1997-1998テレビ朝日/東映
キャスト
徳川吉宗(徳田新之助)/松平健 鶴姫(千鶴)/中村あずさ
大岡忠相/田村亮 宍戸勘兵衛/高島忠夫 隼人/大森貴人 あやめ/大竹一重
おぶん/生稲晃子 長次郎/山本譲二
*写真は女大学・明徳館に設定された相国寺大光明寺
第1話「登場!吉宗を振った女」
いつまでも一人身の上様にキレたじいのはかりごとで、お見合い突入。しかしその席で、上様が姫をみそめて恋焦がれなんていう作り話はバレバレ、激怒した姫は中座する。利かん気ぶりを気に入る上様、これが井伊家の姫に正室になられては困る旗本の陰謀につながる。
ロケ地、江戸城天守、姫路城天守閣。長次郎の縁談について新さんと話す辰五郎、梅宮大社神苑汀に茶店セット。彦根藩上屋敷門、大覚寺大門。鶴姫が家士相手に剣の稽古、相国寺大光明寺石庭。平河門を出る土屋相模守のスパイの腰元、二条城本丸西虎口。この腰元が口封じに暗殺された件を聞き父に話を聞きに行く鶴姫に刺客、上賀茂神社二紫姫稲荷参道重ね鳥居〜渉渓園。介入し撃退の新さんに礼を述べ「徳田どの以前どこかで?」のお間抜け姫はならの小川畔。
*土屋邸へ討ち込むのを忠相に止められる態で紫頭巾登場、頭巾の結び方が江戸を斬るのそれと微妙に違う。*女大学へ案内も請わず入る新さん、女の子たちを避けて入り込んだはドレスルームで覗きの痴漢と悲鳴が上がる…折悪しくしごきや襦袢被っちゃっててトホホ新さん。*ラス立ち福ちゃん入り。上賀茂で出た刺客の中にもいたような。
第2話「狙われた新妻 殺意を呼ぶ過去」
め組の女将となったおぶんに魔手が迫る。彼女に捕まったことで女房は死んだと逆恨みの盗賊が八丈から帰還したのは、隠し金目当ての北町奉行の差し金だった。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺門。南町の御赦免係に五六蔵の名前を入れるよう迫る北町与力、鳥居本八幡宮舞殿見上げ。八丈島イメージに日本海と思われる波濤を入れ、赦免の名が読み上げられる浜は保津峡落合河口汀にスイッチ。彦根藩上屋敷、大覚寺大門。八丈から五六蔵を帰すよう計らった南町同心のことや、北町の怪しい動きについて報告が上げられる、上賀茂神社御所舎前。盗賊の隠し金を掘り出す一味、鳥居本八幡宮広場。
*ラストでは長次郎に新さんの身分が明かされ、引退する辰五郎を労う「上様」で幕。*紫頭巾は金掘り現場に現れ無茶をするが、忠相が連れ去る。
第3話「居酒屋の女の告白」
強請りのネタを探す御家人くずれのワル、酒肆の女の酔言から目付役の青年の出自を知り脅しにかかる。その昔、落ち度なき「過ち」から目付の家を出され亡くなったことにされていた「母」はその酌婦、息子の身に降りかからんとする災いを一身に負い、それと知らぬ息子に看取られ眠りにつく。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺・門越しの前庭〜中仕切りと石庭の一部。子守女をかまう小料理屋・瓢箪のおえん、上御霊神社本殿裏手。「千鶴」と話すベンチは本殿手前の茶所。酒浸りのせいでふらついて町をゆくおえんを介抱する新さん、今宮神社稲荷社前。御家人くずれに脅されたおえんが包丁を隠し持ち追う道、吉田神社竹中稲荷本殿脇石段、舞殿。
*ラス立ち福ちゃん入り、アップののけぞりもアリ。
第4話「妖しく光る銀かんざし 出合い茶屋の女」
切米手形を投機対象にして大儲けの札差、勘定奉行とつるみ更なる悪事を企てる。その資金は盗みによって調達されており、凶行により家族を失った娘から復讐の「依頼」が殺し屋に出ていたりする。殺し屋は女、なぜか新さんがターゲットに入っているが、被害者が徳田と奥田を聞き違えたというオチ。新さんにべたべた近づく女に「千鶴先生」やきもき。
ロケ地、火事場で見つかった変死体のことを上様に報告する忠相、姫路城西の丸(勘兵衛来て逃げ去り)。明徳館、相国寺大光明寺門、方丈廊下、中仕切。女大学からの帰り、生徒の一人であるお蘭と散歩の新さん、大覚寺大沢池北岸。切米投機の札差と勘定奉行が密談の屋形船、嵐峡湛水域。め組の衆が、新さんとお蘭が出合茶屋へ入ったと噂するのを立ち聞いた千鶴先生が物思いに沈む水辺、梅宮大社神苑汀(塀越しのと、池側からと二通りのアングル)。お蘭が女たちの晴らせぬ恨みを受け取る品川のかんざし稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿、天満宮、参道の重ね鳥居。千鶴先生が、お蘭の正体と勘定奉行の悪事を新さんにまくしたてる茶店、仁和寺茶店と参道石段。ラスト、観能を断った鶴姫の行為を弓のお稽古中の上様に詫びる月島、姫路城西の丸。
*辛酸を舐め、恨みだけが生きる支えだったという女殺し屋・お蘭、新さんの説得にほだされ「依頼」は放棄、しかし真の悪に刃向かい敢無く散る。
第5話「汚された花嫁たち」
父と縁の薄かった幼い忠相を守り育ててくれた中間・吉兵衛との再会は、悲しい別れへと続いていた。賭場の借金をタテに脅された吉兵衛は、凶盗の手先と成り果て情報係として働かされており、このことは賊とつるむ奈良奉行に利用され、一時忠相が窮地に陥る場面も。
ロケ地、忠相の幼時の回想、大岡邸門前で不行跡を咎められ打擲される吉兵衛、妙心寺隣華院門。吉兵衛の回想、幼い忠相と二人遠州への道中風景、流れ橋(見上げ)。明徳館、相国寺大光明寺門。凶賊・お役者菊之助が奈良奉行に吉兵衛と忠相の関係を告げる、仁和寺観音堂脇。吉兵衛の怪しげな交友関係についてあやめの報告を受ける新さん、粟生光明寺石段見上げの本堂をバックに。吉兵衛の回想、大岡邸を放逐されるシーン、妙心寺隣華院前庭。忠相との旅の回想に木津川川中(おぶって渡渉)。吉兵衛をネタに上野山下の弥勒寺に誘い出される忠相、討ち込みのシーンは粟生光明寺紅葉道と薬医門。吉兵衛を追う南町の人数、本堂裏石垣際、回廊。凶賊・血桜組の後ろ盾は奈良奉行と報告の庭番、仁和寺観音堂脇(遠景に鐘楼の赤がのぞく)。捕まえた吉兵衛を始末しにくる奈良奉行、九所明神。忠相が吉兵衛を看取る、経蔵付近の林間。奈良奉行・仙石邸、相国寺大光明寺(南塀越し)。
*千鶴先生の紫頭巾はなしだけど、横死した生徒の仇討ちに、狙われた商家の花嫁に偽装して晴れ着姿で立ち回りのお転婆はやらかす。赤子をあやす吉兵衛見てうるうる場面などもあり。*賭場の中盆、ラス立ちの家士に福ちゃん。
第6話「犯された義母の仕掛けた罠」
藩主の三男に妻を陵辱され面目を失って切腹した指南役、その娘の仇討ちに手を貸す上様。芸人に身をやつし仇を求める娘の健気さが主題だが、今回の見どころはトリプル紫頭巾。仇討ち娘は黒羽藩士たちの髷を夜な夜な切り落としに出るが、その格好が紫頭巾。正義の味方のコスチュームに倣ったと本家紫頭巾に解説するのが笑える。同じ衣装のよしみと出る鶴姫の紫ちゃんは、助けに入った新さんが紫頭巾の正体を認識していることを知る。そして藩主三男のど助平ぼんぼんのもとへは、仇討ち娘と上様のダブル紫頭巾が乗り込んでゆく。特大の紫頭巾は見逃せない。
ロケ地、酔った黒羽藩士が髷切り横行のことを笑って話すと出る紫頭巾、大覚寺勅使門橋。仇討ち娘・おりんの芸「やれ突け小町」に仕掛けて失敗の黒羽藩士たちが江戸家老に雷を落とされる、相国寺鐘楼脇。明徳館、大光明寺門。彦根藩上屋敷、大覚寺大門。おりんが参る父の墓、二尊院紅葉の馬場〜墓地。行方不明だった義母が、藩主三男と密通していたことを知りシメ上げるおりん、中山邸通用門前。事後、明徳館で大きいほうの紫頭巾は誰?と千鶴に聞かれる新さん、鹿王院回廊。娘たちに囲まれ逃げるのは庭。
第7話「美しき婚約者の悩み」
上様が創立した養老宿を私腹肥やしに利用する北町奉行、気付きかけた与力二人のうち一人は暗殺され、いま一人にも魔手が迫る。この危機に、陰から見守り助け手となる夜鳴き蕎麦屋は勘当され家を出た異母兄。この、弟と義母を思いやり身を引いた兄の人情ばなしがメインテーマ。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺門。許婚者の北町与力を案じて沈む早苗に庭で話を聞く千鶴先生、鹿王院回廊。これを新さんに相談する千鶴先生、広沢池東岸(汀に船着き、与吉が店を出していて二人の話を聞き、弟の危機を知る)。早苗の回想、許婚者の数馬にしばらく会えない・何かあったら母を頼むと言い渡される、妙心寺放生池畔(背景に玉鳳院門)。数馬のあとをつける男は武士と千鶴に話す新さん、鹿王院本堂前。奉行の使いで出た数馬が弓で射られる明神堀、大覚寺有栖川畔(河床から見上げ)。弓で狙う奉行とグルの北町同心は五社明神の中から。そのあと出た刺客と戦いあとを追う「蕎麦屋」与吉、船に乗り込む刺客団は渡月小橋南たもとの階。これに礫を投げる与吉は橋上。事の次第を新さんに報告する隼人、大覚寺五社明神裏手。与吉の女房が新さんに話す身の上、信州追分の飯盛女だった彼女を足抜けさせる与吉が逃れる道、保津峡落合崖上、崖下、河口汀。早苗を拉致った奉行邸を探っていて露見・負傷した与吉が同心に斬られて落ちる堀、嵐山公園中州湛水域。
*紫頭巾は出ず、千鶴先生で出張る。新さんと別に発展はない微妙な会話がある。*蕎麦屋の「兄」は大橋吾郎。
第8話「怒りの吉宗 棺おけの中の策略」
普請奉行が材木商と組んで企む儲け話は、自分たちが放火した先の再建ラッシュ。しかし隠居していた豪商が儲け無しで入札に乗り出すと聞き、奇妙な策を仕掛けてくる。
今紀文と呼ばれた豪商・大島屋に新克利、資金調達のため偽りの葬式を出して早桶に出たり入ったりのどたばたが実によく似合う。新さんを将軍と知ったあとの気抜けギャグ・ちょっとヘンな紀州弁の「香典おありがとうございますでのし」もなかなか笑える。暴将によくある、黙っていればいいのに上様の腹を探りに罷り出て怪しまれるパターンも出る。
ロケ地、焼け出された被災者に炊き出しの千鶴先生と生徒、神光院本堂脇(被災者収容のお堂は中興堂)。大島屋急逝を上様に報告する忠相、二条城清流園(ラスト逍遥も同所)。め組に匿われていた大島屋が元手代にたばかられ連れ出され殺されかかる、今宮神社合祀摂社前。普請奉行と材木商肝煎りが結託と報告のあやめ、相国寺法堂基壇。入札出席を阻止するため連れ出され斬られる大島屋の内儀、大覚寺五社明神裏手。
第9話「彼女を賭けた決闘!」
柳生を貶めて将軍家指南役を奪う陰謀、真の目的は上様暗殺の刺客送り込み。挑まれた勝負を前に柳生の総領息子は失踪するが、六年前の果し合いで臆して失ったプライドを取り戻すためだった。
ロケ地、柳生の高弟が奥女中と心中を偽装されて見つかる、仁和寺塀際叢。柳生道場、民家長屋門。小野派一刀流道場、不明。明徳館、相国寺大光明寺門。夕餉の買い物に出た千鶴先生を呼び止める新さん、妙心寺大庫裏北西角のクランク。柳生兵庫がやってくるのは春光院南塀際、「鶴姫」との会話を立ち聞き新さんは大庫裏塀際の松の陰。御前試合に出ず水際で沈思する兵庫、嵐山公園中州・桂川堰堤前。兵庫に会いに二人でよく稽古した場所へやって来る鶴姫、上御霊神社本殿裏手。小野半平太と決闘の護持院ヶ原、下鴨神社河合社〜池跡(六年前の果し合いも池跡)。二人を見ていた上様が剣をおさめ帰る兵庫の前に立つ、南禅寺三門下。ラスト、千鶴先生にお重ぎっしりのご馳走を作ってもらってご満悦の新さん、いちゃいちゃデートは仁和寺鐘楼南側の草地。
*六年前の決闘は鶴姫をめぐっての恋の鞘当て。戦闘中、柳生の血筋が絶えることを思い臆して敗れる兵庫、二度目の対決は半平太のほうが嫁の顔ちらついて萎縮、六年前の自分と同じ目と見た兵庫は剣を引く。*鶴姫の過去に興味津々上様、身を乗り出して月島さまに「余も知りたいぞ」…。そのうえ最後のランチデートではとってもオヤジくさいし鶴姫に突き飛ばされてるし。*ラス立ちは御前試合から成敗になだれ込み、福ちゃん入り。二回派手にくるくるのけぞり、上様の陰になって見えないとこでも一生懸命回っている。
第10話「陰謀に巻きこまれた黄門様?」
水戸黄門漫遊記なる黄表紙が大はやり。当の黄門の息子である水戸のご隠居・綱篠も読んでさすがわが父とご満悦、しまいに側用人の介之丞と鶴右衛門を従え世直し旅と洒落こむからタチが悪い。ご機嫌で町をゆくご隠居、徳田新之助や鶴姫とも出会いどたばた展開、しかし隠居が邪魔な付家老と、失脚して憎悪をたぎらせる間部詮房の魔手が忍び寄る。
ロケ地、水戸綱篠隠居所、不明(池泉と茶亭、梅宮神苑に似るも確信なし)。漫遊記取締りを上申の水戸の江戸家老について話すじい、姫路城はの門下坂。水戸家上屋敷、大覚寺大門。明徳館へやって来るご隠居、相国寺大光明寺前庭〜門。ご隠居を狙う間部の娘に声をかける新さん、大覚寺天神島祠。ご隠居を襲う浪人たち、護摩堂前。父を諌めるも出て行けと大喝された美雪が佇む、大沢池畔(木戸越し)。箱根へ向かうご隠居を止め連れ帰る江戸家老、酵素ダート。事後、水戸の隠居から御台は鶴姫以外無いと文が来たと開陳の月島、姫路城西の丸にガーデンセット。
*水戸の隠居に神山繁。間部詮房に西沢利明、銀髪のほつれ髪に加え病んで喀血してみせ、線が細くて癇性な憎悪のかたまりを好演。
第11話「覗かれた大奥 女たちの陰謀」
大奥のお局さまが、小普請奉行と組んではたらく悪企み。月島さまを失脚させる道具に使って殺そうとした娘が我が子と知ったお局さまは、母性をもって真人間に立ち返り死んでゆく。
ロケ地、大奥イメージに姫路城西の丸。お奈津の件で謹慎をくらった月島さまを拝領屋敷に訪ねる千鶴、妙心寺天祥院門。見張っている小普請奉行の手下は寿聖院入口から覗く。月島の後を襲う企みのお局さま・綾瀬の屋敷、相国寺光源院門。小普請奉行と悪企みの庭は坂口青龍苑。明徳館、相国寺大光明寺。甲府帰りの青木半十郎がお奈津にプロポーズ、上賀茂神社渉渓園。綾瀬が鶴姫を訊ねる井伊家上屋敷、大覚寺大門。夜の市中で襲われるお奈津と半十郎、五社明神。亡母の知り合いと墓へ参った奈津が出生の秘密を聞かされる、くろ谷墓地。衝撃を受けたお奈津の話を聞く新さん、大覚寺大沢池に屋形船。綾瀬にお奈津が実の娘と告げる上様、茶亭は坂口か。事後、トリオ逍遥のお庭、坂口。
*綾瀬に高田美和。ラス立ち福ちゃん入り、きれいな「一旦静止」ののけぞり。
第12話「母親なき家庭 誤解された父親」
無役の御家人・角田は常々息子に不甲斐なさを指摘され、一念発起して御意見番方の会合で不正を糾弾しようとするが消されてしまう。このあとは、視野狭窄ぎみの息子をケアして父の真情を悟らせ、不正糾弾の場に立たせる展開。
ロケ地、弓の上様に御意見番方の寄り合いを仕切る老中について愚痴るじい、大覚寺勅使門前(外側)。明徳館、相国寺大光明寺門。中庭は鹿王院回廊前。津山藩留守居役が大目付に更なる賄賂を要求される屋形船、乗り込みは大覚寺大沢池船着(小)、密談は池上。大目付の所行を報告の隼人、心経宝塔前に茶店セット。角田の息子・龍太郎に津山藩の賄賂のことを告げる新さん、天神島。留守居役たちの会合を立ち聞きして見つかり、誰何される龍太郎を助けて連れ出す千鶴、大沢池畔。大目付の懐柔をはねつけた龍太郎を襲う刺客、妙心寺玉鳳院前。ラスト、じいと上様が逍遥の庭(流水庭園のバックに姫路天守は合成か)、不明。
*息子に軽侮される苦悩の父に内田稔、早い段階で消されるも回想シーンで出まくり。大目付役の立川三貴がなかなかに憎たらしい嫌味っぷりでマル、これに無理難題を吹っかけられる留守居役は峰蘭太郎で、またいい味。
第13話「欲望のくし 美しき人妻の苦悩」
伊豆七島の産品を一手に扱い値を吊り上げる悪徳商人、伊豆代官と勘定奉行がグル。秘密保持のため終生遠島の囚人を使い、万が一赦免となった際は密殺という悪辣さ、魔手を逃れた一人は江戸に帰りつき命を賭して告発しようとする。この男の、娘との確執と和解の情話が織り込まれる。
ロケ地、赦免になった囚人が消される八丈の断崖、保津峡落合落下岩。明徳館、相国寺大光明寺。八丈で調査のあやめが娘を巻き添えで殺された漁師に話を聞く、保津峡落合河口。悪徳商人のことを報告の隼人、梅宮大社舞殿前。事後、いつになったら鶴姫ととじいに詰め寄られる上様、二条城清流園〜内濠端。
*からがら逃げ出して江戸に帰還の職人に河原崎建三、勘定奉行に和崎俊哉。伊豆代官の部下・吉岡半兵衛(劇中称のみ、クレジットに役名なし)に福ちゃん、断罪に現れた上様に斬りかかるが、この際の片手で鞘を払っての抜き打ちは必見の美技。
第14話「箱根湯けむりに浮かぶ陰謀」
沼津藩のお家騒動、殿様は幽閉され隠居届を出されてしまう。明徳館の新任先生・雪乃(正体は沼津藩主の姉・雪姫)をサポートするかたちで介入の新さん、旅役者夫婦を装って街道をゆく。最後は悪家老たちにたばかられ国家老の息子と祝言を挙げる雪姫の前に将軍として現れ、成敗の雨嵐。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺(門、前庭)。暗殺された沼津藩の若侍について上様に報告の忠相、二条城鳴子門前。吉宗の示唆により一人旅行く雪姫の前に品川へ一里の道で旅役者姿で現れる新さん、山室堤道。雪姫のなりを鳥追いに変えさせる茶店(箱根旅行のおぶんと生徒が来て、雪姫と新さんが駆け落ち?と騒ぐ)、不明。逃げ出した二人が夕陽を見る街道は山室。新さんと雪姫が一緒と聞き馬で追いかける千鶴、嵐山自転車道。長次郎をたばかっておぶんたちを追いかけるめ組の源次一行、谷山林道切り通し。箱根の山なみ、谷山林道からの眺望。箱根で温泉につかるおぶんたち、摂津峡と山水館露天風呂。早朝一人で箱根を出た雪姫に追いつく新さん、谷山林道分岐道。雪姫が国家老の息子に迎えられたあと、黒幕は国家老と隼人の報告を聞く新さん、琵琶湖西岸松原。事後、帰途につく新さんを相模の海浜で待っている千鶴も同所。
*国家老に川合伸旺、江戸家老に山本昌平と悪役陣こてこて。*今回の見ものは鶴姫のジェラシー、初手から雪乃に目をつけたと新さんにムカつき「不潔・サイテー」とぷんぷん怒る鶴姫、雪姫と新さんが一緒に道中と聞いては暴発して馬でだかだか追いかける。でも熱を出して倒れた自分を夜通し看病してくれたのは嬉しい鶴姫、沼津への介入は避け帰途の新さんを待っているのだった。しかし「嫁にいく」と言ったのに取り合わない新さんに「鈍感男!」のカミナリ。
第15話「買われたお姫様の秘密」
鶴姫のいとこ姫が、借金のカタに悪旗本に結婚を迫られる話。姫を案じて相手の旗本を調査する若侍などいて、フツーならしっとりとした情話だが、姫が鶴姫関係者なのでやっぱりアレ。そもそも登場からして、お城の濠で鯉を密漁しているんだからトンデモ。貧乏藩なので、藩主自ら藩邸では畑仕事、食うだけでなく販売もしている模様。借金は凶作に苦しむ領民のためにしたもので、姫は父の事情を察し結婚を承諾という涙話だが、親子の会話がとっても伝法…男手一つで育てたから設定らしいが、町場でもそこまでは。
悪旗本は、最初から名前を聞くやイヤーな顔をしていた上様に成敗され、下品な姫様は悪旗本の弟(無理矢理隠居させられた父とこいつはイイ奴設定)と結ばれてハッピーエンド。
ロケ地、鯉に餌やり上様に目通りの大友摂津守、二条城清流園。おわい船で城を出る上様、セットからつなげての水面は大沢池、茶々姫が密漁は池堤下の汀。明徳館、相国寺大光明寺(門、前庭)。今津藩下屋敷、不明。摂津守の弟・竹二郎が刺客に遭う、妙心寺玉鳳院前(尾行していた茶々が飛び出してくるのは涅槃堂四脚門際)。手傷を負った竹二郎が身を潜めるのは相国寺鐘楼。摂津守が馬鹿な遊びをする料亭、錦水亭東屋。その場にいた芸者が始末される道、大覚寺大沢池堤の片側に竹垣セット。これを目撃して追われる茶々を助ける竹二郎、望雲亭南側の有栖川脇の道。明徳館へ来た若侍たちから茶々姫の話を聞く新さん、護摩堂脇。藩邸で茶々の手当てをしたあと送ってゆく竹二郎、罧原堤下汀。
*貧乏藩では江戸家老も薬の行商に出ていたり。これが小峰さんでメチャ可愛い。
第16話「弟よ 江戸に来た姉の思い」
出世講なるサークルを主宰する若年寄、中身はトンデモの、役職のセリ。競り落とされたポストの現職は殺し屋に消させるという非道、この手先に使われる若いチンピラと、更正させようとする姉の情話が主軸となる。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺(門、塀際)。ヤクザと話す弟・清吉を目撃する姉・おはつ、相国寺鐘楼裏手(おはつが植木越しに覗くのは法堂前)。おはつが奉公していた大番頭・瀬戸邸、妙心寺隣華院門。幕閣の変死について報告の庭番、大覚寺護摩堂。新さんに弟のことを相談するおはつ、上賀茂神社ならの小川畔。おはつの回想、弟がいたずらをする木更津の浜、琵琶湖西岸(後段、弟の回想も同所)。作事奉行が事故を装って暗殺される妙輪寺別当院、大覚寺大門。清吉を騙して連れ出したおはつを拉致するヤクザ、大覚寺天神島。大番頭・瀬戸を拉致しようとする一味、参道石橋。おはつが乗せられた駕籠の前に立ちはだかる長次郎、五社明神。
*若年寄に田口計。出世講の座敷を床の間の鬼面から覗いてる姿が可愛い。
第17話「謎!孤児を集める男」
火事が相次ぎ、孤児となった子らが町で悪さを重ねる。これを保護する謎めいた浪人は、焼け跡を岡場所にとはかる材木商のもとに乗り込み真実を追求するが、これは置き去ったままの実子への思いがなせるものであった。
ロケ地、法輪寺へ参詣の月島さまが孤児らに襲われる、龍潭寺(山門、境内)。材木商と若年寄がつるむと報告の庭番、梅宮大社神苑汀・門前に茶店をセット。こそ泥ガキを連れてゆく岡村浪人と新さんが緊張の対峙、大覚寺天神島。明徳館、相国寺大光明寺門(任されたものの持て余し悪ガキを預けてゆく新さん)。明徳館を出た新さんについてきてしまうおさき、山室堤道か。
*岡村浪人に目黒祐樹、天真爛漫だったり磊落だったり策士だったりもする人物を熱演。*孤児らの家を建ててくれた将軍さまへの、子らからのお礼は目安箱にどっさりの千羽鶴。これは青空に舞う折り紙のCG(ちょっと脱力系)につなげられる。
第18話「口づけが起こした波紋」
公儀御用の銀を横流しし抜け荷取り引きに使う悪党の話に、天然系の姫の恋騒動まで添えられてかなりドタバタ。抜け荷船が船番所を通るのに、火付け名人の忍びが時限式火矢を使うエピソードもある。
ロケ地、小名木川を横切って飛ぶ火矢、大覚寺大沢池(夜)。寄合席の無頼旗本らが女郎を足抜けさせるのも、中川船番所も大沢池畔。火事騒ぎに巻き込まれた佐知姫を寝かせる友之進、聖天堂(気を失った姫にキス)。銀が搬入されたことを寿ぐワルが集う唐物問屋・豊栄屋の寮、望雲亭。明徳館、相国寺大光明寺門。友之進のことを報告する隼人、大覚寺勅使門橋。火事の際船番所で見逃された一隻のことを報告の隼人、心経宝塔前に茶店セット。芸者殺しの男を尾行する友之進、仁和寺九所明神。友之進は無頼と千鶴に聞かされた佐知姫が行ってみるあの折のお堂、大覚寺聖天堂〜天神島朱橋。ワルの黒幕・勘定奉行大江邸、大門。お堂でデートの佐知姫と友之進を見る新さんと千鶴、放生池堤。
*鶴姫関係者の姫はやはり天然、初めてのキスで「運命の人」扱い…ほぼ根拠なし。だいじょうぶか井伊家。*船番所パスの銀運搬船、船頭に福ちゃん。
第19話「妖しき占いの謎 グータラ夫に説教された吉宗」
御用商人を襲い、市中に吉宗退陣祈願の絵馬をぶら下げて回る賊が出現。これをネタに、老中一同が声を揃えて上様に迫る事態に。解決の糸口は、たまたま知り合った空屋敷番の釣り好き昼行灯からもたらされる。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺門。空屋敷番の小役人・江川が新さんに同僚受け持ちの一件(中でオークション?開催中)を見せる、妙心寺龍泉庵門(竹矢来あしらい)。いまひとつの空屋敷(修験者が怪しげな占い)、不明(ポーチに石段)。そこへ潜入の千鶴が帰る道、仁和寺観音堂脇石畳。ラスト、お庭逍遥の上様トリオ、阪口青龍苑。
*空屋敷番の昼行灯に津村鷹志、いい人設定で吉宗の施策にも一家言。この際「北風と太陽」を引いてのお説教、これを受けて上様が「ゆっくり行こら」とやるが、違和感アリ。念のためネイティブに確かめると「ぼちぼち行こら、やろ」との指摘。方言は難しいねぇ。
第20話「好きです!さらわれた鶴姫」
忠相暗殺未遂から起こる事件、復権を願う伊賀忍びの裏には抜け荷を働く長岡藩、更なる黒幕は吉宗が無役から抜擢した大目付だった。抜け荷に加担の大店の娘が明徳館の生徒だったことから千鶴先生がワルに拉致されてしまい、助けに乗り込んだ新さんが拷問されてしまう一幕も。タイトルは、自分のため身を投げ出してイタい目に遭った新さんに感激の千鶴先生が思わず漏らすひとこと。でもって、ナレーションでは「鶴姫は徳田新之助を選んだ」なんて言ってるんだよね。
ロケ地、明徳館、相国寺大光明寺門。忠相襲撃で捕まった根来忍び・伊助が泳がされ入る長岡藩上屋敷、大覚寺大門。再びの密命を受けた伊助が屋敷を出たあと渡る橋、上賀茂神社ならの小川神事橋。尾行していたあやめを呼びとめるのはならの小川畔の祠前。ここへやって来た忠相を銃で狙うも失敗、逃げた先で伊賀者の頭領・服部玄蕃(服部半蔵の孫)に斬られる、大覚寺大沢池畔。抜け荷に加担している大黒屋の娘が明徳館へゆく道、妙心寺方丈脇路地(玄蕃が塀際で見張っている)。夜、大黒屋の娘と千鶴先生が新さんに相談に出る道、大覚寺有栖川畔(河床から見上げ)。玄蕃らに拉致される、五社明神。上様が大目付・朝倉を呼び出す寛永寺、仁和寺(まず塔が映ってゴーンと鐘が鳴ったあと、朝倉と対峙の上様は金堂前参道・塔へ通じる路地のあたり)。
第21話「待たされた女の決心」
事件は、長次郎を逆恨みする島帰りの男が巻き込まれる騒動。ワルは彼を微罪で遠島にした元北町奉行と、偽金を見せ金にして巨額の利子を稼ぐ両替商。死んだと思った妻が長次郎に助けられていて涙の再会の人情話に、主人公二人の恋の決着譚がむりやり食い込むが、まだ中ほど。
ロケ地、元北町奉行・堀田と両替商・天満屋が密談の屋形船、大覚寺大沢池(夜)。天満屋が左平次を狙う旨報告の庭番、五社明神裏手。彦根藩上屋敷、大門。明徳館、相国寺大光明寺門。休み続きを千鶴先生に詫びる新さん、鹿王院回廊。散歩しながら左平次夫婦の話をする新さん、大覚寺放生池堤。天満屋で小判の鋳型を見つけたあやめが上様に報告の庭、二条城清流園。天満屋差し回しの浪人に囲まれた左平次がムクれてどっかと座り込む、大覚寺大沢池北岸(天神島北辺の水路際)。左平次の息子をさらった一味が呼び出しをかける内藤神社、吉田神社竹中稲荷本殿。逃げ出した親子に殺到する刺客を阻止する千鶴、脇の石段。
*千鶴先生、遂に彦根の姫と告白、実は自分もと告白しかける新さんだが、福本先生が殺到して水入り。福ちゃん、この直後のラス立ちには堀田の家来で出てくる。
第22話「うりふたつの女・お茶会に秘められた罠」
シリーズ最終話を飾るのは尾張の陰謀、鶴姫とそっくりの女を使い吉宗毒殺を目論む。やることが過激な割にお間抜けな尾張方、けっこう苦労してセッティングした鶴姫そっくりさんをあっさり斬ってしまい計画はおじゃん、無辜の死に怒り心頭の上様に乗り込まれてしまう。
ところで鶴姫、対面の席で「騙した」と憤然と席を立つものの監禁中も「徳田どの」を案じ、ラストでは本当のボクを知って欲しかったんですぅとか言って口説く上様にほだされている…が、第9シリーズには鶴姫は出てこない。
ロケ地、彦根藩上屋敷、大覚寺大門。尾張藩根岸別邸、中山邸門。明徳館の庭、鹿王院境内。おきりの父が尾張侍に斬られて放り込まれる根岸の河原、大覚寺放生池堤。新さんが鶴姫に言い訳して口説く河原、桂川・亀岡盆地か(ロングのみ、お芝居はスタジオ)。
*鶴姫そっくりのおきりは二役、尾張方に与し改易となった藩の出で吉宗を親子して恨んでいる設定。宗春も登場、吉原に居続けの遊び人ふう尾張大納言は西岡徳馬…なんか「殿ふら」みたいだけど、にこりともしない西岡徳馬はけっこう迫力あってコワい。江戸家老には内田勝正。おきり宅に来る聖天一家の借金とりに福ちゃん発見。
★追記
この「VIII」は鶴姫シリーズともいえるもので、全編を上様と鶴姫の「恋」に使う。
初手から上様のもとにお輿入れはお断りモードのやんちゃ鶴姫、しかし女大学講師で部屋住みの徳田新之助には次第に恋心芽生え、ラスト三話では井伊家を放逐されても新さんと添い遂げようと決心するに至る。上様はというと、のっけから鶴姫御台でオッケーじゃんモードで、徳田新之助として「千鶴先生」に接したもんだから、「新さん」に惚れた鶴姫が怒るのは無理もない…鶴姫も身分詐称してるんだけど。
二人の想いは最終話にて互いに確認されるが、鶴姫が御台所になってなどという具体的な話はなくぼかされている。暴将において上様は永遠の青年将軍で、時間はサザエさんワールドの如く止まっているので、次シリーズにおいては何にもなかったことにして「独身」の吉宗が活躍することになる。