炎の奉行 大岡越前守

1997.1.2TX/松竹 (12時間)

第一部 刃傷松の廊下

 市十郎(大岡忠相幼名)が秋月数馬と手合わせしたり語り合ったりする浜は間人海岸
 実家の兄・忠品が八丈送りと聞き駆けつける市十、随心院参道
 忠品が唐丸駕籠で送られる汀、琵琶湖北湖・東岸か。
 新之助(後の吉宗)が騎馬で女を引っ掛けそうになるのを止める市十、随心院築地塀。新塀と崩れ塀を併用した例。
 義父の死後義妹と祝言をあげ家督継ぎ忠相と改名、ある日秋月が腕試しの大道芸しているのに出会う、上賀茂神社ならの小川
 中山安兵衛の高田馬場、下鴨神社糺の森。駆けつける安兵衛、小川の中走ってくる、泉川。秋月数馬が助太刀に入る、池跡。おいおい忠相も抜いてるけど。ほぼ終わったところへ馬が気の毒なくらい肥えた徳川頼方(吉宗)。
 紀州藩上屋敷に上様のお成り、随心院薬井門
 江戸城辰の口・伝奏屋敷へ運び込まれる勅使接待の荷、大覚寺勅使門。赤穂藩上屋敷、大覚寺明智門
 石橋蓮司の吉良さま、凝り過ぎの嫌いあるものの斬られたあとのうろたえぶりが新鮮で○、の松の廊下、二条城?

第二部 赤穂浪士討ち入り

 上杉綱憲に本田博太郎。吉良さまとのべたべたの絡みが凄い。ぷるぷる震えながら息子にしがみつく吉良さま、がしっと吉良さまを抱きこみ色部又四郎の顔抱き寄せ頬ぺたぺた打ちながら指示を出す綱憲。忠臣蔵も数え切れないほど見たがこんなのは初めて。
 赤穂浪士との会合のあとお園を送って夜道をゆく秋月数馬、北野天満宮参道。徳川頼方の遠乗りの際赤穂への助力を依頼する大岡忠相、桂川。その後の上杉方の襲撃も桂川。上杉家江戸上屋敷、随心院。拝観受付の門から外を見るショットと薬井門を内から眺めるショット、忠相襲撃を伝える場面で。茶店で秋月数馬とツナギをとる堀部安兵衛、今宮神社高倉下。物資を運び込む吉良邸(御府内のほう)、大覚寺大門
 江戸城、忠相を呼び止める上杉綱憲、つまづいた廊をだん、と踏み鳴らし忠相ににたぁと笑いかける不気味さ。本所松坂町の屋敷で苛々しながら過ごす吉良さま。青虫で大騒ぎ。肩にたかった虫を見る気味悪そうな表情、身をくねらせてその袖を鏡でしげしげ点検する執拗さと仕種が石橋蓮司ならでは。
 忠相と船中で話す大石、伏見の月見館か?違うか。大石の参る墓、二尊院か。大道芸の秋月数馬をスカウトの清水一学、上賀茂神社北神饌所裏付近。医師・小川千舟が大岡邸からの帰り通りかかるのは仁和寺中門。忠相に吉良の茶会の日時告げる医師の娘、大沢池天神島
 討ち入り、吉良さまの薄みっともないうろたえぶりが○の石橋蓮司。早暁引き上げる浪士たちの渡る永代橋、渡月橋

第三部 綱吉死す!尾張徳川家の野望

 死に瀕した将軍、不穏な市中を見回る忠相がゆく、随心院参道。怪しげな修験者を捕え出てくる甲府勤番侍邸、随心院庫裏側の門
 綱吉の死後、赤穂浪士の子弟が大赦により帰還する霊岸島御船手番所、八幡堀。浪士の子ら連れ旅立つ秋月数馬、木津川流れ橋
 忠相の妻がお百度を踏む宮、今宮神社の摂社
 柳沢が忠相に伊勢山田奉行を命ずる江戸城廊下、粟生光明寺本堂
 大阪で秋月と会う大石の妻・りく、梅宮大社神苑。播州赤穂の塩浜、琵琶湖
 伊勢の国・櫛田の渡し、流れ橋付近の木津河原。秋月が村人に感謝の意の食べ物渡される、木津川流れ橋橋脚下。橋脚には枝が絡みついている。新山田奉行に直訴しようと山田村の面々が待ち構える峠道、谷山林道。忠相の赴任する伊勢山田奉行所、大覚寺大門
 江戸、お園と由比がゆく水辺、大沢池。和歌山城、本物。松阪と山田の領境で百姓・五平が斬られる、谷山林道。五平の亡骸を安置する堂、鳥居本八幡宮舞殿。忠相が吉宗に評議の席での非礼詫びる、神護寺石段。忠相と由比の婚礼の席に届けられた吉宗の「色紙」、曰く「連れもて行こら  吉宗」…怒れ、和歌山県人。
 江戸、将軍が重篤。後継が取り沙汰されるなか中野の尾張家狩場で御三家揃っての狩りが催される。病の床にある柳沢を見舞い吉宗の身辺について注意を受ける忠相、騎馬で中野の狩場に急行の道、山室嵯峨観空寺のダート。狩場は河原と推測されるが何処か不明。ちっ川で判らないなんて…修行が足りんな。獲物追い林に分け入ったところを忍びに襲われる吉宗、嵯峨鳥居本。辛くも逃れ一息つく忠相と吉宗、尾張藩主の弟が空惚けて様子を見に来る、嵯峨酵素のふたもとの木のそば

第四部「大奥激震!絵島生島事件」

 正徳二年、六代家宣死去、四歳の嫡子が七代家継に。生母・月光院の権勢はいや増す。
 尾張藩上屋敷(大覚寺大門)に近衛家煕が訪問、姉で前将軍正室・天英院の復権を企て月光院追い落としを企図。その夜、柳生忍に月光院のアラ探せと命じる尾張柳生総帥、有栖川の掘割
 天英院が忠相呼び出す芝増上寺、粟生光明寺。御三家のうち次期には誰をと問われデブ吉宗を推挙する忠相。
 井槌屋の養女・お恵が衰弱して倒れているのを助ける秋月数馬、これが月光院付き年寄の絵島の生き別れの妹。密かに妹に会いに来た絵島と語らう数馬、南禅寺三門
 柳生忍に閨に踏み込まれ絵島と通じろと命ぜられる山村座の人気役者・生島新五郎、有栖川掘割
 尾張藩上屋敷、近衛との会談中血を吐き絶命する藩主・吉道、大覚寺宸殿。直後継嗣の五郎太も急死、後見人ダービーからは後退の尾張家。
 絵島をハメる予定の日、妹・お恵同席させ労わる姿見た生島新五郎はほだされ絵島を逃がすが、目付・稲生はしつこく追い門限破りにして落度を咎める意図で絵島の駕籠を止める、妙心寺四脚門付近。忠相が割って入りその場は片付くが生島新五郎は捕縛され責めののち調書に無理矢理血判捺される。
 お恵に絵島のことを問い詰められ実の姉であることを白状する秋月数馬、保津峡
 ことは大疑獄に発展し生島新五郎は遠島、絵島は高遠預けに。流罪先へ送られる絵島の駕籠に駆け寄るお恵、背後の塀は南禅寺僧堂
 弟・近衛家煕が絵島生島事件に関わっていたことを忠相に告白する天英院、二条城庭園。その後重態となる将軍、御三家から後見を選ぶ席で紀州を指名。

第五部「対決!雲霧仁左衛門」

 忠相、吉宗将軍のもと町奉行に。正月、吉宗が豆まきしている奥座敷に「天下大変・雲霧参上」の札が降る。
そして江戸の町には放火強盗が出没。
 正月の御三家謁見の席上、吉例として将軍の一字頂いて吉春と改名する尾張の通春。面白くない尾張くんは吉宗の政策にねちねちとけちをつけ嫌味を述べ立てる。挙句の果て吉原で行き会った雲霧一味にコナかける始末。吉宗が忠相手と深刻な幕府財政の話する江戸城の一室、粟生光明寺方丈
 札差・米問屋を集め切米の千両を貸しにせよと伝法な口調で語る忠相。信用できんと口々にざわめくなか、大岡を信じると声を上げる大口屋のお清。
 お清と語らいながら歩く忠相、大沢池畔。行く手には由衣が長助連れ佇む。放生池堤を走り駆け寄る息子を抱きしめるお清。
 策あたり順調に進み始める政策、面白くない尾張くん、苛つき歩く江戸城廊下、粟生光明寺方丈。その後吉原で雲霧とツナギとり貨幣改鋳の輸送途中狙えと示唆。
 串本節呟き独り酒を呑む雲霧、セピアカラーで語られる毒見役の死。
 改革の目玉・小石川療養所、蘭医が敬遠され閑古鳥。場所不明・キャプチャ。
療養所裏では救荒作物の甘藷作っている。この新品種を秘密裡に搬入するところを貴薬と勘違いした雲霧が襲う、八幡堀。数馬が防ぎあとを追いアジトに踏み込むも「吉宗を破滅させる」と言い置き火薬使い逃走。
 アクシデントの際焼けた芋の旨さと医術の確かさが評価され始めるが療養所で患者同士の争いが持ち上がるところへ忠相登場、三方一両損の裁き。
 火事場泥棒のコソ泥に地蔵に聞けとからかわれ仏像引っ立てる忠相、大真面目に地蔵を裁く。ここで罠をかけ白状させ雲霧情報とる。人相書出回り次々アジトに手入り窮地に立つ雲霧、秋月の家を襲うも中断、おかしらのもとへ走る掘割、大覚寺御殿川・参道石橋下。追う数馬、尾張家小網町屋敷、大覚寺大門。濡れた足跡が点々と門前に残る。
 改鋳小判百万両積んだ船、石川島沖(琵琶湖)で停泊、日の高いうちに運び込もうとする霊願島、八幡堀。船が座礁との報受け吉宗の命が狙いと気付く忠相、将軍家お成りのもと行われる水練視察会場へ急行。
 行事が行われている隅田川御殿、大覚寺五大堂観月台、塀に幔幕巡らしセッティング。演技が行われるえらい濁った隅田川は大沢池。興が乗った吉宗、自ら船に乗り競泳選手を叱咤する場面は桂川にスイッチ。罧原堤からの撮り、対岸にサイクリングロードの林映る。
いきなり櫓を失う船、岸へ船つけ上がる吉宗、桂川罧原堤前の中洲。迎え待たず歩いて帰る吉宗、通りかかる林、仁和寺。雲霧が待ち構えている。元紀州藩的場鉄平の息・鉄之助と名乗り上げる。的場の死の因となった毒は尾張藩の陰謀、表沙汰にせぬよう闇に葬られた父の一件に天下滅びよと吼える雲霧、吉宗と一騎打ち。そこへ割って入る人数、尾張くんが影で見ている。駆けつける忠相たち、響く銃声。
 ひとまず収まった場をあとに雲霧の消息話しながらゆく忠相と数馬、八幡掘。やまぬ雲霧の放火、襲われる小判積込みの現場。忠相駆けつけ大立ち回り、雲霧配下は捕えるも首領は腰に煙硝巻き付け千両箱の上に仁王立ち。江戸の民を巻き添えにすることは許さんとじりじり歩み寄る忠相、庇うように取り巻く民衆、これがおまえの仇かと問われ躊躇し逡巡する雲霧、種火と煙硝捨て立ち腹を切る。介錯を所望された忠相、もったいぶった末刀を一閃(早よしたれ)。

終章「吉宗落涙・天一坊事件」

 大奥で妻や子と庭を逍遥する吉宗、二条城庭園
 天一坊現るを聞き単純に喜ぶ吉宗。天一坊のもとに集まる人々、尾張くんも早速コナかけに来る。浜で呪唱える天一坊、間人海岸。見に来ている忠相と数馬、人柄は良さそうだが真偽いずれにしてもよい結果生まぬと案ずる。内密の吟味行われ吉宗も覗いている。吟味後早く対面してやりたいと言う吉宗に思い留まるよう諫言する忠相、粟生光明寺本堂
 忠相の依頼で紀州に調査に赴く数馬、名草郡平野村では天一坊ゆかりの村人に申し渡しが行われている。村人の集まる宮、摩気神社。伊賀亮がゆかりの人々殺して回る。妹のお鹿も襲われる。
 江戸では尾張くんが天一坊吉原に連れ出し上得意。悪趣味な格好で憎さげに話すのに嫌気さし逃げ出す天一坊、由衣が助ける、北野天満宮社殿裏手の紅殻塀。
 奸計にはまり尾張の手に落ちかかる天一坊を追い走る数馬、随心院参道。時遅く尾州藩深川下屋敷に吸い込まれる、随心院薬井門
 大奥で子弟に武芸鍛錬させている吉宗、粟生光明寺方丈前の石庭上。そんなとこ入ってええんかいな。尾張くんがしゃしゃり出てひとしきりいらんこと言った挙句忠相が天一坊隠して云々とタレコミ。そこへ本両替が悉く店を閉めたと急報、忠相には蟄居閉門の命下る。
 天一坊と将軍の対面が尾張邸で行われる席に白装束で乗り込む忠相、偽物であると場を流したあと人払いし親子の対面させる。扱いを巡り数馬とは齟齬を生じる。これ以降のビジュアル、折角積み上げたドラマが台無しになりかねない代物で、ナレーションを回想シーンに重ねるだけのほうが良かったのではと苦言を呈したい。また、紀州弁の考証大いに疑義あり。「…のし」は確かに古い紀州弁であるが「行こら」などは泉州の方言に影響された近年のもの。紀文の言葉はけっこうよく出来ていたのに惜しい。


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