鬼平犯科帳スペシャル、2005.2.8CX
原作とも、第一シリーズの同名作品とも異なった作りで、離ればなれになっていた男女の運命の邂逅と、哀しい末路を描く。
お勝が鬼平の従兄・「仙どの」を誘惑して三沢家に引き込みに入ろうとするのは原作や前作と同じ。お勝を調べに行った鬼平の密偵・関宿の利八はこのまま二人で消えてしまうが、彼らは生き別れの夫婦というのがこのお話の設定。利八は霧の七郎の姦計にはまり焼き殺された夜兎の角右衛門の手下で、おかしらを助けに炎の中に飛び込み、ひどい火傷を負ったのを平蔵に救われた経緯を持つ、と語られる。お勝、真の名はおしの、霧の七郎配下の引き込み女。この作では利八が死んだと思い込み「何もかもどうでもよくなって」霧の七郎の手下として過ごしている。二人はそれぞれの主を裏切り、この上は死という切所に立ち、江戸を売って二人での暮らしを夢想するが叶わず、血塗れの運命が待っている。
二人の男女の哀話を主軸にいつもの鬼平ワールドが展開される。猫どのは相変わらず料理の薀蓄を垂れ、うさ忠は女に弱いし、五鉄では鬼平が密偵たちと軍鶏鍋を囲むが、彦十のとっつぁんの姿がないのが悲しい。
ロケ地
・三沢仙右衛門が暑気あたりで倒れる王子稲荷、下鴨神社二の鳥居(門前にある山吹屋はセット)。
・失踪した利八の探索からはずされた五郎蔵が考え込むところへ、おまさと粂八がやってくる林、下鴨神社糺の森池跡(木々は紅葉)。
・山吹屋を見張っていた粂八が霧の七郎の手下を見たとおまさに話す堀端、八幡堀・明治橋下堀端(後段、おしのが利八を救うため霧の七郎の盗っ人宿へ向かう雪の夜道も同所)。
・偽造手形の代金を博打で稼いだ利八が船から上がりなまず堂へ向かう橋、八幡堀明治橋。
・このほかアイキャッチとして、出役の平蔵のシーンに松本酒造前東高瀬川堤。
・利八を待ち続けるおしののシーンと、霧の七郎に捕まって責め問いされるシーンの間に挿まれる夕景の橋に流れ橋(シルエット)。
*夜兎の角右衛門は殺された設定なので、利八は五郎蔵配下というポジション。単なるコンバートではなく、ちゃんと利八と五郎蔵さんのドラマも用意されている。
*牢のお勝に密偵になれと熱く口説く鬼平、利八を失って絶望の淵にある女に生きる意味を与えてやる、深い情が泣かせる。
→鬼平犯科帳 視聴メモ 表紙
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