松平健主演作品 2004年テレビ朝日/東映 *キャストはページ下部
第一話 2004.10.18
イケイケ天然系の津川綱吉に、わりと上品な伊東吉良さま。内匠頭は線の細い人、あまり癇性には見えないが屏風にケチの時点でキレかけ。上杉の家老には夏八木勲。
束脩の鰹節蹴っ飛ばし、精進料理、衝立にケチつけ、畳替、烏帽子大紋の衣装違いなどお決まりのエピソードもちゃんと入って松の廊下へ。
今回は二回目の早が赤穂到着、嗚咽の内蔵助で幕。
ロケ地、赤穂城、本物(大手東北隅櫓)。弓のお稽古内匠頭は姫路城西の丸わの櫓前。呉服橋吉良邸、妙心寺龍泉庵門。加古川本蔵邸、好古園築山池泉の庭(門と池泉)。伝奏屋敷、随心院薬医門と大玄関。鉄砲州の浅野上屋敷、大覚寺大門。江戸城、姫路城天守。刃傷は浅野と詰める家士たちに発表の登城口、菱の門。主の死体を引き取るべく田村右京太夫邸へ向かう浅野の家臣たち、妙心寺玉鳳院塀前。田村邸、衡梅院門。泉岳寺、不明。戸塚で馬を潰したあと早駕籠で赤穂へ急ぐ原と大石、谷山林道〜嵐山自転車道〜琵琶湖畔松原。
*畳職人の元締にうっかり八兵衛、脇坂淡路守にだぜい与力、目付の多門に人情同心が配され見どころを作る。安兵衛が西郷どんに見えてしまうのが笑える。
第二話 2004.10.25
総登城で第二の早の報告、騒然となる藩士に小刀や辞世をかざす内蔵助、藩士たちからは歔欷漏れ、自らも泣き入る。後は藩札交換、藩論紛糾、収城使に脇坂淡路守決定、主税が本蔵の娘と破談を決意などのエピソードを描き、殉死について誓紙血判のくだりで幕。
ロケ地、赤穂城、本物(大手東北隅櫓)、桜あしらい。総登城の藩士たち、彦根城天秤櫓。堀部老人たちが江戸から帰着の国境一之木戸、木津河原に柵セット。亡君初七日の泉岳寺法要、墓前で髻を切る家臣たち、大覚寺大日堂南側に墓標セット。夜、帰宅の内蔵助に刺客、南禅寺僧堂坂〜三門。
*藩札交換の高札を読み上げる僧、小峰さん。福ちゃん、帰趨を論議の席で大高源吾のうしろに肩衣姿でちょこんとお座り。
第三話 2004.11.1
追い腹殉死の席で内蔵助の「真意」発表、収城使が来着し滞りなく開城、までを描く。
加古川家との破談、天野屋利兵衛の藩札破棄、寺坂吉右衛門の残留懇願、大野九郎兵衛の夜逃げ、脇坂淡路守と内蔵助の会話などを散りばめ、大石親子は今生最後のお城を仰ぐ。
ロケ地、竜野藩領を駆ける主税、木津河原。加古川邸、不明。殉死のくだりの赤穂城、本物の大手東北隅櫓。収城使のくだりの赤穂城、脇坂淡路守の入る大手、彦根城大手橋。木下肥後守の入る搦手(塩屋門)、天秤櫓。幼時の内匠頭が内蔵助に跨って遊ぶ回想シーン、梅宮大社神苑汀。城を去る大石父子、天秤櫓。
*大きなイベントはあるが静謐な一話、藤田まことの天野屋もまだサワリ、幼い内匠頭は「大五郎」がつとめる。鳥追姿の千坂兵部の密偵の姉ちゃんが印象的。
第四話 2004.11.8
大石の江戸下向、江戸組や瑤泉院と会い泉岳寺墓参。不破帰参の一件が千坂兵部の耳に入り、会見を申し入れられる運びに。
ロケ地、東海道をゆく大石一行、琵琶湖西岸松原(砂州先端に灯台セット)。上杉家の庭、不明。泉岳寺の内匠頭墓、大覚寺大日堂の南ににセット。千坂の誘いに乗り上杉家へ赴く大石、道は妙心寺玉鳳院前〜大通院裏の路地。藩邸、天祥院。あとをつけてきた浪士たちが身を隠すのは寿聖院の築地。山科へ帰る道、木津河原。
*味方には韜晦しているような大石、千坂との会談ではけっこう物騒な発言もアリ。そしてエンディングクレジットのバックは「浮様」。
第五話 2004.11.15
浮様ではじまり浮様で終わる一話。
大小も売り払ってしまった若い同志は水茶屋女と心中、庶人も大石の遊興ぶりに呆れ果てあからさまに軽侮、吉良邸ではガードを固める動き盛んで清水一角は付け人となり、焦れた江戸組から使者が立てられる。
ロケ地、内匠頭を暗君と呼ばわり高田郡兵衛と喧嘩した一角と話す安兵衛、広沢池観音島(遠景に民家)。山科の大石寓居、酵素河川敷と民家セット。
*遊里で酔いつぶれ店前の床机に寝そべる大石、江戸にもいた薩摩浪人が真意を隠しての行動とぶつくだり、長い尺をとって見せる。エピソードの面白さより、浮様のデカさに目を奪われてしまう。
第六話 2004.11.22
浅野大学の処分が確定しお家再興が消え、浮様は眠りから覚め東下りを決意する。
加古川本蔵が身を捨てて娘と主税の復縁を願うエピソードが挿まれ、りくが出石へ去り、円山会議のあと江戸へ発つ大石一行で幕。
ロケ地、茶店で花嫁行列を見る本蔵の妻子、山室堤道。山科の大石寓居、酵素河川敷(民家セットの前に草戸セット)。大石を見張る吉良方の密偵たちがツナギをとるお堂、鳥居本八幡宮舞殿に壁をセット。りくに嘆願するも追い返され、絶望の裡に自刃しようとする本蔵の妻子、大覚寺天神島(大木と祠の間)。浮様が浮橋たちと船着きへ向かう際くぐる戸、大沢池木戸(スリットに障子張ってライティング)。刺客が殺到する水辺、大沢池畔(屋形船にぼんぼりあしらい)。出石へ去る母を追ってゆく主税、野道不明。大石の決意が述べられる円山・安養寺、西明寺(山門、境内)。東下りの大石一行、流れ橋。
第七話 2004.11.29
東下りがメインで、著名なエピソードをつないでゆく。右衛門七の母の覚悟の死、日野家用人・垣見五郎兵衛との「対決」、高田郡兵衛が叔父に仇討ちか養子か迫られる話、前原伊助の米屋が吉良家付け人にボッコボコ等が描かれ、絵図面入手で苦悩の岡野は中程。
ロケ地、矢頭家にズームの赤穂城下イメージに赤穂城大手東北隅櫓〜塩の国(赤穂市立海洋科学館)〜姫路城好古園路地。母に諭され一人江戸を目指す右衛門七、妙心寺大庫裏脇路地〜琵琶湖西岸松原〜汀(漁具セット)。大石一行がゆく東海道、嵐山自転車道(遠景に富士山合成)。川崎在平間村の農家に入る大石、民家門。多摩川は桂か。高田郡兵衛に悩みあるのかと質す安兵衛、大覚寺御殿川河口(有栖川岸から見下ろし)。兄の家へ赴く郡兵衛、妙心寺大心院前路地〜福寿院道。
*右衛門七の母は萬田久子、垣見五郎兵衛は江守徹。騙りと怒って入ってきた垣見に見せる道中手形は白紙、しかし袱紗に違鷹羽の紋という趣向。紋を目にした途端泣きモード垣見、金打して去る大仰ぶりが面白い。対峙した瞬間デカさで勝ってる松平健もなんかおかしい。
第八話 2004.12.6
討ち入りを前にした個々の浪士たちにスポットを当て、それぞれの事情や家族との別れを描く一話。
大きな流れでは、吉良邸絵図面の入手と在宅日の確認。当初の「五日」が「十四日」に日延べの話を、「奇しくもその日は月こそ違え亡君の御命日」で運命論に持ってゆく。
ロケ地、岡野に会いにゆくお艶、墨田川の情景は八幡掘堀端〜新町浜。江戸入り大石のイメージに姫路城天守。小山田を訪ねた奥田らが外で話す、仁和寺中門(内側から)。岡野に絵図面を渡すお艶、車折神社本殿前参道(灯あしらい)。
*絵図面の件、「見せて欲しい」と頼む岡野に、もういきなり判っちゃってるお艶は一片の愛でも存在したか問う。岡野のほうも即「実は俺は」の発言、これはお艶が「もういいの」。お艶の父の棟梁がまた、一瞬で全部呑み込み設定でポンと絵図面を渡し、最後の逢瀬を示唆。ベタな情話だが、見た目はけっこうクールに仕上げてある。棟梁が西田健で、コワい顔で優しいのが泣かせる。*見せ場のひとつの天野屋利兵衛は男でござるのくだりは、ED被ってさらっと。
第九話 (終) 2004.12.13
前半を離脱者の描写や「挨拶」に使い、後半は尺をとって討ち入りをたっぷりという作り。
エピソードは、大高源吾と其角の付句「宝船」、雪の南部坂に赤埴源蔵羽織の別れ、高張提灯も掲げられオーソドックス。清水一角は二刀流で雪の庭、一段落しての吉良探しはあっさり寝所から炭小屋に至る。肝心の仇討ちはまず自裁を進め逆らったので大石がぐっさり、首級をあげるシーンは省略。
討ち入り後のお話は簡潔、凱旋もさほど派手ではない。お預け先でのもてなしは寺坂吉右衛門が大石の妻に報告のシーンで語り、義士の扱いについての論議は荻生徂徠召して聞くくらいで柳沢吉保も出てこず、切腹のくだりにはEDかぶり大石の辞世でホワイトアウトして幕。
ロケ地、ほぼセット。江戸城イメージに姫路城天守、雪の豊岡路イメージは不明。
*凱旋行進の前に瓦版が出て義士の名前を全部載せてあるのは…マズいとは思うがまあいいとして、寺坂吉右衛門に大石の下知シーンないのは唐突かも。*役名ないもののクレジットされていた福本センセイ、炭小屋から飛び出してくる付人。赤埴源蔵に槍で脇腹を刺され、もっぺん真っ向に割られてのけぞり。
キャスト
大石内蔵助/松平健
浅野内匠頭/沢村一樹(幼時/小林翼)
吉良上野介/伊東四朗
徳川綱吉/津川雅彦
千坂兵部/夏八木勲
大石主税/山崎裕太
吉田忠左衛門/寺田農
奥田孫太夫/大出俊
堀部安兵衛/宇梶剛士
堀部弥兵衛/佐野浅夫
片岡源五右衛門/羽場裕一
原惣右衛門/成瀬正孝
大石瀬左衛門/藤岡太郎
岡野金右衛門/要潤
不破数右衛門/寺島進
赤埴源蔵/永島敏行
大高源五/石丸謙二郎
磯貝十郎左衛門/安藤一夫
神崎与五郎/村井克行
岡島八十衛門/遠山俊也
前原伊助/志村東吾
勝田新右衛門/北原雅樹
潮田又之丞/真砂皓太
寺坂吉右衛門/梨本謙次郎
矢頭右衛門七/冨田翔
小山田庄左衛門/高知東生
高田郡兵衛/山下徹大
橋本平左衛門/渡辺大
毛利小平太/森岡豊
大野九郎兵衛/石田太郎
大石りく/田中好子
阿久里(遙泉院)/櫻井淳子
戸田局/野際陽子
浅野大学/藤巻裕己
安井彦左衛門/重松収
藤井又左衛門/小沢象
なみ(右衛門七母)/萬田久子
お島(小山田情婦)/美保純
八重(勝田新左衛門妻)/中山忍
お袖(安兵衛妻)/濱田万葉
内田三郎左衛門(高田郡兵衛叔父)/石立鉄男
高田弥五兵衛(高田郡兵衛兄)/伊東貴明
大竹重兵衛(勝田舅)/河原さぶ
塩山伊左衛門(赤埴源蔵兄)/菅田俊
お杉(塩山家女中)/矢沢心
おまき(赤埴兄嫁)/浅利香津代
お信(安兵衛元恋人)/大路恵美
加古川本蔵/平泉成
戸無瀬(本蔵妻)/戸田恵子
小浪(本蔵娘)/前田亜季
戸田権左衛門(浅野本家)/荒木しげる
井上団右衛門(浅野本家)/中田博久
小山孫六(浅野本家)/石山輝夫
荻生徂徠/橋爪功
柳沢吉保/中原丈雄
上杉綱憲/榊英雄
清水一角/松重豊
小林平八郎/春田純一
梅(千坂密偵)/大家由祐子
佐吉(千坂密偵)/西村匡生
吉良家付人/福本清三
多門伝八郎/片岡鶴太郎
田村右京太夫/楠年明
牟岐平右衛門(田村家用人)/草川祐馬
脇坂淡路守/村上弘明
天野屋利兵衛/藤田まこと
垣見五郎兵衛/江守徹
浮橋太夫/池上季実子
村上喜剣(薩摩浪人)/金田明夫
畳屋文吉/高橋元太郎
お艶(大工の娘)/前田愛
平兵衛(お艶父、大工)/西田健
宝井其角/高橋長英
土屋相模守/北大路欣也
本作品にはサブタイトルが付けられていませんでした。以下は、テレビ朝日公式サイトで付けられていたタイトルと、当日の朝日新聞テレビ欄にあったキャプションを拾い資料としました。尚、東映の公式サイトには本編と同様サブタイトルは記述されていませんでした。
第一話
テレ朝サイト「刃傷 松の廊下」
朝日新聞「今夜甦る史上最大の復讐劇!主君の無念を晴らす四十七士!涙と感動の物語」
第二話
テレ朝サイト「赤穂激震」
朝日新聞「怒りと涙の赤穂城!内蔵助動く」
第三話
テレ朝サイト「赤穂城明渡し」
朝日新聞「赤穂城涙の明渡し…狙うは吉良の首でござる!」
第四話
テレ朝サイト「静かな決闘…千坂兵部」
朝日新聞「涙に濡れた松の廊下…妻への誓いと主従の絆」
第五話
テレ朝サイト「遊興に隠された真意」
朝日新聞「同志の死と妻の愛…涙の一周忌に散る祇園の桜」
第六話
テレ朝サイト「山科 永遠の別れ」
朝日新聞「明かされた涙の本心!そして妻と永遠の別れ…」
第七話
テレ朝サイト「祇園 東下り 垣見五郎兵衛」
朝日新聞「討ち入り前夜(1)危機一髪!武士の心、男の涙…」
第八話
テレ朝サイト「討入り前夜 揺れる浪士たち」
朝日新聞「討ち入り前夜(2)最後の恋と涙の絵図面…そして決行へ」
第九話
テレ朝サイト「討ち入り…狙うは怨敵・吉良上野介の首でござる!」
朝日新聞「雪の江戸…赤穂浪士涙の討入り!狙うは怨敵・吉良上野介!感動の時代劇巨編ついに完結!」
*第一話と第九話はスペシャル二時間枠