってみたいと言い出す馬鹿殿の目にとまるよう歩いてたりもする。*印籠で騙された旗本が事後我に返り「はて上様はあんなに若かったか」。


第17話「人参に咲いた花祝言

 対馬藩の船を海賊ばりに襲い積荷の朝鮮人参を奪ったうえ、民のためを思い上様が緊急放出のそれまで私腹肥やしに使うワルは三人、人参を一手に商う薬種問屋と若年寄に船手頭。患者を思うあまり国禁を犯し、朝鮮に渡り人参栽培のノウハウを手に入れてきた医師を監禁し栽培させて更なる大儲けを企むが、医師の身内と関わっていた上様にバレバレ、乗り込まれて成敗されてしまう。

 ロケ地、養生所の薬草畑、不明。薬種問屋・岩田屋が横流し品を断ったあと襲われる夜道、鳥居本八幡宮鳥居下。
*医師が出国したあと目を患った母を、名を隠して世話する元許婚者の娘の情話もあり→恋の成就でメデタシ。異国行きの件は上様の「夢であろう」でチャラ。*悪役陣、小沢象に伊吹聡太朗とコテコテに暑苦しい。主人公の青年は大橋吾郎。


第18話「母恋い人形、やじろべえ

 「母恋い」は後嗣を巡る争いに巻き込まれ逃亡生活を送る玉嶋藩の若君、幼少時母と離されたのも現・江戸家老の陰謀。市井で子の無事を祈りつつ暮らす母と、健気な若君と双方をケアの上様、出入りの商人と陰謀の全てをべらべら喋り高笑いのワルのもとに乱入し成敗の雨嵐。

 ロケ地、玉嶋藩邸の様子を報告の庭番、大覚寺護摩堂前。若君が匿われている妙源寺、勝持寺(鐘楼、石段)。若君の母が我が子の無事を祈る神社、梅宮大社本殿(入れ替わりに若君が楼門から来て、母の思い出のやじろべえをいじるのは舞殿)。家老が出入りの米問屋と結託と報告の庭番、梅宮大社神苑。事後、会わずに別れる母子を慮った新さんが計らい、国元へ帰る若君の船を見せてやる、大覚寺放生池畔。
*ラス立ちに浪人姿の福本先生、都合四回ぶっ叩かれゾンビの如く向かってきては海老反り。うち一回は左平次にぶっすり腹を刺されている。


第19話「五千両の恋泥棒!

 元長崎奉行が追い使う賊、忠相が摘発に入るが盗んだ金は見当たらず。これは橋脚に結び付けられ水中に隠されているが、借金取りに追われ川に落ちた遊び人の仁吉が見つけてしまい隠匿。後段は散財の挙句賊に見つかり追われる仁吉と、これを助ける天真爛漫な女郎のお涙頂戴話に。

 ロケ地、橋脚に隠し金をくくってある橋、中ノ島橋。派手に舟遊びする仁吉を見る賊、広沢池東岸。賊に足を刺され血を流しながら出頭すると約束の南町に赴く仁吉、広沢池東岸堤道。事後、仁吉たちのその後を話すじいと上様、二条城清流園。嫁取りの話から逃げる上様、内濠端。
*元長崎奉行に深江章喜、賊の首領に立川三貴。


第20話「無法許さぬあさり剣法

 親友と思っていた男に謀られ息子を斬ってしまった浜田藩の郡奉行は職を辞し、江戸は新網町に一膳飯屋を開き息子の行動の真意を知る者を求めていた。このオヤジの作る浅蜊汁がいたくお気に召した上様が関わりまくり、情婦と組んで御用船を使って抜け荷をしていたワルが浮上する。

 ロケ地、監物と誤認し父の乗った駕籠を襲う周太郎、大覚寺大沢池堤。回船問屋・船場屋が土地を買い上げ荷揚げ場を作る計画を進めていると報告する左平次、五社明神。あさり屋の娘がならず者に父の真意を迫られているのを助けた新さんが事情を聞く水辺、上賀茂神社ならの小川神事橋たもと。周太郎とともに駕籠を襲った若侍が裏切った「同士」に斬りかかる、北神饌所裏手。船場屋の抜け荷について報告の忠相、大覚寺聖天堂前。浜田藩上屋敷、大門
*あさり屋のオヤジに長門勇、凄腕なもんだから駕籠に槍を突き入れてきた息子を鮮やかに返り討ちにしてしまう。魚焼きながらぼそぼそぶづぶつのボヤキがはまり過ぎ。彼をずっと羨み憎んできたワルに遠藤太津朗、情婦の回船問屋の女将は佐野アツ子だったり。*今回ラス立ちでも名乗らずの珍しい回。


第21話「愛と憎しみの孤剣

 徳田新之助を付け狙う凄腕の浪人のお話。彼は五年前、恋人を借金のカタに身売りさせようとした因業金貸しに斬りかかり、新さんに阻止されたことを深く恨んでいた。そして歳月を経て剣客となった男は、敗北感と恋人を失った痛みを未だ抱え、忠相の政敵に雇われるゴロツキと成り果てて立ち現れる。彼が加担した忠相毒殺の一件は、かつての恋人の子を誘拐する事件に発展するという皮肉な回り合わせとなり、新さんとの斬り合いの最中恋人がその手で救われていたことを知り、しかもさらった子は己が子と聞かされ、身を恥じ自刃するに至るのだった。

 ロケ地、八幡様の縁日で行き倒れの老人を看る医師・神崎、今宮神社境内。下城の忠相の駕籠を襲う刺客、妙心寺玉鳳院前路地。自らを囮として襲わせる忠助、法堂仏殿間の回廊。新さんの回想、五年前夜釣りの際金貸しに斬りかかった若侍・岡田陣八郎を阻止する水辺、大覚寺大沢池西岸(釣りの新さんと忠助は放生池堤、岡田は池に叩き込まれ)。岡田の雇い主で忠助抹殺を図る御同朋衆・千阿弥の寮、中山邸門。岡田らが妙の息子と毒薬を交換する企みのお堂、鹿王院(舎利殿、回廊、方丈前)。岡田について神崎の妻・岡田の元恋人の妙と話す新さん、大覚寺護摩堂前。妙の回想、岡田を捜し疲れ入水未遂の橋、中ノ島橋(神崎と二人してドボン)。新さんと対峙の岡田、木津河原
*千阿弥が神崎医師から脅し取ろうとするのは毒薬(神崎は毒薬の権威)、ターゲットは忠相。わかっていて千阿弥が持ってきた茶を飲む忠相、「うぐぐ」と昏倒はてっきり芝居と思いきやマジ飲み、次の間に控えていた神崎医師がすかさず毒消しを飲ませて事なきを得る設定…そういうのアリなのか。


第22話「しっかり女房、降参する

 公共工事の談合から抜けようとした材木商が消される。忠助がつけていた密偵は捕われ、黒幕の勘定奉行邸に連れ込まれ激しく責めを受ける。ここまではフツーのお話、勘定奉行の腹心がかつて養子先を世話した商家の夫婦のトラブルを持ち込まれて、養子を追い出そうとする妻のプランに材木商殺しの冤罪を着せようと思いつくからややこしい。最後は上様乗り込みで解決、密偵とトラブル夫婦と、ともに元の鞘に納まりメデタシ。

 ロケ地、寛永寺修復工事の談合が行われる吉祥寺、粟生光明寺本堂(内陣も使用か)。その席で抜けると表明の但馬屋が斬られる、石段上部。勘定奉行・島田備後守邸、大覚寺大門。第二の談合場所となる鶴屋寮、望雲亭木戸。
*談合の富商・山城屋に江幡高志、姑息風味満点。この人はもっと下世話なチンピラのほうが似合うが、かさこそと工作のヤラしい商人もなかなか。ラス立ちには福ちゃんも。


第23話「我が子を裁く鬼の父

 悪役でない西田健を凶悪な設定で見られる、稀有な一作。
西田健は北町のお奉行さま、情け容赦ない裁きで民から蛇蝎の如く嫌われる。それを解っていて市中を徘徊し、襲撃に遭うことも再三。その彼がかつて愛した矢場の女、駆け落ちまでするが身分違いと引き裂かれたその後女は密かに子を産んでおり、境涯に怒りグレた息子は凶盗の手先と成り果て奉行の前に現れる。捕えた我が子に死罪の断を下す奉行、せめて我が手でと成敗しかけるその手を、上様が止めに入る。

 ロケ地、下城の寄合席・喜多川を呼び止め、贈賄について故障を申し立てる田之倉、二条城本丸櫓門橋上。島送りとなる鶴吉を見送る父、罧原堤下河原に船番所セット。
*凶盗・百目の十左に工藤堅大良、裏で糸を引くワルの旗本に田口計、このキャスティングも霞む「主役」西田健の熱演、ちょっと荒っぽい脚本も気にならず。うるうると落涙の西田健を見られるのだから貴重。田口計の旗本も、グルの盗っ人を騙して刺すし「乗り込み」上様にくかかかと哄笑「己を知らぬ青二才、うつけ将軍じゃ」はなかなか飛ばしている。*そして福ちゃん、ラス立ちの「出会え」要員で斬られ役を務めたかと思うと、遠島の鶴吉を見送りに来るお嬢様のうしろで真面目くさったお顔を覗かせる。福本センセイはこれだから油断ならない。


第24話「剣難女難の恋指南

 加賀百万石のお姫様と、三春藩の次期当主が結ばれるお話。田之倉のじいから加賀へ行った話が「上様の奥に」でまず取り違え、そのあとも何度も相手を間違えどたばた、これに加賀藩の側室がらみの後継騒動が重なり大騒動、加賀の若君が狙われたり姫君がさらわれたり。そのプロセスで互いを認め合う若い二人、婚儀がめでたく執り行われることとなる。

 ロケ地、加賀の姫のことを話すじいと上様、二条城清流園切石橋上。本郷の加賀藩上屋敷、随心院薬医門。三春藩上屋敷、随心院長屋門。加賀の姫と若君が刺客に襲われる墓参の寺、仁和寺観音堂脇。お由良の方が住まう加賀藩向島別業、中山邸門。
*取り違え要素に三春の若殿の名「伸之介」。


第25話「怪奇!天狗の花嫁

 ポルターガイストを演出し天狗の神霊が降りたとして礼金を稼ぐ母子あり、金欲しさの芝居の裏には悲しい過去が隠されていた。この「天狗」を利用し押し込みを働き大金をゲットのワルは寺社奉行大検使、哀れな母子の父親を殺して金を奪ったのも小検使時代のこいつだった。

 ロケ地、お照をさらった天狗が消えた林、糺の森。寺社奉行所、大覚寺大門。宿の亭主・市兵衛が信者衆から預かった寄進の二百両を奪われ落とされる御岳山中、保津峡落合落下岩。役者になると青梅を出る仙三郎を追い掛け餞別を渡し励ます市兵衛、大沢池堤
*天狗天狗と出たシメは上様乗り込みの衣装が大天狗、倍に膨らんだ松平健の巨体が大立ち回り(着替えナシ、全部天狗の衣装で通す)。


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