666〜688話 フジテレビ/東映
キャスト
銭形平次/大川橋蔵
お静/香山美子
八五郎/林家珍平
おちか/正司照江 お町/酒井ゆきえ
松吉/鎌倉俊明
万七/遠藤太津朗 清吉/池信一
青柳伸之介/森田健作 樋口一平/永田光男
第666話「やがて青空」1979.4.469
猪突猛進ぎみの新米同心は、ポカをやらかすが反省しひとつ階梯をのぼる。そのことは、一人の男が罪を犯してしまうのを食いとどめるのだった。
ロケ地
・現場へ走る青柳同心、広隆寺東塀際。船手方の坂口が殺されて見つかるのは蓮華寺五智如来像前。
・坂口が十兵ヱから手紙を預かった八丈島のシーン、保津峡落合。
・十兵ヱの島抜け手伝いを強要された安吉が木更津へ向かう道、北嵯峨農地畔道〜両側小柴垣の竹林内の道。追いついて安吉と取っ組み合いの青柳はわらびの里か。
*元十兵ヱ一味で島帰りの豆腐屋・安吉は北条清嗣、夫の前科を知らなかった女房は杉田景子。十兵ヱの女で島抜けを主導する姐御は水上竜子、実は一味の質屋は山本清、十兵ヱは宮城幸生。*OP変更、仁和寺境内と琴弾公園の寛永通宝砂型が登場。
第667話「結婚って何だ」1979.4.1146
内情が苦しいのに娘の婚礼支度に大金をかける老舗の主、それが破滅を呼ぶ話。殺された婚約者はとんだタマで、影で娘を真摯に思う相手がいたことを知る次第、気の弱そうな若者にいたく親近感を抱く万七と、また先走りの青柳同心で笑い話も。
ロケ地
・杉田屋の若旦那・清二郎が土左ヱ門で上がる大川、嵐峡。
・山吹屋の回想、清二郎がヤクザと山吹屋を陥れる話をしていた橋、中ノ島橋。問い詰め揉み合い清二郎がドボンは堰堤脇。設定は大川端。
*山吹屋は小栗一也、娘は谷川みゆき、彼女を思う職人は長澄修。清二郎は西園寺章雄、つるむヤクザは五味竜太郎。
第668話「危機一髪!辰の下刻」1979.4.1846
平次に割符を拾われてしまった一味が仕掛ける大胆な罠、まんまと引っかかった猪は青柳同心で、周到な策により将に「土壇場」。きわどい手で一味をお縄にした平次、樋口さまとぎりぎりに駆けつける。
ロケ地
・抜け荷の相談をしていた男を誰何する夜回り中だった平次、大覚寺大沢池畔、五社明神。
・蟄居謹慎中にも関わらず憤激のあまり出奔して唐津屋へ向かった青柳同心、捕り方に取り押さえられるのは下鴨神社河合社裏手。
・割符を「取り戻した」一味が取引の現場、仁和寺経蔵。殺陣は付近の林間。
*抜け荷首謀者の口入屋は天津敏、手下の強面は黒部進、青柳をハメる芝居を演じる鉄砲玉の荒くれは浜伸二、一味とグルの矢場の女将は松村康世。辛口の沙汰で青柳に恨まれる筆頭同心は幸田宗丸、眩暈芝居で足を踏まれ意趣返しされる。
第669話「雨の中に消えた女」1979.4.2569
母と名乗れぬ女が倅のためにした殺し、その哀れな事情を叙情あふれる映像で描く。
ロケ地
・自分を庇ってくれた芳三が殺害されたと聞き川端に佇むおせん、桂川畔か(汀に杭)。
・千住に住む、おせんが苦界から救ってやった女が語るおせんの身の上のくだり/奉公先の若旦那の子を産んだおせんが、赤子を跡継ぎにしようと追ってくる者たちから身を隠すのは広沢池東岸(追っ手は池端、おせんは植え込みの陰)/追っ手からのがれ旅ゆく母子、雨宿りのお堂縁下は大覚寺護摩堂で石仏映り込み〜松尾橋下手右岸堤〜病の息子を寝かせるお堂は大覚寺護摩堂(カメラ堂内から)〜渡月橋(見上げ)〜竹林(北嵯峨か・スモーク演出)〜落合トンネル(シルエット)〜保津峡落合巌(疲れ果て心中企て・本流にドボン→助かるも括った紐ははずれ倅は不明に・設定は上総の小糸川)。
・話を聞き千住から帰る平次と八、広沢池西岸の道(農地からのアングルも)。
・姿を消したおせんが信吉に金を渡し走り去り隠れる神社、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居〜舞殿前灯篭(ここで「かしら」が現れおせんを殺害、追ってきた信吉に罪をなすりつける)。
・信吉をおせん殺しの下手人に仕立てて殺そうとする「かしら」、大覚寺天神島。平次のあとを追って殺到する青柳たちの場面に斉宮神社(材木置場を背景に神社の玉垣を乗り越え境内に入ってゆくかたち)を組み合わせ。設定は深川界隈。
・おせんの墓、招善寺墓地(坂の直上に卒塔婆、「六地蔵」をナメて見上げのアングルもあり、親分の背後に墓地入口の門が来る絵も)。
*おせんは南田洋子、心中未遂のあと盗賊の情婦に・倅生存を芳三に聞き逃亡。倅だった信吉は佐藤仁哉、彼をささいなネタで強請っていた男がおせんに殺される運び。大泥棒だった材木商の佐野屋は富田浩太郎、手下でおせんを庇い殺される老爺・芳三は堀内一市。
第670話「手鏡を抱く女」1979.5.270
「旗本殺し」の陰にいた哀れな女、一旦は彼女と協力者を見逃す親分だが、その夜寝床で腑に落ちぬ一点に気付く。
ロケ地
・青山主水正の土左ヱ門が浮く大川、大覚寺大沢池堤か(並木は桜)。
・お秋の回想、青山に無礼討ちされた恋人の宇之助が一人立ちできたと報告に来た神社、今宮神社石橋〜稲荷社前。
・自首したあと目付に引き渡されたお秋の駕籠がゆく道、仁和寺林間(中門東の蔵映り込み)。連れ込まれる荒れ屋敷は御影堂通用門(水掛不動脇/八とお町が尾行、内部はセット)。
*芸者・君千代になりおおせ主水正に近づいたお秋は司葉子、宇之助は長谷川哲夫。お秋の弟の船宿の板前は山下勝也、ほだされ協力する主は海老江寛。主水正の権高な奥方は松村康世、青山家家来は入江慎也、波多野博に福本清三。青山の勘定奉行就任を実は妬んでいた目付は船戸順、銭平には珍しく観念して自刃の運び。*手鏡は宇之助の遺品、仕上げてお秋に見せにゆく途上で登城する青山の馬前へ出てしまう。
第671話「故郷の祭りばやし」1979.5.946
性に適わぬ水商売をして暮らす暗い顔の女、永年勤めた親方のもとを堪らず飛び出してきた男。彼らは幼馴染で再会ののち急速に心寄せ合いともに故郷へ帰ろうとするが、男が出来心でくすねた金をこっそり返しにゆくと、親方は血まみれで倒れており、とんだ事件に巻き込まれてしまう。
ロケ地
・朝吉とおこよが思い出す信州中野郡川北村の鎮守さまの春祭り、藪田神社。参道から鳥居に境内、小径も使われる。北側の田地や遠景の集落にも一切「余計なもの」は映っていない。
*おこよは浅野真弓、朝吉は渡辺篤史。抜け荷の首魁は西山嘉孝で平次の銭に片目をやられて逃げた手下の辰造は下元年世、一味を強請っていて渋られ密告した親方は沖ときお。
第672話「万七、恐怖の三日間」1979.5.1646
高飛びをはかり回船問屋に押し込んだ賊、たまたま万七が入って捕まってしまい、使い走りをさせられるわ人質にされるわボコボコに痛めつけられるわ散々な目に。挙動を怪しんだ平次の奔走と勇気に救われ情けないのだが、市民の命を守る誠意はちゃんと持っている万七親分なのだった。
ロケ地
・矢切の辰蔵一味が人質をタテに伝馬船に乗り込もうとする伊勢町堀船着場、広沢池東岸。用意の船に待っている船頭はもちろん銭形の親分。
*辰蔵は菅貫太郎、ピストルぶっ放したり凶悪。盗金を隠し持っていた情婦は水原麻紀、親分の説諭に陥落・平次は彼女を「場」に引き出さず死んだことにして庇う。*またも平次の「日曜大工」ネタ、八が代わって釘を打つも物を置くとずんばらりで腕は平次同様ヘボな設定、EDには平次の再チャレンジが出るがやはりあまりうまくいってない感じ。
第673話「翔べないトンビ」1979.5.2370
陰富を売るなど碌でもない渡世の青年が、悪党に利用され闇に落ちる。一旦渡りかけた、未来につながる橋から踵を返した男を待っていたのは、裏切りの刃だった。
ロケ地
・大木戸一家の跡目争いの喧嘩が起こる永代寺、仁和寺観音堂脇。石畳脇に露店あしらい。深川永代島富ヶ岡の金剛神院か(富岡八幡の別当寺)。
・岡場所へ身売りしようとしたお妙をとどめ話を聞く市松、仁和寺九所明神。
・仙太郎が八十吉に安蔵殺しを指示する「材木置場」、斉宮神社脇か。
・市松が安蔵を刺す夜道、大覚寺大沢池畔。
・現場に落ちていた陰富の売れ残りの束を見て市松を捕えに来る青柳同心、市松が野博打を打っていた境内は仁和寺観音堂前。
・市松を町方から逃がしたあと、隠れているよう八十吉が指定した千住・小塚原の野小屋、大覚寺大沢池畔にあしらい。
・野小屋を出てお妙の故郷・鹿沼へさして二人ゆく夜道、広隆寺東塀際。
・これを渡ると御府外という橋で足を止めお妙を置いて走り去る市松、中ノ島橋。小塚原近くで日光街道なので設定はおそらく千住大橋。
・市松が走り戻る夜道、大覚寺大沢池畔。戻った野小屋に八十吉がいて刺される。
*市松は大門正明、通り名が鳶松で、鳥なら飛んでいけるのにと飛翔への憧れを口にして逝く。鹿沼へ逃れてもいずれ手が回るとはいえ苦い結末に平次の顔も曇る。父の借金返済のため身を売ろうとしていたお妙は小林伊都子。深川一帯の香具師の総元締・大木戸一家の若頭・安蔵は鈴木康弘、小頭の仙太郎は中田博久、市松の兄貴分の八十吉は南祐輔。仙太郎の襲名祝いの席に踏み込んだ平次の大立ち回りに福ちゃんチラリ。
第674話「夫婦流転」1979.5.3046
夫の横暴にひたすら耐え尽くす貞女、男の死で人を執拗に恨み悪事に加担までさせる毒婦、ねっとりとした女の情が錯綜する。平次のはからいで夫婦は和解し、患者たちの嘆願もあり罪を赦される「いい話」で締める。
ロケ地
・おふじを路上で呼び止め、盗っ人が決まって正慶館付近で消える件について質す平次、上賀茂社家町・明神川畔、橋上。正慶館は谷中。
・おようが隠し金を持ってくるようおふじに求めた隅田川橡河岸、広沢池北岸。立ち回りは斜面の林で。橡河岸は橋場あたりか。親分が文の断片からここを推定する逸話あり。
*元遊女のおふじは藤間紫、苦界から出してくれた男を神と慕い尽くす重苦しいまでの情の濃さの設定が、藤間紫なもんだからさらに濃縮。彼女のため藩医を棒に振るも悔悟の念から荒れる医師・村越は安井昌二、妻の真実を知ってコロっと変わる態度がなんかおかしい。村越が保身のため診ず死なせた男のことで執拗におふじを憎むおようは白石奈緒美、元はおふじの朋輩の遊女で今は賊の一味。*村越に再仕官の話が来て「邪魔な自分」に自棄酒を呷るおふじのシーン、酒肆内装に足踏み水車。*タイトルに「めおと」のルビ。
第675話「蛇の目傘の女」1979.6.1346
新しく江戸に店を構えた海産物問屋に、奇妙な訪問者が現れる。蛇の目傘をさしたその女は自分がこの家の女将だと主張、主は否定。謎めいた話にはきちんと裏があり、親分の奔走で「女の意思」は果たされる。
ロケ地
・八が駿河さして走る東海道、不明(路傍に石仏あしらい)。
・駿河屋と「女」が出掛ける縁日、今宮神社境内(露店多数あしらい)。本物なら昔御籤を結んだ枝はどれと迫る駿河屋のくだりは稲荷社脇。
*「女」は夏純子、役名もただ「女」と表記。入り婿だった駿河屋は早川保、悪事に加担して始末される番頭は玉生司朗。証人として呼ばれる問屋場年寄は岩田直二。
第676話「おやこ同心」1979.6.2046
立場は違えど、子ゆえの闇に迷う二人の父を描く。
もうじきお役を退いて倅に後を譲るという北町の古手同心、しかし彼の花道を飾った事件で刑死した賊の父親が罠を仕掛けてくる。平次の勘の冴えのほか、青柳同心がまた勘違いで憤慨し突っ走る。
ロケ地
・北町奉行所、大覚寺明智門。青柳が貞一郎を面通しする場面や、原田が倅を上方へやる話を聞き憤慨して飛び出してくる場面等に登場。看板は「北町」。
・ED草鞋釣りの平次と八は広沢池か。
*古手同心は多々良純、倅の貞一郎は江木俊夫、彼付きの岡っ引は邦保。不知火一味の先代は谷口完、引き回しの際念仏を唱えていた姿を平次が見かけて伏線に。こやつの手下で貞一郎の幼馴染芸者を殺し罠を仕掛ける行商人は石倉英彦、ほかに出水憲司も手下。
第677話「おかめが泣いた」1979.7.446
己に気のある娘を丸め込んで殺しの罪を逃れようとしたチンピラ、しかし純な娘はただ惚れた男の身を案じていた。嵐が過ぎ日常が戻り、今日も娘は明るく大道で舞う。
ロケ地
・おくにが仲間とおかめ踊りで稼ぐ町角、今宮神社楼門。
・佐吉が阿片泥棒を殺したあとおくにに出会う夜の橋、中ノ島橋。設定は大川。
・殺された男が土左ヱ門で見つかる大川の百本杭、桂川松尾橋下手左岸汀(杭林立)。周囲の堤を調べ凶器の石を見つける平次、松尾橋下手右岸堤法面。
・おくにからショバ代を受け取ったあと甘酒に誘う佐吉、今宮神社高倉下に茶店あしらい。ここは後段も登場、高倉脇の坂も使われる。
・難波屋の船が着く港、バンクフィルムか。
*おくには津山登志子、色悪の佐吉は西田健。阿片密売の難波屋は伊達三郎で番頭は浜田雄史、グルだが口封じに消される矢場の女将は三浦徳子。
第678話「ドジな野郎の命がけ」1979.7.1146
幼時に大火ではぐれた妹を求める兄、これと思った娘は妹ではなかったが、命ぎりぎりのところで真実はどうでもよくなっていた。
ロケ地
・お光の養父が営む茶店、大覚寺大沢池堤にあしらい。以降もさまざまな場面で登場、桜が咲いている。
・版元を訪ね仙吉を連れ出し話を聞く平次、大覚寺護摩堂前。周囲に露店あしらい。
・仙吉の妹ではあり得ないというお光の告白を聞く平次、大沢池水門そば。
*仙吉は小野進也、元指物師で賊に追い使われる。賊は版元が外山高士、誑し役もする絵師が大竹修造、道場主は白川浩二郎。からくりが施された隠し蔵を開ける描写が凝っている。お光は斎藤洋子、養父は寺下貞信。
第679話「ふたりの女」1979.7.1870
きれいな毒蛾のため寄場送りに甘んじる男、出てきたあと同じ顔をした女と出会い所帯を持つが、懲りぬ悪女は再び彼を誘惑にかかる。
ロケ地
・弥之助が苦役を強いられる寄場、砕石場か崩壊地形か、切り立った岩場と侵食地形。
・弥之助が蜆を売り歩く町角、上賀茂社家町明神川畔。洗濯のおかみさんあしらい。
*元錠前職人の弥之助は柴田p彦、毒婦と健気な女房は野川由美子の二役で演技の切り替えがさすがの巧者。賊の首領は長谷川弘、足手まといと消された錠前師は小峰隆司、弥之助をシメに来た雇われチンピラは平河正雄と福本清三←チンピラ(一)、(二)とクレジット。
第680話「女房の告白」1979.7.2546
若い亭主を虚仮にする女房は訳あり、放埓は愛するがゆえの良心の呵責。しかし目論みを越えて男が罪に落とされようとしたとき、女はきっぱり命を懸けて亭主を庇う。
ロケ地
・おりんが藤次郎と遊び歩くのを目撃する平次、中ノ島橋たもとに船宿あしらい。彼らが乗り込む屋形船は嵐峡船着き。
・宗吉ともみ合い橋から落ちたあと死体となって見つかる藤次郎、橋は映画村日本橋で検分は広沢池東岸、橋脚あしらい。
・宗吉の妹に愛想尽かし芝居をして居所を教え、連れて帰るよう言い放ったあとおりんが佇み物思う水辺、広沢池東岸汀。
・自首するという宗吉を追ってゆくおりん、広沢池東岸並木道。平次が出て宗吉の犯行ではないと告げる。
・おりんが立花屋を呼び出す寮、嵐山公園・錦。
・宗吉を家族に返したあとおりんがゆく街道、北嵯峨農地竹林際。女衒に連れられてゆく幼女を見て帯を直してやる。平次の見当では高崎への道。
*元三島女郎のおりんは市原悦子、沼津の立花屋本家の若旦那だった宗吉は小川真司。内情は火の車で本家乗っ取りを企みおりんを身請けし芝居させた立花屋は西山嘉孝、キャスティングで黒幕バレバレ。遊び人の藤次郎は川浪公次郎。冒頭、おりんが屯する賭場の中盆に福ちゃん。
第681話「人情・一番花火」1979.8.146
妹のため罪を犯してしまう兄の哀話。事情を十二分に察した親分は、臨終の妹に兄の打ち上げる一番花火を見せて送ってやる。
ロケ地
・弥七殺しを見たと佐吉を脅す粂蔵、大覚寺大沢池畔。
*花火師の兄は佐藤仁哉、妹は佳那晃子。賊の首領の粂蔵は田中浩。*佐吉は鍵屋の職人設定、この度一番花火を任される運び。*蔵に仕掛けられた爆薬、導火線の火が回る直前に投げ銭でカット。しかしまた銭吊った糸見えてるんだよね。
第682話「ずっこけ三人旅」1979.8.1570
母の代理で浜松へ法事にゆくお町だが、お供の頼りない男たちのお蔭でとんだ道中に。婀娜っぽい女将にデレデレの八が無理に投宿した湯宿は、平次たちが江戸で追っている凶賊のアジトだった。
ロケ地
・街道で夫婦喧嘩に介入するも十手忘れてて形無しの八、不明(畷か山道か)。
・路銀を失くし腹を減らしてヘタる三人に仕事の口をかける男、日吉大社走井橋。
・一座でニセモノの簪を売った小間物屋を見つけ追うお町、不明(野道)。
・小間物屋が逃げ込んだと思しき湯治宿、日吉山荘。温泉は飛竜の滝。
・凶賊を求め旅に出る平次たち、箱根さしてゆく道は酵素河川敷。
・代官所へ着く平次、不明(切り通しの山道に柵あしらい)。ここで二人を見失った松吉とばったり出会う。彼に事情を聞くのは酵素・木の傍。
*表の顔は口入屋の賊のかしらは睦五郎、アジトの湯宿女将は柳沢紀子、一味だった小間物屋は柳沢あきを、江戸でおちかに贋の銀簪を売りつけ。八らを代役に使おうとした一座(賊とは無関係、小間物屋がバイト)、メンバーは上方柳次に伝法三千雄、那須伸太朗。この一座で八と松吉のキショい女装が出て、追っかけの段でお決まりのドタバタ。
第683話「平次の心意気」1979.8.2246
父を亡くし母に去られた子らは、盗みも働きながら必死に生きる。幼い姉弟を保護し母を捜してやる平次だが、彼らの父を獄門台に送ったのは己自身と知るのだった。
ロケ地
・おむぎたちが塒にしていたお寺、神光院。中興堂脇渡廊の下に寝泊り、手水場で水を汲むシーンも。彼らを見遣る平次は本堂脇。
・処分の前に母と子を会わせてやる水辺、広沢池東岸。
・創設された孤児院を見に行く平次と八、西壽寺。高台から境内を見る図で、本堂前に子らや尼僧、平次は本堂西崖の龕の前あたりに立つ。帰る二人は本堂を背に石段を下りてゆく。
*気の強い孤児の姉は服部ひろ恵、今は賊の情婦の母は長内美那子。賊は浜田雄史、奉行は西山辰夫。*平次に褒賞金が下される話が縦糸になっていて、各逸話に織り込まれる。締めは褒美を辞退して孤児院創設を願い出る「心意気」で、嫌味をすると見えた万七が実は微妙な気遣いという話も入っている。
第684話「海鳴りは父の声」1979.8.2970
贔屓の小僧の父が盗っ人という疑惑に、子のためを思って動く親分。一旦捕まるも逃げた賊を追って旅に、男の真意と親子の証を見る。
ロケ地
・江戸市中はセット撮り、房州の海はいつもの日本海ロケか。源太を捕え連行する際の崖落ちかけシーンは海崖と保津峡落合を組み合わせ。
*やはり子の父だった死神の源太は佐藤允、地震で子を亡くしたと思い込み、人の災難で儲ける者どもを憎み狙う。手下に黒部進(源太と離反、最後は相打ち)や平沢彰(大遠投の投げ銭にやられ海落ち)。小僧さんは大川功次郎。
第685話「思案橋の女」1979.9.546
失踪した亭主を三年も待ち続けた女に、ここらでと来る再婚話。しかしその矢先、上方から当の亭主の手配書が。生死はどうあれ「夫婦」の二文字に縛られ続ける女の背を、親分は押しにやって来る。
ロケ地
・尾行中の八から亭主の手配を知ったお島が物思う水辺、大覚寺大沢池畔。お島が亭主を待ち続けた思案橋は映画村セット。
*お島は三林京子、彼女と夫婦になろうとしている綱吉は山田吾一、彼らを娶わせる親方は稲葉義男。お島の亭主の名を騙っていた男は中島正二、あとの賊一味は田中弘史や山本清。
第686話「牡丹の花が知っていた」1979.9.1271
大店の若旦那殺し、怪しい男を提示してアリバイを崩してゆく作りのお話。手間隙かけたトリックも、平次の慧眼からは逃れ得ない。
ロケ地
・神田明神門前町の津の国屋寮、門は嵐山公園・錦で、中の東屋は阪口青龍苑の茶亭。青柳同心が駆け入る際には築山下の池も映る。店の離れとそっくり同じ内装が施されている趣向で、襖絵は特に描かせた贋作。
・事後、約束だった舟遊びに出る平次夫婦、広沢池東岸から漕ぎ出し。
*急に若旦那が戻ったせいで津の国屋の身代をフイにした元手代の栄次郎は森次晃嗣、若旦那の異母妹だった栄次郎の情婦は佐野アツ子。*はじめアリバイ作りに利用される万七、最後は引っ掛けの芝居に大活躍。
第687話「潮騒を聞く女」1979.9.1946
抜け荷商人が儲けを一手にと企んでの物騒な事件、ぬけぬけと言い逃れる悪党ども。その息の根を止めた証言者は、己の罪も露見するのを知ったうえで名乗り出た薄幸の女だった。
ロケ地
・外回り中の平次らがお参りのおふさを見かける神社、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居〜本殿。回想の品川の海、不明(波打ち際におふさの父の死体、後段では高みから見た絵もあり、荒磯も散見される)。
・胸を病んでいた賊一味の男が死体で見つかる水辺、大覚寺大沢池溢水口(大沢池木戸前の橋下、背景に大沢池を持ってくる)。
*養父の食いものにされていたおふさは結城しのぶ、非道の父は堺左千夫。品川でおふさを人質にした賊は西田健、彼を使嗾していた黒幕は伊藤克。岡場所でのおふさの元朋輩に三島ゆり子、番所に万七へのお礼(アリバイ工作)の酒樽持ってくる山城屋(黒幕)のお供が福ちゃん。
第688話「花かんざしに愛を見た」1979.9.2671
商家の主が簪で襲われた件は、隠された過去を炙り出す。悪党をお縄にしたあと、寄り添って生きる者を思い平次は逝く夏を惜しむ。
ロケ地
・板倉屋が贔屓の柳橋芸者に事情を聞くくだり、君奴が歩く石畳は祇園・白川南通。声をかける橋は白川巽橋、置屋は料亭・白梅。
・茂兵ヱの回想、板倉屋に弄ばれ自害した娘は広沢池東岸。
・娘・なみの墓、神光院本堂裏手に卒塔婆あしらい。
*夜鳴き蕎麦屋の茂兵ヱは福原秀雄、彼を慕う「もしかしたら実の娘」の女掏摸・お京は竹田かほり。元侍の板倉屋は船戸順、見せかけ殺人に手を貸した柳橋芸者は藤江リカ。
銭形平次 表紙
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