383話〜399話 キャスト 第383話「悪の細道」1973.9.5 39 三年前の犯行時に顔を見た左官を消しにかかる盗賊ども、その動きが親分の不審を招き、進めていた大仕掛けが露見する。しかし「目撃者」は彼らの思い込みで左官は何も覚えておらず、気抜けして肩を落とす悪党どもに親分の高笑い。 ロケ地、妹連れの若狭屋が船を下りたところへ番頭と妾が来かかり話す船着き(妾が「妹」の簪を見咎める)、嵐峡船着き。 第384話「殺しを見た女」1973.9.12 39 水茶屋女の偽証の裏には、踏みつけにされる弱い立場の女の哀れ。その心情を充分に汲んだ親分は、女を不幸に追いやった男を強い態度で責める。捕物は、先走る万七を制し真実を探り当てる、いつものパターン。 ロケ地、水茶屋の小女が墜死した橋、中ノ島橋。証言者の女・おたきが参る亡児の墓(下谷)、永観堂墓地(鐘楼と段差を効果的に用いる)。小女殺しの真犯人が転がり込む本多越中守屋敷(中間部屋に賭場)、会いに来たおたきを殺そうとするのは永観堂千佛洞脇塀際(立ち回りは「洞」である蔵周辺の御影堂との間で。仲間が回廊下からわらわらと出てくる。この際御影堂基壇のほか、多宝塔へ登る道もはっきり見える。設定は屋敷外か)。 第385話「海の狼」1973.9.19 32 下田へ抜け荷の大悪党を貰い受けに赴く話、同行する同心の内に内通者がいたり、悪党を慕い逃がそうとする女などからみ、危険な旅が続く。途中平次が気付いた通りの伏兵もいて、最後は江戸に巣食っていた奴らを一網打尽。為さんに道中の危険さを吹き込まれ脅かされていたお静が、帰ってきた親分に駆け寄る安堵の顔で締める。 ロケ地、海浜・街道とも間人海岸と周辺。 第386話「夏の終り」1973.9.26 32 テキ屋の源兵ヱは、久しぶりに出た江戸で男と逃げた女房を見る。しかも女房の倅が、源兵ヱが大事に育ててきた養女と恋に落ちてしまう、奇妙な縁。娘への深くかつ複雑な愛が節目を迎え、けだるげに季節が移ってゆく。 ロケ地、祭りが行われる深川八幡、御香宮。導入は参道、お参りをする源兵ヱと娘は本殿、娘にからんだ地回りに食ってかかった火消しの青年がボコられるのは本殿前、テキ屋たちが露店を出すのは本殿脇、雨宿りするテキ屋一同は絵馬堂、源兵ヱから逃げた女房の言い訳に重なる雨宿りシーンは拝殿裏手、源兵ヱがヤクザに刺されるのは境内摂社脇。 第387話「私の好きな平次親分」1973.10.3 32 平次のお膝元で頻発する押し込みは、とんだ逆恨みによる意趣返し。賊を追う過程で平次ファンの娘がからみ、コミカルな騒ぎを巻き起こす。 ロケ地、正体を隠して碁会所を探りに行った平次を賊の一味と怪しむ看板娘のおすみ、瓦版売りの仙太と二人で尾行は御香宮。本殿脇で見失ったと騒ぎ/「柄の悪い平次」に脅され/通りかかった八にアレを捕まえろと迫る。仕方なく親分と芝居の八は拝殿脇←おすみが社務所前の蘇鉄に隠れて見ている。賊が化けたニセ平次に呼び出されるおすみ、木島神社本殿前。 第388話「人情大利根往来」1973.10.10 33 賊にさらわれ船で流されてしまった赤子を拾ったのは、子の無かった漁師。真の我が子とするため江戸へ出て八年、悪党の企みから経緯が知れ、親子は引き離されかける。 ロケ地、赤子をさらわれた下総の庄屋・本庄喜左衛門邸、賊が乗り越える塀は民家南塀、中から賊を追う人数が出てくるのは民家長屋門。賊が船に赤子を乗せるも、追っ手をやり過ごす間に船を流してしまう川、大堰川か。赤子を拾った漁師の小屋、大堰川河川敷にセット。八年後の江戸、成長したその子が遊ぶ祠、大覚寺天神島。兄弟分に託された兇状持ち(八年前庄屋宅に入った賊)を伴い下総に帰った二足の草鞋・取手の島蔵が立つ利根河原、大堰川河川敷(利根川の道標)。平次が親子四人を伴いやって来る取手の河原も大堰川河川敷と堤、ラス立ちも同所。河川敷の様子や遠景の山なみ、川相から宇津根付近と思われる(参考)。 第389話「秋立つ夜に」1973.10.17 40 己の才で農政改革を夢見る男、女はそんな彼を世に出してやりたくて、仕官のための金策に走る。富商の妾になることを諾う女だが、ヒヒ爺にはとんだ過去の悪い蔓が絡んでいた。 ロケ地、お芳に船宿へ行った訳を問う平次、大覚寺五社明神。他日、またお芳を問い詰める平次、護摩堂脇・石仏前。もう三日待ってと走り去るお芳は放生池堤。福島屋殺害犯の目星をつけ赴いた先で材木倒しに遭う木場、例の材木置場。逃げた男を追い銭を放つも逃げられるのは五社明神で、富蔵は大沢池に飛び込んで逃れる。千藤のため大小を求めて帰るお芳の前に立ちはだかり脅迫する一味の男、下鴨神社河合社塀際。願を掛けていた八幡さまに仕官が叶った礼を述べにゆくお芳、河合社本殿。 第390話「十手一代」1973.10.24 40 八丈から島抜けの凶賊、平次にその名を聞かされた老目明しは動揺を隠し沈黙。しかし悪党は着実に迫り、老いた父はたった一人で賊を迎えうつ。 ロケ地、島抜けの賊が襲った御岳の小屋、不明(山峡イメージ、酵素か)。火の玉組残党のアジトのくだり、雲水に化け市中を見てきた男がゆく道は大覚寺大沢池堤、塒のお堂は五社明神舞殿に扉をセット。お店のお嬢様と幸吉の話を聞かれてしまうのも五社明神、舞殿から賊三人が覗く。屋台で自棄酒をあおった帰りの富五郎の前に立ちはだかり、秘事をバラすと脅す一味、相国寺弁天社前。お使いに出た幸吉が一味にとっ捕まるくだり、幸吉がゆく道は相国寺鐘楼前・背景に大通院の門、鐘楼下で「雲水」が苦しむのに近寄り刃を突きつけられる。 第391話「うどんげの花」1973.10.31 33 18年前さらわれた大店の倅が帰ってくる。非道なヤクザの妙な庇いだてに加え、何より妹が兄を男として見る目に、平次は不審を抱く。子を思う親の情が、騙りの道具に使われたチンピラの心を溶かす人情劇。 ロケ地、父と妹の心遣いに物思う於莵吉が佇む川端、嵐山公園・桂川左岸河川敷堰堤際。その日は遊びに行かず早々に帰宅する於莵吉、刻の鐘は金戒光明寺鐘楼(背景に経蔵)。妹と母の墓参に赴く於莵吉、黒谷墓地(打ち明けようとすると梵天一家が出て脅す)。於莵吉も仁蔵も怪しいと八に話す平次、大覚寺護摩堂前(縁先にお景、於莵吉らが放生池堤をやって来るのを遠見。二人の気配に気付いた平次がお景を抑えお堂の中に/堂前での二人の会話を中から聞く趣向・内部はセット撮り/護摩堂の扉に絵馬あしらい)。仁蔵を誘い出す瑞景寺(当て字/作州のお寺とは関係ナシ)鐘楼裏、相国寺鐘楼(旅装のお景を立たせ、平次らは碑裏に潜んで待つ)。 第392話「泥に咲いたまごころ」1973.11.7 40 闇の長兵衛なる、誰も正体を知らぬ暗黒街の顔役が幅を利かせ、両国界隈は恐怖の坩堝。食いものにされかかった田舎娘を助け、兄貴分を裏切ったちんぴらの無闇な正義感が、闇の正体を暴くきっかけになる。 ロケ地、兄貴分を殴り倒し逃げた正太がお春と話す夜の川端、上賀茂神社ならの小川。正太をとっちめたあと話を聞く親分も同所、こちらは昼間。 第393話「はみだし長兵衛」1973.11.14 34 子分の罪を着て遠島になった、昔気質の老侠客が御赦免になり帰還。しかし彼は便利な鉄砲玉扱いで、手下どもは犠牲の上にのうのうと胡坐をかいていた。その上、牢内で罪を着てやった若者がらみで娘を泣かす仕儀に。暴発した爺さまの危機には、きっちり銭が飛んでくる。 ロケ地、長兵衛が娘に若棟梁とのことはあきらめろと諭す川辺、上賀茂神社ならの小川畔(夜間)。棟梁と倅が呼び出され入札参加罷りならんと言い渡される普請方の屋敷、相国寺大光明寺門。 第394話「上州無宿鉄次郎」1973.11.21 34 目の悪い船宿の女将に奇妙なほど肩入れする、元ヤクザの青年。七年前の恩を返そうとする彼は、汚い手口で船宿を乗っ取った一家に殴りこみをかけ、その罪で遠島となる。 ロケ地、船宿・二見屋裏手の船着き、嵐山公園中州南岸堀端(岸に竹垣をめぐらせ、石垣に木組をして船着きあしらい)。鉄次郎が弁天一家に連れ込まれヤキを入れられる神社、日吉大社東本宮境内(後段、代貸殺しの件で詰め寄られるのも同所)。殺された弁天の代貸の検分、中ノ島橋下河川敷(水路背割に凶器の櫓が引っ掛かり、その上手に二見屋船着・舫った船の障子に血がべっとり)。八丈へ送られる鉄次郎を待っていると励ます女将、琵琶湖畔(汀は石垣で松が見える)。 第395話「ぬれぎぬ」1973.11.28 40 富商の主夫婦の齟齬を利用し、店を我が物にしようとはかった陰謀が暴かれる。財を狙った悪党の企みは親分に看破され、女将を匿っていた男にかけられた嫌疑は晴れ夫婦は元に戻るが、幼馴染の秘めた恋は実ることなく終わり、ほろ苦さが残る。 ロケ地、夜回りが豊島屋番頭の死体を見つける昌平橋近くの稲荷、今宮神社高倉脇坂〜稲荷社前・若宮社脇。女将の薬を貰ってきた帰り、平次に呼び止められるのは東門内石橋(南側の小さいほう)、話す二人の背後に楼門。 第396話「母の祈り」1973.12.5 40 とんだ莫連女に騙され悪事に加担してしまった息子、行方も知れぬ彼をひたすら案じる母心を描く。手代をハメた者どもの設定もきちんとあるが、浪花千栄子演じる母に尺をとり、彼女のその後も見守る親分で締める。 ロケ地、倅の一件で船宿を解雇され土運び人夫として働くおっかさん、罧原堤対岸河川敷(堤法面は草ぼうぼう、見守る親分の足もとは礫河原)。 第397話「万七必死にて候」1973.12.12 35 あまりの評判の悪さ不甲斐なさで窮地に陥る万七親分、もう必死で立ち回るが相も変わらず平次に無理を言ったり見当違いを仕出かしたり。挙句の果ては追っている当の賊を下っ引きに採用するという愚、しかし平次のサポートに加え、珍しく世話を焼いていた女の感謝の念から、なんとか手柄を立て曲がりなりにも面目を施す、ちょっと苦味も入った人情話。 ロケ地、お静が万七のためお百度を踏む神社、新日吉神社本殿(平次が木立ちの陰から見ている)。お礼参りのお静も同所、万七がやって来て妙なのろけを開陳し去ってゆくのは本殿前石段(お猿も映り込む)〜楼門。 第398話「はやて駕籠」1973.12.19 40 スピードが評判の駕籠舁き兄弟が仕出かす、出会い頭の衝突事故。被害者を見捨てて逃げたことが仇となり、亡霊に脅えるわ恐喝されるわで破滅寸前に。しかし平次宅に「死んだ」女の妹が転がりこんでおり、「事故」の真相は明らかとなる。 ロケ地、駕籠舁き兄弟が事故死した女の塚を拝みにゆく三輪の浄閑寺(投げ込み寺)、西壽寺(山門〜墓地石段〜塚は本堂西側の石塔脇・龕のある崖際)。目撃者の男に恐喝され金を渡す夜の神社、赤山禅院本殿(玉垣の内側、ラス立ちもここ)。塚の下のはずの女が駕籠舁きに声をかける道、下鴨神社河合社脇馬場。女の顔を見て算を乱して逃げる兄弟、池跡〜河合社前。 第399話「父の秘密」1973.12.26 40 先君の墓前で腹切った侍に公金横領の疑い、父の無実を信じる娘心に感じ、お武家の内情に関わる平次。汚名は晴れるが娘にとって辛い事実が二つ、情婦二人の対比が面白い構成。 ロケ地、川越藩松平家菩提所、金戒光明寺本堂裏手墓地。夜回りの平次を無体なやり方で連行する藩士たち、永観堂画仙堂前。 |