2004年、テレビ朝日/東映
キャスト
銭形平次/村上弘明 お静/東ちずる 八五郎/石井正則 三輪の万七/渡辺哲 清吉/石塚義之 吉岡庄平/緒形幹太 笹野新三郎/西岡徳馬
オープニングロケ地
粟生光明寺石段(見下ろし)で殺陣〜渡月橋渡る平次(橋下から見上げ)、桂川畔にセットの茶店でふかしたての饅頭(中州岸、背景に渡月橋)〜神田明神にお参りの平次夫婦、長岡天満宮〜現場へ走る岡っ引たち、八幡掘堀端、新町浜で平次の殺陣、銭トスしながら平次が渡る橋、白雲橋〜山伏と大立ち回りの平次、粟生光明寺石段(見上げ)。
サイズ大きめの村上平次は、「八丁堀の七人」の青山さまの面影をいい方向に残し、「だぜい」も効いている。
平次の投げ銭は大リーグボールの如く軌跡を残して飛んでゆく派手な演出。
推理ものの面白さも各人のドラマもきっちりと描かれた佳品、映像も美しい。
第1話 「炎の投げ銭!消えた二万両の謎」 2004.4.12
汚職で私腹を肥やしていた元勘定方が、溜め込んだ金を狙った配下に殺られるお話。その殿様、連れ込んだ女に無体を働き「あーれー」のすえ突き飛ばされ床柱に頭を打ち昏倒、このあと息の根を止められてしまうというおきまりのド助平「御前」。自分が殺したと思い込んだ女とその恋人が互いを庇いあい処断される運びに。これを看過できぬ平次親分、夫婦の記念日も擲ち牢に潜入→恋人たちの話を突き合わせ解決。
ロケ地
- 松前邸の庭を逃げる恋人たち、梅宮大社神苑・池中亭土橋〜神苑門付近。
- 神田明神、長岡天満宮拝殿ほか境内。
- 笹野さまを祝宴に誘う平次、八幡掘(お稲荷さん売ってる屋台が明治橋上、そこから見下ろしで二人を映し堀端へカメラ移動)。
- 出入り商人に事情聴取ののち手裏剣で狙われる平次、粟生光明寺石段と墓地。
ゲスト
菊之助/前田耕陽 西尾十内/中丸新将 お糸/今村雅美
※キングサイズ平次、鴨居の上に顔があるのがおかしくも可愛い。口調が青山さまをひきずるのも持ち味なので良し。牢のくだりは「子連れ」とよく似た画。手当ての際ムシリ頭の付け毛が置かれている情景がユーモラス。
※初回のこのお話は、大川橋蔵版の第一シリーズ最終話「幻の二万両」と筋立てがほぼ同じ。
第2話 「愛しすぎた女!殺意の残り香!!」 2004.4.19
富商の変死、財産目当てと疑われる芸者上がりの後妻。しかし彼女の不審な行動の裏には真摯な捨て身の愛が隠されていた。
テレ朝だからか現代ふうなのか、橋蔵版より単純な作りのお話、勘当息子のくだりなどは些かクサいがあんまり凝ると却ってマズいのかも。小道具はけっこう細かい。
ロケ地
- 隅田川の屋形船で身分ありげな男と密会する近江屋の女将・お蝶、嵐峡。これを見る平次夫婦、大覚寺心経宝塔前に縁日を演出。
- 女将を襲う浪人とゴロツキ、八幡掘舟橋上。撃退したあと事情を聞く平次、明治橋下手堀端。
- 女将を呼び出し父の仇を討とうとする勘当息子、仁和寺塀際疎林(遠景に九所明神)。
ゲスト
お蝶/青田典子 近江屋/江原真二郎 桂井順庵/西田健 幸助/笠原秀幸
※今回は「だぜい」がことさら目立つ平次親分、ラス立ちには前回同様髷を振りさばいての熱演。
第3話 「哀しい瞳!死神と呼ばれた女!!」 2004.4.26
辻斬りの仕業に見せかけた米問屋あるじの殺害、家には後妻やら行かず後家の妹やらがいて険悪な通夜。ここに隠し妾まで乗り込んで大騒ぎ、この妾、これまでに三度(死因、暴れ馬・喧嘩沙汰・河豚中毒)亭主をで亡くしているというちょっと凄い境遇。なにやら怪しい振る舞いのその女を調べた平次、錯綜する事情を解いてゆく。
ロケ地
- 巴屋の死体が見つかる大川端、大覚寺大沢池堤。
- 後妻の弟を張り込む三輪の親分、八幡堀明治橋下堀端。
- 巴屋の後妻を呼び出すお吉、大覚寺五社明神脇(張り込みのハチは有栖川の中に潜む)。
- 「手切金」授受の場に指定される須崎弁天、大覚寺天神島(祠と仏をセット)。
ゲスト
お吉/三原じゅん子 お栄/岩本千春 おせき/横須賀よしみ 安之助/丹羽貞仁 おさよ/畑中映里佳
第4話 「隠し蔵の殺意!引き裂かれた恋」 2004.5.3
抜け荷をはたらく回船問屋に隠し蔵を作った大工の棟梁が、口封じのため消される事件を発端に平次の推理が冴え、笹野さまは一命を賭して大もとのワルに揺さぶりをかける。
底流には、棟梁の娘と恋仲で、生前認めて貰えなかった大工が師匠のからくり細工を解き明かすことにより恋を成就させるお話がある。
ロケ地
- 船番所、八幡掘堀端。橋たもとの石段をうまく使って番所を演出。
- 船手奉行・飯塚邸、大覚寺大門。
- 棟梁の娘の幸せを見届けた平次夫婦が談笑の縁日、大覚寺心経宝塔前広場。
ゲスト
泰造/石橋保 飯塚要之介/中原丈雄 大倉屋/頭師孝雄 卯太郎/赤塚真人 忠助/井田國彦 お春/石橋奈美 幸吉/井之上チャル
※回船問屋暗殺は河豚鍋に食傷って頓死を偽装されるが、三輪の親分が利用され死なないまでも寝込む。土中に埋められた渡辺哲可愛すぎ。
第5話 「予告殺人!!生前葬に隠された罠」 2004.5.10
劇中ではさすがに生前葬とは言わず「生き弔い」。長生きのおまじないと称しそれを執り行う油問屋の隠居、式果てて早桶から出てこないのを怪しむと、刀が突き立てられており隠居は死んでいるというミステリー。幾重にも絡んだ事情を解き真実に迫る平次、しかし故人の遺志を汲み息子に累が及ばぬよう計らう粋を見せる。
…しかし色の変わった紫陽花の下のは掘り返したんだろうか。
ロケ地
- 油問屋の隠居と神田明神で出会う平次、今宮神社東門内石橋。参拝シーンは長岡天神本殿。
- 弘前藩邸へ金を返しにゆく油問屋の若い当主、立ちはだかる浪人たちのラス立ち突入のくだり、大覚寺五社明神(大八は有栖川のほうから、平次出現は本殿から)。
ゲスト
上総屋/新克利 佐太郎/原田篤 工藤駒三郎/石倉英彦 露の家正吉/峰蘭太郎
※隠居を強請っていた手習いの師匠の浪人に峰蘭太郎、アイパッチで吊り上がったお目目が強調されてて可愛い。紫陽花の肥料はちょっとお気の毒。油問屋の隠居の「印玄」新克利、複雑な事情を飲み込み強い意志を見せる人物を好演。
第6話 「お静の危機!試された夫婦愛!!」 2004.5.17
富商を狙った誘拐事件、間違えてさらわれてしまうお静。激情を抑えつつお仕事の平次、しかし笹野さまから担当外された途端「好きにすりゃぁいいって事よ」と飛んでゆく。
賊一味と富商と平次夫妻と、三組のカップルの愛憎劇が絡み、捕われの身のお静が一味の女に話しかける、情に訴えたお説教攻撃も見もの。
ロケ地
- 身代金受け渡しの深川万年橋、中ノ島橋(伏せられた捕り方の中に三輪コンビあり、夜鷹に変装…渡辺哲の夜鷹…)。船で逃げる一味が捕縛されるシーンに中州舳先付近。
ゲスト
お紺/遠野凪子 伊勢屋/江藤潤 お房/日下由美 黒岩又十郎/三上市朗
第7話 「帰ってきた女!証言拒否の謎!!」 2004.5.24
影で蝮と呼ばれるダーティな岡っ引の殺害、探るうち平次のトラウマともなった昔のフレームアップが焙り出されてくる。兄を冤罪で失った妹の存在を突き止め、今新たに作り出されつつある同様の被害者の事情を説き情をもって迫る平次に女は折れ、「平次兄ちゃん」と彼を呼び真人間に立ち戻るのであった。
ロケ地
- 殺された岡っ引きの情報を平次に話す船宿・笹舟の女将・お涼、長岡天神本殿前(神田明神設定)。
- 川越へ調査に走る八五郎、大覚寺大沢池堤。
- 川越城イメージ、彦根城天守。
- 盗っ人のアジトの下谷・杢念寺、二尊院勅使門。
- お涼を待ち伏せ、真の名で呼びかける平次、八幡掘堀端〜日牟禮大神宮。
- むかし救い得なかった新吉の墓、二尊院墓地。
ゲスト
お涼/濱田万葉 茂平/小沢象 久助/藤原喜明 房吉/谷口高史 仙太/安村和之
※今回、立ち回りに銭投げは無し、船宿の女将の自刃を止めるのに飛ぶ。
※ラス立ちに福ちゃん、盗っ人一味。
第8話 「処刑寸前!走れ平次 夫殺しの罠」 2004.5.31
ハードな仕事に心荒む日々、平次の心を和ませた仲のよい大工の夫婦、その女房の笑顔。夫を殺された挙句犯人とされ、斬罪となるその女を救いたくて平次は動く。村上平次、火盗改に逆らってぼろぼろのギタギタで奮戦、血を滲ませた口許もそのままに小塚ッ原に駆けつける。
ロケ地
- 出来心で掏摸再犯の大工のため神田明神下の縁日で聞き込みの平次、長岡天神本殿〜参道。
- 大工の死体上がるを聞き駆けつける平次、大覚寺放生池堤。死体置かれている桟橋、大沢池船着(大)。
- 黒雲党の引き込み・五郎太を尾行していて火盗改長官の横川に制止される平次、八幡掘明治橋下堀端。その後横川と議論の神社、日牟禮八幡宮石段上〜石畳。
- 捕縛され自棄となり「自白」してしまった大工の女房のことで笹野さまと話す平次、妙心寺路地(東海庵前、大通院裏、福寿院への小道)。回想の大工夫婦の見送り・出迎えの神田明神は長岡天神本殿前。
- 五郎太がツナギに使う迷子石、八幡掘舟橋たもとにセット。この連絡方法のことを笹野さまに話す平次、広沢池観音島。
- 小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門。小塚ッ原刑場、酵素河川敷に柵と磔刑台しつらえ。
ゲスト
おみね/菊池麻衣子 横川/片岡弘貴 留吉/武野功雄 五郎太/山崎潤
※火盗改に尾行を止められた平次は、飴売りに変装して尾行を続ける…こんなでっかい飴売りを見たのは初めて。
※盗賊・黒雲党の一人に福ちゃん、ラス立ちで火盗改に斬られて「ぬおお」の声残しのけぞり。
※お静の「てーへんだ」がラストにあり、夫をギタギタに痛めつけた火盗改長官が閉門蟄居と嬉しそうに報告。
第9話 「八五郎の恋!姿なき殺人者!!」 2004.6.7
両替商の女将が殺された一件、物盗りと見える現場の状況が腑に落ちぬ平次。拘って遂に事実に迫る謎解きが主軸、女将の妹に岡惚れした八五郎の純愛ドラマが被される。
ロケ地
- 自分の長屋へ来たおきみを送ってゆく八五郎、八幡掘堀端(見送りは船橋たもと)。
- 稲葉屋の姉妹をならず者から助ける男(現当主)、上賀茂神社ならの小川。回想シーン。
- 稲葉屋の先代が溺死した堀、八幡掘堀端。
- 平塚宿から帰る八五郎が走る浜、琵琶湖岸・ヤナギ茂る岸辺、夕景。
- 八丈送りのおきみ、船が出る浜は八幡掘新町浜〜八幡川曲折部。
ゲスト
お君/上原さくら 源兵衛/冨家規政 おさと/山本ゆか里 伊佐次/入江毅
第10話 「切腹直前!殺人者にされた与力」 2004.6.14
笹野さま奸計に落ちるの巻。
恩人の息子を遺言に従い厳しく諫めた結果は、逆恨みされたうえ己の悪行を誤魔化すため冤罪に落としにかかるというトンデモ。牢に入れられピンチの笹野さまを、平次が救い出す人情ドラマが展開する。
ロケ地
- 奈良屋の番頭が首吊り、大覚寺天神島。
- 奈良屋の向島寮、宝厳院参道〜通用門。
- 奈良屋の女房が田宮の手下に消される町角、大覚寺五社明神本殿前(刺客は有栖川脇の道へ逃走)。
ゲスト
田宮左門/堤大二郎 お志摩/寺田千穂 稲葉才蔵/草見潤平 川津弥市/森聖二 土屋能登守/水上保弘 奈良屋/西園寺章雄
※笹野さまが奈良屋を殺った証拠とされる刀の血曇り、鯉を裂いてつけたもの。これを拭った懐紙に鱗付いててバレバレ。しかも奈良屋と笹野さまの文、筆跡でバレバレ。どこまでも粗漏なおぼっちゃまなのであった。
第11話 「十手返上!罠に堕ちた平次一家」 2004.6.21
銭形の親分ハメられて危機一髪の巻。
相手は平次にお縄にされ遠島となったことを恨んでいるほか、お静を「盗った」と思い込んでいる変態さん、しかも凶暴。じわじわと迫る魔手、遂に奸計に落ち牢に放り込まれる平次、留守宅のお静に迫る変態さん、絶体絶命の危機に笹野さまの英断で解き放たれた平次の投げ銭が決まる。
ロケ地
- 御赦免船が着く浜、広沢池東岸(堤に柵をセット)。
- お静が旧知の菊蔵(正体は鮫蔵、島帰りの変態さん)と再会の縁日、仁和寺参道。
- 牢内での平次の回想、保土ヶ谷宿での阿片売人・鮫蔵の捕物、広沢池東岸汀。
キャスト
鮫蔵/鷲生功 常陸屋/大河内浩 寅吉/井上茂
※平次捕縛を聞き留守宅へ押しかけお静を難詰する民衆、中の一人に福ちゃん。別段の台詞は無いが、殺陣のときのようなかさかさと後退する所作が笑える。
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