ロケ地は、山形ロケがダイナミック。渡し場の轟と流れる大河に最上川や赤川が使われ、芽吹きのヤナギが美しい。百姓を人質に立て籠もった弥市郎を討ちに赴く山道に羽黒山、ところの民家なども散見される。海坂藩城には姫路城と彦根城を併せて使ってある。姫路城は各所が使われるが、行進の調練が行われる腹切丸脇の路地や、家老がふぅふぅ言いながら登る菱の門から内部にかけての登り道が印象的。彦根城は、さまになってきた歩兵隊のくだりで天秤櫓下を橋脚のみ映し込むシーンがよい風景。野に下った師匠・戸田寛斎の寓居は、丹波国分寺前に西岡善信氏の手になる凝ったセットを組んで撮られた。家は屋根が先っちょ映るくらいのアングルで、農道側に垣根を仕立てて撮ってあり、国分寺の鐘楼や大木がうまく背景として映り込んでいる。このセットはほんのちょっとの期間しか無かったが、残しておいて欲しかった気もするよい出来で、現場には西岡氏のスケッチも置いてあった。宗蔵がきえの実家にプロポーズしにやって来るくだりは摩気の里。妹夫婦が出立する片桐を見送るシーンに摩気橋(橋脚は映さず)、きえの実家は摩気橋たもとの民家を北から、園部川堤を畔に見立てて求婚の場面に。
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