大石内蔵助/中井貴一 電話の男/八嶋智人
昼行灯どころではないダメ男設定の大石内蔵之助が、或る日寓居の前で拾った「ケータイ」から話しかける300年後の声に乗せられ、いやいや討ち入りに追い込まれる過程を描く。
異文化との遭遇もコミカルに描かれ、大石の妾は携帯用のストラップを用意するありさま。どうしてくれるんだおまえのせいだと携帯に悪態をつく大石だが、討ち入りの用意整った雪の夜、俺の名は後世に残り生き続けるのだなと独りごち、携帯を雪の上に置き「各々方、いざ出陣」。
ロケ地
・刃傷後の経緯を語るナレーションとテロップの背景に仁和寺中門(モノクロ)。
・携帯が言い当てた下僕の死を見て走り出す大石、一息ついて携帯に耳を傾ける、神護寺金堂前石段。
・奇行に呆れた妻が実家へ帰ったのを幸いと妾宅に向かう大石、南禅寺僧堂坂。
・大学に処分下り、進退窮まった大石がクサるところへかかってくる電話、南禅寺三門。
・江戸へ向かう街道筋、高山寺金堂道。
・おまえのせいでこんなことにと携帯に怒る大石、大覚寺五社明神舞殿前。
*大石一人を現代ふうに描き、周囲はバリバリ時代劇で固めた演出がなかなか。冒頭中東の遺跡から発掘される大石携帯や、ラストの電話室なども傑作。
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