第1話 「おぼろ月夜の女」 1966.5.4 1
寛永寺の御用金を掠めた盗賊団の仲間割れ、父を殺された娘は口を閉ざすが恋人も凶刃に斃れ、義憤の籠った平次の説得に心を開く。
ロケ地
・鎌倉河岸に上がる絵師(盗賊一味)の死体、不明(傾斜のきつい土手、堤上に並木)。
・彫物師のところへ刺青を消しに来た一味の巳之吉を鎌倉河岸に追いつめるお品と八五郎、瀬田橋竜宮(導入は雲住寺塀際、社務所裏の川端や溝と橋で捕物、竜宮の玉垣が映り込み。巳之吉は瀬田川へ飛び込んで逃れる)。
・巳之吉殺害現場へ急ぐお品たち、吉田神社竹中稲荷本殿前。
・泳がせたお珊を見失うも八五郎の言葉にヒントを得る平次、宗忠神社本殿玉垣前。
・お珊に隠し金のありかを迫る十二支組の残党と平次が大立ち回り、吉田神社菓祖神社境内。
・笹野さまの手配で江戸を離れるお珊を見送る平次たち、竹中稲荷参道重ね鳥居。
キャスト:巳之吉/曽根晴美 お珊/北林早苗
第2話 「残された風車」 1966.5.11 2028
毒婦と噂される踊りの師匠の死、取り巻き連に疑いがかかるが、過去の経緯と因果が縒り合わさっての謎が解かれてゆく。
ロケ地
・取り巻きの浪人が弓の扁額(うち一本が凶器)を奉納した弓矢八幡、御香宮か。
・小夜菊の「兄」順八が下女・お咲と逃げてくる三浦・鎌倉村の海岸、不明(広大な葦原、水面は滞水、遠景に山なみ、あまり高くない堤(?)上に家並み、河原か湖岸か)。
キャスト:順八/砂塚秀男 お咲/磯村みどり
第3話 「謎の夫婦雛」 1966.5.18 29
子年で二十歳の軽業師の娘たちが次々さらわれる怪事件、現場にいつも影のある浪人が持つマスコットの夫婦雛から謎が解け、出てくるのは物騒なお家騒動。
ロケ地
・朝駒太夫一座が小屋掛け、大覚寺大沢池北西畔(八五郎が奈落から続く荷車の跡を発見。堤上の木に松多し)。車を水中に投棄する熊五郎を見る八、護摩堂前。
・人形を届けに来た七重がならず者にからまれるが軽業でかわす市中、御香宮境内。
・高島藩江戸屋敷、大覚寺大門。
・新太郎の回想、故郷・奥州磐城高島藩の雪解け水を流す川、大堰川(街道は堤)。
キャスト:七重/御影京子 秋月新太郎/舟木一夫
*大名屋敷だろうとお構いなしの平次親分、藩邸の天井裏に忍び込むほか、ラス立ちは藩邸内で二丁十手の大立ち回り。
第4話 「千里の虎」 1966.5.25 1
犯行予告をしてから出る不敵な盗賊が跳梁、平次を窮地に陥れるが、逃げ込んだ先の袋小路を粘り強く調べる親分の目からは逃れ得ずお縄に。
ロケ地
・戸崎町の両替商に入った賊を追う平次、土塀と石垣の間に竹?垣、不明。
・庚申横丁を検分のあと考え込む平次、鐘楼と蔵、不明(鐘楼は小体、蔵は神光院のそれと似る)。
キャスト:竹の市/芦屋雁之助 鶯谷/大林文武
*立て続けに盗っ人にしてやられる親分、三輪の皮肉はともかく子らまで鉦を叩いてからかいに来るあたりがこの頃の痛快時代劇のお約束で面白い。雁之助の役どころは実は目明きの按摩。
第5話 「捕物仁義」 1966.6.1 1
八五郎が謀反人と決め付けた、思い切り怪しい坑掘り浪人は実は忠義の士。目指す富商の蔵には、彼の大切な若君が監禁されていた。
ロケ地
・皆川浪人宅へ戻るよう平次に命じられしぶしぶ赴く八五郎を尾行するお品、松並木石畳の参道は御香宮参道。
・八千石の旗本・永井和泉守邸、相国寺林光院。永井邸を辞したあと、乗っ取りを企む永井の「叔父」が差し向けた黒イカ軍団に囲まれ立ち回りの平次、鐘楼(脇の二社も映り込み)。
キャスト:皆川半之丞/大木実 お京/三島ゆり子
*手を引くよう平次を諭す笹野さま、しかし永井家の内情を記した紙を去り際置いてゆくなど渋い配慮。*三島ゆり子は皆川浪人の妻、嫉妬に狂った商家の娘の差し金で殺される。
第6話 「八五郎子守唄」 1966.6.8 2029
薄幸の矢場女にかかった殺しの嫌疑を晴らしてやる平次親分、楊弓場のオヤジの死体に突き立ったわざとらしい矢のトリックなんざハナからお見通し。
ロケ地
・事件の起こる楊弓場近くの白山神社、御香宮。
・主殺しの嫌疑がかかった矢場女の亭主(寄場脱走中)の土左ヱ門が上がる白髪橋下手、瀬田橋竜宮社務所裏手堀端。
キャスト:お半/馬淵晴子
第7話 「濡れた千両箱」 1966.6.15 2129
谷中の寺へ寄進の三千両が忽然と消えた事件、三輪の持ち場と遠慮する平次親分だが、乗り出すや鮮やかに「縺れた糸」を解いてゆく。巾着きり女の変装や喧嘩で目くらましの浪人なんかあっさりとバレバレ、しかし筆跡を変えられたり浪人に逃げられて「ご苦労様」の張り紙されたりする場面も。
ロケ地
・谷中清養寺(表記は筆跡調べの紙に)、仁和寺中門に似る(境内は花頭窓のお堂や鐘楼、水場に墓地等)。
・八五郎の懐から「文」を盗ろうとした巾着きり・お兼を捻りあげる平次たち、仁和寺鐘楼前〜水掛不動参道(縁日を演出)。
第8話 「刑場の花嫁」 1966.6.22 1
回船問屋の隠居殺し、養子が自白し処分は速やかに決定。しかし得心のゆかぬ平次親分は調査を続け、刑場へ引かれゆく男の前に許婚者を白無垢姿で立ちはだからせ時間を稼ぐなど狂言も打ってみせ、磔刑台の前で槍がクロスするところまで行く派手な展開。
ロケ地
・十海屋隠居所、中山邸通用門。手代のアリバイを証言した女が土左ヱ門で上がる汀、桂川か(流れは瀞、河原に礫)。逃げた手代を追う平次も桂川と思われるが場所を特定する要素に欠ける(銭投げの親分の背後に石積護岸)。
・小三郎処刑を告げる高札を見る民衆、大覚寺参道の塀際(石橋を渡ったコーナー部分)。
・小三郎の父・浪五郎が現れる水天宮、御香宮(絵馬堂前〜本殿裏手)。
・小三郎引き回しの列の前に花嫁衣裳で現れ時間稼ぎをするお美乃、不明(下鴨馬場か嵐山東公園か/そのまま磔になだれ込むから小塚ッ原設定の模様)。
・処刑を中止させるため平次たちが慌しく出入りする奉行所門、大覚寺明智門(看板には「町奉行所」)。
第9話 「兄弟ふたり」 1966.6.29 21
死刑になった父を持つゆえグレる兄、奉公先をしくじる弟、彼らの更正と幸福を希う母。殺しの罪を着せられかかった兄弟だが、親分の鋭い分析は過去の事件にも及び謎を解きほぐす。
ロケ地
・兄弟のアリバイを聞き込んできた八五郎と話す平次、今宮神社合祀摂社前(親分が腰掛けて泉屋の財の行方を考察するのは稲荷社の玉垣)。
・番太を殴り倒して逃げた弥太郎が弟に当身を食らわせる新徳寺の床下、不明(露口茂がちょっとかがむ位の高さ、亀腹が立派)。
・事後、更正し汗して働く兄弟を見た帰り、八とよかったね会話も今宮さん、舞殿前。
キャスト:弥太郎(兄)/露口茂 おみね(母)/浪花千栄子
*ベタな浪花千栄子の母が良し。彼女のみ鉄漿を施している。
第10話 「女ごころ」 1966.7.6 21
お店を潰した挙句呑んだくれてDVをはたらく亭主の殺害、ずっと耐えてきた女房はお静の元同僚。彼女と子を「過剰に」庇う長屋衆の人情劇が展開されるが、真犯人もつらっとそこにいるのだった。
ロケ地
・湯島天神へお参りの平次夫婦、北野天満宮地主社(てーへんだの八五郎は本殿北西隅から現れる)。
・お咲が釈放される茅場町の大番屋、京都御所管理事務所北門。
キャスト:お咲/姫ゆり子 お勢/笠置シヅ子 北島勘兵衛/小林勝彦
*お咲に自首を勧めるお静が長屋衆の悪罵を浴びる一幕もある。母子を庇い智恵を出す長屋のご浪人さんもいい味、捕縛にも協力。
第11話 「雨の中の男」 1966.7.13 21
因業強欲な金貸し夫婦を訪ねてくる、雨夜の化物じみた訪問者。しかし世に不思議なし、殺しにはやはりそれだけの理由、何もかも弁えた親分の情溢れる采配で一人の薄幸の少女が救われる。
ロケ地
・訳ありげな越後屋の下女・お駒から聞き取った事情を平次に話すお品、今宮神社楼門。
・事後、越後屋の女房の墓にやって来る平次たちやお駒たち、くろ谷か。
キャスト:岩造/渡辺文雄(縊死したお駒の姉・小紫の恋人) 与次郎/坂口祐三郎(お駒の恋人)
第12話 「狂った火」 1966.7.20 2130
怪しの祈祷でがっぽり金をとる行者、或る日群衆の前でこけおどしの火伏の行を執り行うが仕掛けが開かず敢無く焼死。平次の入念な調べで極悪人の「真犯人」は判明するものの、悪徳修験者の死を願う者は他にもいて、皆して横穴に入ってて泥だらけ。
ロケ地
・東海坊が火伏の行をする道灌山、不明(護摩壇は広いグラウンド状の土の上に設置、周りは松原。嵐山東公園か)。
第13話 「星より綺麗な花」 1966.7.27 1
大名主の家で起こる跡取り騒動、主が昔下女に産ませた娘がやってくるが、なんと二人も来てしまう。真贋をめぐり騒ぐうち主や食客が殺される血腥さ、親分の慧眼で真実はほぼ知れるが、決め手は呆けた婆さんの心にも届く歌だった。
ロケ地
・三河島の庄司伊左ヱ門邸、民家長屋門(前は地道)。
・女中のお糸が幼時覚えた歌「青い薄の葉を噛んで」を歌いに来る近くの池、大覚寺天神島(祠、鳥居)。睡蓮の花もアイキャッチに。
・事後、事の次第を親分に尋ねる八五郎、豊国廟参道石段。
キャスト:お糸/園まり
*亡き名主の妻女の心を考察の親分、女心の機微をお静に問い自分の浮気と疑われちょっと険悪に←がらっ八の揶揄。*脚本は飛鳥ひろし。
第14話 「七人の花嫁」 1966.8.3 2130
花嫁誘拐が多発、平次が警護を頼まれた件もまんまとやられ、夫の窮地にお静は身代りを申し出るがこれもうまうまとさらわれてしまう。妹の幸せを願うあまり悪事に手を染めた姉の哀話が絡んでくる。事件はお決まりの人身売買。
ロケ地
・冒頭掘割のイメージに伏見の酒蔵、宇治川派流・大倉浜。
・花嫁がさらわれる大川端、唐橋下手瀬田川左岸。
・さらった娘たちを隠してあるアジトの寺、雲住寺(境内、門内外)。寺での大捕物の一部に瀬田橋竜宮(本殿前)。
キャスト:お鶴/根岸明美 肥前屋/永野達雄 軍兵ヱ/宮口二朗
第15話 「死人の殺人」 1966.8.10 2131
身内を庇おうとして殺人を犯した男は亡霊に悩まされ惑乱するが、裏には盗っ人の長大な計画が隠されていた。
ロケ地
・「絞殺」した与助の亡霊を見て錯乱した酔月の主がよろばい出る門、中山邸通用門。
・身投げしようとする主を止める平次、大覚寺天神島。
*八の将棋自慢が傑作、親分がへっぽこなのか八が滅法強いのか、この時点では不明。
キャスト:おりん/富永美沙子 湊屋/小田真士 紅鶴/森嶋欣作
第16話 「地獄の投げ銭」 1966.8.17 2
埋立地スラムもの、潜入した同心の死、赤子を抱いた妻女の涙を見た平次は志願してくらやみ河岸へ。腕っ節と度胸を買われて役付きになったり、足抜け女郎を庇ってみせたりと活躍の親分、外にいるという噂の親玉は果たして内部の意外な男というのもおきまり、同じく潜入していた隠密回りと土壇場で合流し大立ち回りのすえ全員捕縛の大手柄、黙って出たままの家に帰るのに入口でもじもじが可愛い親分なのだった。
ロケ地
・帰らぬ夫を案じ南町にやって来る同心・水木の妻、大覚寺明智門(看板は「江戸町奉行所」)。
・くらやみ河岸に潜入の平次が対岸で釣りの笹野さま(宗匠姿)とツナギをとる堀端、嵐山公園中州湛水域。
*潜入前にご丁寧に牢入り、そこで伸びた設定か潜入の際はムシリ頭。*「濠外」エントランスにはやはり橋、小体ながら味わい深いボロ橋がセットされている。
第17話 「切られた綱」 1966.8.24 2131
軽業一座の花形太夫が綱渡りのロープから落ちて起こる騒動、目星つかぬままカマイタチだの幽霊だの騒ぐが、裏には過去の許せぬしがらみが隠されていた。早々と謎を解く親分だが「母」の心を汲んで温情裁きに。
ロケ地
・つばめ太夫の弟が遊ぶやしろ、不明(前に短いステップを持つ大きな鳥居、境内にはピロティーの舞殿らしき屋形、周囲は草深い)。
キャスト:つばめ太夫/服部三千代 天童太郎/徳大寺伸 道庵/北村英三 お高/坪内美詠子
第18話 「玉の輿の呪い」 1966.8.31 2131
町場の娘が殿様の側室に望まれるが前夜に殺害、家族や元恋人が詰りあったり、庇いあって名乗り出るなど大騒ぎ。平次は彼らの嘘を見抜き現場で謎を解いてみせるが、意外な真犯人も不幸に落とした一家を慮ってのことという情話。
ロケ地
・八がお菊殺害を知らせに行く夜道(ロープや地蔵で漫才)、糺の森か。
・土佐守の用人・柴田邸、相国寺大光明寺(平次が訪ねるシーンで門を内から、八がてーへんだと駆けてくる帰り道に南路地、暇乞いのため国へ帰す妻女を見送る用人のシーンに式台玄関)。
・お菊が元恋人の徳松と喧嘩のくだり、本法寺境内(塔裏手、摂社脇)。
キャスト:弥助(義理の父)/花沢徳衛 柴田伴内(用人)/市川小太夫
*平次にヒントを与えたのはお静の「大名の奥方が気の毒・雲の上の方でも女は同じ」の一言。この導入に、やきもちネタの八との漫才があってマクラに。
第19話 「帰らぬ鳩」 1966.9.7 2232
拘留中の盗っ人の釈放を求める一味にさらわれてしまうお静、平次ファミリー挙げての働きで賊のアジトは割れ解決を見る。そして親分の情に触れた賊の女房は隠し金の在り処を告白。タイトルは一味が使った伝書鳩、笹野さまが名手を集めて邸内に入る前に射させたもの。
ロケ地
・黒雲の浅次郎を駕籠(実はカラ)に乗せて大番屋を出る平次、御所管理事務所北門(夜)。
・一味の浪人が待ち構える墨田堤、大覚寺天神島。お静が連れ込まれる賊のアジト、阿弥陀ヶ峰参道脇の桐院席。
・買収されて鳩を盗んだ男が殺されて見つかる墓地、不明(相国寺墓地か、竹藪あり)。
・笹野さまの策略にかかり丹波屋を抜け出した一味のお滝(浅次郎の女房)がアジトへ行く道、相国寺大光明寺南路地〜鐘楼脇〜湯屋前(辻駕籠を拾う)。
・捕えた一味を引き立てる大番屋、先のと同じ御所(伝馬町へ移送される浅次郎とお滝に別れをさせてやるので尺をとる。向かいのブロック塀も映り込む)。
・丹波屋の庭はロケかセットか不明。
キャスト:馬場陣内(一味の浪人)/天津敏 お滝/芳村真理
第20話 「七年目の仇討」 1966.9.14 2
恋人の罪を肩代わりして七年もの間汚名に耐えた男、しかし女がワルの薄汚い保身に巻き込まれ死んだあと仇討ちを志す。互いの度量を読んでの親分とのやりとりが泣かせる。
ロケ地
・高島藩城イメージ、姫路城天守。
・二度の果し合いの場、仁和寺九所明神(本殿前は草ぼうぼう、織部灯篭も隠れるほど。子を連れて去ってゆく伊積浪人のシーンで参道と鳥居も映り込む)。
*伊積隼人に里見浩太郎、仇討ち弟に峰蘭太郎(逆算すると十代?)。
第21話 「湯治場の休日」 1966.9.21 2
江戸を離れお静と湯治の平次親分、仕事は忘れてと約束するも、宿で盗難事件が起こっちゃうからどうしようもない。首を突っ込みかけてお静にたしなめられたり、イライラを床の間の戎さまにぶつけたり(碁石投げて向きを変える)、岡っ引をからかったりといつもよりコミカルな親分はやはりバカンス風味。身を挺して明神下の平次と証明してくれる元巾着切りや、強面の仇持ち浪人が見知りの大道芸人だったりする挿話も利いている。
ロケ地
・サブタイトルに被る沖の島は紀州・白浜の円月島。海岸は千畳敷か。
・宿の主の妹が漁師の恋人と会う松原、不明。
・当地を発つ平次に土産の干物を持ってくる恋人たち、礫の粗い浜、不明。*海浜は波の寄せる様から琵琶湖ではなく本物の海と思われる。
第22話 「渡り鳥」 1966.9.28 2132
生き別れとなった母子の情話。捨てられたと母を恨み意趣返しを目論むグレた青年だが慕情は断ち難く、母の店の財を狙う悪者の仲間にはなりきれないのだった。
ロケ地
・叩き刑を終え奉行所を出る佐吉と哲、大覚寺明智門。
・佐吉にひょうたんから取り戻してきた守袋を渡す妹、佐吉に信濃屋への手配が済んだと告げに来る哲、哲の死体が見つかる宮さん、および妹の代わりに平次が現れ佐吉を諭す「烏ノ森神社」、御香宮本殿裏手と摂社。
・佐吉が竜泉堂(賊のかしら)を呼び出す堀端、導入は雲住寺塀際、二人が会う汀は瀬田橋竜宮社務所裏手の瀬田川汀(水路に板を渡してある。汀には杭)、争うシーンは竜宮玉垣際(立ち回りは境内になだれ込み、親分登場も境内)。
第23話 「闇夜の目」 1966.10.5 2133
巧みに下見して押し込む賊、お家再興を目指す浪人が家族ぐるみではたらく仕事。平次親分は娘の一人を情をもって説き解決に持ってゆくが、一徹な浪人は自裁を選ぶ。
ロケ地
・一味の船頭が勤める船宿・川吉の下女に話を聞く平次、瀬田橋竜宮本殿前(後段、浪人が船頭にツナギをとるくだりや乞食に目撃情報を聞くくだりに竜宮玉垣や雲住寺塀が映り込む)。
・片大工町の浪人の長屋へ赴く平次、挿入のイメージカットに宇治川派流と酒蔵。船頭とお島が話す川端、不明。
・お島を遠回しに説得する平次、不明(汀に屋形船、両岸に枝垂柳)。
*森右門が浪人したのは先代の菩提寺の失火の責、この再建に三千両必要というちょっとトンデモな設定、彼は中風の寝たきり老人に化けたりもする。*親分、身を低くしてお島を親身に説くが去ったあと「やっぱりか」はなかなか笑える。八と将棋のラストシーン、珍しく親分が優勢。
第24話 「捕縄の掟」 1966.10.12 2133
金貸しを殺して奪った金を貧者に撒いて歩く「義賊」に憧れる少年、当のその賊である兄は弟に正道を歩ませるため、弟の投げ縄に捕縛されるよう計らう。彼らが根城にしている木賃宿の情景がいい味。
ロケ地
・兄が屯する茶店がある神社、新日吉神社(楼門から舞殿まわり)。
・神田川へ入水の幇間の「道化」、不明(堀端に柳)。
*兄で「天誅組」の賊(表向きはヤクザ、平次の昔馴染み)に長門裕之、弟の市蔵に宮土尚治(現・桜木健一)、道化に三井弘次。*今回はお静が寝込んでいる設定、親分が厨房に立ちお粥を煮るのだが、入れようと掴んだ塩の量が水戸泉かと思うような量。さすがにお静に聞きに行ってウバーな料理にはならずにすんだ模様。
第25話 「ふたり平次」 1966.10.19 2133
平次の名を騙り十手をかざし銭投げまでしてのける押し込みが続発、手がかりなくクサる親分だが、八の話にヒントを得て核心に迫ってゆく。平次を偽装の賊のほか、真似っこ役者やそっくり按摩まで出て笑いを提供。
ロケ地
・平次に目撃した賊の情報を提供しようとした山崎屋の女中が殺される明神境内、御香宮本殿裏手(本殿裏塀、裏の連続祠、北東角の黒木鳥居の摂社)。
*賊に平次の日常を報告していた、隣に越してきた按摩を騙すお芝居の夫婦喧嘩も傑作。八はお茶碗かたかた鳴らして器物破損を演出。ニセ平次とのラス立ちは銭投げの応酬で見もの。*平次似の役者に南利明、山崎屋の若主人に中山昭二。
第26話 「母恋い星」 1966.10.26 40
多忙な父と後妻に冷遇される若様を不憫に思った侍女が思いつく狂言誘拐、偉そうで情の薄いお武家にカリカリの親分が傑作の人情劇。平次のお説教で改悛した金座役人(沢村宗之助)が、つらっと岡っ引をしているような人の、なんて発言するのも古いドラマを見ていて面白いところ。
*石井邸や船着きもオープンセットの模様。
第27話 「生きていた平次」 1966.11.2 2
交換殺人ネタ。女がらみで師匠に嫌がらせを受け八方塞がりの役者にその話を持ち込むのは渡り中間の今井健二、勤め先の奥方をタラしこんでいるわ抜け荷をやらかすわの大悪党。探りを入れてきた平次を毒殺しようとするが、鋭く気付いた親分に逆に利用されてしまい敢無くお縄に。
ロケ地
・渡り中間の伊之助が勤める旗本のお屋敷(越前堀付近、吉川作之進邸)、相国寺大光明寺(役者の市之丞が訪ねてくるシーンでは門、のち平次が吉川に事情を聞きにくるシーンでは式台玄関や前庭が使われる。八が張り込んでいるので身を隠す伊之助のシーンは方丈南西角)。
・割符がらみで殺された男の件で笹野さまに調査結果を聞いた帰りの平次を襲う抜け荷一味、相国寺方丈−法堂間。
・抜け荷船が着く水辺、広沢池東岸(夜)。
*伊之助が笹野さまからと偽って届けた酒と泥鰌、気付いた平次は泥鰌の桶に酒をドボドボ、たちまちばしゃばしゃと暴れて悶死する泥鰌…時代劇の毒ってホントに即効。このあとすぐ平次の葬儀のシーンに移行して爆笑もの。お静は一晩中回向院で一人座らされていた模様。*大光明寺、塀際に低い植え込みあり。また、方丈塀際は草ぼうぼうで前の道は地道。
第28話 「名刀の罪」 1966.11.9 2234
仕官のかかった名刀が紛失、お疲れモードの親分だが、何か知っていそうな蕎麦屋の親爺に心理攻撃をかけて核心に迫ってゆく。当の刀をかざし十手で傷つけてもイイのかと迫るワルには、手拭がらみで立ち向かう。
ロケ地
・寺侍の弟のところへ刀を返せとやってくる刀工、不明(塔の下部みたいな花頭窓の建物等、設定は三元寺)。
・寺侍と研ぎ師殺しの浪人たちが集まる小松町の梅の森、下鴨神社糺の森。
*乱暴寺侍に藤岡重慶。
第29話 「呪いの藁人形」 1966.11.16 2234
因業な質屋・本郷の万両分限への復讐譚、謎めいた怪しい展開。恨みを呑んで死んだ男の命日が明日と迫るとき、些細なヒントに親分の炯眼が光る。
ロケ地
・井戸に変死体の越後屋の検分を終えて帰る親分と八、吉田神社参道石段(車道側に子らを連れた秋山浪人)。
・神社の木に越後屋の主を呪う藁人形、吉田神社本殿前鳥居脇の杉の木に(サブタイトルの画はここ、本郷から神田までの神社に同様のイタズラ←三輪の親分談)。
・越後屋に雇われた用心棒が果し合いの水辺、宇治川塔の島か(流水と護岸が木津でも桂でもなく宇治川っぽい)。
*越後屋のどら息子に「赤影」坂口祐三郎。*お話の前後を芝居見物の支度をする平次夫婦で締め、八とのからみもいい味。
第30話 「狙われた女」 1966.11.23 22
根津の棟梁の後添えが何度も狙われる事件、間違って義理の娘が殺される事態に。二転三転する状況を冷静に分析した親分は、証言の僅かな綻びから謎を解いてゆく。お話は、悪どい金で棟梁の後添えにされた女の業を描く。
ロケ地
・後妻・お通がもといた目黒の尼寺・妙蓮寺、相国寺大光明寺(門の部分がちらっと映り、庵主に事情を聞く段は方丈縁先。塀際の植込みや灯籠の有無等現在と様子が違う)。
・一時犯人と疑われた下女の死体が見つかる池端、広沢池東岸(検分は汀、堤の桜並木も使用)。
キャスト:お通/岸正子 辰之助(番頭)/尾上鯉之助
第31話 「掏られた遺書」 1966.11.30 22
手を焼かせた大盗が意外な線から捕まる話。遺書を残して殺される妾や、顔の見えぬ妾の旦那や、八にまとわりつく情報屋の巾着切りなど怪しさ満点の道具立て、目を逸らそうとばらまき過ぎた痕跡が仇となり親分に見抜かれる。
ロケ地
・妾の情夫だった役者が殺されて見つかる三味線堀、嵐山公園水路南岸の堀端(検分の親分の背後に茶屋の萱葺屋根が見えている。役者が妾の旦那と会うシーンでは夜間撮影)。
*親分のお芝居にかかった巾着切りが逃げ回る、三軒の家をつなぐヒミツの通路が見もの。巾着切りに鈴木やすし、役者を強引に連れ出す駕籠舁きに西田良。
第32話 「三日目の鐘」 1966.12.7 22
八五郎が不審者を追ってつい入り込んだ寺社地は岸和田藩侯の菩提寺、留守居役は強硬に八の処分を求めるが、裏には闇の事情が潜んでいた。八が侵入した理由を正当と証を立てるのに切られた三日の期限、探索中にも次々起こる札差関係者の怪死、お静の見事な機転も解決に寄与する。
ロケ地
・女絵師の家を窺っていた元札差の息子を見咎め追う八五郎、相国寺法堂脇〜大光明寺南路地。清源寺に入り込んでしまうくだりは大光明寺通用門〜方丈前庭、寺男が出てくるのは中仕切から。
・札差連中が踊りのおさらい会(女絵師の死体が出てきて大騒ぎ)を催す料亭はセットかロケか不明。
*八が追っかけた元札差の息子に工藤堅太郎。*実行犯と目をつけた島帰りの男を尾行すると襲ってくる頭巾の侍たち、殺陣の最中親分はひらりと小屋根に飛び乗り銭投げ。スタントと思われるが、なかなか見もの。
第33話 「冥土の便り」 1966.12.14 2
合点のゆかぬ二人の女の死、事件の影に見え隠れする浪人と対峙する平次。裏には哀れな事情があったが、親分は理と情をもって彼を説く。
ロケ地
・越前屋の寮、不明(料亭の玄関ふう)。
・上州屋の娘が父に言われて油揚げを供えにゆく裏の稲荷、吉田神社竹中稲荷奥の摂社。立て続けの不審死に考え込み歩く平次、三高碑への石段前。田波浪人が現れ一局と誘う、舞殿脇。
・田波が寺子屋を開いている寺の和尚に聞き込みの平次、相国寺林光院玄関前か。
・田波が参る深川芸者の墓、相国寺墓地。そこへ現れた平次が田波と話しながらゆく道、大光明寺南路地。
・武蔵屋の娘が夜参りに出るお宮さん、相国寺鐘楼まわりに縁日を演出。
・娘が田波に襲われる橋、中ノ島橋。堀端で自刃した田波が落ちるのは別撮りか。
*田波浪人に天知茂、恋人の芸者を旦那衆の馬鹿な遊びで失い虚無に陥る役柄がお似合いで、平次との問答も見もの。女たちの死後届けられる不気味な文も雰囲気なんだけど、教え子の手習いを切り貼るというのはお茶目。
第34話 「美しき標的」 1966.12.21 22
鉄砲による両替商の後妻殺しに取り掛かる親分、明らかに犯人を知っている漁師の強硬な黙秘で難航するが、粘り強い捜査で核心に迫ってゆく。
ロケ地
・漁師の亀松を土手脇の神社へ連れてゆき詰問する平次、鳥居本八幡宮(川べりは桂か)。
・両替商の養子・銀三が高飛びさせてある猪之助と落ち合う(→殺害に移行)木更津の松林、琵琶湖西岸松原(舞子浜、沖ノ島の島影からカメラがパン、高島の岬までぐるっと回る。長命寺山を映さないようにして「海」を強調、松林からは比良の山なみがのぞく)。
・亀松が銀三にお縫の仇と銛で突きかかる墓地、金戒光明寺本堂裏手墓地。
*亀松に沼田曜一。
第35話 「大晦日に帰った男」 1966.12.28 2234
年の暮れ、勘当息子が母から金をせびろうとしてやらかす死んだフリが、周囲の者の欲がらみで殺人事件を巻き起こす。早桶に入って埋められるが裏切られ、掘り出して貰えない間抜け亭主に山城新伍。これが晦日に釈放されてメデタシがタイトル。
ロケ地
・又三郎が埋葬される本正寺の墓地、黒谷か。
・又三郎の女房の兄が平次に呼び出される寺、智積院密厳堂石段〜蔵・宝筐院塔脇〜大師堂前石畳。
第36話 「平次屠蘇機嫌」 1967.1.4 3
笹野さまへ年始に詣でた帰り、怪しい料理屋を見つける平次。そのまま捜査に入り果ては大捕物、銭形ファミリーにほんとの正月が来たのは松が明けてからだった。
ロケ地
・平次が借りた料理屋へやって来た一味の虚無僧を尾行する八、神泉苑(法成橋〜善女龍王社〜池端←八、突き落とされ)。
・手拭に記されていた不忍池付近を探るお品と下っ引たち、京都御所九条池高倉橋。橋から見た拾翠亭が料亭・鶴喜で、戸が一枚逆さま。このあと竹垣など周囲も立ち回りなどに使われる。追い詰めた賊の首領が「魚取るべからず」の札を引っこ抜いてかかってくるのは厳島神社の池に張り出した州(今も看板はあるが、文面は「餌をやらないで下さい」)。
*怪しい料理屋を探るため親分がしてのける酔っ払いのお芝居が傑作。お弓ちゃんの歌に合わせて踊ったりなんかもする。風物詩の三河万才にはいとしこいしが出ていて喉を披露。やり直し正月でカルタとりにマジの親分も笑える。
第37話 「十手飛脚」 1967.1.11 3
拉致監禁された上総屋の娘を救い犯人を逮捕すべく伊豆に向かう親分、今回は旅もの。陰謀の主は想定範囲内にいたが、あからさまに親分を襲撃する一味が投げ銭の利かぬ強敵で防戦一方だったり、誑し系の女まで出て大騒動。
ロケ地
・植辰の庭先で投げ銭の練習をしていて追い払われる八、北嵯峨付近の造園家の敷地か。
・人けの無いところで練習の八が上総屋の手代襲撃に出くわすのは下鴨神社池跡。重傷を負った八の注進で出張る平次、一味の狙う文書を見つけたことで追われる、参道〜二の鳥居〜楼門前(神職が出てきて悪者は退散)。
・上総屋の娘が監禁されている伊豆網代の長永寺、金蔵寺。
・番頭がゆく野道、平次が足を痛めた女を拾う祠のある道など不明。
・虚無僧入りの敵が海沿いの街道をゆく平次を襲う松原は琵琶湖西岸。
・事後、お静とお参りの平次、下鴨神社御手洗社〜参道。
*武器を奪われた親分のピンチを救った銭緡は、出掛けにお静が何かのときにと持たせた心尽くし。平次の恋女房はこのほか怪我した八を看病するが、脱走防止に足を紐で括ってあるファンキーさが笑える。*冒頭、八の「流れ弾」を食らう植辰に上方柳太、虚無僧の一人に阿波地大輔。
第38話 「夜釣りの客」 1967.1.18 3
八が師と慕う将棋の強いご浪人さんは仇持ち、帰参の期限に焦り人道を踏み外してしまう。彼を疑う親分にマジでかんかんに怒り逆らう八も見ものの、重苦しい話。
ロケ地
・藩邸へ行くという成沢浪人と行き会う平次と八、忠魂碑みたいな石塔のある寺、不明(石畳と松並木も見える)。
・あばた面の甚助が住む船小屋と周辺、不明。そこへの橋は若森廃橋に似た木橋(アングルはアオリのみ)。小屋は堤外地にある感じ、土手の向こうに甍が見えているが天井川堤ならこんなふうに見えるかも。土手にはステップつき。
・甚助の船が見つかる川辺や、彼の首無し死体が上がる石礫河原は、いずれも水面と地面しか映らず判断材料を欠く。
第39話 「奪われた短筒」 1967.1.25 2235
鉄砲組与力を襲い短筒を奪う賊、平次は大掛かりな芝居を打って盗っ人として一味に潜入。首領の情婦に惚れられたり、切腹した与力の息子が父の恥を雪ぐなどと乱入したりするうち正体はばれ、あろうことか金座を狙う一味と死闘となる。
ロケ地
・賭場の開かれる屋敷、相国寺大光明寺(門前に出す八の屋台は別撮り)。下っ引と息を合わせた「橋場の三吉」が隠れる祠、宗旦稲荷。
・一味のアジト、不明(空地の隅に蔵、家屋は民家っぽい)。
・事後、父の後を継いだ与力の息子が意気揚々と登城の道、京都御所塀際。
*首領の青木森蔵に尾上鯉之助、与力の息子に峰蘭太郎。自身を橋場の三吉と信じ込ませるのにかける手間が見もの、ムシリ頭も似合い情婦とのやりとりでは色悪じみた表情も見せる。
第40話 「節分の女」 1967.2.1 3
節分の夜に起きた殺人、見え隠れする女の影。婀娜っぽいその元芸者は、病みやつれた「夫」に代わって彼を陥れた者どもを嵌めてゆく。余命幾許もない「夫」と二人きりの、静かな暮らしを夢見た女の願いは叶わない。
ロケ地
・札差の越前屋が殺される神社、御香宮本殿裏手(平次が舞うのは本殿脇にある舞台)。後段仙吉が北町同心に斬られるのも同所・摂社前。
・お芳が元北町の榊原を療養させている葛飾の金蔵院、金蔵寺。護摩堂前、鐘楼、山門と参道や本堂前など各所が使われる。
*お芳に嵯峨三智子、「夫」の元北町定回りで陥れられ浪人した榊原は波田久夫。越前屋と組んで榊原を嵌め、後を襲った現定町回りの国枝同心は永野達雄、手先をつとめ榊原宅に「賄賂」の金を投げ込んだ仙吉は五十嵐義弘。
第41話 「黒い魔手」 1967.2.8 3
近所の子供が帰ってこないと捜しに出た親分、寺に入ったところ慌てて持ってきた御用提灯を見咎められ、十手召し上げで窮地に。しかしその寺は油を隠匿する悪の巣窟だった。
ロケ地
・子らを捜しに入る一念寺、穴太寺(仁王門ほか境内をフルに使用、今は鉄板が張られている建物もしっかり萱葺き、塀なども程よく崩れて風情たっぷり)。
・子らや八が監禁される「塔」は近くの金剛禅寺の鐘楼門(内側からの撮り、本堂や墓地に蔵も使用)。
・「法事」をしている一念寺へ「墓参り」にゆく平次と八が通る路地に小幡神社境内の北へ抜ける路地(親分たちの背後に道を隔てて向こうの民家の蔵も見えている)。
・奉行所へ呼び出され叱責され十手召し上げを食う平次、相国寺大光明寺方丈縁先。その帰り、腰のあたりがスカスカで所在なげに歩く平次、南路地。
*近所のおかみさんたちが子を捜す水回りは不明、ひょっとしたら犬飼川周辺、しかし今は改修され確認不能。
第42話 「十手子守唄」 1967.2.15 2335
大店の跡取りにと我が子を手放した女、それきり縁を断ち二度と会えぬことを悲しみすり替えを思いつくが、隠した子を託した女の身に変事が起こり赤子が行方知れずとなってしまう。
ロケ地
・お元から赤子を託されたお仙が殺される雁ヶ池、大覚寺天神島。
・平次宅で預かっていた「捨て子」をお元に会わせ、岩城屋の赤子を実の親に返す神社、不明(舞殿の奥に蔵、鳥居前にステップ、拝殿が檜皮葺)。
*お元に藤間紫。
第43話 「お由良の罪」 1967.2.22 4
玉の輿が決まった女は、それまで関係していた男にいちいち縁切りを申し渡して歩くが、翌朝堀端で死体となって見つかる。最初に予断を与えるシーンを挿入し小気味よく裏切る展開も楽しい一話、主軸となる毒婦を三島ゆり子が好演。
ロケ地
・お由良の死体が見つかる水道橋の上水掘端、瀬田橋竜宮・社務所裏手堀端(殺害現場回想も同所、事件を述懐する平次のくだりでは堀端の柳越しに唐橋が映り込む)。
第44話 「江戸ッ子雛」 1967.3.1 4
出先で大名家のお姫様を拾う平次、お家騒動の渦中のうえワルはお奉行のライバルで更にややこしい事態に。当初平次を「コレ町人」と呼ぶ姫様が、町場で暮らすうち事を弁えた大人になる成長物語でもある。
ロケ地
・平次が姫を拾う街道、下鴨神社(黒イカに娘を見なかったかと問われるのは馬場、足を挫いた姫が蹲っているのはいま瀬見の小川が流れる河床の茂み、声を掛けられた平次は参道にいて見下ろす)。
・姫を町に連れ出す平次、神泉苑。
・姫がさらわれたと芝居を打ち姫の叔父を呼び出す広源寺五重塔、仁和寺塔東側(遠景に経蔵)。
*親分に恋してしまう姫様、さすがにやっかむお静。ニブいのか信じきっているのかよくわからない親分の態度もなかなか笑える。姫様「お照」に森山加代子。
第45話 「桐の極印」 1967.3.8 2336
土左ヱ門の懐から出た慶長小判は豊臣の財宝。七年前の盗っ人の所業が知れるほか、欲をかいた金の亡者のすったもんだが描かれる。
ロケ地
・釣り人が七千両泥棒の一味だった左官の死体を見つける柳原土手、大覚寺大沢池畔。
・慶長小判のことを聞いた帰り道、八が土左ヱ門が大坂城の人夫だったと告げに来る塀際、不明。
・上総屋の娘かどわかしの件で和三郎を問い詰める親分、相国寺鐘楼〜弁天社。
・上総屋の後妻を尾行するがお百度参りでがっかりの神社、御香宮猿田社(豊国神社と行ったり来たり/娘救出のくだりでも出る)。
・和三郎の過去を聞きに行く船橋の寺、相国寺墓地。寺を出る平次と八、林光院境内。
第46話 「お静のいのち」 1967.3.15 2336
旗本屋敷で次々起こる怪事、無辜の町人の死に怒った平次は十手を返上し調査に入る。お静が潜入を申し出て事件は解決に向かうが、裏には役職をめぐるキナ臭い事情もあった。
ロケ地
・麻布の小堀邸、六本木の一色邸と周辺、相国寺路地(湯屋前、方丈塀際など各所。小堀邸は大光明寺か)。
*見せ場はお静が連れ込まれる旗本屋敷、小堀を陥れる陰謀の主の癖に女にも手を出してみる殿様で危機とか、お静が牢に入れられたりなどして最後は火事まで出来。親分がお静に目印用の糠袋や燐塗った簪を渡してあるのも面白い。ほか、旗本屋敷へ押しかけての八の酔っ払い芝居も見もの。
第47話 「地獄の罠」 1967.3.22 4
父の汚名を雪ごうとして深間にはまる若き同心、お品が彼に淡い恋を抱くも悲劇の一話。八年前水戸藩から一万両を奪った賊は捕縛されるも護送中逃亡、今度は金座を襲う手筈を整えていた。
ロケ地
・火の玉の権六が護送中逃亡する杉之江坂(鈴ヶ森への道)、北嵯峨農地陵前の道。
・護送を宰領した同心・築波新太郎への沙汰を聞いた帰り、平次と八が話すお堂、不明(横長?)。
・番士が固める閉門の築波邸、御所九条邸跡・拾翠亭入口(頭巾被ってそっと出る築波は南側通用門)。
・自訴しようとした権六一味の船頭が土左ヱ門で上がる永代、中ノ島橋下手右岸河川敷(栗石)。
・一味の盗っ人宿になっている木場近くの料亭・水月、嵐山公園中州料亭・錦。
・お品が築波に屋敷へ戻るよう懇願しているところへ一味が現れ二人を拉致、大覚寺天神島。
・事態に気付き水月へ走る平次が渡る橋、中ノ島橋。
・乗り込んでの立ち回りが水月から移動する林、下鴨神社糺の森池跡。
・事後、晴れて一味護送の縄尻をとるお品、御所管理事務所長屋門。見送る平次ファミリーのいる塀際は別撮りか。
*事件の謎を解くのはお得意の親分なのに、お品の思いをお静に教えられ「エエー」が笑える。
第48話 「辻斬り」 1967.3.29 4
同僚との諍いで閉門を食らった名門旗本の殿様、喧嘩相手を暗殺した剣はさらなる血を求め暗い深みに。忠義の臣や妹の声も届かず、辻斬りの正体が平次に露わにされたとき狂気は頂点に達し、乱刃は自らに突き刺さってしまう。
ロケ地
・辻斬りが出る駿河台の路地や番町のお屋敷まわり、相国寺。鐘楼前や方丈塀際、大光明寺南路地に湯屋前と各所を用いる。辻斬り旗本の北条邸は林光院で、ラスト殿様の供養に赴く妹のシーンは方丈前回廊。
・辻斬りを討って名を上げようとした剣客の道場や、彼が斬られる駿河台下の林(糺の森か)は不明。
第49話 「恐怖の心中」 1967.4.5 2337
駆け落ちの男女は、泥棒一味が偽装心中で人を殺すのを見てしまい、家の者と悪者の二手に追われ逃げ回る。疲れ果ていっそ死のうというところ、親分が駆けつけて「バカッ」。
ロケ地
・両国屋の娘・さよと手代の佐太郎が偽装心中を見る墓地、三輪が検分に来る寺、瀬田の雲住寺。
・佐太郎らが身を隠す堀、瀬田橋竜宮手前の溝。
・両国屋の捜索隊が悪者と知らず二人を見なかったかと聞く神社(?)、吉田神社竹中稲荷か。
・逃げ回った挙句二人が行き着く神田明神の裏道、泥棒一味と立ち回りとなる高倉他がある神社、御香宮(絵馬堂、拝殿)。
*佐太郎に寺田農、さよに真屋順子。
第50話 「血ぬられた庖丁」 1967.4.12 23
宿下がり中の娘が殺され、つきまとっていた横恋慕男の仕業と誰もが思うが、葬儀にやってきた殿様の挙動を親分は注意深く見ていた。思ったのと違う方向に探索に行かされる八の悪態が爆笑もの。
ロケ地
・旗本五百石・深田邸、相国寺林光院(植え込みに親分が潜む)。
*は組の若い衆に福ちゃん。
第51話 「闇に消えた女」 1967.4.19 23
芸者を襲った追い剥ぎを取り押さえる際誤って刺してしまった岡っ引、しかし女が姿を消し彼は窮地に。十手の名誉にかけて走り回る親分、不可解な経緯の裏には金塊抜け荷の巨悪が潜んでいた。
ロケ地
・染太郎が追い剥ぎに襲われる神社(?)、不明。
*冤罪に落とされかかる岡っ引・佐八に山口崇。彼の葛藤と、殺された「追い剥ぎ」富松の周囲の人情ドラマに尺が取られる。
第52話 「幻の二万両」 1967.4.26 4
殿様に無体を仕掛けられ突き飛ばした娘は殺したと思い込み、娘の恋人は庇って自訴。共犯とされ処刑が決まるが、納得ゆかぬ親分は牢に潜入し男から事情を聞き出すのだった。
ロケ地
・勘定方・松前兵右ヱ門邸の門、勧修寺山門。邸内の描写に宸殿も。泥棒を装って侵入した平次が飛び越えるのは参道の塀。
・平次が手裏剣で襲われたり、菊之助が逃げ込む向かいの寺の墓地、不明(低い土塀、無縫塔の墓石が目立つ)、不明。
・殿様が横領した二万両を隠してあった井戸のある寺(?)、不明(仁和寺の二王門に似た二層の楼門が塀外にのぞく)。
*平次とお静の一年目の結婚記念日が迫るなか起こった事件。危険を犯し牢に潜入する親分を気遣う恋女房が泣かせる。牢にはアイパッチつけて。番組の最後には二年目に入る挨拶と、一部交代する新キャストの紹介が入っている。
→銭形平次(大川橋蔵版)表紙
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