銭形平次856話〜875話

キャスト
銭形平次/大川橋蔵
お静/香山美子
八五郎/林家珍平
おきよ/市毛良枝
おさと/島村美紀(-867)
松吉/鎌倉俊明(-867)
万七/遠藤太津朗
留造/有光豊(-867)
善太/京本政樹(-867)
矢吹圭一郎/森次晃嗣(-867)
清吉/田井克幸(868-)
森川同心/滝田裕介(868-)


第856話 「一度は捨てた夢」 1983.7.6  83

 賊の手先をつとめる髪結いは、過去に矢吹の旦那と訳ありの女。心ならずも矢吹の前から姿を消した女の哀れ、平次はせめてのことにと二人の時間を作ってやる。

ロケ地

  • 八らが尾行中、矢吹とおこうがばったり会う祠、松尾大社本殿脇摂社
  • 物思いに沈むおこう、広沢池東岸(矢吹のため大名屋敷へ潜入した経緯を回想)
  • 同じく過去を回想する矢吹が佇む橋、松尾大社境内桂川用水の橋上(水車映り込み)。密約書を持って走ってくるおこう、矢吹にそれを渡した菜花群落、桂川河川敷(増水して濁流)
  • 元の勤め先の酒肆で「過去」を立ち聞きしてしまった矢吹がおこうと歩く市中、松尾大社楼門と続きの塀際。
  • おこうが賊のかしらに呼び出される寺、神護寺毘沙門堂前(とうせんじと聞き取り・浅草の東漸寺か。境内各所広く映り込み)
  • 小石川養生所を出てきた矢吹と話す平次、粟生光明寺参道坂。

*おこうは金沢碧、情夫の賊のかしらは近藤宏、エロ大名は大木晤郎、酒肆の女将は三島ゆり子。


第857話 「祭囃子に銭が飛ぶ」 1983.7.13  84

 なかなか尻尾を掴ませぬ殺し屋を追い詰める話、粘り強い監視のすえ祭りの群衆の中での犯行を銭が防ぐ。同時に、辛い暮らしをしてきた母子の悪縁も絶たれてメデタシ。

ロケ地

  • 遊び人が殺される土手、木津堤(遠景に流れ橋映り込み)。検分の際の土手は、画面左端に映り込む山からして嵐山自転車道の可能性あり。
  • 万七の回想、卯吉をつけて絵馬堂に辿り着くくだり、大覚寺放生池堤護摩堂(中と扉に絵馬を演出)
  • 卯吉がお面を売る神社、上御霊神社舞殿前石畳脇。神輿が本殿前をゆく絵も。
  • 命がけで溺れる芝居をする卯吉、罧原堤付近桂川

*元鰻裂き職人でその道具が得物の卯吉は村嶋修、隠れ蓑に使われていた女房は奈良富士子、卯吉の腕を簪で刺した姑は荒木雅子・やっぱり怖。
*殺し屋の呼称は「殺し人」、必殺シリーズは1983年当時「渡し人」「仕事人IV」放送中。


第858話 「父の償い」 1983.7.20  51

 父が悪党だったことでグレる娘、更正して欲しくて夫を差した女房。逃亡していた父が病みついて江戸に舞い戻るが、彼の懐にはまっとうに働いて貯めた、心尽くしの金が入っていた。

ロケ地

  • 行き倒れ番屋に担ぎ込まれるも万七から逃げて身を隠す藤五郎、吉田神社竹中稲荷参道入口脇。
  • 平次を誘い出し斬ろうとする雇われ浪人(原口剛)吉田神社菓祖神社
  • エンディング、八を連れ町をゆく平次、神護寺金堂下石段。

*元錠前師の親爺は垂水悟郎、女房は中村メイ子、不良娘は斉藤とも子。


第859話 「目撃者」 1983.7.27  51

 殺しの現場を見た、病弱な妻を抱えた船頭は、金を掴まされ脅され偽証するが、命を狙われたあと女房の説得に応じ番屋へ。その夜道で刺客に囲まれるが、危機にはちゃんと正義の銭が飛んでくる。

ロケ地

  • 物思いに沈む船頭が寝転がる河原、桂川河川敷か(菜の花の群落)。そこでの回想、借金を肩代わりしたと近江屋の番頭に脅された水辺、堰堤下(桂川か、足もとに巌)。

*船頭は桜木健一、袖にされ芸者を殺した若旦那は愛田健二、馬鹿息子のため工作する大店の主は西山嘉孝、手先をつとめる番頭は高峰圭二。
*万七に対する賄賂攻勢のテンポが傑作、家に届くギフトのほか小判入り菓子箱なんかもあり←但し最中の上に五両のみ・ぎっちり詰まってはナイ。


第860話 「犯人は万七」 1983.8.3  51

 万七親分、とんだ濡れ衣を着かかるの巻。逃げた賊を追った先にいたのは、唯一人がましい扱いをしてくれた昔馴染みの女、しかし彼女は情夫とともに幸せを掴むための工作を仕掛けていた。

ロケ地

  • 賊の盗金を懐に江戸を出る浪人が渡る橋、若森廃橋か(見上げ、設定は芝から川崎へ抜ける間道・旧鎌倉街道)。お仙と落ち合う切り通しは保津峡落合隧道付近か。

*不幸な男出入りの果て尽くした男に始末されてしまうお仙は野川由美子、彼女の家と背戸を接する長屋に住んでいた傘張り浪人は久富惟晴。
*「賊」と立ち回りの際に花瓶でゴン、お仙に心中を持ちかけられた際に薪ざっぽかなにかでゴン、万七親分の頭は異様に丈夫。


第861話 「街の嫌われ者」 1983.8.10  51

 冷血無比な取り立て屋の青年は恣に振舞うが、やがて蹉跌を見て改心。平次の説諭を受け、傷つけた女の幸せを見届けて連行されてゆく。

ロケ地

  • 食いものにしていた幼馴染の恋人が身請けされていたと知ったあと、昔を思い出し忸怩の猪之吉、放生池畔か(浅い流れと草深い水辺、対岸?に祭りでそぞろ歩きの衆)
  • 猪之吉が大勝負を挑みにゆく荒造一家の隠し賭場、大覚寺大沢池に屋形船。猪之吉の危機に駆けつけて大立ち回りの親分のシーンは大沢池船着(小)から木戸、溢水口を大胆に使って表現される。

*一匹狼を気取る「街のダニ」猪之吉は石橋正次、同郷の情婦で岡場所勤めのお映は浅見美那。金貸しを殺し成り代わろうとした荒造は汐路章、手下に西田良。


第862話 「御定法七十二条添書」 1983.8.17  84

 大店に押し込んだ賊だが、果敢な番頭に返り討ちに遭い敢無く頓死。「忠義」の番頭は正当防衛とされ御放免、お店の一人娘との縁談も無事継続するが、ひとり平次は腑に落ちぬものを感じていた。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • もの言いたげに井筒屋前をうろついていた酌婦を呼び止め話を聞く平次、大覚寺護摩堂前。後段、呼び出して更なる事情を聞く段では、石仏や池畔も映る。
  • 番頭のほんとうの生家で起きた事件の「再生」、辻占売りの娘が臥煙に無体を受け突き飛ばし溺死させてしまった堀端、嵐山公園掘割堀端(渡月小橋下手湛水域)

*御定法を逆手にとった色悪は原田大二郎、井筒屋は永野辰弥で娘は根本律子。御定法の話をする吟味与力は芝本正。
*八、階段から落ちたとの触れ込みで寝込み・足にギプス。十手を託された善太は下っ引の格好で御用をつとめる。


第863話 「謎の書置き」 1983.8.24  84

 何度踏み込んでももぬけの殻の賭場、内通者がと疑心暗鬼が広がるなか、書き置きを残して岡っ引が縊死。しかし平次はもう一つの索条痕を見逃さない。勤めに忠実なあまり倅の反発を買う親爺の、悲哀をとりまぜた人情話。

ロケ地

  • 賭場が立つとの子供の投げ文で捕り方が入る善林寺、神光院中興堂。内部も使用。
  • 投げ文した子の父が首を括って見つかる木、大覚寺天神島。妻子は朱橋を渡って駆けつけ。
  • 内通者を絞り込みつつ手入れが行われる根津権現坂の賭場、不明(鳥居と坂、吉田山内か)
  • 若手岡っ引の東吾が恋人といちゃつき油を売る市中、金戒光明寺三門
  • 彦六の墓、黒谷墓地。平次のお説教を受けた彦六の倅と東吾が塔下の坂を駆け下りてゆく。

*勤めのため女房の死に目に会えず息子の怒りを買う彦六は下川辰平、お店奉公の倅は三ツ木清隆。派手に偉そうな態度でハナっから怪しいフラグ立っている岡っ引は船戸順、結託していた元巾着切りは水原麻記。
*八、前回に続きギプスで登場、素麺を食らい。


第864話 「闇に舞う御高祖頭巾」 1983.9.7  51

 「女湯の刀架け」から南町与力の大小と十手が盗まれ、それを使った殺しが相次ぐ裏には三年前の冤罪事件。被疑者を二段構えで用意し、過去の悪行が暴かれてゆくつくり。

ロケ地

  • 与力の刀を盗った男が御高祖頭巾の女にそれを渡し金を受け取る祠、松尾大社摂社。
  • 大津屋欠所の調書から浮かぶ過去、大津屋が抜け荷の咎で八丈送りになる船番所、大覚寺大沢池船着(大)にあしらい。父を見送る娘・お妙は池畔にセットされた柵に。
  • 八丈の海イメージ、荒波寄せる砂浜と断崖、不明。
  • 大津屋遠島後、気落ちして体を壊し八王子・柏木村の娘のもとへ帰った番頭・治兵ヱがゆく野道、北嵯峨農地・畦道。
  • 備前屋が殺されて見つかる橋の下、中ノ島橋下手右岸河川敷(栗石敷き部分、見物衆に峰蘭さんちらり)
  • 八王子へ派遣された下っ引の辰がゆく道、北嵯峨農地・畦道。農婦に聞き込みするのは民家前畑
  • 水辺に佇むお妙に声をかけ、治兵ヱの娘のことを聞く平次、大覚寺大沢池畔。

*大津屋の娘で今は芸者のお妙は丸山秀美、番頭は堀内一市で娘のお峰(与力邸下女)は山本ゆか里。大津屋抜け荷事件を扱った南町与力は安井昌二、ラス立ちでは槍で平次と対決(弱い)。
*八は会話に出てくるだけで登場せず、下っ引の辰(伊庭剛)が活躍。ご褒美は冷えた西瓜。


第865話 「大江戸銃撃戦」 1983.9.14  84

 短筒を使った凶悪事件が続発、平次は銃の出所を追い大元の唐物商を突き止め、汚い内通者もまとめてさんざんに打ち懲らす。前半を短銃ギャングの大暴れに使い、劇伴もなんか「仁義なき戦い」っぽいタッチ。

ロケ地

  • 短筒取引の夜の河岸、一部広沢池か。運び屋をつとめるも消された船頭の簀巻き死体が上がる川端は広沢池東岸

*短筒をぶっ放し凶行の賊二人組は丹古母鬼馬二と福本清三、どこにそんなにタマ持ってたのと疑問なくらい派手に撃ちまくり・弾込めシーンは一応入っている。唐物商は田口計、グルの吟味同心は入川保則。
*善太が連れてきた鳶の青年が捜査にお役立ち、八では無理なアクションをこなすのはJACの崎津隆介。


第866話 「頑張れ!下っ引き」 1983.9.21  51

 へま続きで怒られ通しな下っ引き青年の、ほろ苦いグローイングアップ・ストーリー。彼を励ましなにくれとなく世話を焼いてくれて、いつかは嫁にと思った娘は、捜査状況を巧みに聞き出していたのだった。

ロケ地

  • ゆめやで出る、仙吉はドジだけどいい人の逸話、猫を助ける仙吉は大覚寺大沢池畔に張り出した木。
  • 己が取り逃がした賊の凶行を見た仙吉、遺族に詫びに行き詰られ殴られての帰り、落ち込んでお直にボヤく水辺は大覚寺大沢池船着(小)、屋形船映り込み。彼らを見張る平次と善太は五社明神の祠の陰に。

*仙吉は赤塚真人、気難しい親分は橋本功。お直は岡本舞、彼女を情報収集に使う赤不動の仁兵ヱは上野山功一・捨て子のお直を拾い育てたことで恩を着せる設定。
*仙吉が相談に行くという趣向で八ちらりと登場、下宿で足吊って寝ている。


第867話 「蛇の目かんざしの女」 1983.10.12  84

 抜け荷商人とつるんでいた南のダンナだが、調べが及ぶと知るや露見を恐れて始末。そこからあとは糊塗するために非道を重ね、無理押しで無実の目明しを消そうとしたところで、地道に蔓を辿ってきた平次に追いつかれる。

ロケ地

  • グルの山城屋を始末してきたところで目明し夫婦の痴話喧嘩に行き合わせる「夜釣り」の川原同心、罧原堤下河原。河原には材木置場あしらい、後段には船を出して山城屋の死体を引き上げる場面も。夜昼のロケ。設定は薬研堀堀端。
  • 偽証した樽源の主が吊りを装い殺されたあと、矢吹に川原への疑義を表明する平次、下鴨神社泉川・切石橋下手。橋には通行人をあしらい。
  • 情婦と船宿で密会後絞めにかかる川原、中ノ島橋上手堰堤脇(橋は映らず・塀をあしらい、裏路地に仕立ててある)。平次と矢吹が駆けつけて川原を追って出てくる船宿、嵐山公園・錦(密会の船宿内部はセット、窓に揺れる波の影を演出。山城屋との密談も同所で、その際も次の間に夜具があって笑える)
  • 約束の期限を待たず、又吉を伝馬町送りと称し大番屋から連れ出す川原、始末しようとする林は下鴨神社河合社裏の糺の森。平次は河合社脇を通り森へ、振り上げた川原の切っ先が草叢から覗き、そこに投げ銭。

*川原同心は山田吾一、己に惚れ抜いている情婦も始末する冷血漢が似合いまくりの怖さ。犯行に手を貸す情婦の小唄師匠は佐野アツ子、川原が大事にしている蛇の目傘を自分の簪の文様に採り、これが決め手で名前が浮かぶ趣向。女房が山城屋の根付を拾ったことで巻き込まれる目明し・又吉は剣持伴紀、親分の無実を明かそうと平次を頼る下っ引は古代一平。
*八、ギプス状態でちらり出演。


第868話 「七つの顔の平次」 1983.10.26  85

 事件は藩札偽造、悪党どもにさらわれた彫師を救うためあの手この手の親分が、いろんな風体に作って八面六臂の大活躍。解決後には、彫師の息子が子分入り。

ロケ地

  • お静の下駄の鼻緒をすげてやる新吉、松尾大社楼門前石畳、楼門下。
  • 植木職人に化けて相良藩邸へ潜入する平次、家老と鳴海屋が密談の座敷は枳殻邸臨池亭(平次は池越しに建物を見るかたち、菅貫らは北から廊下を歩いてくる。この前に映る藩邸の門や露見後の立ち回りはセット撮り。老爺に化けてやり過ごすくだりは不明)
  • 秘密工房から逃げた彫師が殺される夜の掘割、大覚寺御殿川河床。翌朝の検分は松本酒造前東高瀬川堤
  • 逸る新吉を諌める「無宿人」の平次、日牟禮八幡宮境内(拝殿裏手東望・蔵映り込み)
  • 根城が船蔵らしいと聞いた平次、蔵の建つ掘割へ船をつけるのは八幡掘、堀端の石垣に取り付き侵入の運び。覗き込む蔵はセット、侵入者を見つけた追っ手が駆け上がる土手は東高瀬川堤(平次は八幡堀を船で逃げ去る)
  • 新吉に彼の父が秘密工房の蔵にいたと告げる平次、日牟禮八幡宮境内(水場越しに拝殿を望むアングル)
  • 子分にしてくれと申し出た新吉に捕り技を仕込む神社、松尾大社舞殿まわり。

*相良藩家老は菅貫太郎、つるむ回船問屋は井上昭文で手下には博久はじめお馴染み脇役陣がいっぱい。

■ この回でキャスト一部変更、お町の旦那が森川同心になり、万七の下っ引きは「清吉」名義に戻って新キャストを迎える。森川のダンナは今までの係同心とは違ったキャラクターで、口喧しい癖に無責任で逃げ腰というイヤミ上司を演じる。あと、オープニングが大幅に変わったほか、ゆめやの内装がカウンターになっておきよ一人の業態に。


第869話 「平次、暗殺!」 1983.11.2  51

 平次に忍び寄る魔手、悪夢は正夢となりお静に危難が及ぶが、送り込まれた者の怪しさなどお見通しの親分は沈着冷静。愛妻をみごと救出したあと、企みを持った汚い男をしたたかに打ち据えるのだった。

ロケ地

  • 平次が襲われたあとお参りのお静が狙われる神社、今宮神社本殿〜摂社脇。お静は夫に助けを求めるが間に合わず倒れ臥す…のは夢オチ。
  • 平次を襲った「屋台の親爺」が殺されて見つかる市中、今宮神社高倉下(検分)
  • 捜査線上に浮かんだ竹細工師を聞き込み中、つけてきた魚屋を逆に誘い出し勝負の林、下鴨神社糺の森、手鉤で挑む男とやり合うのは池跡
  • 捕えた男を送り込む大番屋、大覚寺明智門(看板に「大番屋」)
  • さらったお静を船から上げる一味の男、広沢池東岸か(汀と料亭跡?)
  • 森川同心と大番屋を出てきた「黒幕」の前に立ちはだかる平次、大覚寺護摩堂前。

*新吉を誑かし内懐に入り込む悪女は一色彩子、森川の上司だった黒幕は土屋嘉男。湯屋に出没する噺家志願の幼馴染は円楽師匠。


第870話 「はやり風邪」 1983.11.9  51

 八五郎の風邪が、泥棒の正体を暴く。病の元の平次宅の雨漏りエピソードを前後に置き、厄介な盗っ人の跳梁を描く作り。

ロケ地

  • それと知らず賊の情婦になっていた水茶屋女に聞き込みの平次、柊野堰堤下落差工。
  • 女にやった簪でアシがついた賊一味の青年が仲間に刺される市中、仁和寺御影堂(お堂の裏手)。このとき、市中見回り中の八が水掛不動前にいて南へ歩いてゆく(その後賊を見かけ追うもくしゃみの発作で取り逃がし)

*足のわるい古道具屋に化けていた賊のかしらは田口計、七味売りに化けた手下は松山照夫、鋳掛屋に化けて的を見張る男は石倉英彦、簪でヘマをやり制裁を受けた青年は下塚誠で女は早川絵美。


第871話 「」 1983.11.23  51

 半年前から揃って羽振りの良くなった男たちを怯えさせる「影」、怪異出現の裏には恋しい女を立ち直らせたい青年の思い。騒擾の咎も相手が影ではと、親分の情けが出てメデタシ。

ロケ地

  • 偽証で朋輩を罪に落とした元手代が、影に怯え外へ走り出た挙句に墜死する石段、豊国廟鳥居下石段。
  • 「お店の金を盗んで女と心中した手代」の兄の墓に参る妹、広沢池北岸汀に墓標あしらい(他にも簡素な卒塔婆等立てられ、野末の塚っぽい扱い)

*辰巳屋の主におさまっていた元一番番頭は小沢象、偽証・心中工作等でグルの元木っ端大工は水上保弘、兄の不名誉な死で荒んでいた妹は西崎みどり、彼女を思い悪党どもを追い詰めた青年は坂東正之助(彼が女装を解いて「影」の正体を現す「柳原堤」は、当時「長七郎江戸日記」などで多用された、京撮の大がかりなインドアセット)。


第872話 「赤鞘の謎」 1983.11.30  85

 非道な金貸しの上を行く外道、罪深さを承知しながら男に手を貸し、破滅の淵へ堕ちてゆく女の悲劇を描く。念入りに仕組まれたトリックを暴く、推理の過程も見もの。

ロケ地

  • 賭場でスって帰りの直助が馴染みの酌婦と行く道、車折神社参道。直助の女房が朱鞘をたばさんだ浪人といるところを目撃される町角も同所。
  • 朱鞘の浪人に斬られた直助が清吉に目撃される昌平橋、インドアセットと罧原堤下河原を組み合わせて使用。川浚いには桂川へ船を出して「橋」から見るふうに画面を切り替え、平次が現場へ再度足を運びヒントを得る段では川原に「橋たもと」の土手を表現する道具立てをセッティング。インドアセットは大向こうが書割のお馴染みのアレ。

*馴れ初めもアレな耐える女房は田島令子、外道亭主の直助は入川保則。直助にあっさり謀殺される金貸しは永野辰也、酌婦は加納みゆき、昌平橋で物音を聞いた按摩は北見唯一。


第873話 「脱獄死刑囚」 1983.12.7  52

 死罪を申し渡され引き回し中の囚人が逃亡、しかしそれは平次が与力と示し合わせてのことで、見張り付きで泳がせている間に謎解きが展開。誰も彼も金に転んでいる事態の果て、遂に平次の前に大金を積んだ三宝が置かれる運びとなるが、もちろん親分は台を豪快にひっくり返す。

ロケ地

  • 逃げてきた吉松を深川の女郎が匿う船小屋、広沢池東岸。小屋は水に張り出す作り。
  • 両国小町が陵辱の果て殺された大川端、罧原堤下河原
  • 遺留品の象牙の根付から名の上がった札差の極道息子の件で向島の寮へ赴く平次、同道した同心に推理を聞かせ加担を指摘し立ち回りとなる夜道は下鴨神社泉川橋たもと(石の手すりのある「外側」)〜泉川畔、糺の森。
  • 札差・山城屋の向島寮、不明(細竹編みの塀と瀟洒な門)

*小塚原の露と消えかける吉松は森川正太、幼馴染の女郎は竹井みどり。札差は高野真二、そこへ出入りの同心は長谷川明男。


第874話 「平次は俺が殺る」 1983.12.14  52

 密告した情婦と捕縛した平次を憎悪する男が島抜け、凶行を重ねる。外堀からの狙いは図に当り、平次個人の問題と南のダンナ方ばかりか万七まで手を引き、窮地に立った親分は我が身を的にと昂然と姿を晒し夜の町をゆく。

ロケ地

  • 仕事帰りの漁師が銛で殺される海辺、広沢池東岸(漁具あしらい)
  • 左源太の元情婦の嫁ぎ先を訪ねる平次、八たちが案じて出歩くなと言いつつゆく道は大沢池堤か。
  • 身代わりに捕われ処刑された弟の塚にやって来て復讐を誓う源太、下鴨神社糺の森・池跡(柵や卒塔婆あしらい、設定は鈴ヶ森刑場。ラス立ちの死闘もここで)
  • 捕り方に加わることもあった大工が銛で殺される夜道、大覚寺有栖川畔。善助が刺される夜道は大覚寺境内か。
  • 左源太が銛をかざし襲ってくる幻を見る平次、上賀茂神社ならの小川(夜道)

*左源太は八名信夫、元情婦は鈴鹿景子で今の亭主の指物師・善助は住吉正博。
*常にも増してぶつぶつお叱言・逃げ腰の森川のダンナ、ちょっと「田中さま」風味。


第875話 「大泥棒になった万七」 1983.12.21  85

 凶賊の跋扈に際し平次が提案した潜入捜査のお鉢が、森川のダンナの横車で万七に。このどたばたと、本格の盗賊だった老爺の哀話がないまぜの捕物劇は、いつも通り平次の活躍でびしっと締められる。

ロケ地

  • 伊勢屋を襲った鬼辰一味が、万七から逃れ船で逃走する川端、広沢池東岸
  • 賊の動きを観察していた左官が一味に殺される水辺、広沢池北岸。検分は東岸。
  • 万七の変装がバレて呼び出される川端、広沢池東岸
  • 盗品売り捌きの黒幕の回船問屋の寮、嵐亭。中門と延命閣前庭。

*二年前まで「鬼辰」だった夜鳴き蕎麦屋の親爺は高品格、「鬼辰」を名乗り江戸で凶行を繰り返す元手下は田中浩。回船問屋は江見俊太郎、グルの地回りは伊達三郎。二年前鬼辰のせいで責を負い首を括った木戸番を父に持つ娘は佐藤万理。
*タイトルになっている万七親分の潜入捜査、いい気になってどんちゃん騒ぎはいつもの事だが、寝所で命狙われてるのに清吉や八に胡乱な行為と見做される万七…あの風体では似合いすぎか。


→ 銭形平次  表紙


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