689〜712話 フジテレビ/東映
キャスト
銭形平次/大川橋蔵
お静/香山美子
八五郎/林家珍平
おちか/正司照江 お町/酒井ゆきえ
松吉/鎌倉俊明
万七/遠藤太津朗 清吉/池信一
青柳伸之介/森田健作 樋口一平/永田光男
第689話「大江戸十手祭り」1979.10.1071
跡継ぎをめぐるお家騒動、狙われる若君。無辜の死に怒る親分の「お侍ぇってやつは」モノでもあり、若君お付きの侍女と纏持ちの恋を描く情話でもある。スペシャルで尺が長いので、浪人ばらとの立ち回りがガンガン派手に入っている。
ロケ地
・おしまと音吉が密かに会う竜泉寺、永観堂方丈池石橋。御影堂下石段も映り込む。
・若君が釣りの大川、広沢池東岸。漁師に助けられ渡る対岸は北岸、新兵ヱが若君を連れて林のほうへ。
・鈴鹿藩上屋敷の座敷、不明(縁先に池泉、後段では池側からの絵も)。
・おしまに音吉との馴れ初めを聞く茶店、今宮神社高倉下にあしらい。おしまの回想、ならず者に連れ込まれかけたお堂、大覚寺護摩堂(中からのアングルもあり)。なかなか音吉とは会えないとこぼすおしまを励ます親分は今宮境内摂社前。
・音吉の回想、おしまと会い鈴鹿馬子唄を聞かせた四阿、永観堂方丈池北東の東屋。中から池を望む図、石橋も映り込む。
・若君のお供をして国へ帰るおしまを見送る音吉、木津堤下田畔(右岸側)。
・黒幕・島村の前に立ちはだかる平次、流れ橋上。事後堤上へ出て彼方を見遣る。
*若君付きの侍女・おしまは市毛良枝、を組の纏持ち・音吉は五木ひろし。を組のかしらは藤尾純、音吉の取り巻きは小松政夫。若君付きの藩士・津軽新兵ヱは御木本伸介、はじめ頑なだが平次に心服し気脈を通じる。若君方のじいは岩田直二。城代の懐刀で浪人を使嗾する黒幕・島村大膳は菅貫太郎、浪人は五味竜太郎、上野山功一、西田良や高並功らがクレジットされ、立ち回りシーンには福ちゃんも入っている。上屋敷の賄にいた内通者は牧冬吉。
第690話「秋しぐれ」1979.10.1771
島帰りの元盗っ人の更正を暖かく見守る平次、しかし悪を強く憎む定町回りのダンナはその男を執拗に追い回す。幾度かの「妨害」を受け暴発しダンナに手を上げてしまう青年、平次は十手を賭けて同心に意見するのだった。
ロケ地
・島帰りの囚人が解き放たれる霊岸島船番所、大覚寺明智門。
・高山に直次郎の動向を報告する青柳、大覚寺大沢池堤。
・高山のせいで仕入先を代えた直次郎、橋場から帰りの彼を見かけ声をかける平次は大覚寺五社明神祠前。大沢池も映り込む。
・直次郎の申し立て、橋場近くで門付女の子を助けた川、桂川(早瀬)。
*直次郎は火野正平、彼を慕う娘は秋本圭子。行き過ぎ鬼同心は滝田裕介。
第691話「涙の重さ」1979.10.24フジ/東映46
威勢の良い魚屋の姉ちゃんの情話、恋する男が妹といい仲と知った姉はさっと身を引き明るく祝福するが、男のために危険も顧みぬ女ごころを見ていた平次は心中を忖度しお静に語る。
ロケ地
・御納屋奉行所、大覚寺明智門。用を済ませ出てきた峰次郎が具合を悪くした御高祖頭巾の女を見てやる帰り道は御殿川沿い石柵際(松並木との間)。財布と通行証を掏られたことに気付くのは参道石橋。
・財布に入っていた富籤を利用し引っ掛け芝居を打つ感応寺、今宮神社。富突きは舞殿、群衆が散ったあと「頭巾の女」が石畳を踏んで現れる。谷中感応寺か。
*棒手振りの姉は水前寺清子、峰さんラブで路上で妄想を繰り広げる天然ぶり、天秤棒振り回しての勇ましい立ち回りと活躍。妹は木村理恵で峰さんは有川博、親方の佃屋は永井智雄。佃屋を陥れるライバルは織本順吉、力任せのシマ荒らしのほか奉行所へ押し込んでみたりと極悪、手下が欲かいて一巻の終わり。*富突きに群がる町衆に福ちゃんや小船秋夫。
第692話「母恋道中」1979.10.31フジ/東映72
母恋う幼子の出奔を我欲に利用する者あり、誘拐事件に発展。身代金運びを買って出た親分は旅に、そこで風変わりな渡世人と出会う。
ロケ地
・おきみがゆく中仙道(熊谷/日本橋の道標あしらい)、不明(土手道か)。
・おきみ出奔の件で文吉に儲け話を持ちかける嘉兵ヱ、大覚寺護摩堂。
・一人熊谷へ向かう平次、不明(山道か/後段では坂道や野道も)。
・文吉とおきみが連れ立ってゆく街道、谷山林道か。
・身代金受け取りに指定の熊谷寺(ゆうこくじ)、神護寺。文吉が待つシーンに山門が出て、以降五大堂・毘沙門堂まわりで立ち回り、文吉を銭で仕留めるのは金堂下石段。
*越後屋の一人娘・おきみは斉藤こず枝、彼女にポンポン突っ込まれ形無しの文吉は志賀勝で悪党ながら憎めない。文吉を使嗾した番頭は武周暢。文吉の馴染みの酌婦は岡本麗、彼女の注進を受け身代金横取りを企む貸元は亀石征一郎。おきみの母を看取った「木枯し紋次郎そっくり」の渡世人は中村敦夫。神護寺境内の乱闘に福ちゃん入り・貸元の手下。
第693話「妹のいのち」1979.11.7フジ/東映47
江戸で幸せをつかもうとした女の転落、死の報に上方から駆けつけた目明しの兄は妹の所業を信じず調べてまわる。果たして男出入りなど明るみに出るが、いじらしい女ごころが仇になった事実も知れる。
ロケ地
・お香の死体が上がる川端、広沢池東岸。
・お香の墓、永観堂墓地。
・万七にお香はあばずれと言われ番所を飛び出した常吉が立ち尽くす川辺、嵐山公園中州堰堤際(桂川本流)。
・常吉の回想、お香と参った神社、吉田神社竹中稲荷。参道重ね鳥居下ではしゃぐ二人のほか、参道脇によく行った茶店をあしらい、お参りは本殿。
・ED小芝居の鯉に餌やり平次と八、永観堂方丈池石橋。
*常吉は原田大二郎、お香は岡まゆみ。お香の男は中田博久、賊仲間は小鹿番がかしらで盗っ人宿の女将は阿井美千子。
第694話「狙われた八五郎」1979.11.14フジ/東映47
弟の死は町方の拷問のせいと誤解した姉は、殺し屋に接触し八の殺害を依頼。加えて平次も狙うが、観念して畏れ入る姐さんを八は笑い飛ばすのだった。
ロケ地
・番屋から逃がされた巳之吉が逃げる掘割、大覚寺御殿川河床。人数が出てボコられ投棄される川端は広沢池東岸(這い上がり姉のもとに辿り着いてから絶命)。
・一度目の失敗のあとおせいにツナギをとる辰蔵、大覚寺護摩堂。
・八がおせいに誘い込まれる池之端の野小屋、広沢池北岸にあしらい。
・巳之吉の墓、不明(丘の上)。
*桔梗屋を殺して逃げた叶屋の財布を隠匿した船頭・巳之吉は佐藤仁哉、姉の芸者は二宮さよ子。金で殺しを請け負う「仕事師」辰蔵は蟹江敬三、ぷっすり系の妙な小道具も携行。叶屋は伊達三郎で手下は稲吉靖司。叶屋乗り込み平次のラス立ちに福ちゃん入り・チンピラ。
第695話「必死の逃亡」1979.11.21フジ/東映47
火事を機会に逃げた吉原の太夫だが、当夜登楼していた客が変死。裏には悪徳商人の企みがあり、平次が乗り出したことで「足抜き」の件もめでたく解決。
ロケ地
・露草太夫が願を掛けていた三社さま、不明(鳥居脇に水場、社殿透垣に絵馬)。
・船頭の文吉がおつゆを隠す船小屋、竹林林床の野小屋。
・文吉の船宿へ聞き込みにゆく平次たち、嵐山公園・錦(裏口はセット撮り)。
・小屋から逃げた文吉が船をつける葦原、広沢池東岸。以後この近辺で芝居が展開されるが、設定は大川沿い・小名木川付近の川端で、ここから先は舟運しかなく綾瀬を通り行田へ出ると文吉の台詞にある。八が船頭たちに聞き込みのシーンは罧原堤下汀。
*おつゆは鮎川いづみ、文吉は小林稔侍。阿漕な楼主は江見俊太郎で殺害実行犯の番頭は神母英郎、油売り止めを画策する伊豆屋は外山高士。
第696話「初手柄のんびり同心」1979.11.28フジ/東映47
ハメられた昼行灯のダンナのため奔走する平次、結果探索中の賊があぶり出され万事めでたしの展開、半年後子が生まれると大騒ぎのダンナで締めて笑い話に。
ロケ地
・小森を「現場」に導いた男が殺されて見つかる川端、広沢池東岸。
・明石屋寮、嵐山公園・錦。ここへ至る道に中ノ島橋シルエット、駕籠を八が尾行。
*小森同心は市川左団次、黒幕の与力は田口計、表は質屋の賊の首領は高桐真。筆頭与力は波多久夫、青柳がシメる遊び人に福本清三。
第697話「三味線慕情」1979.12.5フジ/東映47
娘と弟子を裂くかに見えた師匠だが、全ては芸のためという深い心。若い二人を叱った平次は、若者を襲わせた奴輩を誘き出し成敗、師匠の前で修行の成果も披露させてやる。
ロケ地
・大川をゆく巳之助を乗せた船、桂川か(船着きは映画村セット)。
・お京に言い寄る倉田屋の若旦那、広隆寺東塀際。
・ヤクザどもを誘き出す浄土寺裏の池端、広沢池東岸。
*巳之助は三ツ木清隆、お京は清水めぐみ、師匠は加藤嘉。巳之助を狙わせた若旦那は大竹修造、ヤクザは唐沢民賢で手下に井上茂など。
第698話「心のかけ橋」1979.12.1247
父の病のため金が欲しかった女の手元に、掏摸が盗った財布が回ってくる。中には手形が入っており、そも盗みもそれを狙った仕込み、騒動のすえ女が運命の相手を選び直す情話に仕立ててある。
ロケ地
・掏摸の直次がお市と会ったり仲間にシメられたり、駿河屋と取引したりの神社、今宮神社。
・掏摸の元締が殺されて見つかる池端、広沢池東岸。
*お市は浅茅陽子、直次は北條清嗣。手形を盗られた相模屋は山村弘三、彼を陥れようとした駿河屋は北原義郎。駿河屋の取立てのシーンで店先に福ちゃんちらり、ラス立ち浪人に小峰さん、掏摸の元締は玉生司朗。
第699話「遠い日の父」1979.12.1972
17年も恨み続けてきた義父が、記憶上の父だったという情話。頑ななじゃじゃ馬娘を諭し悪党の手から守ってやる親分、もちろん隠されていた「過去の罪」を問うたりはしない。
ロケ地
・吉野屋先代の法要が行われる寺、不明。門脇の塀に五本線、灯籠多数。お堂内部の絵もあり、カメラ中から。
・実父の先代を偲び佇むおせん、桂川大堰脇(中州側岸/後段では魚道下)。回想でも現実でも出る先代が「事故死」の橋、宇治・橘橋。橋上での立ち回りのほか、側面を見上げたアングルも出る。他の橋と組み合わせの可能性あり。
・実父の真実を元奉公人に聞かされるおせん、今宮神社石橋上。
・吉野屋向島寮、嵐山公園・錦。
*おせんは浅野真弓、母のおとせは小畠絹子、吉野屋当主は大坂志郎で番頭は早川純一。
第700話「みなし児の詩」1979.12.2647
悪党同士の争いに巻き込まれた若者だが、孤児仲間の娘のおきゃんな行動が幸いし、全て建設的な方向へ。もちろん悪党どもはしっかり親分に懲らされてオシマイ。
ロケ地
・孤児らの家を建てかけている玉ヶ池稲荷傍の空き地、大覚寺天神島。
・再度新吉に悪事の手伝いを迫る三次、広沢池東岸。
・強請りの番頭が殺される汐見橋、中ノ島橋で夜間撮影。殺害は橋下の水路河床で、水は完全に涸れている。検分を見物の町衆は橋上で昼間。
*孤児仲間の若者は岸本加世子と赤塚まこと。抜荷商人は永野達雄で殺し屋は成瀬正、彼らを強請り殺される番頭は重久剛一。ラス立ち浪人に福ちゃんと小峰さん。
第701話「花の若衆変化」1980.1.947
父と子を隔てる凶賊をお縄、涙の親子名乗りで締める情話。父の命をタテに脅され盗めを強要される「娘」は若衆姿の美男づくり、彼女の葛藤がドラマを作る。
ロケ地 ・おせんに平次が一座に調べに来たことを告げるおゆき、嵐山公園桂川河川敷(左岸、臨川寺地区の栗石敷き部分・堰堤脇)。 ・おゆきにおせん母子が一座を去った経緯を聞く平次、蓮華寺五智如来像前。
*軽業師のおせんは汀夏子、父の元盗っ人は北見治一、二人を脅す賊の首領は宮口二朗。ラス立ちの手下に福ちゃん入り、平次だけでなく青柳同心にもぶっ叩かれ。
第702話「夢を見た風来坊」1980.1.1647
ふらりと現れた叔父さんが壊しかけた縁談だが、富商のほうで妙に乗り気の件は果たして裏あり。皆身の丈のポジションにおさまり、香具師は再び旅に出てゆく。
ロケ地 ・地回りに仁義を切る松五郎、不明(神社境内か)。 ・結城屋への疑いを松五郎に話す平次、大覚寺護摩堂脇。石仏映り込み。
*松五郎は植木等、団子屋の母子は正司歌江と友里千賀子、娘を慕う職人は水上保弘。縁談を持ちかけ団子屋の古井戸を狙う、実は賊の両替商は高野真二、配下の殺し屋浪人に西田良、ラス立ちの手下に福ちゃん。
第703話「想い出の紙風船」1980.1.2372
謎の連続殺人の裏に、大昔の冤罪事件。罪無き双親を八州の身勝手で殺された幼女は、長じてのち真実を知らされ牙をむく。
ロケ地 ・伏見屋寮、不明(料亭ふう、門の脇は細竹編み)。寮を出てきた御高祖頭巾の女が手を洗う川辺、桂川大堰下桂川畔(左岸側)。 ・夜鷹が弥七を押し込めて焼き殺す柳原土手の船小屋、罧原堤下河原にあしらい。 ・お涼の父が八州配下に捕えられた薄原、不明(河原か)。破牢した「父」と逃げる一家、落合トンネル。追い詰められ落ちる崖、保津峡落合落下岩。 ・20年前の小金宿での事件についてお涼に迫る平次、神泉苑法成橋たもと。 ・お涼が井筒屋に迫る向島寮前の汀、広沢池東岸。寮入口の「壁」を派手にあしらい。
*お涼は夏純子、亭主は重久剛一、父は峰蘭太郎。元八州回りだった井筒屋は内藤武敏、元配下の伏見屋と弥七は溝田繁と松山照夫。*反物を投げつけ目隠しして刺殺/小屋に籠めて焼殺の二件、ビジュアルが必殺ふう。
第704話「もう一つの過去」1980.1.3047
執拗に姉を恨む、グレた弟の哀話。頭で判っていても癒えぬ傷を幼な子の心につけた悪党を、親分は退治にゆく。
ロケ地 ・料亭・水月へ向かう仙太と仲間たち、中ノ島橋。水月は嵐山公園中州料亭。 ・おちかとデートの万七をカモと襲う仙太たち、不明(神社境内か、殿舎脇に透垣/土手と林/立地は高台で遠景に甍)。 ・島送りになる仙太を見送る姉、大覚寺明智門(伝馬町牢屋敷)。
*棄てられたと姉を恨む仙太は武岡淳一、芸者の姉は香野百合子で恋人の大工は剣持伴紀。姉弟の仲を裂き甘い汁を吸った口入屋は小林勝彦、お話の都合で出てくる盗っ人は福山象三でこっちの立ち回りに福ちゃんチラリ。
第705話「みみずく屋敷の花嫁」1980.2.647
貧乏な恋人に倦んでいた娘に降って湧く、「実は長者の孫」ばなし。もちろん財産狙いの陰謀が隠れていて、疑惑を押し殺して幸福を掴もうとしていた娘は平次の説教を食らう。
ロケ地 ・お照が恋人とデートおよび儀兵ヱにスカウトされる浅草の観音さま、今宮神社境内。 ・千駄ヶ谷の長者屋敷(通称みみずく屋敷)、中山邸。参道と門を使用。 ・千駄ヶ谷へ向かう平次、聞きこんできた八が合流するのは広沢池東岸。 ・みみずく屋敷のことを聞き込む村の家、民家門と前畑。 ・徳右ヱ門の墓、不明(高台の模様、大きな五輪塔あり)。
*お照は竹田かほり、恋人の大工はなべおさみ。財産狙いの悪党は梅津栄と木村元、長者は野村鬼笑で屋敷に巣食う不気味老婆は小林加奈枝。
第706話「親父が愛した娘」1980.2.1347
倅が大店の入り婿になり捨て扶持を貰って過ごす爺さま、ある日たまたま助けた娘は訳ありで、彼のトラウマをびしばし抉るのだった。親分の働きで事件が解決したあと、爺さまは前を向いて歩みだす。
ロケ地 ・ひとり鳩を構う「楽隠居」の嘉市、具合を悪くした旅の娘を拾う町角は今宮神社境内。 ・伊之吉らが捕り方に追われ逃げる板橋宿へ三丁の野道、広沢池北岸か。 ・訪ねてきたおさよを連れ出し話す仙吉、中ノ島橋下河川敷。見ている平次を石積護岸越しに見上げたり、中州側の岸辺におさよを佇ませたり、橋上を爺さまが探しに来たりと、橋まわりをさまざまなアングルで。仙吉の料亭は柳橋にある設定。 ・嘉市におさよの男・伊之吉のことを話す平次、今宮神社門前・一和。 ・伊之吉の仲間が殺されて見つかる船小屋、広沢池北岸か。仙吉がヤクザに金を渡しに来る水辺と林は広沢池北岸。 ・植木職に戻り働く嘉市に苦情を言いに来る上総屋夫婦、今宮神社境内に仕事場あしらい。
*嘉市は下元勉、おさよは佳奈晃子。悪党の上前をはねていた板前は倉石功、博打の借金を取りにくるヤクザは小峰さん。体面を言い立てて嘉市を困らせる上総屋夫婦は原良子と八木隆、爺さまに腹の子の父と仲を裂かれ入水した娘は田中綾で回想に登場。おさよの男はチラ出で馬鹿な仕儀に。
第707話「青柳同心、恋す」1980.2.2072
写経の会で知り合った女に惚れる青柳同心、しかし女には哀しい過去と辛い現実。幸薄い女は悪の巣窟から生きて出ることなく、むかし逝った男の傍らに葬られるのだった。
ロケ地 ・写経の会が開かれる寺、不明(699話の法要の寺と同所、座敷も使用、雪景)。お涼と連れ立って帰る青柳、二人がおりる石段、不明(651話の石段と同所、雪景)。 ・加倉井同心が殺されて見つかる川端、嵐山公園中州下手汀。 ・加倉井を呼び出した男のヤサ、広沢池東岸の「料亭跡」。 ・佐原屋の根岸寮、入口は不明(何度も出ている料亭ふう草戸、直近では703話の「寮」)。庭や離れは阪口青龍苑の池泉や築山、池に阿片を沈めてあったりと各所がダイナミックに映る。 ・庭師に化けて佐原屋(本店)へ入り込む八、阪口か。 ・お涼の墓、西壽寺本堂西側の龕のある崖際に卒塔婆あしらい。八と二人戻る平次は本堂を背に石段をおりてゆく。
*お涼は田中真理、心中相手の手代は峰蘭太郎。横恋慕して囲い者にした佐原屋は草薙幸二郎、裏で阿片密売の大悪党。手下の強面浪人は五味竜太郎、心中の一件に手心を加えた加倉井は武周暢。
第708話「大雪原の追跡」1980.2.2747
御用金強奪事件は、欲深者の企みで罪も無い兄妹を巻き込む展開に。人質の命大事と乗り出した親分は、雪山で大捕物。
ロケ地 ・小仏峠と陣馬山はおそらく箱館山スキー場。ラス立ちのモブ背景で、はっきり海津大崎と葛籠尾崎に加え竹生島が確認できる。眼下の農地の山から湖までの距離からすると饗庭ではなさそうだし、「スキー場面」とかどう見てもゲレンデっぽい。
*お宝地図を託されてしまう兄妹は真夏竜と光丘真理。賊のかしらは黒部進、横奪りを企む手下は山本昌平。
第709話「娘道成寺殺人事件」1980.3.5フジ/東映
踊りの家元をめぐる後継争いに、とんだ漁夫の利を得ようと企む悪党あり。更なる不埒を仕出かすところ、親分の機転で愁嘆場を演出されて一巻の終わり。
*ロケなしセット撮り。対立する踊り手は鳳八千代と福田公子、二人を蹴落として後釜を狙う上方者の優男は入川保則。
第710話「御用船大爆破」1980.3.1247
献上金を積んだ御用船の、不審きわまる沈没。責めを負わされ欠所となった回船問屋の親子が真相を追究する行為は、血筋からはぐれていた薄幸の娘との邂逅をもたらす。
ロケ地 ・渡海丸が沈んだ房総の海、琵琶湖か。 ・沈没から生き延び江戸へ潜入していた渡海屋が殺されて見つかる水辺、広沢池東岸。 ・お蝶の回想の角兵衛獅子が旅ゆく道、琵琶湖岸(浜は広大、遠景に河口州)。 ・お蝶を説得し源次の居所を聞く平次、桂川大堰下手河川敷(左岸側)。 ・銭高屋が船奉行をもてなす料亭、不明(門のみイメージに挿入)。
*女掏摸のお蝶と渡海屋の令嬢は双子設定で山内恵美子の二役。渡海屋は堀内一市で忠実な番頭は石浜祐次郎、お蝶とまとまる渡海丸の生き残りは谷岡弘規。渡海丸を沈め御用金を奪った船子頭は黒部進、グルの船奉行は船戸順。彼らを引っ掛ける芝居を親分に頼まれる富商は志摩靖彦。黒部進の手下のチンピラに小峰さん、渡海丸襲撃の船奉行配下の侍の一人に福ちゃんチラリ。
第711話「二年目の疑惑」1980.3.1947
獄死した恋人の無実を信じる女が使嗾した押し込み、抗議のメッセージはきちんと平次に届き事件の洗い直しもなされるが、出てきたのは空しさをいや増すのみの「事実」だった。
ロケ地 ・おるいの回想で出る神輿の出る祭り、今宮神社本殿前(セット併用)。伊佐吉といちゃつく河原は罧原堤付近の河原か。
*おるいは山口果林、伊佐吉は大木晤郎、伊佐吉を責め殺した同心は亀石征一郎(事の是非は語られず)。*もしかして冤罪の疑義に投げ銭を封印する親分、葛藤のドラマもあり。
第712話「娘金貸し繁盛記」1980.3.2647
金貸しを生業に突っ張って生きる娘、その因となった放恣な母親がさらなるトラブルを持ち込むが、事終ってのち娘は母を赦し力強く明日への一歩を踏み出してゆく。
ロケ地 ・お駒の身の上を聞く平次、永観堂方丈池端(弁天社石橋際)。 ・父・弥助の墓で母と対峙するお駒、永観堂墓地(塔映り込み)。諭す平次を振り切って帰るお駒は参道石畳、中門越しのアングルもあり。 ・木更津指して出た八が和泉屋出入りの薬屋に出会い、夫婦の風体を聞き取った江戸川の渡し場、罧原堤下汀。
*不知火お駒は村地弘美、母のおみねは根岸明美で情夫の賊は長谷川弘。今回の下っ引きは峰蘭太郎。*おちかは亡夫の親を看るため上方へ戻る設定、万七は十手を返上しておちかと所帯を持つと宣言するが事が定まったあとというトホホ。
銭形平次 表紙
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