新・必殺仕事人
  1981-1982ABC/松竹

有栖川キャスト
中村主水/藤田まこと
秀/三田村邦彦 勇次/中条きよし 加代/鮎川いずみ
おりく/山田五十鈴
写真は秀が出陣の際走る堀/大覚寺東塀際・有栖川


第1話「主水腹が出る」1981.5.8

 加代が江戸に舞い戻り、おりくと勇次が主水チームに参加する起こりの話。おりくが勇次の父を裏切者として処断した過去が明かされる一幕も描かれる。
好評を博したシリーズの初回、ビジュアルがなかなかに凝っている。
 お話は、過去をネタに強請られ遂に死に至る哀れな女の恨みを晴らすというもの。彼女がワルに脅しのパシリをやらされた先がおりく母子、ここから主水らとの接点が生まれる。

ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。料亭の女将という玉の輿に乗った千代を見る同心たち、参道石橋。加代が主水と秀にまた仕事をと持ちかける、罧原堤下汀。料亭・中清、嵐山公園中州の料亭・錦。三味線屋を窺っていて勇次にシメられる加代を救いに現れる秀、中ノ島橋下堰堤(長時間対峙した経過を示すため時間を変えて撮ってある。かくれんぼの子供が水を差すまで続き、最後は夕陽を背にし立ち尽くす黄金色の秀)。脅迫状に従い湯島天神へ赴くおりく、吉田神社竹中稲荷。勇次に父・藤兵衛を仕置きしたことを告白するおりく、木津川流れ橋下。チームが升屋太兵衛らを呼び出し仕事にかける八幡様、今宮神社。門前茶屋から東門に加え境内使いまくり。若宮社の上部や灯籠群を不気味に浮かび上がらせ効果を上げる。三味を弾くおりくが高倉脇の坂に座っているというのも心効いた演出。


第2話「主水気分滅入る」1981.5.15

 高輪の大木戸を大手ふって通れぬ罪人や駆け落ち者を、密かに落してくれるという「逃がし屋」、これがまるまるの大騙りで、逃がし料とったうえ女を女郎屋に売り飛ばしたり、二重三重に金を毟り取る大悪党。おりく母子と主水チームはそれぞれ別々に事に絡むが、連れ戻された駆け落ち者の片割れ娘が自死するに及び共に仕事に入る。

 ロケ地、酔って柳橋の汀をゆくおりくが濠から這い上がろうとする女から恨みを託される、中ノ島橋下手右岸河川敷。越後屋の娘と逃がし屋の仲介した加代を殴りつける主水、罧原堤下河岸(魚網や魚籠セット)。越後屋の娘が参詣する神社、今宮神社本殿。帰途、立ち寄る門前茶屋で加代とすりかわり、一和。越後屋の娘とすりかわった加代が荷駄で運ばれる途中小休止の道、松本酒造前東高瀬川堤。越後屋の娘が桟橋で待つ恋人と再会し松原で戯れる品川の浜、琵琶湖西岸。逃がし屋一味の遊び人をシメる勇次、大覚寺有栖川河床。


第3話「主水子守する」1981.5.22

 主水が捕えた盗賊の一人は女、激しい責め問いにも口割らず死罪確定。しかし女は身重で、執行は出産後、生まれた子は15になったら遠島のきまり。
先を諦めていた女だが、子を産んで生への執着兆し逃亡する。赤子連れで逃げ込んだ先が三味線屋、おりく母子は助けようと動く。女は出生時間引きされかかったのを盗賊のかしらの気紛れで助けられ、長じてのち情婦となった経緯を持つ。この女に心動かす勇次、おりくは快く思わずキツい態度をとり、たまらず金を工面に行った女は一味に見つかり刺されてしまう。
主水らに頭を下げ助力を依頼するおりく、また子の父の命を奪ってしまったことに心痛め、勇次のことを主水に託し旅に出るのだった。

 ロケ地、預かっていた赤子を勇次とお房に渡す加代、大覚寺天神島。盗賊一味に追い詰められたお房が舟で逃れようとするも背に克造の刃突き立つ、広沢池東岸
*山田五十鈴三回でいなくなっちゃう。勇次と二人きりの際の上方弁会話が好きだったのに。


第4話「主水寝言に奮う」1981.5.29

 やくざから足を洗ってはじめようとした生活は、身内を不幸に叩き込んだ挙句死によって完結する。情により関わる勇次を牽制する主水だが、これきりと仕事料を持ってゆく。
主水が一度も勝ちをとったことのない同門の剣客がやくざの用心棒におり、この狂犬のような男に仕掛けるくだりが見もの。

 ロケ地、大川の漁師に助けられ手当てされる常松、罧原堤下河原に小屋セット。のち、投網打つ漁師と、再度訪ねてくる常松のシーンは桂川の中と嵐山東公園下の河原を使用。漁師の娘がたばかられて呼び出される船着、大覚寺大沢池畔の船着(手すりつきのほう)


第5話「主水アルバイトする」1981.6.5

 婚儀寸前で二人までも婿予定者が自殺の葉村屋、裏で糸を引くのは秀が出入りの縁戚・井筒屋だった。葉村屋へ養子に入る筈だった秀は自責の念に駆られ自ら金を出し仕置きを迫る。
井筒屋が雇う凄腕の殺し屋に総がかりのチーム、協力しての仕掛けも。事後、死体を四つも一人で運ばされムカ入る勇次、せんりつのレッスン料倍に。


第6話「主水喧嘩の仲裁する」1981.6.12

 心中の片割れ女は、定法通り吉原へ送られる。そこで田舎侍に岡惚れされ、富商の若旦那に落籍されと転変の日を送る。しかし馬鹿息子の妾は束の間、身を固めることとなった男は再び彼女を吉原に売る。引かれ際、手伝いとして入っていた加代に恨みの依頼が託されるのであった。
仕事には当初宿直で不参加の主水、田舎侍の破牢騒ぎで出張り妓牛太郎を仕留めて一両ゲット、藩から見捨てられた哀れな男は逃がしてやる。女を嬲り者にした馬鹿息子とその仲間は勇次と秀に始末される。

 ロケ地、心中の片割れ女が晒される本所緑町、金戒光明寺石段。チームのツナギ、木津川流れ橋(左岸の短い橋脚の下)


第7話「主水女の気持わかります」1981.6.19

 冒頭、せんりつも混じってバーゲンに群がる女たちが描かれる、この泉屋が取り込み詐欺を働き、貧しい職人たちを陥れる。秀の簪も二束三文で売られていたりする。手口は、両替商がバックにいると思わせるもので、もちろん騙り。被害を訴えた職人は消され、夫を思う妻の心を利用して吉原に叩き売った挙句夫婦とも惨殺するという非道な振る舞いに、仕事人が動く。

 ロケ地、南町へ被害を訴えた職人二人が殺され、首吊りに偽装して見つかる、大覚寺大沢池畔


第8話「主水端唄で泣く」1981.6.26

 貧窮者に篤い保護を施し評判の浄雲院、内実は平気で老人を消しボロ儲けを企む生臭尼と寺侍、これに役所を誤魔化す役割の寺社奉行同心。
加代がたばかられて騙りに一枚噛んでしまい、身辺に迫る魔手と、余生を人のためのボランティアに過ごそうとしていた篤実な老夫婦が消されるにおよび、チームは始動する。

 ロケ地、浄雲寺、招善寺墓地参道と門。寺に不審抱いた多平が、尼姿の加代を振り切って行く、大覚寺参道石橋上。多平が主水に寺の実態を話し助力要請、大覚寺放生池堤(バックに望雲亭と心経宝塔)


第9話「主水留守番する」1981.7.3

 強烈な紐帯を持つ盗っ人の正体は、怪僧・知識(大前均)が開く隠し念仏講。なかなかにエロい真似もしてのける知識に拾われた兄妹あり、妹の恋人である弟分を始末さされてから歯車が狂いだす。兄は罪の意識に魘され、妹は放心して彷徨ううち勇次に拾われる。クールに対処しようとする勇次、しかしある夜、決死の覚悟で妹を逃がす兄、妹はからがら辿り着いた勇次の家の戸を叩き、兄から託された頼み料を渡すのだった。

 ロケ地、政吉に刺された清助の死体上がる大川、広沢池東岸汀。釣りの勇次がおふみを拾う川辺、桂川松尾橋上手右岸河原。ツナギの墓地はくろ谷か。
*おふみと政吉兄妹のことを仲間に質される勇次、お上の片棒はと忌避。主水が吐き捨てるようにつながりは仕事料を懐にした時だけと呟き、勇次との距離が描かれる。タイトルはせんりつ富士参りで不在から。


第10話「主水純情する」1981.7.10

 殉職した主水の元同僚の未亡人は、息子を同心にしたくなくて学問の道へと図る。寄る辺ない女は息子のため名門・松浦塾を経営する俊斉に身を任せるが、息子はこれを知り悩む。そして、父の後を継ぐと言い出す息子、関係を絶とうとした女は俊斉に逆切れされ殺され、息子はたまたま持ち上がっていた良家の子息の不始末の罪を着せられ消されてしまう。
馬鹿息子たちに虫けらのように殺された女郎の娘と、悲しい母子の仇は仕事人たちが鮮やかに始末してのける。

 ロケ地、未亡人・妙が俊斉と密会の池之端の出合茶屋、大覚寺望雲亭(門、大沢池からの外観)
*タイトルの「純情」通り、主水は甲斐甲斐しく未亡人の世話を焼く。西瓜持ってきたり、息子の塾通い監視したり、「根性」などとオヤジくさい説教を垂れたり。


第11話「主水ふてくされる」1981.7.17

 遊び金が欲しい勤番侍を焚きつけ、富裕な商家への押し込みを使嗾するお店者・善松。自身も浪費激しく、店の金に手をつけ大穴を開けている。やまぬ凶行、しまいには怪しまれはじめた使い込み誤魔化しと乗っ取りをダブルで企み、自身の店に賊を引き込む始末。
依頼は、善松の讒言で捕われ責め問いの末自害した仙吉からの血染めの書き付け、直接頼まれたわけでもなく金も渡されていない仕儀に、秀が辰巳屋から貰った簪の代金を置く。

 ロケ地、賊と化す勤番侍たちの勤める野沢藩江戸屋敷、相国寺林光院。善松と侍たちのツナギの墓地、黒谷墓地。藤屋からの帰り、勇次を待っていた秀が腰掛ける欄干、大覚寺勅使門橋(勇次の知り合いが来て、秀は御殿川に飛び降り姿を隠す)。現場に残された手拭から疑われた勇次のことでツナギ、木津川流れ橋


第12話「主水金一封あてにする」1981.7.24

 夫を亡くし、子連れで行き暮れていた女を救ったのは阿片窟関係者。以降運び屋となる女、子らへの思いから足抜けを申し出るが、阿片漬けにされ虫けらの如く殺されてしまう。彼女を傍から見ていた加代たちは密売人の懐に入り調査、依頼は遺児の世話を焼いていた長屋の差配から来る。

 ロケ地、阿片の受け渡しが行われる浅草界隈の堀、大覚寺御殿川(船で来る男、河口からの撮り、運び屋の女・おれんは橋上で待つ)。運ぶ途中渡る橋、中ノ島橋。おれんの死体上がる汀、広沢池東岸。出陣の秀、有栖川河床を走る(御殿川にいる衛吉を大沢池溢水口へ引きずり込み殺)
*今回、表の仕事(金一封はコレ)にできず、阿片密売人の件で内山さまは八王子へ左遷。


第13話「主水体を大切にする」1981.7.31

 新上司・田中さま登場回。二ヵ月後昇進までの腰掛けと宣言する24歳。
お話は、米問屋・千住屋を乗っ取るため主以下多数の人を殺める後妻と養子の仕置。千住屋のほか、秀らの長屋に住んでいた絵師や、主水が気にかけていたお解き放ちの囚人たちが証拠隠滅のため消される。楽太郎が千住屋へ恋人だった下女のことで掛け合いに出る際託した、牢屋仲間の爺さんの弔い料が仕事料となる。

 ロケ地、千住屋の後妻と養子が密会の待合(絵師が天井に潜みあぶな絵を描く)大覚寺望雲亭(草戸上部のみ映る)。越後へ出張の千住屋が道中で殺される、保津峡落合(トンネル付近の道〜落下岩)。田中さまが解き放ちの囚人にお説教は明智門
*タイトルは主水に供される強壮剤、よく眠れて食欲が増す。*仕事に入る段のツナギ、桟橋の上設定でバスクリン色の光る水の上、カメラ真上からと凝った仕掛け。後期必殺はこうしたビジュアルも楽し。しかし秀の殺しで、樽に頭突っ込まれたのが足を助清出しにしているのは…笑うとこなんだろうか。


第14話「主水悪い夢を見る」1981.8.7

 野望ギラギラの大奥中掾A兄の御側衆と謀り邪魔な同輩を消しにかかる。手段はあぶな絵の女の顔をお中揩スちに描き、恥をかかせて追い詰める陰湿な策。はじめに話を聞き関わった勇次が絵師を探りに入った先で見た鳥追いは舞い戻ったおりくでびっくり、別口で絵師を狙っていたのだった。絵師は御側衆の手先に密殺されるが、終わっていないとするおりく、渋る主水をうまくおだてて仕事に持ち込む。

 ロケ地、江戸城イメージに姫路城(濠越しに天守)。陰謀の場に使われる今戸延命寺、相国寺大光明寺(門、南通用門)。中揩ニ御側衆に仕掛ける屋形船、広沢池東岸
*ラスト、帰宅した主水はお師匠さんのお師匠さんも今度から来てくれることになったと聞かされる。


第15話「主水公休出勤する」1981.8.28

 惚れた女を遊里から解放してやるため、楼の主の罪を被って遠島となった男。しかし女は主とつるむ与力の囲われ者となり、流刑の地でこれを聞いた男は島抜けするも空しく捕り方に殺されてしまう。そして女から与力と楼主を殺してくれと依頼が来るが、おりくに謎掛けのように託されたターゲットはもう一人、地獄に落ちた自分自身だった。

 ロケ地、楼主が与力に吉五郎島抜けについて相談の屋形船、嵐峡。お夕が三味線を届けに来たおりくに仕事料を託す、大覚寺天神島


第16話「主水家で説教する」1981.9.4

 万引き女を摘発し、脅して隠し女郎に仕立て生き血を吸う極道な岡っ引。その情婦もまた同じ経緯で絡めとられた女だった。女は偶然会った昔の恋人が祝言をあげると聞き祝福するつもりでいたが、稼業を知った男に嫌悪され逆上、彼らを嵌め心中に至らしめてしまう。これが岡っ引の謀略と知った女は、仕事人を求め自身も含めての仕置を依頼するのだった。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。女郎となるを拒み舌を噛んだ女の死体が上がる川端、広沢池東岸汀。岡っ引の情婦・お吉がかつての恋人・徳松とデート、柊野堰堤落差工に茶店セット。徳松に所業を罵られ袖にされるお吉、木津川流れ橋下。徳松の心中死体上がる、嵐山公園中州汀。これを聞き駆けつけるお吉、大覚寺放生池堤


第17話「主水心中にせんりつする」1981.9.11

 四千石の旗本が知行地の百姓娘と心中、隠蔽工作がなされるも市中は噂でもちきり。加代はこれを聞いて恋に憧れ、バイト先で見た酒代に刀を置く浪人と深間に落ちる。「待っていて」などと言われ足抜けを申し出る加代、しかし浪人は仕官につられ旗本の奥方の使嗾による百姓一家暗殺を仕出かし、恨みの筋の仕事が入ってくる。

 ロケ地、心中現場となる百姓家、例の「庄屋屋敷」、不明。賭場荒らしの春吉が逃げ込む神社、今宮神社(石橋、境内)。加代を呼び出し、待っていてくれと告げる井上浪人、今宮神社楼門
*足抜けを申し出た加代に昔の仲間の例を引き脅す主水、しかし恋をあきらめ男を刺した加代に「殺したのは自分」と気遣いを見せる。


第18話「主水上役に届け物する」1981.9.18

 阿片窟のからむ、母子愛憎劇。父と共に母に棄てられ苦界に身を沈め生きてきた娘、心の支えの養い子を目の前で、しかも母の差し金で惨殺された娘には最早生きる気力はなく、見守るおりくにそれまでとはうってかわった態度で向き直り仕事を依頼する。これが娘の最後の息、託されていた小銭の束をばらし目分量で分けるという秀の言葉にも哀調。

 ロケ地、おしんの塒付近の水辺、阿片中毒の女たちが殺される橋と河川敷、おしんが文太と遊ぶ川、湊屋の女将の回想の木更津の川も中ノ島橋とその下の中州舳先付近。おりくの家を出たおしんが首白粉を塗る寺の手水場、不明。
*湊屋のバックにいるのは吟味方与力、主水がこれを暗殺に入るのが今回のタイトル。中村家エピソードは勇次に「能無し」「やめたほうがいい」と言われ泣くせんりつコンビ。


第19話「主水夜長にガッカリする」1981.9.25

 銀を隠匿し値を吊り上げる悪徳商人、秀らかざり職は材を入手できず難渋。顧客に急かされるまま、まがい物の簪を納入の秀の師匠、これが広く出回っては困る悪徳商人の陰謀で自死に至らしめられる。依頼は来ず秀が自腹を切って金を置き、金銀卸商とその背後で糸を引く勘定方次席を仕置。

 ロケ地、石見屋の内蔵作りを請け負った大工が消される、大覚寺有栖川。目撃の加代は秋の虫の風情を愛でて堀を覗き込む、これが有栖川河畔で御殿川河口部分、カメラは御殿川方から来る。加代を夜鷹と間違えた男が叩き落され、大工が浪人に斬られ同じく河床に。加代に落とされた酔っ払いは「見たな」で巻き添え。翌朝検分の主水に目撃情報を売る加代、五社明神本殿入口に腰掛け。


第20話「主水つらく夜勤する」1981.10.2

 蝦夷に自生する麻薬の「葉っぱ」を密かに流通させ大儲けの回船問屋。これでトリップした無軌道な青年たちは衝動殺人を繰り返し、遂に「葉っぱ」を買う金に窮し弘前屋に入ったところを始末されてしまう。これを目撃し虫けらのように殺されてしまう常盤津の師匠は、他ならぬ弘前屋の娘だった。やっと会えた父に無視された挙句斬られた女は、勇次の店に辿り着き恨みを託して事切れる。

 ロケ地、ジャンキー三人組が祝言間近の大工と娘を殺す汀、広沢池東岸。濡れ衣晴れて釈放された常盤津の師匠が門付けの帰途勇次に呼び止められる、木津川流れ橋。じょんがらを弾きあわせる二人、橋脚真下。その後師匠が身の上を語るのは桂川大堰魚道脇。師匠が弘前屋の手下に斬られ川に落ちる、中ノ島橋
*仕事料が置かれる堂の揺れる灯、滴を振り撒き仕留める秀、明暗のコントラストが美しい。流れ橋の映り具合も光の加減が渋い。


第21話「主水左遷を気にする」1981.10.9

 情夫の罪を被り江戸払いとなった女壺振りが、娘会いたさに大木戸破って御府内に。しかし当の娘はあろうことか情夫の女となっており、これを取り戻すためイカサマ博打を張る運びとなる。娘との感情のすれ違いから落命する女、最後の息で仕事人に恨みを託す。

 ロケ地、お銀が情夫と会う船宿、錦水亭。船宿の一室から見える水景は広沢池(南岸の料理屋からと思われる)。娘を呼び出し江戸を出ようと迫るお銀、広沢池東岸(お銀は船で接近)
*お銀を匿っている加代の家に主水が来てしまい、一発で闇の仕事師と見破られるくだりがある。


第22話「主水浮気する」1981.10.16

 性悪の美人局あり、主水も引っ掛かる。騙され多額の借金証文を偽造され、何もかも失った男の一人が女に斬りかかり捕縛され舌噛んで死に、残された女房は縊死。恨みの筋の依頼が来るが、女は勇次の幼馴染で主水と齟齬を生じる。顔を切られた女は用済みと消され、改めて勇次に金が渡され仕事に入る運びとなる。

 ロケ地、自宅謹慎となった主水が手持ち無沙汰で釣りの見物、広沢池東岸。幼馴染の女を待つ勇次、中ノ島橋たもと。回想、悪童からお園を庇う勇次、大覚寺天神島。お園と話す勇次、大沢池畔に茶店セット。


第23話「主水かくれて夜勤する」1981.10.23

 仕事人に来た依頼の先を越す女殺し屋が現れる。仕事の名を借りたただの殺しを看過し得ず動くチーム、正体はかつておりくの手口を真似て難儀をかけた蔭間だった。これに、才ある弟分を妬む兄弟子とその情婦が引き起こす悪企みが絡む。

 ロケ地、ターゲットを待って闇に潜む秀が目撃する女殺し屋の突き落とし、粟生光明寺石段上部。人形師に頼まれた簪の意匠のため波をスケッチする秀、保津峡落合河口巌上。人形師・順三郎が突き落とされ殺される神社の石段、粟生光明寺石段上部。遺作となった人形を届けに駕籠で出る師匠、駕籠屋に放置される山道、落合崖道。駕籠ごと「女殺し屋」に落とされるのは落下岩
*依頼は順三郎の老母から来るが、唐突。


第24話「主水泣いて減食する」1981.10.30

 粗暴な若様に殺された御狩場足軽の娘は、「愚かな世継ぎを廃し賢明な弟ぎみを」と若君を暗殺する企ての藩士たちに協力することで意思を果たそうとする。それが言葉通りのことでなくただの権力闘争と知っていて目的のために耐える娘、猫の皮剥きをして彼らを養い、慰み者になってまで健気に尽くす。しかしやはり危惧された通りの結末、娘の孕んだ子ごと引き受けようとした同じ足軽の男とともに消され、娘は最後の息で「仕事」を頼んで果てるのだった。

 ロケ地、暗殺チームの高松藩馬廻役たちのアジト、広沢池東岸(小屋のシーンはセット)
*仇討ち娘・おくみと三味線屋は猫の皮つながり、若君の吉原通いの道筋ゆえ三味線屋が暗殺の拠点に選ばれてしまうこともあり、おりくは深い事情を知る。身籠った体は我が身ひとつのものでないと諭すおりくの母性が泣かせる。


第25話「主水猫を逮捕する」1981.11.6

 旗本のどら息子を護衛につけ町で無体をはたらくヤクザの息子、娘にからんで待合に連れ込むが、血相変えて追って来た親父と揉み合いになり、落ちてきた置物が頭にあたり頓死。親父は捕縛されるが、引退間近な奉行の英断で真犯人は置物とされ無罪放免、これは瓦版にも書かれ評判をとる。もちろん必殺だから、このままメデタシのどっとはらいとは行かず、奉行は暗殺され、娘もくっついていた若手同心も消されてしまい、闇の殺し屋の出番となる。

 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。神社で焚き火をして神官に乱暴する馬鹿息子ととりまき、松尾大社(楼門越しに舞殿)。父が捕縛され沈む娘を励ます若手同心、大沢池畔。引退した奉行が釣り、放生池堤(カイツブリの潜く姿をインサート)。場所を変える、船着(小)、ここで射殺される。
*置物というのが圧死できそうな巨大な招き猫(白)。主水はこれを捕えに出動し括ってお持ち帰り、町衆の失笑を買う。奉行、これを大真面目にお白州に引き据え、犯人として裁き、三宅島遠島を申し付ける。お白州に据えられた巨大招き猫の後姿がなかなか可愛らしい。お奉行は犬塚弘が演じる。


第26話「主水仮病休みする」1981.11.27

 諸大名から将軍に献じられた鯉が放たれている不忍池、ここに鯉泥棒が出没し町方が躍起になって張りこむが、悉く裏をかかれる。鯉泥棒の正体は池の番役人と小者、南町同心で、現場を見た少年が殺され、関わった秀は鯉泥棒の濡れ衣を着せられ捕縛されて窮地に。鯉の見張りが嫌で仮病を使っていた主水が引っ張り出され、秀を出牢させ仕事の運びとなる。

 ロケ地、不忍池、広沢池東岸。番小屋も同所にセット。解き放ちの秀を尾行する鯉ドロ一味の同心、大覚寺明智門五社明神(縁日)〜秀は勇次が操る船に飛び乗り逃走。
*頼み人となる少年は健気な勤労少年、蜆を売って労咳の母を養い手をあかぎれだらけにしているさまが描かれ、秀に憧れ弟子入りする過程もあり、この丁寧な描写がワルの悪辣さをいや増す。鯉ドロ現場目撃者となる際も、暗いうちから起き出して蜆採りに行く途中、母に鯉の生き血を飲ませてやりたい心が不忍池に足を向けさせるという涙モノの設定。加代が見た死に様がまた母を守るように覆いかぶさっているもので、鯉を病人のいる金持ちに売って巨利を貪るワルに対する仕事人たちの怒りが、無いに等しい頼み料を是とし復讐が果たされる。


第27話「主水出張する」1981.12.4

 主水の同僚の資産家が、欲に駆られた親戚に狙われるお話。今回、主水も秀も、加代すら悲憤に燃えての仕事なのに、勇次のみ女をとられた私怨なのが笑える。主犯の家へ乗り込んで仕置の際には、寝たきりの未亡人を駕籠に乗せて連れてゆき、主が三の糸で吊るされるのを見せる趣向。タイトルの通り主水は出張に赴き、策謀進行中のドラマには関わってこない。

 ロケ地、同心・恩地が暗殺される道、大覚寺五社明神。酒田から囚人を護送して江戸に帰還する主水、流れ橋


第28話「主水弁解する」1981.12.11

 喉を斬られて声を失った女・お絹、健気に幼い息子と暮らしていた、ささやかな幸福も摘み取られる。元仲間だったお絹に、足を洗いたいなら復讐を兼ねて主水を殺せと強要する賊。喉を斬ったのは主水という話になっているが、実は賊どもが口封じし損ねたものだった。

 ロケ地、お絹の子と遊んでやる秀、広沢池東岸。元の仲間に見つかり待合へ連れ込まれる、外観に錦水亭
*お絹に奈良富士子、物言えぬ女の感情表現の「目」が秀逸。*お絹の喉を斬ったのが主水と聞き思わず仕掛ける秀、互いにぎりぎりまで肉迫する切っ先が見もの。


第29話「主水ねこはばする」1981.12.18

 大店を食い物にして私腹を肥やすワルは、新任の南町次席同心。結託していた富商が意に添わぬと見るや、ハメて乗っ取り。やられた側も充分後ろ暗いと知っていて、しかしいい人の側面もあったとして、それぞれ家族と関わっていた勇次と秀は仕事料を置く。
事件とは別に、富商の娘をコマしていた色悪と勇次とのちょっと微妙なからみあり、ワルを掃討したあとに据えるエピソードが加味される。

 ロケ地、相模屋の娘・ふゆにタカる遊び人、下鴨神社二の鳥居。その男を呼び止める勇次、馬場。シメる川辺、泉川畔。南町次席同心に斬られる相模屋、下鴨神社河合社脇。


第30話「主水御用納めする」1981.12.25

 夜歩きのおよめに気をつけるよう優しく声をかける商人、双親の顔も知らぬ女はこれに父を感じ慕う。しかし武蔵屋を抹殺しようとはかる一味に女は斬られ、武蔵屋自身もあらぬ罪を着せられ親族ことごとく獄門に。女の亭主は二人の仇を討つため、仕事人を求める。
すれっからしだが稚いおよめと、亭主の掏摸・耳次が実にいい味。チーム各人との関わりもうまく描かれ哀感をもたらす。耳次が引かれゆく武蔵屋に真実を問う場面や、どうしても狙えなかった勇次の懐に頼み料を差し入れて去る場面は見どころ。耳次ははしだのりひこが演じる。

ロケ地、掏摸のあがりを勘定していて通りがかった主水に捕まる耳次、大覚寺護摩堂。南町での叩刑は明智門。武蔵屋に銃の密輸を迫る老中・堀内邸、相国寺大光明寺から塀越しに方丈塀を見るショットがイメージに使われる。耳次がおよめを葬る野末の塚、木津川流れ橋下に土盛り。堀内の政敵の駕籠がゆく、大覚寺参道石橋、堀内の手下が御殿川に潜む。老中暗殺と抜け荷の咎で獄門と決し引き回しの武蔵屋、小休止の際耳次が走り出て事実の有無を問う、流れ橋上。


第31話「主水蜂にゴマする」1982.1.8

 橋の上で男を待ち続ける女に心打たれる勇次、親身に構うが、約束した男は彼女を道具としか思っていなかった。裏に男の公金持ち逃げがあり、女も加担していたが已むにやまれぬ事情と男を信じ分け前も碌に貰っていない純愛設定。
片や男は大金つかんで放埓の限りを尽くし、男の奥方も金しか見ていない卑しい人間に描かれ、女の純情が踏みつけにされる哀れを強調する。
仕事では、女への思い入れ深い勇次と、毒婦に辟易主水のウェットな殺しが見られる。

 ロケ地、女が待つ約束の深川太鼓橋、中ノ島橋(勇次の仕事場から見える設定で、円窓から橋がのぞく画面を作ってある)。金を持って浜松を去る男が約束の場を口にする、広沢池観音島(水無)。女を消す男、広沢池畔湿地(勇次が看取り恨みを託される)


第32話「主水安心する」1982.1.15

 南町同心と口入屋に岡っ引が組んでの悪企み、商家にお尋ね者がいると踏み込んで難癖をつけ罪に落とし、次々に乗っ取る。彼らにハメられて遠島になった一人が将軍家の慶事で赦免となり帰還するが、悪事の露見を恐れたワルどもは、せっかく帰ってきた男も家族も、ついでに知らずに悪事に加担させられていた絵師も殺害。頼み料はたった一人残された妹が身売りして作り、牛太郎から加代のもとに届けられる。

 ロケ地、三宅島からの御赦免船が着く深川・州崎の浜、大覚寺大沢池船着(大)に番所の柵をセット。うろのきた父を抱えていて遅れるきくが行く道、放生池堤(岡っ引が北岸から見ている)。迎えがないのでうろついている友三に斬りつける岡っ引、五社明神川端の祠。逃げる友三は有栖川河床を走ってゆく。
*岡っ引に江幡高志、口入屋に遠藤太津朗。主水がワルの同心を誘き出す芝居の強請りネタに使う、彼を含めた三人の人相書き、江幡氏の分が非常に福々しく描かれていて傑作、一通欲しいくらい。


第33話「主水粗食に我慢する」1982.1.22

 お話のカテゴリーは「母もの」。しかし必殺らしく、実母の追慕も乳母の慈愛も踏みにじられる、殺伐たる哀話。くたびれた夜鷹が水に落ちた風邪引き秀を助けたことから展開するドラマで、赤子をあやすように看護された秀は母への思いを募らせ、夜鷹のほうは引き離された子への情を甦らせ、悲劇へとつながる。

 ロケ地、秀と釣りの主水、大覚寺放生池堤。坊主の主水は早々に引き上げ、子守女を見て慨嘆、護摩堂脇。夜になって帰る秀が夜鷹にからまれ落ちる橋、中ノ島橋。将軍の側近の旗本・奥平邸、相国寺大光明寺門まわり。夜鷹たちがやってくる間引いた子の塚、木津河原。お浪が奥平親子にたばかられ斬られるのは流れ橋下。
*ターゲットは三人、奥平父子と奥方。母も乳母も「汚物」と始末したくせに、邸内で爛れた関係を繰り広げる冷血どもの痴態が描かれる。*実母・お浪に川口敦子、乳母の煮豆売りに正司歌江、抑制の利いた渋い演技の「二人の母」が泣かせる。


第34話「主水家でほっとする」1982.1.29

 次期将軍を尾張にという、どこかで聞いたような陰謀ばなし。大奥を固めるためにお局様が籠絡され、御台所を亡き者にと企む渦に勇次の教え子の中揩ェ巻き込まれる。
勇次が一時投獄されたり、秀が尾張忍びにボコられたりして「仕事」の気運高まるが、最終回じゃないので大奥に潜入しての大仕事ではなく、御台所の葬儀で市中に出た奥女中たちに仕掛ける運びとなる。

 ロケ地、代参の老女・桐岡がゆく上野東照宮、相国寺(駕籠が入るのは方丈前回廊、伊賀忍びが見ているのは法堂脇、座敷は方丈座敷から南望で遠景に法堂)。一服盛られた御台所が倒れるお城の御廊下、相国寺方丈北側廊下。御台所平癒祈願の参詣に赴く桐岡たち、くろ谷墓地文殊塔下石段(秀が忍びに見つかってボコられる)極楽橋三門(尾張の用人と桐岡がツナギ)。御台所の亡骸が運ばれた増上寺から帰る奥女中たち、主水ら町方が警備に詰めるのは下鴨神社河合社(柵セット)。駕籠行列は馬場(土中に秀が潜む)。仕掛ける勇次が忍びに襲われる林間、池跡(主水が助勢)
*牢の勇次に、ここぞとばかり悪態をつく主水が笑える。


第35話「主水友情に涙する」1982.2.5

 悪役じゃない菅貫が拝める、貴重な一作。
菅貫は足を洗った盗っ人、退いた理由が子のためというから泣かせる。
お話は、かつての菅貫の相棒が再び盗みに手を染めたことからはじまる。古馴染の主水に、説得するなら見逃してやると言われ動く儀助。たちの悪い情婦と切れさせるため、二人で一度きり働く盗みは金座から千両、しかしこの金を狙った女とその情夫に見込まれ、事態は最悪の方向に転がってゆく。

 ロケ地、金の隠し場所で相棒の勘太郎を待つ儀助、大覚寺天神島。勘太郎の女に寄生する岡っ引・清次に踏み込まれ逃げる葦原、広沢池東岸。その翌朝、勘太郎の死体が見つかる汀には水無し、まだらに積雪。儀助を囲む仕事人たち、広沢池東岸堤道(儀助死後岡っ引たちの仕置場所に)
*渋いの一言の菅貫、屋台の蕎麦屋もお似合い。田中サマに「おじん」呼ばわりされている通りの枯れた風情、ぎらついた目も見せず狂気じみた面もナシ。しかし仕事人たちに囲まれた際「仕事人かい」「仕方ねェ」と侍でもないのに立腹切るのは凄絶、ものの二分程で仕置のターゲットをスイッチさせる荒技も説得力を持つ。「葦原」での勘太郎と儀助のやりとりは涙モノ。*ワルの岡っ引が「明神下の清次」なのが笑える。


第36話「主水凧市で交通整理する」1982.2.12

 拝領妻を娶った武士と、その妻と、妻の老母と、全て悲惨のうちにに落命する悲話。彼らをむごたらしい運命に引き込む悪女も、辛酸を舐めつくした果て金しか信じられぬ境遇の哀れな女だった。

 ロケ地、渡し場、苦しむ老女に親切ごかしに声をかけるお清、罧原堤下河原。お清に「客」の老女をとられた加代が怒って鼻を明かしてやると息巻き歩く道、大覚寺大沢池木戸前。浪人・弘田が、生業で斬った足抜け女郎に香を手向ける、放生池堤
*拝領妻を娶ったとの陰口に耐え切れず浪人した男に峰岸徹。*足抜け女郎を斬る生業に堕ちた侍と、苦界に身を沈めた妻と、ともに消される現場を見ていた加代の顔に頼み料の小銭が落下するレイヤーは秀逸。


第37話「主水娘と同居する」1982.2.19

 掏摸集団の摘発をする主水、下っ端のガキばかり捕え田中サマに嫌味たらたらの叱責を受ける。身元を明かさぬ一人の少女に肩入れした主水は、彼女を自邸に保護し更正させ中村家から嫁に出そうとまでするが、運命は掛け違ってしまう。

 ロケ地、主水が町方を指揮し討ち込む掏摸のアジト、広沢池東岸池底(水無)。保護した掏摸少女・おきぬの実父である奏者番頭・水野帯刀邸、相国寺大光明寺(南塀際、門、路地)。町内の氏神さまへおきぬを連れて参拝の主水、上御霊神社(楼門、本殿)。おきぬを連れて縁日で団子を食う主水、大覚寺心経宝塔前に茶店などセット(茶店には浅草名物の看板)。買ってもらった風車を手にはしゃぐおきぬ、主水をはじめて「おとっつぁん」と呼ぶ、放生池堤護摩堂縁先。おきぬと紋太の「心中」死体が見つかる、広沢池東岸池底。
*子に恵まれぬ主水がおきぬに示す情、泣かせてやると言わんばかりの展開がクサくはあるものの袖をしぼらせる。はじめ馴染まず蓮っぱなおきぬが、主水に心をひらいてゆく表情の変化は見もの。せんりつがおきぬの位牌を中村家の仏壇に安置し拝んでいる図がまた、深い。


第38話「主水女の節句に遠慮する」1982.2.26

 ワーカホリックの一徹な鍛冶職人、それが母を死なせたと反発する娘は家を飛び出すが、精魂込めた道具を殺しに使われた挙句消された父の恨みを、仕事人に託す結果となる。

 ロケ地、家を出たおこうが共に出た父の弟子と立ち尽くす雪の堀端、中ノ島橋下背割堰堤。氷川神社再建の地鎮祭、下鴨神社参道。芸者になったおこうにからむやくざな宮大工、中ノ島橋上。己の作った鑿が殺しに使われたと知り、無理矢理買っていった大工のいる普請場へ駆け込む、地鎮祭の場所と同じところに足場セット。


第39話「主水友達を気にする」1982.3.5

 お女郎たちに三味を教授するおりくと勇次、手に職を持ってと女たちに自立心が芽生え、年季明けの延長にも応じなくなる。これが面白くない楼主はおりくを痛めつけ、更に勇次と女たちを奸計に陥れる。
楼主らとグルになり勇次らをハメる占い師の巫女が出色。依頼は彼女からおりくに。
*主水、畳めくり斬り。


第40話「主水ケチに感心する」1982.3.12

 貧ゆえ金の亡者となった男、吝嗇ぶりは徹底していたが、「タダ」の用心棒を引き込み墓穴を掘る。
金貸し吉兵衛は遠藤太津朗、騒がしく下品な贅六を愛嬌たっぷりに演じる。居座り用心棒は内田勝正。

 ロケ地、物売りや大道芸が出ている石段、金戒光明寺石段(内田勝正の道場主が段の下で藁づと斬り)。おりくにぜんざいを奢らせる吉兵衛、本堂前茶所。吉兵衛の娘が恋人の板前と忍び会う料亭裏の橋、放生池極楽橋


第41話「主水父親捜しする」1982.3.19

 父・中村主水を求めて川越在からやってきた少年、父はもちろん主水ではなく、女を食い物にして財産を巻き上げる大身旗本の若様の騙りだった。こやつは他にも同様の手口で複数の女を弄んだすえ死に追いやっており、「依頼」は若様の婚儀に障ると始末された医師親子から来る。

 ロケ地、芋を運ぶ荷車に隠れた幸太が泥棒を見つかる、中ノ島橋上。若い娘の土左ヱ門が上がる、嵐山公園桂川中州下手汀。自死した娘について主水に報告する加代、罧原堤下河原(漁具あしらい)。逢引の際、真垣の若様に金の工面を頼まれるおゆき、大覚寺放生池堤。川越へ幸太のことを調べに走る加代が馬で疾駆する道、不明(一部広沢池西岸付近の農地か←水際に生えるヤナギの群落)。勘定吟味役・真垣邸、相国寺大光明寺門。金の切れ目で若様に別れを言い渡された挙句、悪い仲間に乱暴されふらふらとゆくおゆき、大覚寺天神島。真垣の殿様に娘のことを掛けあった帰り、娘ともども消される医師・松庵、相国寺鐘楼(探しに出ていた勇次が通りかかるのは大通院前の路地)


第42話「主水バクチする」1982.3.26

 船遊びに興じる大名、近付いた渡船を邪魔と退け転覆させたうえ、溺れて舷側に縋る人々を無礼討ちに。犠牲者の中に幼児あり、母は子の供養に手ずから観音像を彫るが、大名は自らの不行跡を「記念」する行為を快く思わず手を打ってくるのだった。

 ロケ地、大川の渡し場、大覚寺船着(大)。勇次が笹舟を流す佐太郎を見るのは木戸そば(笹舟が流れるシーンには溢水水路が使われて効果的)。屋形船に近付いた渡船が転覆するシーンは、本当に大沢池で役者を水に入れて撮られている。献花にやってきた勇次が、佐太郎の両親・土州屋夫婦の慰霊の計画を聞く、大沢池北西畔。土州屋の女将が仏を彫るお堂、護摩堂(内部も使用)。堀田安房守邸、大門。仕置の段、堀田邸に近付く主水、参道石橋。秀の出陣、御殿川(落ち口からしぶき上げて躍り上がり、河床を走る)。女将を斬った堀田の家来が夜釣り、大沢池上。勇次の糸でもやいをはずされ流された舟は溢水口へ寄ってくる。勇次の仕置は有栖川河床で。秀のはプール撮り。
*一心に仏を彫る女将の姿に人々が集まってくる話に加代のちゃっかり儲けプランが被さり、せんりつの阿呆な神頼みもある。


第43話「主水表の仕事に熱中する」1982.4.2

 妾を幾人も抱える越後屋、病の女房も承知のはずのその妾が二人まで殺される。本妻の箱枕から凶器が出て捕縛に至るが、殺しの真犯人は主でも女房でもなく乗っ取りの陰謀だった。依頼は出されないが、入牢後すぐ獄死した本妻から主水が預かった櫛が仕事料となる。

 ロケ地、妾二人と本妻の死を受けて贖罪の旅に出る越後屋が密殺される街道、桂川松尾橋下手右岸堤


第44話「主水予算オーバーする」1982.4.9

 十年前駒木野関所で行われていた非道、知らずに手を貸していた山男たちは惨たらしい所業を知って逃げ出し江戸へ。しかし関所役人も出世して江戸へ帰還、すっかり堅気になった男たちの暮らしは、秘密が漏れることを恐れた役人たちによって命ごと断たれてしまう。

 ロケ地、駒木野関所で役人が示唆した逃がし屋に接触する旅人、酵素ダートか。逃がし屋の山男たちが旅人を誘導する間道、不明(V字の狭い谷)。案内し終えて「料金」を貰う、保津峡落合崖道(崖側から)。関所役人らが現れ旅人を斬り谷底へ落とす、落下岩(上から見下ろしのアングルと崖下から見上げ)。或る日山鯨の権兵衛が見てしまう崖下の死屍累々、落合河口巌上。元関所役人(現勘定吟味役)の淵上邸、大覚寺大門(出陣の際には勇次が御殿川手すり脇を行き、秀が御殿川の河床を行く。秀の殺しは参道石橋で。これに先立って南町から逃げ出した山男の一人・房吉のシーンも御殿川)
*タイトルは報奨金をめぐるもの。田中さまに巻き上げられ。


第45話「主水心配する」1982.4.16

 勇次の悪夢からはじまる一話、正夢で、裏稼業を指摘して殺しを強要する文が届く。捕えてみると正体は病みやつれた女、主水の同僚がからむ富商乗っ取りの被害者だった。過半を脅迫者によるサスペンスに裂く。

 ロケ地、勇次が仕事を見られた屋敷の塀外、相国寺大光明寺南塀。ワルの親玉・闕所物奉行の広田邸、相国寺大光明寺門。勇次が脅迫者を引っ掛けるため歩き回る市中、今宮神社東門内石橋。労咳病みの女を捕まえる、稲荷社脇。ワルの一人・南町同心の動静を見張る秀、大覚寺御殿川に潜む。出陣、主水は相国寺大光明寺南塀際、勇次は方丈塀際、秀は大光明寺門脇から塀を飛び越え中に(閂外して主水ら引き入れ)


第46話「主水火の用心する」1982.4.23

 父母を亡くし二人きりの姉妹、妹の目を治そうと江戸へ稼ぎに出た姉は金を得るため掏摸となり、これがためワルに脅され火付けを強要されていた。消息の知れぬ姉を探す妹もまたワルの網に引っかかり悲劇的結末となる。依頼は、妹のほうを親身に構っていた加代が虫の息の少女から受け取る。

 ロケ地、江戸へ発つ姉を見送るおしん、不明(畦道、亀岡か北嵯峨か)
*火盗改・材木商・目明しが組んでの悪事、岡っ引に八名信夫。


第47話「主水かくし芸する」1982.4.30

 堤防工事におけるピンハネ、町方への鼻薬は高級料亭での接待。田中さまの横槍で参加できなかった主水は腹いせに汚職を追及、結果普請方の小役人が詰腹を切らされ大ワルはのうのうと生き残る。直接の依頼はないが、打ち捨てられた小役人の娘の亡骸が握りしめていた銭を、おりくが「受け取る」。

 ロケ地、堤防工事の普請場、大覚寺大沢池堤。作事奉行邸、相国寺大光明寺(南塀、門)
*主水が悪いと激怒する勇次と秀、当初主水は仕事からはずされるが、強い用心棒に手こずる勇次を助けるかたちで参加。その前に主水に刺客が向けられた際には勇次がヘルプ(但し強烈な嫌味つき)。


第48話「主水倹約する」1982.5.7

 食い詰めて江戸へ出た百姓を食い物にし儲けた金で出世をはかる南町与力、捕縛の際助け舟を出したおりくに恨みの金が託される。

 ロケ地、勇次たちの町内の花見の肴を盗ったかどで捕縛される会津の百姓母子、御室桜林〜神社石段(不明、段脇に石灯篭並ぶ)
*ワル与力に亀石征一郎、棄民に施しを与えて騙すが、最初から思い切り胡散臭くて笑える。献金相手は老中・水野。*おりくが与力に食ってかかる場面、この人たちが盗ったのは蒲鉾じゃなくて沢庵とやるくだり、酒も水でほぼ落語の長屋の花見「がぶがぶのぼりぼり」。*騙されてそれぞれに売り飛ばされた親子四人、一緒に逃げようと約束した日にちと場所をおのおのの胸に刻み口にし辛い日々を耐える姿が哀切。お女郎にされた娘が寝言にそれを呟いていたのを聞かれ、集合場所がバレてしまうのも涙モノ。


第49話「主水三味線にビクビクする」1982.5.14

 裏切った仲間を殺しに島抜けの男、二人目を殺ろうと入った先で罪滅ぼしに遺児を妻にしている相手を見てほだされ中止。しかし直後その店の番頭が賊を引き入れ一家惨殺の凶行をはたらき、男が手配されてしまう。男の息子で能楽師の笛吹きが父を諌めようと現場で笛を吹くエピソードがあり、この音色に思わず三味を合わせたことでおりくが江戸を去る羽目になる。

 ロケ地、能楽師・能勢東風邸、中山邸門、参道。
*「用済み」の鯉のぼりを衣に仕立てられる笑い話が唐突にラストに入る。


第50話「主水金魚の世話する」1982.5.21

 金魚の品定めに行く末を託す仲睦まじい浪人夫婦、その魚が見事な出来なのを危惧したコンテスト常勝の堀切の安蔵の魔手が伸びる。浪人夫妻が育てる金魚は加代が売ったもの、安蔵の妾で金魚殺しに一役買う色気女は勇次に岡惚れなど、仕事人たちとの関わりも巧みに織り込まれている。仕置に踏み切る前に夫妻が相次いで悲惨な死を遂げる点も、新仕事らしく視覚的にも見事。

 ロケ地、安蔵の妾が勇次にフラれて癇癪を起こしながら通る神社、および金魚殺しの件を問い詰めに走る浪人が通る神社、相国寺弁天社(鳥居脇に柵があるなど現在と様態が異なる)。家名存続のため安蔵と手を組む浪人の叔父・安東刑部邸、大光明寺(安蔵が訪ねてくるシーン、撮りは中から)。安蔵の罠にはまった浪人の妻女が入水、罧原堤下桂川
*金魚屋での仕置、秀が手下を殺る際には金魚の群れ越しのアオリが入る。


第51話「主水ビックリする」1982.5.28

 西の丸奥医師の道庵は、患者に麻薬を与え骨の髄までしゃぶる悪党。息子を将軍家の御典医にと野望を抱き、自分を忌避し名医と名高い町医者に罹った患者をシメるほか、麻薬投薬に気付いたその医者を陥れる。有為の息子を殺され、自身も死罪が確定した町医者は主水に仕事を依頼、とぼける主水に「仕事人」だった過去を告白する。

 ロケ地、道庵宅、どこかの塔頭と思われるが不明。
*道庵に今井健二、見た瞬間大ワルで怖すぎ。


第52話「主水つゆ支度する」1982.6.4

 女郎屋を経営する母に反発する娘、しかしそうするしかなかった事情を知り涙の和解。依頼のターゲットにはこの「母」も入っているがスルーされ、彼女を追い使っていた真のワルへの仕置が遂行される。オールセット、ロケなし。
*梅雨支度の瓦修理を秀に頼む主水、いい加減な仕事をされてしまう。*「依頼」はおりくが届けて寄越した宿場女郎の三味の中という趣向。


第53話「主水甘味対策する」1982.6.11

 江戸へ出稼ぎのお調子者の香具師、町で拾った儲け話がとんだ落とし穴、横流しの黒砂糖を闇で捌く魔窟だった。監禁されて作業に当たらされている、騙されて連れてこられた身寄りのない老人たちを見て彼の心にムラムラと湧いた正義心が、命取りとなる。

 ロケ地、主水に霧島屋の黒砂糖ネタを吹き込む加代、罧原堤下汀(広沢池に似るが、土手の傾斜と水面に微かに映り込んだ「対岸の木」から判断)
*香具師・波枕の鯨之助に芦屋小雁。霧島屋用心棒の浪人、西田良でなかなかコワい。*鯨之助と仕事人の接点はおりくの手紙。母の文を見た勇次の嬉しそうな顔が可愛い。


第54話「主水入学祝する」1982.6.18

 女掏摸の哀話。年下の夫のため奥医師試験の問題用紙を掏る女だが、ワル一味に殺されかけたばかりか夫は一味の女にツバメにされてしまう。

 ロケ地、備前屋番頭に腕を落とされ水に落ちるお仲、大覚寺天神島朱橋(夜)
*お仲は仕事人の娘で父はおりくの仲間という設定、旧知の勇次に仕事を依頼。まんべんなく悪くて殺されるに充分なターゲット、仕事の場面もなかなか見応えアリのかっちりとした一話で、用紙を掏る場面も楽しい。勇次が夫を吊るすそのとき、走り出て命乞いをするお仲のくだりは圧巻。


第55話「主水仕事仕舞する」1982.6.25

 加代に仕事人探しを依頼した娘が口にしたターゲットは秀。主水の示唆で江戸を離れる二人だが、娘の正体を知った秀は運命に立ち向かう。お藤の父は、秀の最初の仕事の的だった。

 ロケ地、露店を出す加代に声をかけるお藤、今宮神社境内。秀と加代が一時身を隠す漁村、海岸のイメージカットに間人海岸。お藤の前に自ら立つ秀、鳥居本八幡宮鳥居下。お藤を逃がそうとする秀の前に立ちはだかる勇次、中ノ島橋(秀、主水と勇次から逃れ川に飛び込み)。お藤を殺した侍の一人を吊る勇次、大覚寺護摩堂(内部からのショットはスタジオかも)。今一人を斬る主水、下鴨神社河合社脇。残った一人を殺る秀、糺の森林間(樹上から飛び降り)。上方へ発つという秀を見送る主水たち、保津峡落合桂川左岸巌上(秀は清滝河口の瀬を踏んで去る)。秀が見返る来し方、保津峡遠望。去るシルエットは落合トンネル(アールは映さず)。大金を手にした加代が小判をじゃらじゃらさせて駕籠でゆく道、北嵯峨農地・陵前。
*侍たちはお藤が仕事料のため身を売った男たち、その後つきまとい騒がれて絞殺。*秀と主水はこれで足を洗い、加代は拾った富籤が五百両で舞い上がり、勇次は一人「続ける」設定。


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