第50話〜82話 六蔵元締篇 →見出しへ戻る
第50話「嘘技無用試し斬り」1980.5.9
松前藩留守居役と出入り商人がつるみ、浪人者に仕官話を持ちかけ騙し金を巻き上げ次々と死に追いやる。
主水からこの話を聞いた左門は独断で調査に入り、現在騙されかかっている浪人に接触し説得するが不調、遂に父娘ともども非業に死す結果となる。
父の枕辺で胸を突いた娘の依頼により、チーム始動。
*元は同じと浪人たちの境遇に心痛める左門、刀を売るのに手を貸したりする。その手口、おしまを色仕掛けで籠絡、その夜うきうきとやって来る彼女を退散させるのは妻・涼の語る傑作な伝言。
第51話「覗き技天地入れ替えつぶし」1980.5.16
奸計に陥ち、出入り先も店も子も失い自失する善人の菓子屋。
情夫を、そこまでのワルと知らず手先となってしまった梅屋の乳母は恨みの文を木更津に上げる。
ロケ地、梅屋出入り先の加西藩上屋敷、相国寺(門の内外と前庭)。梅屋の子が乳母と遊ぶ石段、法輪寺。その子が行方不明となる汀、広沢池東岸(乳母が情夫と船小屋でデート中)。加代が走る木更津への道、琵琶湖西岸。
第52話「潜り技隠し黄金止め」1980.5.23
暮夜、殺人者である己に青臭い疑問抱く秀、夜の街に飛び出し元漁師の竜次・元海女のみゆきと知り合い、海から荷を引き上げ千両を稼ぎ南の島へ行くという話に関わりあう。
しかし夢の話の荷引き上げの依頼者は金改めと組んだ松前屋、荷の中身は金改方が佐渡の金を横領した十万両。うまい話などどこにも無いと知りつつ、竜次たちに接近し仕置を拒否する秀、楽しそうに共同作業を続ける。そして荷を上げ渡した途端殺される竜次たち、秀も撃たれ傷を負う。そこに現れた「仕事人」の仲間は、今回のターゲットが竜次たちの仇と告げるのだった。
ロケ地、荷引き上げの浜、琵琶湖西岸(苫屋、漁具セット。対岸に近江八幡の鶴翼の山なみ)。
第53話「惚れ技情炎半鐘割り」1980.5.30
林奉行と結託、木材売り惜しみ・買占めで大儲けを企む木曽屋、火付けまでしてのける悪党。売らぬと突っ張る木曽の山持ちは小僧ともども消され、死体の指で売買の書類に捺印するという兇悪さ。虫の息で上総屋に辿り着いた小僧の死を見て、元締はかねてより来ていた仕事にゴーサインを出すのだった。
ロケ地、過去の男のことでおしまと大喧嘩し飛び出した加代がぶらつく海辺、琵琶湖西岸(浜にぽつんと木)。木曽屋と奉行が山持ちの久蔵を招いての宴席、長岡天満宮・錦水亭の外観映る。
*山持ちの久蔵に従って江戸へ来た小僧、加代に一目惚れ。以降まとわりつき、上総屋の前に座り込んだり。主水の脅しは袖の下の現場を見られていてきかず、左門の「俺の女に手を出すな」でいきなりボッコボコも駄目「加代さんに男はいねえっす」。挙句の果て「あんたら良からぬ仲間だべ」。このあと掟から庇ったりと情にほだされる加代が描かれる。「過去の男」が今回のターゲットに入っていたり、元締とのエピソードが挿入されたりと、事件とは別に加代秘史の側面を持つ回。
第54話「呪い技怪談怨霊攻め」1980.6.6
冒頭、主水の悪夢、四谷怪談。戸板返しは戦慄コンビ。
おしまの質屋を強請る浪人三人組。
藩政の弱みを握り、上層部に煙たがられ娘に婿を取れないでいる中津藩組頭・伊東甚兵衛。
行き倒れ左門夫婦に助けられる岡山から夫を探しに出て来た母子。
この三つのエピソードが収斂してゆく四谷怪談ベースの作り。浪人A(母子の夫)の名前なんか宮田宇右衛門で妻の名は菊乃だし。
伊右衛門よろしく伊藤家の婿養子に納まりかける宇右衛門だが、妻子が殺されたのを知り伊東の爺殺そうとして逆にやられる。
仕置は婚礼の晩に。
ロケ地、伊東の娘に近づくため仲間の浪人と語らってくさい芝居をうつ橋、中ノ島橋。宮田の妻子が殺されたあと左門が宇右衛門を責め詰るのは大覚寺五社明神。
第55話「離れ技孤立水火攻め」1980/6/13
主人公側に町方が含まれると火盗改は悪役、お約束の一つ。
かつて近江屋をはめ放火し、手代に罪着せ島送りにした足利屋と、グルの火盗改筆頭与力。島抜けし復讐に燃える男と、足利屋に謀殺される丁稚と、後追い自殺する母。頼み料は僅か三分、しかししがない野菜売りのなけなしの金。たまにはこういう仕事もすっきりしていいやなと呟く主水、火盗与力を仕置する際「おめぇの命はたった三分だ」と吐き捨てる。
ロケ地、定吉との人質交換、広沢池。息子の死後放心した母がとぼとぼ歩く橋、中ノ島橋。物思いに沈み佇む岸、中ノ島橋北詰たもと。堰堤映り込む。思い詰め身投げするのは堰堤下。土左ヱ門上がる汀は息子と同所の広沢池。
第56話「外し技釣り鐘からくり割り」1980.6.20
寺社奉行公認の千両富に不正、発売元の巳寺の寺僧たちはその他にも美人局など様々な悪さを働く。
不正を告発しようとした若い僧が破戒の罪を着せられて殺され、依頼はその妹が夢を諦め旅の一座に入る支度金で来る。
ロケ地、巳寺に金戒光明寺各所。鹿島屋の馬鹿息子が寡婦に無体を働く墓地は本堂裏、富抽選は本堂前(カラ籤が舞う石段、加代とおしまが休む茶店に茶所も)。妙珍が吊るされるのは鐘楼。妙珍の妹が訴えて出て門前払いになる「寺社奉行所」に三門。木更津帰りの加代が雲助にからまれるのは総門内の参道か。木更津から指令が下り調査に入るチーム、秀とおしまが茶店のお清(妙珍の相手とされた女)を探し歩くくだりは相国寺各所。大光明寺門〜南通用門〜鐘楼(この基壇に腰掛けて昼をとっていると大通院から若衆姿のお清が出てくる)〜林間。
*大ワルの住職に今井健二、貪欲で好色なギラつきぶりが堂に入っている。高僧のキンキラ衣装がまた、なんとも。*クレジットには無かったが、妙珍の事件を安珍清姫に見立てての瓦版が売り出されるくだりで「女が蛇」などとダミ声で囃す町人、大木こだまでは。
第57話「逆さ技大どんでん崩し」1980.6.27
火盗の杉山黒之介は寄らば斬るじょの乱暴者。そのうえ岡っ引の権次と組んで悪事も働くトンデモ役人。呉服屋の婿養子が元盗賊なのを強請るが、これも負けず劣らずのワル、金を都合するのに杉山らと共謀して芝居を打つ。大旦那の隠し子の娘の相手を殺害、罪を隠居に着せ連行中、逃亡をはかったとして杉山が斬殺、店の実権は婿養子の手に落ちる。
婿養子は木更津に杉山たちの始末を依頼していたが、これは虫のよい話と蹴られ、別の指令が下ることとなる。
ロケ地、火盗改役宅、相国寺林光院。婿養子が木更津へゆく道、加代と行きあう、柊野堰堤(前後の野道も付近と思われるが現地の様相変わり確認できず)。隠居が金を持ってゆく堀留神社、相国寺各所。隠居が岡っ引に後ろから殴られ昏倒し、のち香太郎を殺したと工作される祠は弁天社、鐘楼の袴や林間も映りこむ。これに石を投げた秀が追われて逃げるのは大光明寺南路地、加代が方丈築地前で見ている。隠居が引かれて行くのは同じく南路地。
*凄腕の杉山に仕掛ける主水、金を返してくれないととおいおい泣いてみせ脇差で突く、なかなかのセコさ。
第58話「暴れ技田楽垂直刺し」1980.7.4
暴れ者の旗本・永久保天膳を調べろと木更津からの指令、天膳は徒党を組み町人はおろか陪臣にも突っかかってゆく痴れ者。
或る日北出藩の若侍に難癖をつけているところ、辛抱たまらず豆腐屋の定七が天秤棒持って介入、これを縁に定七は若侍の槍持ちとなり嬉しそうに町をゆく姿が見られる。しかし重くは用いられず、天膳とのトラブルを恐れて簡単に身柄を引き渡された上いたぶり殺されてしまう。兄の無惨な死を見た妹は、掛け合いにゆくがこれも天膳により殺害されてしまうのだった。
ロケ地、北出藩の若侍・金坂東馬に突っかかる天膳、割ってはいる豆腐屋の定七、大覚寺五社明神(再度トラブルも同所)。天膳邸、相国寺大光明寺(門、玄関、南塀際)。
*金坂邸に刀剣類の数合わせと騙って入り込み槍を拝見するフリして突き殺す主水、「見事な、お槍でございました」。
第59話「彫り技喜悦観音一刀斬り」1980.7.11
変態爺の元老中、彫り物をした女の背がお好み。病昂じ自邸に囲い込んだ腰元たちでは飽き足らず市中に「理想の背中」を求める。事件は、拉致され背に般若の入墨をされた娘が逃げ出し惨殺されて見つかったことからはじまり、次いで目をつけられたのは左門の女房。
主水は関係ないと突き放すが、登美翁邸の絵図面を入手してくるし、被害者の親を説き木更津へ依頼せしめるなどやはり捨てて置かないのだった。
ロケ地、中野登美翁邸、大覚寺(大門、蔵)。南町門前でお掃除主水に涼失踪を告げる秀、御殿川に身を潜めて。出陣、主水は御殿川べりの石手すり脇をゆき、秀は御殿川河床をばしゃばしゃ、参道石橋上で合流。
第60話「狙い技仁義無用斬り」1980.7.18
渡世人に身を落とした時次郎が母と妹恋しさに江戸所払いの身顧みず訪ねるも、内藤新宿の顔となっている昔の博打仲間に売られ消されたうえ妹は顔役の女郎屋で体壊し病死するという悲惨なストーリィ。
渡世人に憧れる知り合いの青年諌め死ぬ時次郎。その手下は左門と秀が仕置、主水は調書読む顔役・中津屋を調書越しに刺し女将も殺。
第61話「脅し技闇医術千両潰し」1980.8.8
大奥の松島、闇堕胎師・大町信吾(中条きよし)のもとへ赴くが予後悪く帰途番所に運び込まれ死亡。相手の役者・稲葉鶴之丞を脅す大町ら。鶴之丞のファンのおしまは仕事人集め始末してくれと持ちかけるが相手にされず。
相模屋の女房が花火見物に出る、中ノ島橋。橋上で大町らと行き会い以来「過去の件」で脅され続ける。このことを見聞した仕事人らは調査、おしまと加代・左門は適当な話作り大町を訪問しようと計画する、中ノ島橋下護岸上。
エスカレートする脅迫行為に木更津へ走る加代。秀は湯桶に潜み、左門はワルの座敷の畳持ち上げ登場の迫力があるんだか笑いを取ろうとしているのかよく判らないシーンが展開され三人きれいに重ねられて仕置される。
第62話「恨み技悲愁稲妻刺し」1980.8.15
今日の左門の屋台は中ノ島橋ほとりに出ている。美鈴に土産を持ってきた宿下がりの娘・お絹が共に花火に興じる、中州の護岸。兄の大工・辰三は屋台で呑んでいる。それを橋上から見ている加代と主水。
お絹の奉公先は旗本・越川邸(相国寺大光明寺、門のほか後段では前庭と玄関も使用)で、先頃亡くした妻の兄・角倉が入り浸りよくない雰囲気。角倉は町でしたい放題の乱暴者で、左門も被害に遭う。これを目撃した辰三は妹を屋敷から下がらせようとして裏口に呼び出す、相国寺大光明寺南通用門。
そんななか、越川はお絹に求婚し日光へ出張。お絹が加代にそのことを相談する、渡月橋上手の右岸河原(お絹の背後に桂川大堰映りこむ。桂、増水し濁り入る)。加代はどうしようもないことが起きたら木更津の願掛け地蔵にと示唆。
越川の留守に上がりこんできた角倉が金を持ち出そうとするのを咎めたお絹は乱暴されたうえ殺され井戸に落とされる。亡妻の件で弱み持つ越川は逆らえず、妹を案じ屋敷を訪ねてきた辰三の前で自害。そして辰三の脳裏にはお絹から聞いた木更津の地蔵が浮かぶ。
角倉と仲間を夜の越川邸に呼び出し仕置、おおもとの角倉は「番町皿屋敷」仕立てで井戸に誘導し始末。
第63話「誘い技死霊からくり岩石落し」1980.8.22
山で怪しの「亡霊宿」が大はやり。死んだ娘の霊がおり番頭を後継にと指定する妙なケースが三件も。軽業師が裏にいて仕組んでいるもので、左門の関わった旅の父子の失踪した女房が亡霊役をやらされている。この一家も番頭に店を譲らされた商家の主も殺害され、木更津から指令が来る。
ロケ地、亡霊宿のある岩ゴロゴロのガレ場、柳谷?旅の一家の回想、鎮守境内で昼を使う、鳥居本八幡宮林間。
第64話「崩し技真偽友禅染め落し」1980.8.29
上司にゴマすり南町門前でお掃除主水に加代のツナギ、対岸の木に文挟んでゆく。加賀友禅を守れと元締から曖昧な指令、渋る三人。断るんですねと行きかけた加代の袖から零れる大金見て「俺たちが何とかしないと加賀友禅は滅びてしまう」…。
加賀で話が展開される「旅物」。フェイクの友禅売ってる悪徳商人と本物を守ろうとして職を擲ち尽くす元家老の間に起こる軋轢と悪企み、これが依頼の中味で正直者が蹂躙されつくしたあとにチーム発動のいつものパターン。ロケ協力に和倉温泉。日本海の奇岩景勝がふんだんに使われている。海に直接落ちる滝なども。
その他定番ロケ地、南町に明智門。元家老の娘が職人連れに行った帰途襲撃される山道、酵素。この逃走を助ける秀、保津峡落合落下岩のそのまた上の崖から目潰しの砂撒く。一行を逃がすため逆方向に走る、落合橋に続くトンネル。辰巳屋のバック・安藤邸、大覚寺大門。加賀入りして初のツナギ、御室八十八ヶ所お堂。
第65話「散り技花火炸裂乱れ斬り」1980.9.5
鍵屋の花火職人・伝八が鉄砲方の侍に斬られる隅田川畔、広沢池東岸。玉屋の清吉が目撃するも主家の失火のせいで江戸所払いの身、主水にも訴えるがどうにもできず。
事は将軍家の花火を作ってきた鉄砲方と花火師の献上花火巡る確執、先に玉屋は潰され今また鍵屋も職人失い危地に。清吉は伝八の残した設計図もとに鍵屋の花火を作ることになるが半ばにして鉄砲方に密殺されてしまう。見張っていた秀と左門が虫の息の清吉に木更津への依頼託され、チーム始動。出陣の主水が渡る橋、流れ橋(見上げ)。仕置は橋下。
第66話「描き技絵筆逆手屏風突き」1980.9.12
貧乏絵描き・糸柳縫之助の絵を買上げ自分の作品に仕立て巨利を貪る「当代一」の絵師・夢中恋路楼と版元。これに絡み消される芸者、病んだ縫之助の医師を買収し死に至らしめるに及び芸者の同僚と縫之助の絵師仲間が木更津に依頼。仕事人チームが始動、タイトルは主水が屏風越しに二人を大刀と脇差で貫く殺し技から。
第67話「詣り技暗闇丑満重ね斬り」1980.9.19
材木問屋に入り込み女房に丑の刻参りをさせるほどの妬心を起させる女は取引先の寺の仕込みで、店はやがて乗っ取られる羽目になる。
丑の刻参りの女房に同情し匿う加代や秀たち、関わった分だけ怒りは激しくなる。
ロケ地、改築の乗源寺に赴く材木商のくだり、相国寺(方丈前から庫裏の煙取りを望むアングルをイメージに、および方丈座敷から塀越しに法堂)。木更津へ着く秀たち、琵琶湖西岸松原と湖上。材木屋の女房・お種の回想の渡し舟、罧原堤下桂川。お種と主人が会う約束の千住の仮橋、木津川流れ橋(夏草丈高く茂る。アングルは橋上、側面とさまざま)。
タイトルは主水が生臭坊主・道源を墓標ごと斬り裂く技から。
第68話「願い技奉納絵馬呪い割り」1980.9.26
深川八幡の絵馬堂で怨みの形相凄まじく首を括った小間物屋の女将、木更津へ依頼してあり加代が話を持ってくるが頼み料が一分なのに腹を立てた主水は断ってしまう。
ターゲットの絵馬描きの絵師・えま半の清三郎はこのあとも絵馬の願文から突き止めたネタで人を脅し金を取ろうとする。この的になるのが秀の幼馴染の佐八と薬種問屋の娘・おりん、佐八は店を放逐されたうえ殺されてしまう。おりんは自分を大絵馬の題材にしたいと言う清三郎に自ら望みモデルとなるが、その間何も食さず弱り果てて死ぬ。先の依頼金に加え秀が佐八から受けた注文の簪が加わりチーム始動。秀の絵馬堂での殺しの際、奉納されたおりんの絵から血が滴り、人が騒ぐ隙に秀の簪が清三郎の首に突立てられる。
ロケ地、深川八幡、今宮神社高倉・祠。秀と佐八が故郷の話をする水辺、広沢池東岸。庄内屋に破談を言い渡されるおりんの父、料亭入口は嵐山公園内の料亭・錦。おりんを描く清三郎が籠る別宅、中山邸門。
第69話「盗り技乱調お神楽刺し」1980.10.3
深川水天宮の祭礼の雑踏に出るスリ集団、子供を使いグルの侍がわざと子を苛めて、仲裁に入る人の懐を狙うという悪辣なもの。子供のうちの一人・千吉は祖母を亡くした直後に引きずり込まれたが、千吉を置いて後妻に入った母と再会し婚家で共に暮らすところを再びさらわれ、養父は身代金に全財産をはたいた末斬り殺されてしまう。仕事人たちがワルを殲滅したあと死んだ養父を荷車に乗せて帰る姿が哀れ。
ロケ地、深川水天宮、今宮神社楼門・境内・高倉脇の坂(集金の二百両を掏られ殺される辰巳屋のシーン)。回想の千吉と後妻にゆく母の大川端での別れ、広沢池東岸。母と再会した千吉が母の夫・松葉屋に苦労をかけたと頭を撫でられる水際、大沢池畔。
第70話「慕い技神輿暴れ突き」1980.10.10
一万石の大名・雲井望郷(もちさと)はさばけた殿様で、町へ出て町人に大盤振る舞いをするは屋敷へ引き入れるはのお祭り大名。しまいに隠居して、引きこもった先でも大騒ぎ。これに大物金貸しと組んだ実弟の魔手が延び、輿入れを祝う神輿騒ぎに紛れ込んだ刺客に密殺されてしまう。また、この金貸しはかねてより木更津から探索の指令が出ていた悪人だった。殺された殿様の無念を仕事人に、との庶民の怨嗟の籠った小銭を掴みしめ出陣するチーム。
ロケ地、雲井藩下屋敷、大覚寺大門。望郷の隠居所・砂村、琵琶湖西岸松原。望郷の墓に参るお三重が雲井藩邸に拉致される、二尊院墓地〜大覚寺参道石橋。
第71話「絞り技一揆助命脳天突き」1980.10.17
圧政に苦しむ須坂藩の農民が公儀に直訴しようとして追われる。加代が元締の命でこれを調べている。一方、その江戸屋敷で隠居の日々を送る元藩主・堀備前守は亡くした娘の面影を場末の小料理屋のお美代に求め身分を隠して親しく交流。或る日負傷して店に駆け込んできた須坂の農民・嘉助を助けるお美代、目の前で彼が殺されるのを見て嘆き藩邸に赴き備前守に訴えるが始末されてしまう。
加代が置く仕事料、元締に調査を依頼していたのは備前守だった。主水らは首謀者三人を屋形船で覗きの遊びに誘い出し船上で仕置。タイトルの殺しは主水が屋形船の屋根越しに脳天をぶっすりやるという趣向。
ロケ地、直訴の農民たちが須坂藩の追っ手に襲撃される江戸手前の街道筋、保津峡落合(崖上〜河口)。須坂藩邸、大覚寺大門。お美代が「おじいちゃん」備前守と来る萩の寺、二尊院黒門前に茶店セット。江戸入りした須坂領民が追われる、広沢池東岸。お美代が嘉助を連れて行った南町からの帰り須坂藩の追っ手かかる、二尊院紅葉の馬場と大沢池畔を複合使用。嘉助の死体が見つかる、大覚寺天神島。お美代の死体が町方に下げ渡される、大覚寺勅使門橋。仕掛けの屋形船、大沢池上。
第72話「念じ技偽説法ざんげ斬り」1980.10.24
心の臓を一突きの殺し続発、元締から十年前鳴らした殺し屋・隼の権造と似顔が手配される。江戸に舞い戻った権造は無料懺悔が評判の高峰神社の式守になり了せていて、小金を持っていそうな相談者を脅し金を奪い殺すという非道を働いていた。
壊れたおでん屋の屋台を気前よく直してくれた材木商・甲州屋は過去に権造と関わってしまった過去を持ち、殺させてしまった形のライバルの遺児と娘の祝言を前に懊悩し、権造が居るとも知らず高峰神社に懺悔に行くがそこで散々に脅しつけられる。思い余った甲州屋はそれとなく妻子に別れを告げ木更津へ巡礼姿で赴きお助け観音に後事を託し依頼料を置き入水して果てる。チーム始動、おしまに権造であることを確認に行かせる。おしまは尼僧のコスプレで赴き「なりませぬ」を連発するのが笑わせる。
ロケ地、重ね鳥居の高峰神社、不明・キャプチャ。懺悔に来た越後屋の女将が権造の手下に脅される、相国寺鐘楼付近(宗旦稲荷ほか・鐘楼は袴がちらっと映る)。甲州屋の回想、権造に殺されたライバルの死体上がる大川端、広沢池東岸汀。甲州屋がゆく木更津への道、広沢池東岸汀(南から遍照寺山バック)。お助け地蔵、広沢池観音島。
第73話「断絶技激走!一直線刺し」1980.10.31
工藤栄一監督の一作、畳み掛けるような展開が見事。
大八車で暴走する若者集団、とっ捕まった五人は失職。ヘッドと知り合いの秀の助力で大八を改造しリキシャ仕立てて新商売に励むが、次々と何者かに襲撃され命を落としてゆく。襲撃犯はリキシャで一儲けを企む駕籠屋の手先、背後には南町の筆頭与力。
仕事にならないと言う主水、しかし加代が金を置く。若者たちの一人が仲間の仇をと木更津に依頼していたのだった。大ワル二人は駕籠屋が用意した新しいリキシャに乗ったところを仕事人たちに襲われ始末される。左門が担当の駕籠屋は二つ折りにはされず、水桶に沈められ助清スタイルで殺が傑作。
ロケ地、暴走大八集団が繰り出してくるシーン、下鴨神社二の鳥居と楼門。市中を暴れまわったあと行き着く水辺、罧原堤下汀。ラスト秀が駕籠藤のリキシャを叩き壊すのも同所。朝吉たちがしけこむ采女ケ原、酵素(様々な角度からの撮り)。
第74話「引き技強奪押し込み斬り」1980.11.14
御金奉行所同心・細野進平が根津の女郎・小春と心中、男は死に女は助かるが江戸払い、男の家は取り潰し。しかし心中は仕組まれたコロシで、裏には御用金を横流しして私腹を肥やす役人と商家。
息子を死に追いやった小春の始末を木更津に依頼する細野の母、小春が江戸にいないことで依頼は保留となる。一方、何も知らず行き倒れの小春を助ける秀、心中の真相を打ち明けられ関わる。情報行き渡らぬまま秀は小春の敵討ちに付き合うが、秀の身にまで危難及ぶを危惧した小春は姿を消す。その後細野の母に縋り仇討ちの助力を頼もうとするが、そこには細野を殺した一味が待ち構えていた。
木更津からの指令は真の仇を、主水は小春の残した御用金の質札を道具にお嶋の上総屋にワルを引き込み始末するよう計らう。
ロケ地、ワルに脅しをくれて引き出そうと謀る小春が追われ秀と逃げる、大覚寺有栖川〜広沢池西岸。ワルの屋形船に投げ文したあと追われ逃げるのは広沢池東岸。
第75話「訴え技火だるま身替り消し」1980.11.21
肝煎りに入ることを画策する絹問屋・境屋は工作のためには千両という金を積むが、その財は娘を餌に結婚詐欺まで働き成したもの。自身の店を担保に金を作り娘に入れあげた挙句、婚礼をドタキャンされた小間物屋の卯吉は金を返せと境屋に迫り、奉行所に訴えると息巻き、境屋自身の手で絞め殺されてしまう。死体の始末に困った境屋に智恵をつける浪人・畑は浪人仲間の立木栄之進が奉行所に抗議して焼身自殺というシナリオを書き、卯吉の死体を焼く。
行方不明の息を境屋がどうにかしたと思い込んだ母は店先に座り込むが埒開かず、遂に木更津へ願いを掛ける。調査にかかる仕事人たち、立木を旅先で始末したうえ、その妻を弄び殺す畑が境屋とグルなのを見届け出陣。
ロケ地、立木が妻に夜鷹をさせ客から金を強奪する大川端、広沢池東岸。ラストの畑の始末も同所。加代が祠に境屋に天罰をと祈る卯吉の母に接触する、大沢池畔。
第76話「詰め技王手飛車駒落し」1980.11.28
旗本の間で流行る賭け将棋、解けぬ一手を求め棋士を連れ込む火盗改の駒木根監物。解を出さぬ棋士は斬って捨てるという極悪ぶり。これに左門が師事する町場の棋士が目をつけられ師匠の娘ともども惨殺される羽目に。町の弟子たちから木更津へ依頼が行き、仕事料が置かれる。
ロケ地、駒木根に殺された棋士の死体が上がる、中ノ島橋上堰堤脇。拉致された棋士のため旗本の情報聞き込み左門に報告の秀が走る、中ノ島橋下河原。夜鷹が将棋指し、負けたらタダの趣向に誘い込まれる駒木野と与力、大覚寺天神島。秀が与力殺るのは紅橋上。左門は護摩堂でブレーンバスターかましたあと二つ折り。
*旗本の勝負将棋は人間将棋、芸者を駒に見立てて野外で行われる。悪趣味なことに成駒となった女は湯文字一枚に剥かれたりする。
第77話「盗み技背面逆転刺し」1980.12.5
南町奉行の指図で下総高岡藩の借金証文を消すため札差に賊として押し入る仙造、しかし奉行の奸計にあい町方に固められてしまう。仕方なく立てこもる仙造一味、長い膠着状態が続く。上役に交渉役として立てこもり現場に入らされた主水は鋭く事態を察し、奉行に撃たれた仙造を手当てしてやり事情を聞く。
その後、人質に高岡藩主の三男がいるにも関わらず奉行は鉄砲方を動員して仙造一味を人質ごと斉射させてしまう。しかしその前に主水に仕事料が託されていた。
ロケ地、出陣の秀が走る高岡藩邸近くの掘割、大覚寺御殿川河床。参道橋から上がる秀。左門は参道橋を渡り御殿川沿いを歩く。主水がうっそりと立つ南町奉行所門前、明智門。
第78話「疾風技浮世節無情斬り」1980.12.12
病臥中で国元の殿をいいことに江戸家老らが私腹を肥やすのを諫止の江戸詰藩士はワルの逆鱗に触れ女とともに追われることになる。市中に潜んだ彼を南町与力抱き込み探索させるワル一派。同心たちにハッパがかけられ、査定を控えた主水は裏の仕事を断るが、その藩士が木更津に依頼しており結局表の仕事はパーになる。主水が手にした仕事料は藩士の女からおしまが託された小銭一刺し。
ロケ地、中津藩江戸屋敷、相国寺大光明寺(南塀、門)。捕まった恋人がいる妓楼で見つかってしまった藩士が斬られ落ちる橋、中ノ島橋。
第79話「隠し技潜入喉輪攻め」1980.12.19
依頼を受け秀が始末した勘定方、その後元となった同心の死体が今更ながら発見される。勘定方の死が殺しであることに気づいた兄は、弟に公金横流しをさせていた過程での恨みと勘付き同心の妻女を見張らせる。これに木更津のことを洩らすのを手下の岡っ引に聞かれてしまい、おしまは一味の火盗改同心に引っ括られてしまう。窮した主水たちはツナギにも細心の注意を払い善後策を練るが、ぎりぎりの決断を迫られる。安っぽい感傷は捨てろと言う主水に左門は心情を汲んだうえで助けに入ることを提案するのだった。
ロケ地、冒頭勘定方の屋敷に向かい走る秀、相国寺大光明寺南塀。奉行所の書庫から白骨死体で見つかった同心・小谷の妻が斬られる、相国寺鐘楼脇。火盗改役宅、相国寺大光明寺(門、南塀通用門)。
第80話「踊り技回り舞台振り落とし」1980.12.26
「加代、純愛する」お話。
初めて江戸へやって来た若衆座は両国座の意を受けた地回りに妨害を受ける。それでも前向きな市之助は徐々に評判をとる。加代は当初より市之助を慰め励まし、二人は次第に心通わせるようになる。主水らも加代の行為を静観。
しかし若衆座の女形が謀略に落ち殺され、更なる地回りの妨害で遂に興行不能となる。市之助は刃物をとり両国座へ駆け込むが返り討ちに。市之助の土饅頭の前で主水に殺しを懇願する加代、市之助との暮らしを夢見ていたと語る哀切な姿が描かれる。鮎川、さすがに巧い。
ロケ地、冒頭、お参りの加代とおしま、今宮神社摂社。若衆座が小屋を掛けるのは同境内。女形の国三が謀殺され浮く大川、罧原堤下河原。国三と市之助の土饅頭、下鴨神社糺の森。
*若衆座の花形二人には本物の歌舞伎役者を登用。出し物は仮名手本忠臣蔵お軽勘平の段。
第81話「捜し技高利蟻地獄斬り」1981.1.9
内情の苦しい八丁堀同心の妻たちが、次々と借金のカタに金貸しの雲市に食い物にされる。無体を強いられ殺される者も出る。これを探索する気鋭の堀田同心の妻も毒牙にかかり、しまいには夫婦して密殺されてしまう。最初に死体となった同心の妻から木更津へ依頼が来ていて、愚図愚図しているからだと秀の罵声が浴びせられるなか、主水は木枯しの夜道を雲市のもとへ向かう。
ロケ地、同心・染谷の妻の死体が上がる柳原土手、罧原堤下汀。八丁堀の女房たちが魚を買う道、相国寺塔頭道。雲市の指図で客をとらされていた堀田の妻が借金の理由を夫に告白する水辺、広沢池畔。堀田が雲市に呼び出される寺(石段と墓地)、永観堂?
第82話「激闘技地獄道暴れ斬り」1981.1.16
上方から来た仕事人チームが主水らを消しにかかる話。
夫を惨殺された女房から依頼が来るが、そもそもここから仕掛け。死体の顔が潰されていたのは身代わりを立てるためだった。秀と左門の身辺には見張りの目が光り、しまいに主水の存在も嗅ぎつけられてしまう。一人メンの割れていないおしまが花売りに化けて探索し、ワルのアジトに身代わりにされた植木職人の未亡人と子が捕われたのを知ったチームは、元締の二回目の依頼も受け始動する。
ロケ地、顔を潰された船頭「磯吉」の酷い死体が上がる、大沢池北西畔。「磯吉」の女房・おこうが辿る木更津への道、罧原堤下河原。お助け地蔵、広沢池西岸湿地(水無、水脈見えてる)。尾行される秀が足を止める橋、中ノ島橋上。上方の仕事人・八郎兵衛の向島のアジト、中山邸(通用門、参道。ここへ辿りつく前、農婦姿のおしまの背後にちらっと朝鮮石人像)。
*上方の仕事人一味に阿藤海や八名信夫がいて凶悪さを演出。一味の首魁には小林昭二。
第83話「沈め技花嫁偽装返し突き」1981.1.23
水夫の夫を亡くした女二人は死因を疑うが、奉行所で埒あかぬことから木更津に依頼。雇い主の回船問屋を調査する仕事人たちだが、その間女たちの一人は火事で子供を亡くしたことでつくづく貧乏が嫌になり変質し、金目当てに当の回船問屋の後添えに入ることとなり、もう一人の女を殺すに至る。
木更津の指令を待たず始動するチーム、婚礼の夜角隠しの上に秀の簪が突き立つこととなる。
ロケ地、お上に絶望したお勢が死のうとしてお妙に制止される橋、中ノ島橋。
*変節を責める女と、現実の幸福は金と開き直る女。助け合い励ましあい生きてきた二人の別れは、突発的とはいえ殺しという悲惨な結末を迎える。二人の暮らし向きがかっちり描かれているぶん悲劇はよりくっきり浮かび上がる。
第84話「散り技仕事人危機激進斬り」1981.1.30
若い女掏摸が侍から盗った財布の中に、奉行から両替商へ宛てた賄賂の受取り証文が入っていて騒動となる。片端から掏摸が殺され、裏を知った女掏摸は南町へ訴えて出るが、そこにはグルの与力。女の今わの際の「仕事人…」の一言から主水たちの尻に火がつく。
仕事人を焙り出すため、奉行は掏摸仲間の復讐を装い木更津に自分をターゲットにした依頼を出す。罠にはまったフリをして一気に事を片付けようと乗る主水たち、奉行以下の仕置は完遂するが、この間証拠の折り鶴を持っていた左門の妻子が襲われてしまうのだった。
それぞれに散ってゆく仕事人たち、相も変らぬ主水の出勤風景でエンドマークが打たれる。
ロケ地、掏摸の伝次が奉行の手先のゴロツキに消される縁日、大覚寺五社明神。女掏摸のお安も襲われるが手下の三平が主水の十手かざし撃退、今宮神社東門内の石橋前。南町へ訴え出たお安が与力と行く橋、大覚寺参道石橋。川端のお安の小屋、罧原堤下河原にセット。伝馬町牢屋敷、東本願寺内事門。奉行の手下が赴く木更津のお助け地蔵、琵琶湖西岸松原にセット。巡礼姿の左門父子がゆく別れの橋、木津川流れ橋。加代がゆく船、罧原堤下桂川。秀がゆく野道、北嵯峨農道。
*女掏摸の手下の三平に医療タレント・立原景裕(字クレジットのまま)。