伊藤大輔監督作品 1960.7.10大映京都 3
「与話情浮名横櫛」をベースに、女の業に絡めとられる男を雷蔵が演じた一作。
軸は、義理から大店の跡目を譲ったことが全て裏目に出るというお話。このあと出会う女に惚れられては裏切られを繰り返し、メンに傷負った凶状持ちに成り果て、せめて最後に妹の妾話を潰そうと身を捨ててかかるも、当の妹は彼を男として愛しており別れを悲しんで命を絶ってしまうのだった。
もちろん「お富さん」との経緯もきっちり描かれ、源氏店でのキメのシーンもあるのだが、ラストの捕り方が十重二十重で妹と逃避行のくだりが派手なうえ、妹の亡骸を抱いて海に入ってゆく際の呟きなど、一味違う「切られの与三」と言える。
ロケ地
江戸を出た与三郎が木更津へ向う街道筋、広沢池っぽい汀〜白髭神社湖中鳥居。
与三郎の企みを山城屋に注進に走るお富、東海道の風景に日野川と思われる木橋を渡る(緑の茂り具合と河床の干上がり具合、流末にちらっと見える「対岸」の山なみから、野洲や愛知や安曇ではなさそう)。
山城屋の一行に追いつき話をする茶店は琵琶湖西岸松原(北湖)。
*淡嶋さまの甍の波、ラストの海浜などセットも見もの。「粋な黒塀」はフツー、でもちゃんと松の緑は映えていた。
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