三隅研次監督作品 1959.9.13大映
濠外掃除のお奉行を、朝吉や市をやる前の勝新太郎が演じた痛快作。
これ以降に映像化された他作品と比べると、事の推移がわかりやすく丁寧に描写されている。
隣藩の殿様に嫌味を言われて摂津守があわや「松の廊下」、濠外の親分衆は一旦屈服するものの重役連に因果を含められ刃向かってくる、など納得のいく筋立て。あと、濠外の利権の代わりに銀山開発事業を持ちかけるなんていうのもある。
親分衆に退去を求めるくだり、男と男、一人の人間としてとカツシンがぶつのはさすがに絵になる。
濠外の美術はあっさり目、しかしセットながら水辺の広がりは豪勢、酒場はエキゾチックでなかなかの雰囲気。小平太の遊びっぷりは主に女といちゃいちゃ、大宴会でぱーっというのはあまりない。途中派手な立ち回りはせず最後に大殺陣、テンポよい作り。
ロケ地
・大目付・堀邸から出た小平太が尾行される川べり、上賀茂社家町の明神川。
・つけてきた健士隊の若いのを煙に巻き柾木への伝言を託す、上賀茂神社北神饌所。
・柾木と会う禅寺、高台寺臥龍廊、青蓮院大楠。
・厦門才兵衛ら親分衆が退去に応じたと堀に話す小平太、竹生島宝厳寺(参道、本堂、鷺の営巣する山)。
・奉行職を辞しこせいと江戸へ帰る小平太、女の子に色目を使い怒られる街道筋、琵琶湖流入河川の堤道か。
*堀が重役連と親分衆とのパイプであったことを指摘する段、小平太が濠外を喩えるのに竹生島のサギコロニーが使われるが、斬れと背を向けた小平太を斬れず帰ってゆく堀に呼びかけるシーンで一斉に鷺が飛び立つのは迫力。
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