必殺仕事人 第1話〜6話  鹿蔵元締篇    →見出しへ戻る


第1話「主水の浮気は成功するか?」1979.5.18

 八王子に赴任していた主水が急に勘定奉行のお声掛かりで呼び戻される。これが元締・鹿蔵の差し金で、再び闇の稼業に誘われるが渋る主水。仲間の悲惨な死に様を語りもう二度と、と言う主水に己の生き様を誇るように話す鹿蔵。外で話を聞いていた左門が妻子を護るため殺し屋になると言い出し、一回きりと乗る主水。
仕掛けの際には姿を見せず、個人的理由で秀が関わってくる。
 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。ターゲットの勘定奉行所書役・戸ケ崎重内邸、相国寺大光明寺(庭、門)。半吉を追う戸ケ崎の弟、大覚寺御殿川の中。左門が橋上から飛び降り襲いかかる、勅使門橋。左門との立会い、有栖川へ。大沢池溢水口に秀が潜む。弟を倒したあと荒い息をつく左門の顔がオーバーフローの向こうに見える演出もあり。
*左門と主水の関わりがはじまる、鹿蔵の示唆で人体を確かめに行った左門が追っ手と誤認して斬りかかるシーンの殺陣はなかなか。*どぶ川で切り刻まれて惨死した仲間と赤井夫婦のことを語る主水、たしか新仕置の初回でも鉄に赤井夫婦のことをしみじみ話してた。やはりあれはとびきりのトラウマになってるのね。*岸田森に刀渡す主水、目釘抜いてあるという演出がいい。


第2話「主水おびえる!闇に光る眼は誰か?」1979.5.25

 頼み人は凶盗に主人を惨殺された女将。鹿蔵の示唆で犯人を近頃江戸に舞い戻った横堀の庄兵衛と目し探索の仕事人たち。一方、主水は先の殺しを見ていた筈の鑿の主を警戒する。
表の仕事の途中聞いたかざり職人・宗次の仕事場へ赴く主水、そこに居合わせあの夜見た仕事人が八丁堀と知る秀は巻き込むことを恐れ、慌てて宗次を匿うが、これが仇となり親友の死を見ることとなる。友の亡骸を掻き抱き嘆く秀に事のゆくたてを説明し仕事に誘う元締。
まず友を騙った庄兵衛の女を始末する秀、盗っ人のアジトに押し入る主水たち。鹿蔵が依頼人を連れてきていて庄兵衛に止めをささせようとするが、女将が手にかける前に事切れる。
事後、元締が誘った際の秀の青臭い言辞を引き、気分はスカっとしたかと聞く主水。ほんとの殺しは苦いものと呟く主水に、秀は仲間に入る旨を申し出るのだった。
 ロケ地、探索の左門が半吉とツナギは今宮神社東門内の二本の橋の向こうとこちら。左門は南の石橋、半吉が荷置くのは擬宝珠つきのほう。秀が宗次を連れて下谷の隠れ家へ急ぐ道、広沢池東岸


第3話「仕事人危うし!あばくのは誰か?」1979.6.1

 一対の牡丹の刺青を背に持つ惚れあった男女の痴情のもつれに加え、男に迫る女敵討ちの追っ手。市中の耳目を集める派手で芝居のようなパフォーマンスは、やはり芝居だった。何も知らされず運命に翻弄される女が男を呼ぶ「与のさぁん」は長く耳に残るフレーズとなる。
食い詰めた浪人たちが考え出した芝居は現実とリンクし真に迫り仕事人たちの目も眩ますが、土壇場でウラに気付いた仕事人たちは個別に冷静に事に当たり対処する。
 ロケ地、大捕物の準備して待つ南町奉行所に注進に及ぶ浪人を密殺する主水、大覚寺御殿川河床(奉行所門前設定)
*与之介の名を呼び悲嘆にくれるお衣に微笑んで近づき、いい子だと頬を撫でながら刺す元締、横顔が怖い。


第4話「主水は三途の川を避けられるか?」1979.6.8

 上方の仕事人・壬生蔵人が江戸に現れ、老中を殺り寛永寺の大僧正に迫る。遂行されては仕事人の仕業とされてしまうと、鹿蔵は大僧正を守るよう仕事人たちに命ずる。しかし「守る」相手が高利貸しを追い使い幕閣にも隠然たる影響力を持つ大ワルで庶民を泣かせている奴輩なので、秀などは激昂する。結局蔵人は仕事をし了せ自ら縛につくが、元から病に取りつかれていた彼はその夜牢内で命尽きるのであった。
 ロケ地、日寛僧正が老中と月見の宴、大覚寺観月台。老中須賀遠江守邸、大覚寺大門。蔵人が美鈴の鞠を拾ってやる、中ノ島橋上手堰堤脇の岸。蔵人が病のため倒れる、橋上。寛永寺、相国寺(庫裏、渡廊、鐘楼)。鐘楼は鹿蔵と蔵人対峙のシーンに効果的に使われる。蔵人を待ち構え袴の裾にちょこんと座っている元締がなんか可愛い。鐘楼内部からの撮りもある。
*壬生蔵人に丹波哲郎、得物は鼓。かぽーんと鼓を鳴らして殺しのテーマにする。使用の際には紐をほどき鼓を投げて首を絞めるというややこしい荒技。*阿漕な高利貸しは科屋兵ヱ、劇中では略して更金と呼ばれる。


第5話「三十両で命が買えるか?」1979.6.15

 井筒屋の若旦那は常軌を逸した女好き、素人娘から飲み屋の女将まで手を出しまくり、その都度親に尻拭いをさせるという馬鹿息子。こいつが遊びの最中に過って女を殺してしまうことから、ややこしい事態が展開する。息子を獄門にしたくない井筒屋は、金が欲しい人足の松吉に大した罪にはならないと甘言を用いて息子の代わりに出頭させる。人の難儀を見捨てておけぬ江戸っ子の松吉が入用の金とは、井筒屋と通じるならず者が蕎麦屋を脅しつけて要求する金(松吉が助けた際のヤクザの側の怪我人の治療代)という皮肉なもので、騙られた松吉は斬首されるが、残された娘は鹿蔵に仕置を依頼する。
 ロケ地、井筒屋の若旦那の取り巻きが口封じされる、大覚寺有栖川(岸、河床)
*松吉が見捨てておけず介入する蕎麦屋への嫌がらせ、これを黙過したことで左門は娘に一時口も聞いて貰えなくなる。*若旦那の罪隠しに秀まで狙われるが、長屋の天井から襲う刺客を見事に返り討つ秀と左門、待ちの体勢で神経を張り詰める場面は秀逸。


第6話「主水は葵の紋を斬れるか?」1979.6.22

 将軍の弟・松平聖二郎は世を拗ね、市中で横暴の限りを尽くす。小遣い銭(百両単位)を毟りにいった商家の娘に目をとめ陵辱、道場破りをかますなどやりたい放題。三つ葉葵の紋入り提灯持ったお供がいつもこれを掲げ、無理難題を押し付けまくり。
 その無法者に陵辱された娘を道連れに縊死した妻子の恨みを晴らすべく元締めに依頼に来た商人は、難しいと鹿蔵が障子を閉めたその船先へ入水してのける。その行為に打たれた元締はチームに聖二郎殺しを図るが、三人ともに断られてしまう。しかしその後、秀や左門が懇意にしていた長屋の娘が嫁入り行列のさなか聖二郎に拉致され死に至ることと、稲葉老中が可愛がっていた甥が妻を陵辱され亡くしたのち斬りかかり返り討ちに遭うにおよび、仕事を受けざるを得なくなりチームは始動する。手下を秀と左門が片付けたあと、主水は甘言を用いて聖二郎の傍近くに寄り討ち果たす。主水に腹を抉られた断末魔の聖二郎は「いつか俺を殺してくれる奴を待っていた」と述べ絶命。同刻、聖二郎の産みの母である桃源院は門前で数珠珠を散らし自刃。怨嗟こもる血のひとすじはここに絶たれたのであった。
 この大仕事のあと、鹿蔵は主水らに別れを告げ後事を託す。
 ロケ地、戦慄コンビが墓参の際聖二郎一行に「無視される」、粟生光明寺石段下部。元締が聖二郎の生母・桃源院を訪ねるイメージ、粟生光明寺石段上部。聖二郎の邸、相国寺大光明寺(門、南塀)
*黒のお召の聖二郎に目黒祐樹、裾さばきも決まる着流しがよく似合い、語尾のスクエアさが化け物ぶりをいや増す。道場破りの際の看板からはみ出さない足さばきも凄い。主水との殺陣は見もの、主水二刀流。


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