第3シリーズ 1992TX/東映
キャスト
藤堂平八郎/西郷輝彦 塙兵吾/倉田てつお 小百合/夏樹陽子
乙松/今村廣則 ちんちらお京/井上ユカリ 山崎哲之介/竜雷太
OPロケ地、谷山林道、摩気民家、民家。ED、広沢池に船、摩気橋と燈篭。
第1話「帰ってきた白頭巾!仇討人情に泣く女」
一旦引いていたお役を再びつとめる藤堂平八郎、密偵の小百合はそのまま、賞金稼ぎもくっついてくる。新メンバーの若手は旅先で合流の手筈、藤堂との出会いは渡世人と侮って無礼を働くお笑いではじまる。彼をからかう掏摸女と連れの男もいて賑やか。
日光御成道に出没する凶盗の調査に赴く藤堂、岩槻藩領へ。そこで出会ったわけありそうな女は、夫の仇を求める長い旅の果て、同道した夫の弟とわりない仲となり子を孕んでいた。
郡奉行が飼う凶盗に加え、仇は彼の甥という因縁、哀しい結末を迎えた女に藤堂はお家再興の道ともうひとつ別の道を示唆し、送ってやるのだった。
ロケ地、日光御成道に谷山林道各所。堕胎を求める綾を諭す藤堂、西明寺か。夫の形見の逆とんぼの簪を川に流す綾、清滝か。
*凶盗のヘッド・西浦十蔵に福本先生、台詞もたっぷりあり、見せ場も多い。綾に目撃される際の頭巾からお目目ぎょろりも可愛いが、背に紋紋もなかなか。「影の八州」に斬られる順番はいちばんあと。*今度の若手も熱血漢、最後には「藤堂さん大変です郡奉行が影の八州に斬られて」とわぁわぁ喚く。
第2話「てるてる坊主が泣いている」
舞台は駒留の宿、女のためヤバい橋を渡り逐電した男が帰還する。しかし女は人のものになっており、男には犯した覚えのない罪状がつけられていた。全て悪代官とつるんだ地回りの仕組んだことで、藤堂らが動くも女は男を庇い落命という悲劇に終わる。
ロケ地、駒留へ向かう街道筋、不明。三年前、土地の親分を痛めつけ遁走した半次郎がゆく街道筋、罧原堤下河原。おひさを拉致し半次郎を普源寺へ呼び出す源蔵、普済寺仏殿。おひさの墓、亀岡の墓地。おひさのてるてる坊主を携え駒留を去る半次郎、酵素河川敷(見下ろし)。そののち藤堂が耳にした半次郎の消息、山あいの居酒屋の里、美山か。
*帰還する半次郎、先におさに文を書き、待っていてくれるなら軒先にてるてる坊主を吊るしておいてくれと依頼、ほぼ「幸福の黄色いハンカチ」で、しんみり人情話なのに吹いてしまってタイヘン。*ラス立ち福ちゃん入り、代官の直前に斬られる。
第3話「縁切り寺異聞 尼寺の罠」
神君お墨付きの縁切り寺に巣食うワル、尼から役人、優男に地回りと揃い、駆け込み女とその家族を食い物に。売り飛ばされるところを助けた一人が斬殺されるにおよび、影の八州が立ち現れる。
ロケ地、 藤堂らが駆け込み女房を追う男を見る日光道、大覚寺大沢池堤。駆け込み寺・徳川満徳寺、西明寺(山門、参道)。禁足中の尼が「恋人の浪人」と夜に忍び会う境内はずれ、大覚寺五社明神裏手。禁足25ヶ月が開けて寺を出た女たちが、地回りや浪人にたばかられ売り飛ばすための駕籠へ導かれる道、大沢池堤〜放生池畔〜五社明神。騙した浪人に復讐しようとした女が殺される縁切り寺境内、五社明神裏手。
*当地の説明は藤堂が兵吾に語る。曰く、松平の先祖・徳川四郎義季がこの地に住み云々、徳川発祥の地と解説。*満徳寺は実在、群馬県太田市徳川町、今は資料館がある。*兵吾の「藤堂さんまた先を越されましたあの連中を影の八州が」アリ。
第4話「風が泣いた宿場の女」
日光例幣使道の宿場で起こる陰謀、新田郡の代官は情婦を使い大儲けして享楽の日々を送る腹づもり。この過程で蹂躙される人々、その中には兵吾が淡い思いを抱いた女も含まれていた。
ロケ地、玉村宿の火事で死んだ楼の主と飯盛女の葬儀が行われる明尊寺、西明寺山門。放火犯を追う兵吾が材木落としに遭う山道、谷山林道。傷を洗う小川、酵素河川敷。見かけて手当てをしてくれる女・おさきの家がセットされている。勤務先の木崎宿へおさきを送ってゆく道、大覚寺放生池堤。放火犯が隠れている大越屋の山荘、普済寺茅葺の堂。塙の要請をいい加減に処理と笑う岡っ引をシメる山崎、鳥居本八幡宮鳥居前。大越屋の女将と代官が密会する妙光寺、普済寺鐘楼門。おさき親子の墓、大覚寺天神島池端。
*兵吾はおさきが宿場女郎と知らず接する。事後、嘆きに沈む彼に女の生業は告げずにおく藤堂たちが泣かせる。*他を排してのし上がる木崎宿の楼主(女将)に風祭ゆき、背後で操る代官は亀石征一郎。ラス立ちは福ちゃん入り、代官の家士、タメつけてのけぞり。
第5話「一天地六賽の目地獄」
賭場で借金を作らせ、首の回らなくなった者に強盗をさせる娘を女郎に叩き売るなど極悪非道のヤクザ、代官とつるむこやつらの前に白頭巾が現れる。
今回、山崎哲之介ぼろぼろ。打ち首になったかしらの仇と襲われて槍で刺され、イカサマ博打バレて落とし前要求されて辻斬りに出たら藤堂だし、とどめは恩ある娘をかばって撃たれ満身創痍。
ロケ地、藤岡宿で両替商に押し入った賊が消される炭焼小屋、酵素河川敷。賊を追ってきた兵吾が現場に駆けつける、ダート、降り口。岩鼻代官所が手配する街道封鎖、酵素ダート。安中付近を江戸へ向けて行く哲之介が仇と襲われる、大覚寺有栖川畔(助っ人の浪人たちが集まるのは五社明神裏)。這ってゆき倒れこむ念仏堂、護摩堂。おかよ一家に見送られ旅立つ一行、谷山林道切り通し。
*ラスト、兵吾の「藤堂さんまたです影の八州ですよ」が入る。
第6話「赤いほおずき怨み節」
かつてカッコよく野盗を退治して鷹巣宿に平穏をもたらした藤堂、宿役人の娘の祝言に招かれる。しかしそこには御用林を盗伐し横流しの代官がいて、目障りな藤堂を消すのに懲役中の、藤堂を恨んでいる野盗を放つという陰謀を企てるのだった。村人が怯え助勢のないまま藤堂は一人賊に立ち向かうが、凶弾から彼を庇う一人の女あり。元野盗の情婦で藤堂を慕っていた女の死に白頭巾怒り五割増、上意の書状を掴みしめて悪党に投げつける。
ロケ地、二年前野盗の紋次たちを懲らしめた原っぱ、酵素河川敷(小屋セット炎上あり)。宿役人屋敷、民家。紋次一味に呼び出される鬼面ヶ原、酵素河川敷(先の小屋炎上の時とはアングルが異なる)。
第7話「地獄に落ちた女郎蜘蛛」
舞台は下野・鹿沼宿、一帯を荒らし回る凶賊を求めて藤堂たちが乗り込む。そこで見たのは薄幸の女、大事にされている商家の御寮人と見えて内実は空虚、どころか実は亭主が生家を襲った賊の頭で、彼女を監視していたのだった。
ロケ地、町で万引きをはたらいたおさきに事情を問う兵吾、鳥居本八幡宮舞殿(蜘蛛下がってきてキャー)。強請りが転じておさきと深間に落ちたちんぴらが殺されて見つかる水辺、広沢池西岸の養魚場あたりか(暗い)。再出発のおさきを送ってゆく藤堂、嵐山自転車道。
*実は凶賊の頭の利根屋に和崎俊哉、善人を装うのがまた凶悪。女房をおさきの侍女にしているがこれが紅萬子、嫉妬に狂っておさきに包丁かざして迫る鬼気迫る演技。*今回も兵吾くんの「どーするんですか藤堂さん影の八州に先越されて」アリ。
第8話「川止め、足止め、地獄越え!」
竜神川の増水で川止めの水沢宿、藤堂らが投宿した旅籠で展開されるグランド・ホテル形式のお話。藤堂が追っているのは金の出処、山辺藩では藩政を壟断する城代が隠し金山を私し、更なる野望を抱いていた。
川止めの旅籠では、様々な人間模様が交錯する。女衒から逃げた幼女と女衒と実は娘らの父の出稼ぎの「椋鳥」、直訴の百姓衆、お忍びの若殿まで同宿し、ある者は泣きある者は沈思しある者は死地へと向かう。終焉には白頭巾が出て城代を誅し、熱血の若き藩主に事を託して去る。
ロケ地、川止めの水沢の渡し、罧原堤下桂川(川は増水時のさまを巧みに利用、汀には渡し場のほか、船頭の小屋もセットされる)。間道の山道や山辺在の風景は不明。
*山崎哲之介が同宿の喧しい浪人を黙らせるのに使う「方便」は落語の「宿屋の仇討ち」、本作の旅籠も「武蔵屋」だから笑える。*「若殿」に沖田浩之、つくづく惜しい役者。また事後渡し場の段、ようやく解けた川止めで着いた船から降りてくる旅人はさりげなく福ちゃんだったり。
第9話「年増殺し最後の賭け」
舞台は下総・松戸、色悪に引っかかり騙される女の悲哀を描くお話。
武州・草加で髪結い殺しに行き合わせる藤堂、成り行きに違和感を持ち調べさせると類似の事件がぞろぞろ。姿を消した亭主を追うが、その男は十日も経たないうちに次のターゲットをコマしにかかっていた。
ロケ地、年増キラーの徳三郎が侍に殺しの手付金を渡す下総松戸の妙願寺、粟生光明寺山門〜石段。石段はこのあともツナギの場や兵吾がチクリ男をシメる場に使われる。徳三郎のターゲットにされた上総屋の女中に事情を話す藤堂、広沢池東岸(簡素な船着をセット)。
第10話「呪いの伝説隠し銅山の罠」
足尾銅山の隠し鉱をめぐるお話。飢饉続きで年貢の払えぬ村に隠し銅山を掘らせる人夫を供出させる銅山奉行や代官たち、そのヤマは地獄だった。藤堂たちは、あまりの過酷さに逃げた人夫が追われ斬られたのを救い、事に関わってゆく。
ロケ地、あかがね街道・花輪宿手前でお昼をつかう藤堂と兵吾が土左ヱ門を見る川辺、清滝か。大根泥棒の哲之介が侍に斬られた吾作を助けて駆け込む谷中村の寺、不明。足尾銅山三の間歩、砕石場か。谷中村庄屋屋敷、民家門。寺を嗅ぎ付けられ逃げる道、酵素ダート〜河川敷(住職が斬られる)。
*事後、兵吾の「また影の八州が」今回は妙にこだわり設定。今度ばかりは影の振る舞いを許せると吹く兵吾、一度会ってどんな奴か見てみたいと正体を詮索。*表題の「呪い」、これのせいで村人は祟りに脅えて唯々諾々と従う設定だが、ラストにちょろっと語られるだけ、よくある落武者伝説ぽいもの。
第11話「野州路の女 涙あふれて思い川」
日光街道で多発する凶行、三件目が本命で、代官が巻き添えを食らって頓死。実は現地を取り仕切る元締手代が後釜を狙っての陰謀だった。
小百合がかつて亡くした恋人とそっくりの目明しに出会い、悲しい記憶を揺り起こされる哀話が底に敷かれる。
ロケ地、小百合が藤堂に野木宿に出た凶盗の情報を報告している茶店、神護寺和気公廟所前。小山宿での凶行について報告の小百合、思川の橋は中ノ島橋(橋標に「思ひ川」と大書)。小百合の回想、お役目のことで喧嘩した恋人を追い思いを確認しあう、神護寺石段。残党狩りに遭い捕縛される男を見る小百合、中ノ島橋(捕物は右岸堀端)。亡くした恋人を思い出しベソかき小百合が佇む、嵐山公園中州舳先。恋人の墓参帰りの目明し・伊平次が「呉服屋の手代」に声をかけられる西福寺門、不明。誘われて乗る船、広沢池東岸〜船上。賊一味の雲水が代官所から渡された根付(凶行現場にあった証拠品)を持って入るアジト、普済寺萱葺の堂。根付の男を尾行した兵庫が襲われる、神護寺鐘楼。ラスト、四人が渡る思川の橋、中ノ島橋。
*元締手代に雇われて凶行を繰り返す侍集団、福ちゃんや峰蘭太郎氏入り。お二人タッグ組んで目明しを葬ろうと船上でバトル。福ちゃんは船頭、峰氏は呉服屋の手代。福ちゃんはほかに兵吾を襲ったりお使い務めたり忙しい。惜しいことにラス立ちには出られず、山道で田口計の姦計に落ち撃たれちゃって終わり。峰氏が福ちゃんを「松井」と呼ぶがクレジットには役名なし。
第12話「清水の次郎長を叩っ斬れ!(前)」
三国街道に出没する逃がし屋、佐渡送りの唐丸を襲う。これが手配中の清水の次郎長の仕業と流される噂、敵対する二足草鞋の背後に巨悪の気配。殺された「依頼者」の持っていた千両の手形を懐に、事件に関わってゆく藤堂たち。次郎長と歓談し、なにやら思惑と見えるあたりで中ほど。
ロケ地、猿ヶ京の関所で唐丸破り一味を見破り捕縛の「八州」藤堂、谷山林道。次郎長と松五郎の出入り、川辺の葦原?不明。
*お役を退いたら江戸に施療院を作って、と小百合に話す藤堂。女房が出てこないと思っていたら、前シリーズの設定はクリアされていて、「手伝う」という小百合となんか雰囲気出してる。
第12話「清水の次郎長を叩っ斬れ!(後)」
次郎長の夢は、女房の故郷の吉沢村に「こどものくに」を作って孤児たちを養うこと。しかしその村を新たな罪人落としのルートに使おうと画策の郡奉行、手下どもが追い立てにかかって大騒動、次郎長の女房や藤堂の旧友の妻女が巻き込まれて横死するにおよび、表の顔を使う平八郎。そして黒幕の御書院番頭が焦れて当地にやってきたのを白頭巾が成敗。ワルと一緒にとっ捕まった次郎長には、当地お預けの温情を示しメデタシで締めくくられる。
ロケ地、朝練の兵庫がお百度の母子を見る、下鴨神社河合社(門と向かいの祠)。休んで汗を拭いていると殺された密偵の血がぽたぽた、池跡倒木。吉沢村の鎮守、鳥居本八幡宮(鳥居下、舞殿)。
*今回は八州関係者に殉職はなし、兵吾に「影の八州」の正体は知られぬまま終わる。*ラス立ち福ちゃん入り。