井上芳夫監督作品 1974.2.9勝プロ/東宝
怪作・御用牙、シリーズ第三弾。
フォーマットができあがっているので、「鍛錬」シーン、手下二人や上司とのやりとり、女たちとのからみなどは彩りとしてあっさりコミカルに描かれ、ストーリーに重点が置かれたつくり。
今回板見のダンナの標的にされるのは老中・堀田備中守、悪徳検校とつるみ御用金を横流しし御家人に貸し付けて大儲けのワル。老中に西洋文明の要を諫言し不興を買った医者と、借金がらみで検校の用心棒に殺された親友と、半蔵は二人の男の命を背負うこととなる。
事件の発端は幽霊騒ぎ、ここから御用金がらみの秘密が明らかになってゆく。
ロケ地
・御堀端で幽霊を見た鬼火とマムシが肝をつぶして逃げ帰る橋、中ノ島橋。
・北町奉行所、京都御所管理事務所門。
・老中の命で医師・玄庵を連行する半蔵、広沢池東岸堤道。
・老中・堀田邸、仁和寺本坊門、大玄関、宸殿廊下。
・石山検校の梅屋敷裏門、中山邸通用門。
・堀田邸裏手から侵入する半蔵、仁和寺宸殿北塀か。
・老中出仕の駕籠がゆく道、仁和寺参道から勧修寺参道へスイッチ(ここで大砲ぶっ放し)。
・事後、親友の墓に取り返した槍を持ってくる半蔵、丹波国分寺跡礎石。
検校の用心棒との立ち回りは本堂前。
・ラスト、橋を渡る半蔵、渡月橋。
*老中や検校を脅しつけ、奥方をコマす手口はいつも通りの型破り。しかし今回はとんでもアイテムも登場、西洋式大砲。製作過程、材料調達手段、運搬、使用方法、始末に至るプロセスがノリノリの傑作。また、死んだかと思わせて最後に現れる、検校の用心棒・成田三樹夫の使い方が泣かせる。手下のマムシと鬼火の、耳タコのカミナリに、言われる前に自ら唱和のシーンもノリノリ。*キャスト、他には老中に名和宏、その奥方に緑魔子、検校に小池朝雄、玄庵に高橋悦史、御金蔵の見張り役の小役人に戸浦六宏など。
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