第3シリーズ 1990-1991日本テレビ/東映
キャスト
松平長七郎(速水長三郎)/里見浩太朗
三宅宅兵衛/下川辰平 辰三郎/火野正平
おなつ/東ちづる おはる/立花理佐
浪花屋喜久蔵/芦屋雁之助
青目慎太郎/国広富之 要町の文次/蛍雪次朗
→第一シリーズ →第二シリーズ
第1話「将軍が消えた」1990.10.16
二年ぶりに江戸へ帰ってくる長さんと宅兵衛、その途端大奥がらみの事件に関わることに。陰謀は深く、将軍誘拐などという事態に発展するが長さんの活躍で収束。これは柳生宗冬に向けられた老中の企みだったが、彼は感謝するどころか一味の首魁を長七郎ぎみとして始末しようとしたりする。
ロケ地
・仙台への道をゆく長さんに宗冬の書状を渡す僧衣の男、酵素ダートか(道に沢渡り)。
・江戸城、姫路城天守。
・柳生宗冬邸、大覚寺大門。
・お食事のあと庭を逍遥する将軍・家綱、枳殻邸侵雪橋(近習は池畔芝地に、このあと失踪)。
・将軍誘拐を受けて、長さんを後継候補とすべく打診にくる宗冬、大覚寺大沢池畔。
*第三シリーズの居候先は、娘を助けた縁から口入屋の浪花屋に決まる。あるじの喜久蔵にのみ身分を明かす。おれんさんは娘の一時保護を頼むくだりで登場、辰三郎を長さんにつけるよう計らう(他の夢楽堂メンバーは出ず)。南町同心・青目は浪花屋の用心棒が気に食わぬ様子で、いつか正体を暴いてやると息巻く。
第2話「姉妹かんざし」1990.10.23
古馴染にご飯を奢ってもらうおはる、座をはずした隙にその男が殺されパニック。足袋はだしで逃げ帰るが、姉に貰った簪を現場に落してきてしまい暗殺者に狙われる羽目に。殺された経師屋は、仕事先の衾の下張りから怪しの書付を見つけて口封じに遭ったもので、中身は勘定奉行と回船問屋の悪事の証拠。その表紙に「金成木」なんて書くお茶目な目付は登場せず、冒頭妾宅で頓死と語られている。
お話のテーマは浪花屋姉妹の人情ドラマ、ミスコンが小道具に使われる。
ロケ地
・「日本橋小町くらべ」落選に悄気たおはるが経師屋の利助に「賞品」の手拭をぶつけてしまう、中ノ島橋上。
・青目同心に下手人の手がかりを話す長さん、大覚寺護摩堂脇(長さんが去ったあと青目御機嫌斜めで池に投石)。
*勘定奉行は外山高士で悪徳回船問屋は睦五朗。*ミスコンの話を持ち込んだり、簪の秘密を口走ったり、ややこしいお屋敷の掛取りを「暇そうな」長さんに行かせたりのトラブル屋辰ちゃん。妾宅の出入りを見張るよう言われるが退屈して侵入、風呂覗きも仕出かす。この間、ぶつぶつ呟くアドリブぽい台詞が笑える。長さんに全部言うたるねんと大阪弁も出る。
第3話「思い川」1990.10.30
研ぎに出した長さんの刀・神君佩刀の大般若が盗まれ、押し込みに使われてしまう大騒動。名刀をめぐって長さんの身分が忖度されたり、実は悪党だった御用鍛冶師と旗本を懲らしめたり。テーマは罪を着せられ殺された鍛冶師の弟子の妻の情話。
ロケ地
・夫の死を自覚するも町中に面影を求めるおもん、墓地〜大覚寺聖天堂〜心経宝塔(縁日をセット)〜桂川松尾橋上手汀(これを眺めやる長さんは中ノ島橋)。
・事後、夫の実家へと江戸を発つおもん母子、大覚寺放生池堤。
*おもんは芦川よしみ、刀鍛冶は勝部演之で旗本は伊藤高。同心部屋のその他大勢に福ちゃん。*青目同心、大般若を長さんの刀と知り詮索しきり。
第4話「ひとつぶの銀」1990.11.6
浪花屋へ逃げ込んできた賊をなぜか親身に庇う喜久蔵、上方弁の男は心中寸前だった喜久蔵夫婦を思いとどまらせてくれた命の恩人だった。喜久蔵から事情を打ち明けられた長さんは、借金のカタに男を追い使う大ワルどもを成敗し男を自訴させ(お説教つき)、喜久蔵の望んだほうへ事を持ってゆく。
ロケ地
・町方から庇ったあと上方へ清兵衛を送ってゆく喜久蔵、夜営して魚を焼く河原、中ノ島橋下河原。
・江戸へ舞い戻り、船番所で誰何され捕まる清兵衛、広沢池東岸(柵セット)。
・悪徳札差の差し向けた浪人に追われる清兵衛、嵐山公園林間〜中州湛水域へドボン。
*清兵衛に桜木健一、なかなか人の言うことを聞かない強情な男がよく似合う。雁之助に負けてない上方弁もいい。北町筆頭与力は浜田晃で悪徳商人は西山辰夫。札差とつるむヤクザ・金山一家の一人に福ちゃん、乗り込んだ長さんに帯切られておわっ?と前はだけ。このまま立ち回りを続ける。役名なしでクレジットあり。
第5話「葵小僧推参!」1990.11.13
葵の御紋を小道具に押し込み強盗の一味あり、正体は忍び。幕府に裏切られ抹殺された根来衆の残党が、倒幕をエサに元老中に踊らされる哀話。怪しい呉服屋に侵入してとっ捕まった辰を救出する過程で、青目同心が甲賀者と知れる。まだ長さんの正体には気付かず、なんかおかしいと首を捻る。
ロケ地
・釣りの長さんと宅兵衛を尋問する青江同心、大覚寺大沢池畔。
・忍びのかしら・お里が語る紀州山中での虐殺、酵素河川敷。
*お里は一柳みる、彦兵衛は鶴田忍、松平河内守に小林勝彦。
第6話「がめつい女?」1990.11.20
乳飲み子の自分を捨てたと恨み、母を認めない佐貫屋の若旦那、父に事情を聞くや一転「おっかさん」の情話。ろくでもない理由で佐貫屋を殺そうとする馬鹿者どもの悪企みがからむ。
ロケ地
・佐貫屋が荷車で殺されかける坂、宗忠神社北参道の坂と鳥居。
・荷車の留めをはずした男が口封じされ見つかる、大覚寺放生池源頭部の汀。辰が青目同心に男の情報を耳打ち、五社明神裏手。
・息子に追い返されたおやすが佇む水際、広沢池西岸。
・佐貫屋の回想、奉公人だったおやすと親に隠れてデート、吉田神社竹中稲荷(参道重ね鳥居、舞殿)。
・さらわれたおよしを取り戻しに黒田屋根岸寮へ赴く若旦那、中山邸通用門、庭。
・家族との暮らしを捨てて旅立つおよしを見送る長さん、広沢池西岸沿いの道・農地からの撮り(形のよいヤナギを背景に持ってくる)。
*およし登場シーン、長屋に女が越してくる情報で妄想炸裂の辰がおばちゃんを見てがっくり。そのあと騙されてるし。辰の長屋のデコレーション派手、衣装と合わせてあるのかも。*佐貫屋に中田浩二、珍しい善人役。祠の注連縄がはずれてるのを「おかわいそうに」なんて言って直したりする。*佐貫屋殺しは高家の殿様の意向、理由は佐貫屋所有の長屋が自邸の月見櫓からの眺望の妨げになるからという、とんでもない我儘。殿様は西田健、ちょっと変わったおじゃる調で、乗り込んできた長七郎ぎみに甲高い声できいきい喚くのが傑作で、真っ赤な唇。組んでる悪徳商人は長谷川弘。
第7話「死神をぶっ飛ばせ」1990.11.27
富商乗っ取り話、下女が医者を勧める→医者が死病と診断→修験者がフォロー→安楽死を勧める→容赦なく密殺→財産譲渡の証文に爪印、という段取り。これに引っかかりパニックの三十路の後家、番頭に相談を受けた長さんと、別件で一味に気付いた青目同心が動く。
ロケ地
・牡丹餅で暗殺(餅を口に詰めて濡れ紙)される蝋燭問屋の隠居の寮、大覚寺望雲亭。
・後家を呼び出して死病の話は騙りと告げる長さん、護摩堂前。
*黒幕の旗本に亀石征一郎、不行跡で閉門中、すすどく凶悪。グルのニセ医者に島田順司、トホホな感じで髭つき、けっこう似合う。伊勢屋の後家は黒田福美。
第8話「十手も刀も捨てて」1990.12.4
青目同心の昔の恋。数奇な再会に再びの夢をと期する彼だが、女は馴染んだ男の帰りを待つ道を選ぶ。事件は役人と札差が組んで偽の米手形で濡れ手に粟、悪事を見てしまい巻き込まれパターンのお話。
ロケ地
・源八が殺されて見つかる日本堤の河原、広沢池東岸(夜)。
・源八が札差を恐喝していたことを長さんに報告する宅兵衛、宗忠神社(水場越しに拝殿を望むアングル、石段下)。
・お絹を出牢させ二人で逃げる青目同心、旅先で佇む桟橋、広沢池東岸。
*お絹は高沢順子、亭主は丹波義隆。米手形改役は石山律雄でつるむ米問屋は高野真二。植木職人のお絹の亭主が「聞いてしまう」庭、斬りかかってくる「先生方」の一人に福ちゃん。
第9話「赤猫が踊った日」1990.12.11
元長崎奉行を筆頭に南町筆頭同心、ライバルの蘭方医に悪徳回船問屋と、ずらりと揃った悪党どもにハメられる実直な医師。口封じには、牢に火が放たれる派手さ。父が連行される現場を見て言葉をなくした幼女を憐れんだ長さんは、医師が出頭場所の回向院に入るのを見届け、ポスト配分で盛り上がるワルの座敷に乗り込んでゆく。
ロケ地
・放火犯の男が長崎屋の用心棒と接触の神社、宗忠神社(参道石段、拝殿前)。
・その後ワルと結託した同心に消されるのは吉田神社竹中稲荷。
・南山を匿っている弟子が妻女を待つお堂、大覚寺大日堂(覗き見のおはるの背後は五社明神裏手)。
・同心を引きつけるお芝居で長さんが母子を連れてゆく道、南山が狙撃される林、随心院裏手の竹林や林間(ちらちらと土塀や小町文塚も映り込む)。
・囚人の出頭場所・本所回向院、随心院薬医門。
*南山は高岡健二、長崎屋は田口計で以下お馴染みの悪役陣がずらずら。長崎屋用心棒には福ちゃん、出番多しの保存もので役名は桑原。白の単衣に黒袴で袖が長め。斬り合いのほかワル一同に会す座敷にもいて、つられて笑ったりしている。もちろんラス立ちはたっぷり。
第10話「若後家には御用心」1990.12.18
浪花屋に用心棒を頼みにやってきたできたてホヤホヤの若後家、謎めいた行動に途中ひょっとして悪者?の展開、しかし長さんは女の意図をお見通し、女に無体を働こうとしていた殿様の御舎弟は成敗される。はじめに申し立てた行き先が嘘、襲ってくるのは忍者と怪しい展開だが、筋立て自体はよくあるお話。振り回されて長さんたちを追う青目同心や辰たちは、全くの無駄足という馬鹿をみる。
ロケ地
・板橋へ向かう長さん一行、中ノ島橋〜大覚寺大沢池堤(湯島付近、待っていた忍びが頭目に知らせに走る道は堤下の農地から今宮神社合祀摂社へ)〜竹林(駒込村設定、一部広沢池北岸か)〜広沢池西岸湿地(漁師小屋セット、負傷したおくにを休ませる→行き先変更)。あとを追ってきた辰とおはるも湿地、養魚池の堰を小橋に見立てて渡る。
・江戸へ戻る長さん一行、鬼子母神門前町の茶店に入る、今宮神社境内、石橋。
・鳶山藩江戸屋敷、大覚寺大門。
・おくにが入る藩侯御母堂の妙照院、不明(岩倉実相院に似た門構え、眠狂円月殺法2話や仕舞人8話で出たのと同所か)。
・今度こそ本当に夫の遺骨を抱いて菩提寺へ向かうおくに、放生池堤。
*追っ手の正体も明かさぬおくにに怒った宅兵衛、金返すと五両出すが「五両?十両お渡ししましたが」でけちょん、辰の猫ババ。辰、このほかに口をすべらし「天下の松平」と言いかけ「真っ平」とごまかす…。*おくには蜷川有紀、御舎弟は成瀬正孝でつるむ悪人輩は高城淳一に内田勝正。
第11話「傷」1991.1.8
宅兵衛が長さんの薬を貰いに行った先で見た医師殺し、居合わせた大工が犯人にされかかるが、事実を知る女は沈黙。長さんの説得に女は心を開き大工の娘のため立ち回るが、ワルの手にかかって落命。この経緯をしっとりと描く佳作、顔と心に傷を負った薄幸の女を原日出子が演じる。
ロケ地
・病身の自分を邪魔な存在と感じ幼い命を消そうとする大工の娘・おちかを助けるおせん、大覚寺天神島。
・放免された大工が娘とともに額ずくおせんの墓、大覚寺遣水付近か。
*おせんは原日出子、大工は樋浦勉。悪徳商人は福山升三、グルの与力は小沢象。*そろそろ青目同心に正体を明かしてはと、浪花屋が口にする一幕あり。
第12話「居候は暴れん坊」1991.1.15
浪花屋へ転がり込んだ新しい居候は、稚気あふれる正義漢。長さんはなぜか彼を教育するような態度で接し、青年の精神的成長を助ける。彼の正体は紀州徳川家の嫡子で、弟ぎみを擁し藩政掌握をはかる江戸家老に命を狙われていた。
ロケ地
・護岸工事の仕事に出る貞之助、桂川松尾橋付近河原。
・紀州藩邸、大覚寺大門。
・貞之助の様子を覗いていた男が紀州家用人だったと報告の辰、五社明神。うかうかと縁日の雑踏で旗本連と事を構え居合わせた大工に怪我を負わせてしまう貞之助、今宮神社境内。
・紀州藩では後継をめぐって藩が二分と報告の宅兵衛、大覚寺天神島。
・紀州家用人と話す長さん、護摩堂脇(石仏越し)。用人が語る頼貞ぎみのやんちゃエピソード、雲助にからまれる娘を助ける紀州山中、谷山林道。
*タイトルからして某番組のパロディ、ラストのナレーションでは「貞之助」が紀州家二代目藩主になって、その子は八代将軍であると語り、長七郎ぎみの教えが享保の世に花開いた、まで言う。*青目同心、旗本に手を出せないことをボヤき「破邪の剣を振るえるどこかの謎の人が羨ましい」発言、聞いてた宅兵衛さんは青目が長さんの正体に気付きはじめたとひとりごちるが、「若の裏の仕事」はナイでしょ…殺し屋じゃないんだから。だいたいアレは仕事なのか。*「三っ木貞之助は堤大二郎、江戸家老は西沢利明、用人に小笠原弘。ラス立ち福ちゃん入り、斬られて襖にズズって凭れたあともう一遍立ち上がり斬りかかって返り討ち→のけぞり。
第13話「兄妹芝居涙の花道」1991.1.22
十年前堺の商人を殺し財を奪った奉行と番頭は、江戸でフィクサーと富商に納まっており、更なる悪事を画策していた。筋立ては彼らに両親を殺され散り散りに育った兄と妹が再会する情話、ワルが目をつけた商家は妹の養家という因縁がついてくる。
ロケ地
・堺の丸屋夫婦が密殺される鈴鹿峠近くの山道、谷山林道。
・元堺奉行の隠居・三田村伯道の柳原にある隠居所・雅月庵、中山邸通用門。
・一味が使う殺し屋・雀落としの七蔵が吹き矢でメジロを落とす、大覚寺五社明神裏手。
・小三郎の養親・京弥太夫の回想、流されてきた小三郎を救いあげた川、保津峡落合河口。旅ゆく一座、大覚寺放生池堤。
・事後、旅立つ花本一座を見送る道、五社明神付近境内。
*青目同心、十年前の堺の事件を調べてくる・小三郎の出自を洗ってくるなどして、ほぼパシリ状態。*辰、珍しく見張りを倒すなど荒事をしてのけるが、その木槌はどこに持っていたんだ。みんなが兄妹競演の晴れ舞台に袖をしぼっている時に一人飲み食いしてるし。*フィクサーは永井秀明、手下の元与力は中田博久、巴屋は大林丈史。ラス立ち、福ちゃんのほか峰蘭太郎や小船秋夫入り。
第14話「雪に舞うわらべ唄」1991.1.29
強請りをして孤児を養う鳥追い女の哀話。死病に罹り子らを里子に出すと決めるが、餞別のため最後に強請った旗本に刺客を差し向けられてしまう。彼女の臨終に、貰われていった子らが駆けつけ「母」と呼ぶなどしんみりしたお話、よくできた静謐な作り。
ロケ地
・辰が強請られた件でおもんを訪ねる長さん、孤児を養っていると聞き強請りをやめるよう諭す水辺、大覚寺大沢池南西畔、船着(小)傍。
・奥平を強請るおもん、有栖川を挟んで相手と対峙(御殿川合流点)。ダシに呼び出された青目同心たちがやってくるのは勅使門橋から。
*おもんに土田早苗、旗本は小林勝彦。ラス立ち福ちゃん入り。
第15話「辰が惚れた女」1991.2.5
北町同心が殺され、容疑者と目された同僚は自害。しかし裏には彼らの上司、そして更に船手頭と抜荷商人が背後にいた。お話は殺された同心の年若い息子の弔い合戦、後家さんに岡惚れした辰がサポートにつく段取り。もちろん長さんのバックアップあり。
ロケ地
・雇い人を頼みにきた御新造に岡惚れした辰が長さんに悶々を吐き出す、大覚寺五社明神(辰、舞殿に寝っころがりクネクネ)。
・北町同心・南田の死体が上がる汀、嵐峡。
・南田の身辺を調べてきた宅兵衛さんが報告、大覚寺聖天堂前。
・南田の息子が襲撃され怯懦の態を晒す、天神島(朱橋を渡って石碑の前でチャンバラ)。
*「惚れた」と言い条、熱狂はなくマドンナ状態でいっときは息子を見捨てたりする辰。*船手頭は内田勝正、悪徳商人は中井啓輔。ラス立ち福ちゃん(浪人)と峰蘭太郎(家士)入り。
第16話「雪女は恋に死ぬ」1991.2.12
矢を射掛けられ負傷した長さんを助けた、自分を雪女という謎めいた女には哀しい身の上があった。彼女は捕えられた養父のため暗殺を繰り返しており長さんを射たのは誤認、しかし始末すべき対象の長さんに恋してしまい手を掛けられず、命とりとなる。
ロケ地
・お雪が長さんを保護した小屋、大覚寺遣水付近にセットか。
・霊媒師姿のお雪が里人に行き会う道、大覚寺大沢池北辺並木。
・父に言い渡された、恋は御法度の言葉を胸に根岸の小屋へ帰るお雪、放生池堤(夕景)。
・お雪が長さんを呼び出す本所駒留橋近くの堂、大日堂(扉が開いており、大日如来が映っている珍しい映像)。長さんに会えず四件目の暗殺にかかるお雪、ターゲットが出てくるのは有栖川畔・五社明神裏手。このあと父との戦闘も同所。駆けつける長さんは大沢池北西畔。
*お雪は山本ゆか里、養父・鬼火の百蔵は九高惟晴、作事奉行は西山辰夫でグルの御先手組頭は黒部進。
第17話「春遠からじ」1991.2.19
嫁と折り合いのわるい姑の話。姑の亭主を死に追いやったワルは両替商になりおおせ、今またさる藩の江戸家老を辞任に追い込む悪謀を企てていた。
ロケ地
・月山藩の返済金の荷車が襲われる道、大覚寺大沢池北辺並木(襲撃の浪人たちが出てくるのは天神島大木・水路を隔ててのショット/樹木は見事に紅葉)。
・釣りの長さんと辰、放生池堤。おきん婆さんに殺到する刺客を阻む長さん、五社明神。
・荷車襲撃犯を恐喝しようとして殺された夜鷹の検分、広沢池西岸湿地(水無/棒持った下役人に福ちゃん)。
・再度襲われるおきん婆さん、大覚寺大沢池堤(堤下に作り物の岩あしらい)。
・おきんの息子夫婦に事情を聞く長さん、大覚寺聖天堂前。
*おきんは林美智子、両替商・大黒屋は長谷川明男、月山藩留守居役と結び裏で動く若年寄に波田久夫、怖い顔の刺客に小峰隆司。
第18話「名のれぬ女」1991.2.26
浪花屋に現れ、盗っ人を斡旋したと難癖をつけ探索を要請する調子のいい同心は果たしてワル。調査に出た長さんは関わりがあるらしい女を突き止めるが、心弱き男女三人の悲しく辛い事情が明らかとなる。
ロケ地
・盗っ人の与七が女と逃げるのを目撃された三囲神社の絵馬堂、表はセットだが壊れた板塀の向こうに見えるのは大沢池北辺の遣水あたりか。
・お涼が長さんに過去を告白する、大覚寺大沢池堤〜天神島。
・与七の遺骨を抱いて故郷へ帰るお涼と弥之吉を見送る道、大沢池堤か。
*青目同心発言「速水さんが調べている件の悪玉にはよぉく天誅が下るんだよなぁ」。
第19話「金十両が厄となる」1991.3.5
不幸を呼び込む男・辰、町で預けられた金を浪花屋の難儀に供出するが、これが偽小判ときている。大番屋に引っ張られてしまうお夏、伝馬町送りを防ぐためみんなして必死の探索が繰り広げられる。
ロケ地
・加賀藩留守居役に当っての次第を報告の宅兵衛、大覚寺放生池堤。
*贋金つくりは加賀支藩・大聖寺藩江戸家老の画策、この藩ってば時代劇ではしょっちゅう悪の巣窟にされてるような気が。江戸家老は田中浩、悪徳商人は福山升三。*十両ゲットで舞い上がる辰、布袋さんに懐き気持ち悪がられるのも笑えるが、事後ブンブン親分に意趣返しの算盤で顔引っ掻きもヒドい。算盤じゃらんで怖い顔は「怪」の徳次郎にそっくり。
第20話「恋しぐれ 女スリ」1991.3.12
雑踏で掏摸を見掛けやりこめる長さん、一味の頭目のお蝶に惚れられてしまう。迷惑そうにしながらも、女掏摸が巻き込まれれた賊がらみの騒動にはちゃんと駆けつけて危機を救ってやる長さんの真情に、女は更正を誓うのだった。
ロケ地
・お蝶たちの掏摸を見破る長さん、金戒光明寺三門下(縁日の屋台をあしらい)。仲間を引っ張ってきてやりこめるのは墓地。
・自称大工の千太郎の依頼で棟梁から江戸屋の図面を掏り取るお蝶、永運院下坂。
・江戸屋押し込み失敗後、競り落とした絵図面のことで盗っ人たちに詰め寄られる千太郎、鐘楼脇。
・お蝶が長さんに身の上を語る、永運院前空地(伽藍を南望)。
・尼寺の下働きに入るお蝶を見送る長さん、西明寺山門。
*お蝶は神保美喜、悪い旗本は伊東達弘。
スペシャル「長七郎の陰謀」1991.4.2
将軍の寵を取り戻そうとした酒井元大老の陰謀、長七郎ぎみだけでなく忠長卿の旧臣も巻き込んで派手に展開。元大老に金田龍之介、仕掛けが壮大なわりになんとなくセコい企みが阿部怪異じみてて笑える。その酒井にころっと騙され馬鹿を見る元大目付には大出俊、ちょっと勿体ないかも。陰謀に使われる五年仕込みの長さんのニセモノはもちろん里見浩太朗の二役で、二人の立ち回りなんかもある。
ロケ地、父・忠長卿の三十回忌に一人江戸を発った長さんが幼女をタテにされ捕まってしまう街道筋、北嵯峨農地(差し込み女や飛脚に旅人みんな刺客という「茶店地獄」みたいなシーン)。湯治に来ていたおれんがニセ長七郎とばったり会う三保の松原、琵琶湖東岸(沖ノ島の見え方からするとマイアミ浜か愛知川河口あたり)の松原、富士山合成もあり。今は郷士の忠長卿の元家老・大山勘左衛門邸、民家門。密かに作られた忠長卿の墓、不明(丘陵?)。長さんに陰謀と判明し追いかけた辰とお春がゆく街道(国府津へ一里)、広沢池西岸際の道。長さんが監禁されている酒井別邸、中山邸通用門、庭(桃花を散らす長さんのサインで監禁の地下壕発見)。急ぎ駿河へ向う長さん一行を襲う忍群、不明。長さんのふりをして敵をひきつけた青目同心が飛び込んで逃れる谷、保津峡落合落下岩。大山宅が代官の捜索を受けたため避難したニセ長七郎が落ち着く山寺、西明寺(鐘楼、山門、参道)。駿河へ夜道を急ぐ長さんと宅兵衛、広沢池東岸。駿河入りしおれんと会った辰がニセモノ疑惑の話を聞く野原、大覚寺寄りの北嵯峨農地か。大山の娘・美和の回想、岩場から滑った自分を抱きとめて助けてくれた若様、清滝河畔。ニセモノと対峙する長さん、不明岩場(忍者の火薬で水入り)。箱根山中で本格的(追い込んだ小屋を燃やす)に長さんを狙う忍群、不明(砕石場っぽい荒地、小滝のあるよく出てくるところ)。酒井とニセ長七郎、大目付らが密談の屋形船、広沢池東岸。裃を着け登城の長さんが辰の操る船で不浄門へ近付く堀、嵐山公園渡月小橋下手の水路。
*久々登場のおれんさん、江戸へ帰着した長さんが一時夢楽堂入りの懐かしいシーンもある。ニセモノがおれんに惚れてしまう設定で、言い寄って肩つかんだりするからバレちゃう/長さんはそんなことしてくれナイ。
第21話「罠に掛った長七郎」1991.3.19
秀忠の隠し子・神保山城守は世に容れられぬ身を倦み、刀フェチが昂じて辻斬りもはたらく。念のため検死を窺いに行った用人がそこにいた長さんを見て正体に気付き主に注進、すると「長さんの叔父さん」は、長さんの大般若(神君の佩刀)を盗る・飽きた側室を始末・自分のやった辻斬りの犯人に長さんを仕立てる(長さんの「天誅」の的になるのを防ぐ予防措置も兼ねる)という、欲張りプランをぶち立てる。長さんは大番屋の牢にぶち込まれるが、おとなしく従ったのは深慮遠謀なのであった。
ロケ地
・亀石藩邸(神保家)、大覚寺大門。藩邸を出る側室、参道石橋〜大沢池船着(小)←ここで側室が辻斬りをはたらいたふうに見せかける。
・側室が斬られて見つかる桜堤、罧原堤付近・桂川河川敷。
・大番屋の牢から逃げた長さんと青目同心が身を隠す、大覚寺五社明神本殿内陣。
*神保山城守は青木義朗、用人は唐沢民賢。*青目同心に長さんの正体が知れる回。天誅の件で長さんを引っ張った彼だが、疑念捨てきれず神保を探りに「忍者」で入り、天井裏で「叔父さん」が駿河大納言の息子・松平長七郎と口にするのを聞く設定。その途端「俺は馬鹿だー」と番屋へ走り入り長さんを助け出すのだが、今までの無礼平にと伏した彼を「仲間」という長さんに感激・そのままべったりのシンパに。呼称も速水さんから長さんに変わり、手下の文ちゃんは混乱頻りなのだった。*神保の用人と与力が密会するのを探りにいった辰、起こす「泥棒騒ぎ」はお魚咥えたドラ猫/四つ足で逃げる。
第22話「野菊と芋侍」1991.4.23
基本は長屋の人情話、お家改易で浪人した後妻子にも去られたダメ男は、自分を慕い世話を焼いてくれた隣家の娘が身売りしたのを救おうと金策に走り、ワルの尻拭い役を買って出て入牢するが、たばかられていた事を知り暴発、押し掛けた屋敷で密殺されてしまう→看取った長さん乗り込み成敗→浪花屋に金借りて遺志を果たす。
ロケ地
・死に際に盗っ人が告げた場所から出てきた金箱になぜ砂がと推理の長さん、大覚寺護摩堂裏に茶店あしらい(背景に心経宝塔)。
・久留米藩上屋敷、相国寺林光院門。
・相棒を殺した盗っ人の片割れが米問屋に金をせびる、大覚寺大沢池上に屋形船。この後船着(小、望雲邸脇)に上がったところを久留米藩士に斬られる。
・長さんに伊織のいる牢はあちらと示す青目同心、相国寺承天閣美術館通路。
・久留米藩邸に駆け込み美濃屋に約束が違うと迫る伊織、林光院式台玄関。射られよろばい出た伊織が、通りかかった長さんに看取られおかよの事を託し逝く、庫裏前。
*浪人・浜野伊織は橋本功、久留米藩江戸家老は北原義郎で悪徳商人は幸田宗丸。*正体バレ以降の青目くん、長さんの求めに応じ牢の鍵を開けたままもOKなんていう職務規定違反も平気でやる。*このところおとなしめだった辰、賭場で裸に剥かれ叩き出されて「一昨日ていつ来たらええねん」の関西弁も飛び出し、欲をかいて金箱掘り出しなんかもやる(中は砂だし皆に見つかるし)。前髪はますますカッパ状態。
第23話「霊験あらたか!」1991.4.30
カタい長七郎シリーズには珍しい、トンデモ要素入りのお話。霊感少年が登場、これが本物。なにしろ少年が長さんの手に触れただけで閃光がきらめき、成敗真っ最中の長七郎ぎみと葵の御紋がばばーんと幻視されちゃうんだから凄い。筋立てのほうはマトモで、少年の能力を悪事に使うワルが出てきて欲をかき、長さんの知るところとなり成敗される。トンデモ要素の超能力も長さんのお説教で締められ、基調ははずさない。
ロケ地
・霊感少年の「生神さま」松吉少年に話を聞く長さん、梅宮大社(はじめ楼門越しに中を見るアングルで、舞殿の階に座る二人にスイッチ)。このあと生神さまが嫌になった松吉が能力の放棄を祈りに来るのも同所で、こちらは本殿。もう力を使わなくていいと慰める長さんは神苑汀、茶店の床机をセット。
・松吉が託宣した次期若年寄の駕籠を襲撃する勘定奉行、大覚寺大沢池堤。
*勘定奉行は小沢象、悪徳商人は深江章喜。*おはるちゃんの髪型、辰に似てきてるっぽい。その辰、悪徳商人を見張るくだり、お子たちと一緒に団子屋の前で指咥えてて最初気付かなかった…あまりにも自然で。口についた餡をぺろぺろ舐めるのも細かい。
第24話「夢の通い路」1991.5.7
琉球から姉の仇を求めてやってきた美姫、長さんは彼女を助けて動き悪をいぶり出す。その過程で娘は長さんに思いを寄せるが、成敗の段で身分を知り悲恋に終わる。
ロケ地
・二年前の琉球、浜で去る男に追い縋る加奈の姉、間人海岸。
・屋形船を仕立てて島田典馬を誘き寄せる、広沢池東岸。
*加奈の姉を騙し渡嘉敷家の財宝を騙し取った男は江戸へ出て黒鍬者組頭になりおおせていた。騙りに手を貸した妹のほうなんか、大奥へ入り込みお手つき寸前というトンデモ。裏にいたのは薩摩藩江戸家老だったりする。里見浩太朗の琉球舞踊なども拝める。*悪役陣は川辺久造、成瀬正孝。
第25話「ふたりの女」1991.5.21
辻斬り強盗と見えた事件が焙りだす、小料理屋の女将と祝言間近の板前の過去。行き倒れを喜久蔵に助けられた男は記憶をなくしたまま現在に至るが、実は侍で上司の不正を訴えに出る旅で暗殺されかかった経緯があった。
ロケ地
・二年前竜吉が代官の手先に襲われた街道筋、広沢池東岸(ほぼ草むらと林のみ)。落ちた谷底は保津峡落合(ここから大川に流れ着いたのだろうとワルが推測)。
・「竜吉」の許婚者の武家娘と話す長さん、上御霊神社高倉下(背景に藤棚と福寿稲荷)。
・竜吉の快癒を祈るお参りの女将に声をかける長さん、上御霊神社本殿(導入のショットは楼門越しに本殿を望む)。竜吉の過去について話す、本殿脇。
・武士に戻った「竜吉」と早苗を見送る女将、広沢池東岸(渡し場、堤に茶店あしらい)。
*竜吉に生きていられては困る代官、女将をさらい居場所を迫るが「死んでも言わない」。これに感激の許婚者の娘(代官の姪)は女将を逃がそうとするが、見つかってしまい二人とも殺されかかる…姪でもお構いなしの冷血代官は江見俊太郎、手下に石倉英彦、グルの悪徳商人は森幹太。竜吉は草見潤平で女将は優ひかり。
第26話「女侠涙の伊達姿」1991.5.28
栗林藩江戸屋敷の新普請をめぐる汚い陰謀、落札した業者に黒い手が伸びる。亭主亡きあとを継ぐ健気な女将は、元別式女の女傑だった。
ロケ地
・新橋一丁目の工事予定地を検分する請負師の紅梅組元締・清兵衛、琵琶湖西岸(汀にはヤナギ、近江白浜か)。
・清兵衛が死ねば得をするのは山甚と釣りの長さんに報告する青目同心、広沢池東岸。
・清兵衛の葬儀が行われる寺、永観堂。女将にお悔やみを述べる長さん、放生池石橋上(本堂で焼香と小頭が呼びに来て御影堂のほうへ)。長さんが工事のこの後を協議するのを窺うのは御影堂脇、ロングの画では位牌堂と石垣が映る。
・保土ヶ谷へ赴いた帰りの女将を襲う山甚の用心棒、不明。
・長さんに亭主との馴れ初めを語る女将、琵琶湖西岸松原(沖ノ島の影も)。
・女将の回想、別式女だった彼女にプロポーズし薄氷張る湖に飛び込んでみせる清兵衛、広沢池観音島。
*女将は平淑恵、亭主の清兵衛は高峰圭二。請負師の山甚は睦五朗、藩用人は高桐真。
第27話「奇怪なり葵の香炉」1991.6.4
飢饉に際し民を救うため家宝の香炉を売った国家老、事実を知る若き蔵奉行は命を賭して秘密を守り通す。
ロケ地
・青目同心に浜松藩の香炉盗難騒動について話す長さん、梅宮大社楼門。
・蔵奉行の墓に参る国家老、くろ谷か。
*青ちゃん大活躍、忍者ルックで藩邸に忍び込む・ラス立ち前に火薬ボーンで長さんのヘルプもやる。*アドリブか役者に合わせて書いたものか、正ちゃんギャグ炸裂。香炉盗を探す矢場で顔に傷の男たちに取り囲まれ「壊れた顔の会ですか」。その面々、小船秋夫に峰蘭太郎…。*悪い江戸家老は外山高士、ラス立ち福ちゃんや小峰さん入り。
第28話「泪橋越えたら……」1991.6.11
喧嘩で人を殺め島送りになった男と、亭主を殺された女の間に芽生える感情を静かに描く話、しかし巻き起こる騒動は喧騒を極める。閑職に不満たらたらのワル旗本が、島帰りのせいでなかなか就職できない直八をハメて、自分たちが仕出かした強盗殺人の罪を着せるが、長さんの介入で彼らの運命は地獄へまっしぐら。長さんはこのほか、ぎこちない男女をくっつけるお節介も焼く。
ロケ地
・直八と連れ立って彼の親の墓に参る青目ら、不明(石段登った上が墓地)。
・泪橋は映画村怪獣プールに特設。
・直八が釈放されておふみといい感じを見届けたあと青目同心と語らいながらゆく長さん、梅宮大社神苑(池の周囲を巡る)。
*直八は辻萬長、おふみは余貴美子。ワル旗本は亀石征一郎、狂犬そのものの凶悪さで、押し借りの際には土佐犬連れて来たりする。*今日の辰、酒を飲むと変わる人格ということで浪花屋姉妹に無体を働く…それいつもと一緒。
第29話「現われた初恋の人」1991.6.18
事件は、使い込みの穴埋めに誘拐の身代金を充てようとする小普請支配の悪企み。うまうまとさらわれてしまう富商の若旦那の、出生にからむ情話がからむ。
ロケ地
・誘拐された呉服問屋の子の死体発見現場に花を供える青目同心、広沢池東岸汀。
・芸者と船遊びをしていて拉致される紙問屋の若旦那、広沢池東岸(桟橋をあしらい、夜)。
・人質交換に指定の本所蛍ヶ池庚申堂、大覚寺護摩堂(堂を中心に、大八で金箱を運んでくる番頭とおきよが放生池堤の石橋、長七郎ぎみ登場に天神島朱橋を映し込み広がりを持たせる。殺陣は堂の裏手へ移動し、木のシルエットを壁に投影)。
・おきよが若旦那を平手打ちしお説教は五社明神。
*出産前に連れ合いを亡くし、子を養子に出した母に中村メイコ。事情を知る、養子先のお店の番頭は中村錦司。悪党の小普請支配は川合伸旺、手下の勝蔵は有川正治。
第30話「十手子守歌」1991.6.25
要町の文次がメインのお話、ドジを踏んで青目同心に叱られた彼は癇癪を起こし十手返上、一時荒れるが長さんにお説教を食らい改心という段取り。
ロケ地
・文次に捕まりかかった賊の一味が口封じに斬られる並木、広沢池東岸。
・その死体の検分、嵐峡汀。
*文次親分、娘ばかり五人の子持ちと判明。喧嘩して家を飛び出すカミさんは「葛岡さま」鷲尾真知子だったり。*今回のワルは定火消の旗本、猟官運動に要る資金は押し込み強盗で調達という豪快さ。凶行は家来がやるが、リーダーは福ちゃん(役名・太田源吾)で出番いっぱい、青目同心をギタギタに責める場面もある。福ちゃんの手下のガエンの小頭は牧冬吉、殿様は御木本伸介。
第31話「肩よせ合って」1991.7.2
辰の悲恋話、嫌がりもせず鼻緒をすげてくれた娘の正体は殺し屋。数奇な経緯で妹とともに殺人マシーンとして育てられたその娘は、辰との交流により人としての感情を芽生えさせるが、それが悲劇の幕開けとなる。
ロケ地
・姉妹に殺された島田屋の葬儀、弔問客に聞き込みの青目同心、大覚寺大門前。そこで名の出た二見屋が托鉢の雲水とツナギをとる茶店、五社明神本殿前にセット。
・雲水のツナギを受け元締の和尚が住持する萬禅寺へ走る妹・お冬、西明寺参道指月橋〜山門。和尚が二見屋殺害を指示するのは鐘楼脇。
・夜、呼び出された二見屋が入るお堂、大覚寺護摩堂(中にお冬がいて暗殺、直後青目同心に踏み込まれ逃亡)。
・辰を好きと妹に漏らすお雪、妹に掟破りと言われ思い出す幼時の殺し技トレーニング(藁人形ぐさぐさ等)、酵素河川敷。
・事後、二人の墓に参る長さんと辰、大覚寺大沢池北岸。一人物思う長さん、放生池堤石橋。
*こういう展開だと必ず入る火野正平の「泣き」、このお話では騒がしくなくしんみりと入る。主題とはエラい違いの姉妹の殺し屋という殺伐、幼い二人を仕込む際殺しは正義と刷り込むのに「お前たちはこの世を正すみほとけの子」と繰り返すアブない洗脳シーンもある。*ラス立ち後のぐるっと回転両刀収納は今回ナシ、瀕死のお雪に仇討ちをさせてやるため段取りが通常と異なる。*お雪は竹井みどり、元締の和尚は幸田宗丸でグルの大検使は石橋雅史。
第32話「少年は叫ぶ!」1991.7.9
どこか不可解な誘拐事件、五千両とったあとに来る五両の要求。裏には店を乗っ取った元盗っ人の悪行と、父母の死因に疑義を抱き過ごしてきた少年の悲しみが隠されていた。
ロケ地
・五千両の身代金授受が行われる小名木川高橋の破れ水車小屋、広沢池東岸に小屋あしらい、夜間撮影。
・誘拐した子と戯れる辰の知り合いの船頭、竹林や魚とりの汀、不明(竹林の向こうに塀と特徴のある石垣、竹林に井戸の屋形←暴将9-2の小梅清涼庵裏手の井戸と同じ。水辺は嵐峡か)。
・辰の「脅迫状」で安徳寺の一本榎へやってくる博多屋、大覚寺天神島。
・船頭に誘拐を持ちかけた壺ふり女を捕まえる文次、五社明神脇〜裏手。
・博多屋の番頭をシメる宅兵衛、五社明神(表側)。
*途中から気のいい船頭に持ちかけ自分の身代金を義父の博多屋主人からとろうとした子、長さんのお説教炸裂かと思いきやヨシヨシと優しく応対。乗せられた船頭も微罪で済むほか事後博多屋の三番番頭に。もちろん実は盗っ人の博多屋やグルの川船改は皆殺し。*船頭、辰から貰った半纏を干しているのが笑える…人にヘンな柄の着物やるなよ辰…誘拐に便乗するし。船頭は不破万作、博多屋は久高惟晴、裏で糸を引く悪党は波田久夫、壺ふり女は鈴鹿景子。
第33話「男泣き兄弟盃」1991.7.16
手のつけられぬ乱暴者の天狗安だが、長さんに懲らしめられ義兄弟となったことと、惚れた女のため更正をはかる。女のほうにも過去があり、安の思いを受け入れるもののその過去にまつわる恩人の仇を討ちにゆき儚く散り、安に嘆きを見せる。女の恩人に腹を切らしめた欲ボケ大目付はもちろん長さんによりメッタ斬り。成敗の前には、暴発しかけた安を体張って止める男気を見せる長さんなのだった。
ロケ地
・冒頭暴れる安、大覚寺大沢池北西畔(池ボチャありの大喧嘩)。
・安が惚れたおちかが参る、死んだ駆け落ち相手の墓、二尊院(紅葉の馬場、墓地)。
・駆け落ち相手の出身藩・越後別所藩上屋敷、大覚寺大門。
・中間にからまれるおちかを助けるが非暴力を貫く安を見たあと、長さんとおちかが話す水辺、桂川松尾橋上手中州落合汀。
・おちかの恩人・別所藩留守居役がおちかに大目付への賄賂高の書付を見せ正す、大覚寺大沢池木戸前石橋。
・事後、安の働く工事現場を見にやってくる長さん、罧原堤下河原。
*安に高岡健二、捨て子だった過去を持ち、世話を見てくれた婦人の面影をおちかに見るホントはナイーブな荒くれを好演。おちかに一色彩子、「運命の女」なんだけど密偵はやる仇討ちに行く、のけっこう荒っぽくて凛々しい姉ちゃんがよく似合う。ハラキリの留守居役は河合絃司、篤実な老武士役が似合う「暴将の玄石先生」。安の子分の一人に小船秋夫、理不尽にボコられてて笑える。悪い大目付は高城淳一。
第34話「艶姿、剣舞い」1991.7.23
高額の報酬に釣られスナイパーをつとめた男は裏切られ消される。お話は彼の息子と女芸人の人情劇、腕と気風を買われ長さんに子の保護を頼まれていた彼女は、裾振り乱し襟元もあらわな艶姿で刺客と切り結ぶのであった。
ロケ地
・札差の常陸屋が撃たれる屋形船、広沢池東岸。
・逃げた狙撃手の子を追うもしくじった浪人が膾に斬られる神社、吉田神社竹中稲荷。
・鉄砲方と子が住んでいた下谷浄妙寺へ聞き込みにゆく辰、和尚とお話の門は金戒光明寺瑞泉院。その帰り覆面の刺客に襲われる、長安院下坂(横から)〜鐘楼(崖を登るフットワークが見事、しかし直後追い詰められ鐘楼の基壇で頭打ってキュー)。たまたま来合わせ辰の危機に駆けつける青目同心、参道石段から。
・青目同心が語る常陸屋のライバル・大谷屋の悪行回想シーン(手下が金を返さぬ武士を襲撃しボコる道)、金戒光明寺長安院下坂見下ろし〜参道石段。
*大谷屋に菅貫、グルの蔵奉行に田中浩。ヒロインの女芸人に剣幸、槍踊りや殺陣なかなか。傀儡の出で父母は山賊と戦って殺されたというなんだか荒っぽい設定。子役も生意気可愛い演技がマル。*辰お笑いドラマ、昏倒して刃を向けられ危機一髪の折り見ていたのは天国からおいでおいでの夢、しかしお花畑で手招くのは近親者などではなくキレイな姉ちゃんの集団…。
第35話「思いやり、回り道」1991.7.30
婚約者に父の仇と狙われる髭ぼうぼうのむさ苦しい浪人はお家一途の忠義者、そして彼女を不器用極まるやりかたで護ろうとする。愛する娘を傷つけぬため、藩を改易から守るため、青年は甘んじて汚名を受け逐電したのだった。
ロケ地
・怪しの無精髭浪人を仇と狙う娘・ちえの下僕が、長さんらにその男に内緒で会わせてくれるよう頼む祠、大覚寺五社明神祠。その後殺されて見つかるのは本殿裏手。
・戸田藩邸に忍んだ青目同心が長さんに報告、大沢池北西畔(ここへ辰が「長さん大変!」と走ってくるのは放生池堤)。
・ちえの回想、今は仇の竜之介と天児を交換のデート、心経宝塔前に茶店あしらい。
・美濃屋が荷(横領した金)を運ぶ街道、酵素ダート(降り口に潜む浪人を長さんが諭す)。
・ちえの仇討ちを見に急ぐ民衆、大覚寺大沢池堤。
・仇討ちの明神ヶ原、心経宝塔前の広場に幔幕(後段では背景にちらっと池が映り込む)。
・竜之介が長さんに事の経緯を告白、酵素河川敷。
*髭浪人は黒田隆哉、ちえの父の僅かな使いこみに付け込んだ江戸家老は原口剛で怖い顔の手下は有川正治、悪徳商人は田口計。
第36話「鳴き砂」1991.8.13
不正を告発しようとして逆に罠に落ちた身内の仇を討とうとしていた恋人たち、二人ながら相次いで志半ばに散る。ワルはお決まりの江戸家老と悪徳商人に、藩主の菩提寺の和尚まで入っててコテコテ。
ロケ地
・鳴き砂のいわれを話す芸者・小ぎん、大覚寺大沢池北辺水路汀(ラスト、二人のために灯籠を流す場面も同所で夜)。
・鳴き砂の琴ヶ浜、琵琶湖西岸松原(伝説の基となった公達と琴姫のシーンのほか、小ぎん=雪絵と与四郎の誓いや、父と兄の処刑シーンも同所)。
・対馬藩菩提寺の万養寺、門は映画村のセットに見えるが前に石段。
*顔も見てないのに小ぎんを美人と聞き込んだ辰の妄想「美しい。一人旅。危ない。襲われる。男必要。つよくて優しい男。それは俺」このブツブツひとりごとにおはるちゃんのきっつい一言「逆さボウフラ」…。*小ぎんに蜷川有紀、仇討ちもの似合いまくり。江戸家老は高桐真で手下に岩尾正隆、悪徳商人は福山升三で和尚は中村錦司。
第37話「鉄火芸者の心意気」1991.9.3
勘定奉行の阿片密売を止めようとした江戸家老がワルの手に落ち汚名を着せられ殺された事件、彼を慕っていた辰巳芸者は無念を晴らそうと立ち回る。長さんはもちろん、美人の姐さんにイチコロの辰が大活躍。
ロケ地
・阿片密売の片棒を担ぐ悪徳商人の用心棒に呼び出され始末されかかる芸者・染吉、仁和寺九所明神(駆けつけ長さんは観音堂脇)。
・船頭が家老に宛てた文にあった「水辺の馬小屋」を探し回る辰、大覚寺放生池堤〜放生池源頭(洗濯中)〜五社明神の祠(絵馬堂が「馬小屋」)。
・家老の法要に呼ばれる染吉、寺のイメージに金戒光明寺経蔵(参道から見上げ)。
*染吉姐さんは芦川よしみ、越後新田藩勘定奉行は石山律雄、悪徳商人は森幹太。
第38話「別れ橋」1991.9.17
亡き友の恋人を匿ううち恋に落ちてしまうおはる、しかしその男の正体は大ワルで彼女を頭から騙しており、苦い別れが待っているのだった。
ロケ地
・雪於殺しは許婚者だった水島ではないとクサり石を投げる青目同心、大覚寺大沢池船着(小、池には睡蓮がびっしり)。
・怪しい上司の話をする青目同心、放生池堤石橋。
・水島がおはるに語る雪於の回想、野菊摘みの野原は広沢池西岸。おはるが水島を匿うボロ小屋、広沢池畔か。
・見返り坂で水島の引き回しを見たあと、別れ橋から彼に貰った簪を投げ捨てるおはる、中ノ島橋上。
*雪於殺しは大奥年寄、中揩ノなるよう勧めているうち雪於の「あんたなんか女じゃない」発言に逆上し刺殺…馬乗りになって刺してるし真砂路さまお下品。水島の正体を指摘する長さんもちょっとお笑い「その悪相を見れば百年の恋も醒める」…長さん時々つらっとこういうこと言うから。背後にいるボスは西沢利明、真砂路は一柳みる、グルの与力は徳田興人、水島は冨家規政。
スペシャル「虫ケラ一匹なればこそ 最後の剣舞い」1991.9.24
雌伏していた酒井忠勝が蠢動、姑息な手を用いて返り咲きを目論む。その過程に辰が拾った昔馴染みの娘が巻き込まれ大騒動、目的のため町娘を虫けらの如く始末しようとする酒井に、遂に長七郎ぎみの鉄槌が下る。
ロケ地
・辰の回想・十年前お俊と出会った道端、大覚寺天神島〜護摩堂裏。
・お俊が連れ込まれた一色家に魚屋の格好で忍び込む辰、警戒厳重な離れを見る、神護寺大師堂。
・一色家の姫の身代りとしてお見合いの行われる菩提寺・雲龍寺へ入るお俊、大覚寺大門(つけてきた長さんらは参道石橋から見やる)。
・酒井讃岐守忠勝邸、大覚寺勅使門(太鼓橋越しの正面)。
・消されかけたお俊を船で逃がす川端、広沢池東岸。
・隠れた先も追われ散り散りに逃げたあと集合する方正寺石段下、神護寺石段下。
・青目同心の勧めで匿って貰いにゆく与力・三枝邸、大覚寺明智門。
・酒井邸へ赴きこれ以上手出しするとと脅しつけた帰りの長さんを襲うくの一、神護寺和気公廟所前。
・浪花屋の姉妹が拉致され、喜久造が単身取り返しにゆく宗源寺、西明寺(指月橋、参道、山門、境内)。
・事後、旅ゆく長さんと宅兵衛、大覚寺放生池堤。
*酒井の企みは、公家の姫の変死を将軍が殺したことにして秘密を握る自分が意のままに操るプラン。長さんに成敗されて未遂に終わるから詳細は不明のままだが、実現してたらかなりキモチワルイものが見られたかも。将軍に目通りの目途がついたあと、例の「ヒーッヒッヒッ」笑い出てるし、さも楽しそうに「独り言」で段取り語ってるし…かなり阿部怪異してる。*娘たちを救うため喜久造さん単身で忍者に向ってゆき玉砕、虫の息で娘らに本当の親でないと告げたりお俊に説教したりして逝く涙モノ…でもあんまり必然性のない突入だった気がする…。
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