第二シリーズ 1981、東京12チャンネル/歌舞伎座テレビ
第一シリーズとの変更点は番所衆に新顔の数馬くん(伝さんによく似た格好で時々見分けがつかない)、勘兵衛さんは職業が瓦版屋になりお住まいは離れる。
また、悪人を成敗にゆく際このシリーズでは一旦地下室に集まり、大将が罪状を縷々述べたあと灯明をすぱっと斬り仕置に向かうという趣向。後半になるとパターンが少し変わる。番所衆は全員揃わないこともしばしば、とっつぁん不在回もある。
第1話「大奥秘録叛乱の地獄絵巻(前・後)」
甲府勤番支配・阿部甲斐守の奸計に陥ち、隠れ里を追われた雲居一族が画策する陰謀。巨大な富を元手に一族の娘を大奥に上がらせ将軍の寵を得、雲居の血を引くお世継ぎを誕生せしめ野望が成就するその間際、鬼番所の裁断が下る運びとなる。
ロケ地、寿命院、相国寺大光明寺(南塀、門)。帰途の出雲襲撃は下鴨神社河合社裏手〜目潰しかけられた出雲が顔洗う小川は泉川…と思うが、ちょっと疑問。お楽しみのあと寿命院を出てきた富商が夜鷹の群れに襲われ「符牒」をとられる路地、相国寺鐘楼脇。おせんがこれを出雲に渡す、今宮神社楼門。とっつあんが金満医者に化けて入る寿命院、相国寺大光明寺。相手の女に渡された密書を出雲に渡す、今宮神社高倉。ラス立ちの死闘は相国寺法堂まわり、駆けつける小弥太が横笛の音を聞く塀際、大光明寺南塀。
*小弥太に京本政樹、今回限りのゲスト番所衆。
第2話「嵐に咲く赦免花」
長いつとめを終え江戸に帰ってきた元盗っ人の女房、こつこつまっとうに貯めた金で小間物屋を開き、引き取った娘と穏やかに暮らす。しかし彼女らの平穏は、死んだと思われた父が生きており勘定奉行とつるみ悪さを企んでいたことで失われる。
ロケ地、赦免の夜、隠してあった小金の入った壺を掘り出すお豊、大覚寺五社明神舞殿(床をはがして)。野末の「父」の墓に参る母子、広沢池西岸。安五郎の強請現場に行き合わせる出雲、今宮神社門前茶屋・一和。出雲に迫られた安五郎が子をたてにとる、楼門。お豊の回想、火盗改に追い詰められ斬られる夫・仙之助、大覚寺有栖川河床(御殿川合流点)。雪の日、お千代を預ける百姓家、萱葺き民家・不明。回船問屋となっている仙之助とお豊の再会、中ノ島橋(仙之助・橋上/お豊・橋下河川敷)。
*出陣のおきまりは地下室に集合しワルの罪状を縷々述べたあと灯明を斬り払い。若手二人の仕置は、酒肆の窓越しにぶすっと刺す荒っぽい手口、障子に血どぱっと散り中で女の黄色い悲鳴。
第3話「悪鬼が散らした無惨花」
大火で孤児となった子らを養う健気な娘、放火犯として追われる無実の男、好き合った二人は欲深で卑劣なワルに虫けらの如く殺される。そもそも火事もそやつらの仕込み、焼け跡に好事家相手の寄合茶屋を建て我が世の春を謳歌する御坊主頭と十手持ちに、鬼番所の断罪が下る。
ロケ地、おぬいが孤児を養う下谷・大仙寺(表札には大仙院)、不明。寄合茶屋・花の井、大覚寺望雲亭。おぬいが銀二と密かに会う柳原土手、木津川流れ橋(橋上、橋下)。御坊主頭・石川宗仙邸、第一シリーズ一話と同じ萱葺門。入水したおぬいの死体上がる汀、木津河原。
*子らの面倒を見ていたとっつあん、岡っ引(田口計)を何度も長槍でぐさぐさ。
第4話「女呪いの双つぼくろ」
奥州の大名の後継騒動、娘を側室に上げている留守居役は藩主の隠し子を消そうと図り、間違えて無関係な町娘を二人まで殺す。この事件を追う番所衆、数少ない手がかりをひとつひとつ解いてゆき、野に暮らす「姫君」に魔手迫る直前にワルを成敗。
ロケ地、とっつあんの仕掛けた餌に食いついた侍を尾行する道、大覚寺参道〜五社明神。
*残された手がかりが判じ物、謎解きの展開が見もの。「はんこたんな」なんて聞いたことも無いものまで登場、いい勉強をした(はんこは半分、たんなは帯の意、奥州のアブ避けの覆面と説明される)。*殿様の姫を守り育ててきた蕎麦屋の親父に御木本伸介、いい味。
第5話「奈落に舞うはぐれ蝶」
富商・美濃屋の娘の転落と死を描く哀話。流されるように遊び人のゴロツキについていった娘は血腥い経緯のすえ岡場所に売り飛ばされ、ワル旗本の若様たちに脅迫の道具とされた挙句父ともとども斬り殺されてしまう。駆けつけた出雲に最後の息で告げたのは、出生にまつわるトラウマであった。
ロケ地、美濃屋の手代の死体が上がる汀、大覚寺大沢池水門そば。旗本たちが岡場所から連れ出してきたおそめを見て身分をチクる佐吉、護摩堂前。身代金を積んで船をやる美濃屋、大沢池。
第6話「偽装心中なみだ川」
南町奉行の噛んだ抜け荷を調べていた同心が、抜け荷の首謀者と疑われる回船問屋を仇と狙う芸者と相対死。このミエミエの事件、出雲は同心の家名絶えるを慮り動く。
ロケ地、月照庵、不明。ワルの巣の船宿・梅の井、嵐山公園内料亭・錦。船着きは中州岸。船から同心の妻が水辺に佇むのを助平たらしく眺める奉行、中州大堰直下付近。
*船宿の女将が備前屋の妾だとか、同心に調査を命じた与力がハナから強請り材料欲しさだったことなどは「地下室」で出雲が喋る趣向、ちょっと荒っぽいかも。*千扇の女将に心中者の心理を聞く出雲、言い寄られてタイヘン。
第7話「花吹雪獄門剣」
上から下まで腐敗の極みにある北町奉行所、盗っ人から金とって高飛びさせる同心や、十手をかざし妓楼で強請りの同心が天誅を受ける。これは義憤に駆られた北町若手同心三人組の仕業で、お揃いの面と衣をつけて「出る」。事を知った出雲は彼らを宥めに動き、剣と人柄に心酔した若者たちは天誅中止を諾う。しかし出雲の心空しく、既に三人は仕込みの芝居で焙りだされており、密殺されてしまうのだった。
ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門。三人組が出動のお堂、護摩堂(お面とユニフォームが置いてある設定)。三人組が組み打ちの稽古の林、駆け込み訴えの女について密談の塀際、出雲が三人を打ち据え諭す林、下鴨神社河合社。
第8話「女渡り鳥凶状旅」
今回は旅もの、大将ととっつあん二人が出張。舞台は上州・風間宿、聡明で扱いにくい殿を監禁して廃し、首をすげ替えて権力を握ろうとする城代の陰謀。殿の姉で活発な姫が渡世人に身をやつし、城代の悪事の証拠を掴もうと奔走。出雲はたまたま彼女と知り合い、金貰って用心棒に。とっつあんは絵師として潜入、市中を探り殺し屋を発見したりする。
ロケ地、お照が山賊に襲われる山道、菩提の滝と周辺。出雲を雇うお照、谷山林道に茶店セット。風間領境の橋、木津川流れ橋(臨時関所で検問)。お照と出雲が根城にする荒れ寺、不明(石段は残ってるかも知れないが半ば以上朽ちた萱葺は残存危うい)。風間藩の城、園部城跡。城代屋敷、*、夜景。
第9話「女いのちの地獄肌」
無実の罪で恋人を寄場送りにされた女は、夜鷹に身を落とし病犬のような浪人に肌を任せ復讐を図る。捕縛にあたった岡っ引と、ワルの意を受けて立ち働いた八丁堀までは消すが、大元の富商と留守居役には力及ばず返り討ちに遭ってしまう、その哀れを見た出雲の姿が地下室の画とオーバーラップ。
ロケ地、冤罪で寄場送りとなる佐吉を乗せた船が出る船手番所、広沢池東岸に柵と桟橋セット。八丁堀が消される大名屋敷塀外、相国寺大光明寺南塀。小田屋を誘き寄せるも返り討ちに遭うおきち、鳥居本八幡宮鳥居下。
*植木職の佐吉が始末されるいわくは、小田屋と大名の奥方の密会現場の庭先で秘密を聞かれたかも知れないという疑惑。秘密は高月藩で作られる抜け荷用の春画絵皿。エロ爺の富商に川合伸旺、どこかセコい留守居役に小林昭二。おきちが身を任せて使う復讐用の浪人もいい味。
第10話「狼どもの血祭り仁義」
ヤクザの掟に縛られ親分のために罪を犯し島送りとなった男、しかし帰り着いた江戸には恋しい女は生きていなかった。
お話は彼を中心に進み、彼を慕う年端もゆかぬチンピラとの交流を描き、彼の女の自死の因となった親分の無体が暴き出されたとき、男は仁義をかなぐり捨て刃を振るうのだった。弟分のチンピラが血塗れで番所に辿り着き、顛末を語る映像と地下室被り、鬼番所発動の運びとなる。
ロケ地、屋台の商人たちにショバ代せびろうとして伊之助にシメられるちんぴら三人組、上賀茂神社ならの小川畔。もっと男を磨かないととおだを上げる三人組、北神饌所縁先。夜の闇に恋人の自分を呼ぶ声を聞く伊之助、吉田神社竹中稲荷(参道連鳥居下)。伊之助の恋人・おけいの墓がある下谷法縁寺、招善寺(墓地入口門、墓地)。井筒屋に始末された殺し屋と、居合わせ消されたチンピラの死体が上がる汀、嵐山公園中州岸。駆けつけた清次に声をかける井筒屋の手下、中ノ島橋。
*伊之助に原田大二郎。
第11話「忍びよる恐怖の影」
子の薬代のため一夜身を売る女、間の悪いことにその連れ込み宿から強盗を目撃してしまい以後追っ手に脅える日々。せっかく寄場から夫が帰り再就職も決まったのに、出雲が悪者は任せておけと言ったのに、強盗一味に突き止められ刺される薄幸の女、ずっと節目がちの暗い顔から十分に予想された結末は、闇裁きのあとの後日談で想像を裏切る。
ロケ地、一家揃ってお参りの弥生神社、わら天神(本殿、参道)。女を買った商人が殺されて見つかる神社裏、大覚寺天神島。後任の勘定奉行に決まった黒幕・黒田刑部邸、大門と式台玄関。
第12話「女はかない哀れ花」
仇討ちで負傷した男を助ける女、はじめ亡くした弟と重なり、甲斐甲斐しく世話するうち思う心募る。女の生業が提げ重と知れても男は去らず女との将来を夢見るが、実りかけた愛は上つ方の思惑により摘み取られて終わる。
ロケ地、工藤栄之助が仇の今井正二郎を見かける茶店、今宮神社門前・一和(東門から和尚の相手を終えたおけいが出てくる)。今井に斬りかかり、共にいた用心棒に斬られ水に落ちる工藤、中ノ島橋。三十六番所からの帰り、瀕死の工藤を助けるおけい、中州岸。村松藩江戸屋敷、相国寺大光明寺門。同朋衆・千阿弥邸、林光院。おけいが潜入し中間に今井の姿を見せられるのは大光明寺中仕切り戸。
*刺客が蹴散らしていったおけいのラッキーグッズの朝顔、出雲が持ち帰り「地下室」に置かれるほか、事後千扇の女将に世話が託される。今回とっつあん不在。
第13話「血染めの千両富」
富籤不正もの。箱にからくりを仕込み、自在に操ろうとして失敗のヤクザは当り札を探し出そうとする。当選者は大工の平太、頼まれて半分権利を買ったとっつぁん。このあとヤクザとのすったもんだには平太が身請けしようと頑張っていた妓が関わり、彼の幸運も純情も踏み躙られてしまう。男らしく女をあきらめた平太の肩をぽんぽん叩く大将は、ほとんど鬼平。
ロケ地、富籤開催の回向院、伏見・宝塔寺。釣りの大将に富突きの際尾張の栄造が不審な態度をと告げる妙秀尼、広沢池観音島。栄造とつるむ寺社奉行、役所は大覚寺明智門。平太を欺いた妓が男と逃げる途中、やっぱり平ちゃんに悪いと逡巡の橋、中ノ島橋。この二人を消しに来た按摩偽装の殺し屋、出雲に斬られて水落ち。
*盗られた当り籤はラス立ちの際とっつぁんが大事に保護、しかし前祝の祝宴には千扇から料理人が来て、炭を熾していた。*栄造の情婦に白木万理、ねっとりとワルい。
第14話「幽鬼が狙った瓦版」
瓦版にネタを提供する早筆人・仁助は、姉からもたらされた情報をもとに勘兵衛に大店の娘のスキャンダルを書かせるが、当の二人は心中。その後ネタは姉の夫の仕込みと知れ、裏には札差を潰す御側衆の企みがあった。
ロケ地、信濃屋の娘と手代の死体が上がる向島河岸、罧原堤下汀。御側衆・仲沢外記邸、相国寺大光明寺門。事後、ピクニックの番所衆、保津峡落合河口右岸側巖頭。
第15話「闇夜になく母子鶴」
欠所物奉行と膳問屋が組み、次々と大店を陥れ欠所に追い込む。目的は各店に収蔵されていた仁清・乾山・光悦などの家宝。潰された一軒の遺族の世話を焼く気のいい青年は、女将の薬代のため動き、その過程で抜け荷偽装のからくりに行き当たる。用心棒に刺された瀕死の彼を実母のもとに運びこむ出雲、涙の対面の直後事切れるのを見て地下室へ。
ロケ地、おせん達が出ていて数馬をからかったり、懐に富山絵を持つ男と会うのは中ノ島橋(男が消されるのは橋下)。欠所物奉行宅へ赴く大津屋、相国寺大光明寺南路地〜邸は林光院(内側からの撮り)。
*奉行が宝物ねぶねぶの座敷へ乗り込む番所衆、大将の剣は奉行の脇差を真っ二つにして額を割るが、この激しい殺陣にも茶碗とか壊れてない。
第16話「三々九度殺しの盃」
小唄の師匠が浮気をバラすと脅していた富商の後添え、女の秘密は浮気などという可愛いものではなかった。師匠が殺され、ご新造のまわりに不穏なストーカー、散らばる印を掻き集め出雲は富商の寮に駆けつけるが、時既に遅く富商の死体を見る→地下室(今回は罪状述べ立てナシ、みんな立ったままでそのまま出動。蝋燭斬りもナシ)。
ロケ地、夜の神社で女から金を受け取る小唄の師匠、下鴨神社楼門。その帰途二人の男に尾けられる師匠、ならの小川石橋〜二の鳥居〜河合社〜セットにスイッチ。山城屋根岸寮、中山邸通用門。旗本・小笠原典膳邸、大覚寺大門。
第17話「女恨みの辻が花」
連続殺人に見え隠れする女、挑発するかのように置かれるエキゾチックな遺留品。背後には十五年前に両親を謀殺された娘の深い恨みが潜んでいた。殺された側のほうがワルいと当初より踏んでいた出雲は娘に別の人生をと忠言するが、女は無謀と思える行為に突っ走ってゆくのだった。
ロケ地、和泉屋殺害のあと追われ橋から船に身を躍らせる女、渡月小橋。船徳の船着場、広沢池東岸に桟橋セット。大目付・矢吹典膳邸、大覚寺大門。雨宿りの出雲がおりんと入る茶店、中ノ島橋たもとにセット。典膳の誘いに乗り裏河岸へ船をつけるおりんたち、大覚寺大沢池船着(小)。典膳と一味に斬殺されるシーンは大沢池畔。事後、流れ損ねた燈籠を押し出してやる出雲、広沢池東岸汀。
*長崎の記号にうんすんカルタなど。おりんの両親謀殺の理由づけの隠れキリシタン疑惑、これがタイトルの辻が花。絞り模様が十字に光るのをクルスとこじつけ。
第18話「すすり泣く尼寺」
亡霊憑依もの。取り付く相手は首斬り役人、血に飢えた狂犬のような男。「出る」のは尼さんの集団、一人は狂犬の元妻女。所業に脅え出家していたのを見つけ出され、手ひどいやり口で他の尼さんごと惨殺され埋められて、出る。
幽霊騒ぎは誰かの仕組んだこと、などというよくある話でなくマジに出るお話。でも出るには出ても憎い相手がキョーレツに悪くて取り殺せず、出雲に頼むことにした幽霊ははつねに憑依してお願いに来る。半信半疑でいた大将、事実が裏打ちされ、再び憑依されたはつねが呼びに来るのに従い、たった一人で狂犬集団を退治に出るのだった。
ロケ地、はつねが「尼」に呼び出され寺に赴く際、狂犬・長柄九十郎に道を聞く坂、金戒光明寺永運院下坂。荒れ寺の尼寺(塀が瓦練り込み)、不明。尼寺で死体が掘り出されたと手下に聞く長柄、長安院下坂。河原で藁づと斬りの長柄、堤をゆく尼さん見て惑乱し斬殺、桂川亀岡付近か。春香尼の墓、不明(片方崖地)。
*長柄に寺田農、目が病犬そのもの。四人セットで出る尼さんたちもコワいが、刀架の刀から夜中に滴る血の描写もコワい。霊界でも評判の鬼番所も怖い。
第19話「なさけ深川怨み節」
道楽者の主人のため門付けまでして尽くす妻、返ってくるのはDVばかり。そしてイイとこのお嬢さんと出会えば即裏切り、離縁の理由を作るのに御家人仲間をけしかけて辱める。普通はここで三行半で終わり、しかし一味違う欲深さ、スーパーロジックで岡場所売り飛ばしのうえ最後は嬲り殺し。看取る出雲に託された言葉は「どうかこの怨みを」→地下室。
ロケ地、釣りの出雲に声をかける妙秀尼、広沢池東岸。小沢と作事奉行令嬢の出会いの山門、不明。市中、小沢の内儀を呼びとめ「涼しいところ」で話す出雲、保津峡落合河口右岸に床机セット。岡場所を逃げ出した内儀、家に表札無いのを見て呆然と歩く橋、中ノ島橋。作事奉行本所別業、不明(竹垣)。
第20話「女を漁る凶悪の牙」
恋人の子を孕んだことでお店をしくじり、それでも健気に男の帰りを待っていた女。これを慰み者にし、虫けらのように始末しようとする無頼の旗本たち。運強く生き延びる女だが、魔手はしつこく伸びてくる。
ロケ地、市中をオラオラ状態で闊歩し美人局でハメた商家を脅しにゆくゴロツキ旗本たち、今宮神社東門を出て一和へ。札差・上総屋の娘が墓参の折り、婿予定の旗本について考え直せと忠告のおせん、金戒光明寺石段。恋人を陵辱された友吉がゴロツキ旗本を付け狙うくだりのルート、今宮神社楼門〜東門内石橋〜一和。おしのと友吉がお参りに出た先で無頼たちと会ってしまう、吉田神社竹中稲荷(重ね鳥居下、舞殿脇)。駆けつける出雲は参道石段(見下ろし、両脇の木のシルエット印象的)。上総屋へ婿入りの旗本の駕籠がゆく道、随心院本堂北西角塀。立ちはだかる出雲は薬医門から出てきてここで殺陣。とっつあんの殺陣は拝観入口門前。山門のほうへ去ってゆく番所衆のシルエットが白壁に映える。
*事後、おしのの腹の子の命名のくだり、「吉右衛門」がいいと言い出す大将、年寄り臭いと却下されたり。
第21話「江戸浪人街の血闘」
公儀御用の商家に連続放火、実行犯は藩を潰され浪々の身の侍たち。騒擾をもって水野老中を失脚させればお家再興成ると彼らを使嗾の富商、バックに若年寄。しかしこれは騒ぎの間に抜け荷を行うカモフラージュであった。道具に利用され使い捨てられる浪人たちの哀れと、数馬の友で放火犯摘発に燃える新米同心の横死が重なり、負傷した浪人を匿っていて一緒に消される夜鷹の悲劇が上乗せされる。
ロケ地、町方の摘発で手傷を負った水沼浪人を匿う夜鷹、広沢池東岸に苫船繋留。友人の同心に犯行現場チェックシートを渡す数馬、南町奉行所前は大覚寺明智門。己の行動への疑問を同志に語る水沼、上賀茂神社ならの小川水場。彼らを諭し道具にされていることを示唆する大将は神事橋に腰掛け。苫船を襲われ水沼と夜鷹が殺されたと注進に走るおせん、桂川堤か。
*珍しく伝さん不在。勘兵衛が久々登場、浪人たちにボッコボコ。
第22話「妖しく匂う無情花」
奸計に落ち詰腹を切った老南町与力、家は改易となり娘も婿養子も孫も悲惨の極みに追いやられる。子を亡くし夫を斬られ自身も傷ついた女は、夜鷹に身を落とし復讐を期すが敢無く討たれ、子の骨箱を抱いて事切れる→地下室。
ロケ地、釣りの出雲が普請場で人夫らに嬲られている浪人・岩崎に助け舟を出す、柊野堰堤下岩上〜左岸河川敷。とっつぁんが岩崎夫婦に金を貸していた御数奇屋坊主のことを報告も同所。南町奉行所、大覚寺明智門。
*御数奇屋坊主に汐路章、ふさふさ眉毛がラブリー。志津に高田美和、とっつぁん一目惚れ。
第23話「死を呼ぶ子守唄」
公金横領の罪を着せられ詰腹の尼崎藩士の遺児が、二十年の雌伏を経て父を嵌めた家老とその手下に襲い掛かる。息子は役者に、娘は侍女として共に悪家老の娘の側室に近付くが、二人殺したところで敵に察知され敢無く斬殺。また、目撃者のおせんが巻き込まれ落命するに至り地下室へ。
ロケ地、元尼崎藩勘定方だった中津屋の死体が見つかる、相国寺天界橋たもと。尼崎藩江戸屋敷、大光明寺(南東塀越しショット、方丈と前庭、通用門、門)。おせんに声を掛ける尼崎藩士、中ノ島橋(橋上〜橋下)。
*市村梅之丞の芝居を見て感激・ぐずぐず涙する数馬、出し物を「こころなかてんあみしま」と読みとっつぁんに馬鹿にされる場面あり、おやつの白玉を盗み食いされたうえ代わりに碁石を入れられたりして弄られまくり。
第24話「鬼番所皆殺しの罠」
息のかかった幕閣や商人が相次いで変死するのに業を煮やしたワルの総元締が、遂に三十六番所を突き止め総攻撃をかけてくる。やり口は手の込んだもので、白翁から依頼の大目付奥方の箱根療養の警護に罠が仕掛けられる。箱根へ出向いた一行はもちろん、留守を預かる伝さんにも魔手は伸び次々と非業の死を遂げるが、刺客団を指揮する浪人は出雲が息子の命を救ってくれた男と知り苦悩の果てわざと斬られ、黒幕の名を告げて死ぬ。
ロケ地、会津市兵衛の息子が溺れるのを助ける大将、保津峡落合(巖上、河口、崖上)。奥方の駕籠が襲われ引きずり込まれる桜田大木戸手前の武家屋敷、相国寺光源院。誘き出された掘割で膾となって斃れる伝十郎、大覚寺大沢池堤。妙秀尼が持ってきた伝さんの遺髪を見せられる大将、護摩堂。ここを出た出雲が刺客と斬り合いは天神島への朱橋上。大殺陣の程ヶ谷宿はずれ・阿弥陀ヶ原、不明(饗庭の演習場みたいな高台の原っぱ)。石舟庵、不明(第一シリーズ一話で出たのと同じ萱葺き門)。白翁邸、中山邸(門、無畏庵前苔庭)。死んだ三人の墓、糺の森。街道筋は不明。
*リーダーの会津市兵衛にモロボシ・ダン、暴将などに出る際の情けない被害者づらはなくきりっとかっこいい役回り。