快傑黒頭巾

松村昌治監督作品 1958.8.20東映


 風雲急を告げる幕末、新式銃を量産しようとはかる幕府の企みを、黒頭巾のおじちゃんが阻止するお話、大友柳太朗主演のシリーズもの。トレードマークは二丁拳銃。

 江戸へ出張った黒頭巾は、長州浪士を助けたり、角兵衛獅子を官憲から庇ったりとのっけから大活躍。メインの見せ場は伊豆洞ヶ島に作られた洋式銃の秘密工場で、黒頭巾こと山鹿弦一郎の父である洋学者・士行と高弟が捕えられ、設計に協力するよう浪士取締支配・間部に迫られる。また、間部の情婦に恨みを買ったことから角兵衛獅子姉弟(実は高弟の子ら)が捕えられ、脅迫材料にされてしまう。島に人夫として潜り込んだ黒頭巾は、見張り侍や海賊になりすまし火薬庫に時限爆弾を仕掛け、囚われの士行らを連れて虎口を脱する。大立ち回りもたっぷり、間部の情婦が黒頭巾を庇って凶弾に斃れる情話や、黒頭巾の父が斬られて落命する悲劇も挿まれている。

南禅寺僧堂坂

 ロケ地、富士を仰ぐ黒頭巾、不明。新式銃の設計図を奪おうとして罠にはまった浪士らを助けるのは川堤か。間部に連行される角兵衛獅子を助けに現れる黒頭巾、南禅寺僧堂坂(上写真)。岡っ引の権太が白馬の線から黒頭巾に迫る神社、下鴨神社河合社(門前、裏手)。洞ヶ島、不明。

*いろんな変装の黒頭巾が楽しい。アコーディオン弾きの与作や易者・天命堂(この二人は兄弟設定)に化けるくだりでは、長屋で一人芝居なんかもある。洞ヶ島では、まんまとお髭の見張り侍や海賊になりすます。いずれも、幕府方が騙されたと見るやいたずらっぽく嘲笑う顔がカワイイ。真の顔である弦一郎として出る時は沖田総司ふうの月代。*角兵衛獅子の「弟」友之助で出ている松島トモ子が歌う、黒頭巾のテーマも見どころ。*黒頭巾の父の数学者に志村喬、間部に山形勲、洞ヶ島で悪事に協力の海賊に澤村国太郎、長屋の衆にいとしこいし。

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