鬼平犯科帳

第9シリーズ、2001年4〜5月 フジテレビ

大川の隠居 一寸の虫 男の隠れ家 一本饂飩 闇の果て


大川の隠居
  2001.4.17

通算134話SP 原作「大川の隠居」6巻、「掻堀のおけい」7巻、「流星」8巻

大沢池 足を洗って大川の船頭として生きる老人、今も昔気質の盗めの血は生きていて「遊び」はやらかすが平穏な日々。しかし過去のしがらみはふいに現れてその平穏を掻き乱す。
鬼平の仇敵とも言える生駒の仙右衛門が企む、お膝元での畜生働き。ごっそりやったお宝を運ぶのに要した腕のいい船頭、それに選ばれてしまう「浜崎の友蔵」は、守り育てた「おかしらの遺児」をタテに脅されていた。

ロケ地

  • 登城の平蔵を垣間見する生駒の仙右衛門、三井寺唐院(北望、奥の建物は金堂)
  • 茶店で一服し平蔵を見てきたと話す仙右衛門、大覚寺遣水付近に茶店をあしらい。
  • 伊三次が櫓をやる船で釣りの平蔵、罧原堤下桂川(水面のみ)。友五郎が千住節を謡いつつ来る場面は伏見の東高瀬川で松本酒造の蔵を背景に(水面は合成、桂川と思われる)。行き違う平蔵の船と友五郎の船、飛鳥の橘寺をさきほどの水面と合成。
  • 五郎蔵が掻堀のおけいを見掛ける鎌倉河岸、八幡堀(拾ってやった紙風船を取り落とす五郎蔵、白雲橋下手・南側堀端。おけいが船から上がるのは明治橋下手南側堀端)
  • 千住節が聞きたくて友五郎を探し出し乗船の平蔵、大覚寺大沢池上・背景は護摩堂(ここで「大川の隠居」が出る。ラストシーンも同所)
  • 友五郎に盗めの話を持ってくる薮原の伊助、西の湖
  • 浅草の商家への押し込み現場から本郷の現場へ急行する平蔵、三井寺唐院(仙右衛門が垣間見のシーンからはちょっと南へ引いた付近、背景は金堂ではなく村雲橋)
  • 友五郎が世話している先代の忘れ形見・庄太郎が監禁される鉄砲州・波除稲荷裏の荷船屋、罧原堤付近桂川河川敷に小屋をセットし漁具あしらい。
  • 川越へ派遣された粂八と伊佐次、新河岸川の河岸場は嵐峡船着。アジトの荒れ寺を対岸から見やるシーンは広沢池観音島、指した寺自体は西の湖(設定は川越・南福岡村はずれ・新河岸川端廃寺)。このあと捕物のくだりも西の湖

*船頭「友五郎」を演じる大滝秀治がなんといってもこの作の目玉。舟唄の喉、櫓を遣るなど技も唸らせる。


一寸の虫  2001.4.24

通算135話 原作同名・18巻

摩気橋 密偵の一人・仁三郎の哀話。或る日かつての仲間に持ちかけられた話は、鬼平のほかにもう一人彼が決して恩を忘れまいと心に期す昔のおかしらだった。
仁三郎を演じるは火野正平、飄々とした態度で常の用を足すかのように死地に赴く演技が泣かせる。

ロケ地

  • 妹宅で娘に会った帰り鹿谷の伴助に呼び止められお盗めの話を持ちかけられる仁三郎、八幡掘堀端(背景に明治橋)
  • 伴助の話に苦悩する仁三郎が佇む橋、摩気橋(後段、心を決めた仁三郎が数え歌を口ずさみつつ渡るのも同所)
  • 伴助のアジト、酵素民家セット(竹垣をあしらい前の川を隠してある)
  • 仁三郎の様子がおかしいと五郎蔵に相談するおまさ、摩気神社鳥居前(茶店あしらい)

*原作と人間関係を少し変えてあるので設定の場所が不明、伴助と話す八幡掘は辛うじて同じの深川界隈か。
*派手に怒ったり泣いたりしない正ちゃんの抑えめ感情表現がよく利いているが、子供に相好を崩す顔もいい。


男の隠れ家  2001.5.1

通算136話 原作同名・21巻

八幡掘・新町浜 酔狂な盗っ人が家付き娘に頭の上がらぬ商家の旦那に妙な肩入れ、その家に入って盗ったブツは高慢ちきな女将の髪だった。密偵たちの報告により玉村の弥吉を張っていた平蔵が、「化け侍」の旦那の危機を救う傑作な挿話も見もの。

ロケ地

  • 玉村の弥吉を見かけ尾行するおまさと彦十、弥吉が町家へ入る前に渡る橋は中ノ島橋
  • 突きとめたヤサから出た「侍」がゆく堀端、八幡掘。監視のうさ忠らは明治橋上。
  • 「化け侍」の吉野屋の旦那が町人とばれて浪人たちにボコられる堀端、八幡掘新町浜
  • イヌになることを拒否するも解放後生きた心地せず、釣をしている平蔵に縋り密偵になることを諾う弥吉、西の湖畔。その後平蔵が弥吉に船を漕がせてゆくシーンでは太鼓橋が映る。

*「化け侍」は、鬱屈した養子の吉野屋が弥吉に勧められストレス発散にやるコスプレ。


一本饂飩
  2001.5.15

通算137話 原作「男色一本饂飩」・11巻

 飛びぬけて女好きの木村忠吾なのに、あろうことか男色家相手に危機一髪の巻。昼間からうどん屋で一杯やって調子に乗った忠吾が居合わせた客の人体を忖度するが、これが賊のかしらで、大きな盗めを前にした賊は危機を感じ彼を押し込めてしまう。お話は彼が救出されるまでの経過を描くが、賊の首領の性癖のことでうさ忠は半月も同僚に遊ばれてしまうのだった。

ロケ地

  • 見回り中堀端でお昼寝忠吾、宇治川派流大倉浜
  • いい気分で一本饂飩の豊島屋を出た忠吾に色目を使う武兵衛の手下兼愛人・与市、上賀茂神社ならの小川(→祠脇へ連れ込まれ薪ざっぽで殴打)
  • 昏倒した忠吾を舟に乗せて運ぶ武兵衛の手下、罧原堤下汀(漁師小屋あしらい)
  • 忠吾が監禁される鉄砲洲の荷舟宿、広沢池東岸にセット(うさ忠監禁の地下蔵の明かり取りからはすれすれの水面が見える趣向)
  • おまさが平蔵に褌の川流れの件を報告する堀端、八幡堀
  • 豊島屋の女中を借り受け探索する町、金戒光明寺本堂前(縁日)〜瑞泉院前〜長安院前から鐘楼へ至る石段〜本堂前茶所(茶店仕立て)
  • アジトを窺う「豊島屋の女中」を見て誘き出される一味、大覚寺五社明神

*原作では色子にしようと忠吾をさらう武兵衛だが、このドラマでは忠吾を警戒しての監禁。手下ははじめ色子目的と思い込んでいて、蓮司の「愛人」などは嫉妬も露わにうさ忠に剣突を食わせる。なんとか助かろうと知恵をしぼった忠吾が盗賊の名前をずらずら並べ立てるくだりも傑作だが、やはり見どころは蓮司に襲われる「妄想」。もちろん蓮司の態度の変化は見事だし見ごたえ充分、しかし山西惇演じるオカマの愛人がなんといっても目を惹きつける…肩に注目のオカマ歩きと、微妙に寛げた襟、青々とした剃り跡、怪しげな雰囲気満点。


闇の果て
 2001.5.22

通算138話 原作同名・19巻

本法寺 業に身を灼く女と、その女をあきらめきれぬ男は悪夢に追いつかれ、まっ逆さまに煉獄に落ちる。誰の手も届かなかった悲惨、しかし平蔵の眼は生きてゆく者に注がれる。
原作とは大幅に設定を変えてある一作だが、お話の根幹を成す男女の行く末や盗っ人の企みはそのまま。
男と逃げた先妻が現れ、娘も懐いているよくできた後添えを裏切ってしまう男。彼を惑わせた愛欲に先妻もまたはまり込んでおり、そこを賊に付け込まれる。勤め先への引き込みを諾った男はお盗めを前に女を奪還すべく暴発するが、己は斬られ女は自ら燃えさかる家に飛び込み、二人ながら地獄の道行きとなる。

ロケ地

  • 藤田浪人が凶賊・渡辺八郎に脅された状態でゆく船と、伊佐次と粂八の船が行き交う大川、合成画面。導入の画は飛鳥・川原寺と、次の画は橘寺と、それぞれ前の野と段畑を、罧原堤下の桂川(水面に映り込む木が証拠物件)と組み合わせてある。
  • 粂八の船宿へ赴く平蔵、八幡掘堀端。
  • 「家出」から戻り元の勤め先へ顔を出したあと藤田がゆく道、神護寺金堂下石段。
  • 賊の一味の吉兵衛とツナギをとるくだりは本法寺(多宝塔をバックの境内石畳〜仁王門)
  • 渡辺のアジト、酵素河川敷民家セット前に木塀をあしらい。
  • 事後、伊佐次の操る船で粂八と話すおかしら、大覚寺大沢池(放生池堤を藤田の娘・お弓が歩き、義母・おみねが石橋で迎えるのを眺める)

→鬼平犯科帳視聴メモ表紙


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