幕府の陰謀により改易の備前・宮川藩、受城使は早々の退去と財の接収を布告。憤懣やるかたない藩主は腹を切ろうとするが家老はとどめて縁戚を頼るよう勧め、菩提寺から仏像を持ち出し落ち着き先に届けるという。これの運搬に雇われるのが「四匹」の浪人たち、しかし道中で怪しの忍者たちがわらわらと襲う。仏には、家老の深慮遠謀が隠されていた。
主人公・かかしの半兵衛ははじめ受城使と結託した宮川藩次席家老に用心棒として雇われていたが、成り行きで忠義の士・小杉丈之進を斬る羽目となり、今はの際の小杉に妻子を託されてしまう。お家騒動で妻子を亡くしている半兵衛だから、このシチュエーションではもう取る道はひとつ、仇と狙われつつ母子をサポートする運命を選び取り雇い主に金を突っ返し、仏像運搬の助っ人を買って出るのだった。
運搬に要する人手は、彼を弟分の仇と狙う口入屋の政五郎を無理矢理引き入れ、そのへんに屯していた食い詰め浪人のヤマ勘とタダ源も仲間に加わる。あと一人の浪人は半兵衛と同藩で彼に憧れていた若者で、勝負を挑んできたりするがなし崩しに一行に加わる。荷駄がゆく道中はメンバーゆえに陽気な珍道中となり、仇討ち母子も半兵衛の真情を知り和解に至るが、半兵衛一人ニコリともせず重苦しい態度で終始殺伐なのが渡哲也を起用した意図丸あたりで、このドラマを決定付けていて「風肅々と」のテーマソングにぴったり。
半兵衛らが運んでいる仏様は追っ手の目を逸らすためのニセモノなのだが、本物のありかが二転三転して最終決戦に持ち込まれる経緯が面白くて目を離せない。仇討ち母子の息子のほうはハナっから半兵衛に親しみを持ち、妻女も彼を慕うが胸を病んでおり再びの悲しい別れが半兵衛にもたらされる。
ロケ地
・半兵衛を待ち構え弟分の仇を討とうとする政五郎一家、不明(雪の山道、片側は崖。宮川藩お取り潰しを知らせる早馬がチャンバラの中を突っ切る)。
・藩士らが急ぎ登城する宮川藩城下、建仁寺両足院前路地。宮川城、彦根城天守、天秤櫓。
・城を退去した藩主が通りかかる道で半兵衛と邂逅、妙心寺玉鳳院前路地。
・家老が仏を持ち出す菩提寺・円照寺、粟生光明寺阿弥陀堂を本堂越しに。
・半兵衛を呼び出し立会いを挑む小杉丈之進、流れ橋下河原(小杉の妻子が渡し場から出て船に乗り、斬られる夫を見る)。
・仏を納めた櫃を大八に積み街道をゆく一行、嵐山自転車道。安井宿を出て間道をゆく荷駄、不明。これを襲う御庭番衆、鳥居本八幡宮本殿前(沢木浪人が舞殿に寝ていて騒動に首を突っ込み)。山中の小屋で一泊した一行が再び襲われ、小杉の遺児・丈太郎が崖から落ちるのを助けるも位牌を取ろうとして落ちてしまう半兵衛、天神川若布谷(小杉の妻・八重は半兵衛を刺そうとするが果たせず)。忍群との戦いで落命した政五郎の手下二人を葬る塚、広沢池東岸。
・荷駄一行とはぐれたまま道中の半兵衛ら、広沢池西岸(農地からの撮り)。山野辺宿を出た荷駄がゆく山道、下の峡谷を半兵衛らが乗った船がすれ違う谷あい、保津峡。荷駄がまた忍者の襲撃を受けるが駆けつけた半兵衛がわざと「囮」の大八を谷底に落とす谷間、湖南アルプス。
・受城使の荒井らが騎馬で駆けつける津久井宿手前の街道、琵琶湖西岸松原。津久井代官所、大覚寺明智門。御庭番の闇の黒兵衛らが今後を協議の寺(沢木に張り付いていた実はくの一だったお島が再度の命令を下される)、神光院中興堂。お島が沢木に正体を知っているなら斬ってと迫る津久井の浜、琵琶湖西岸松原。家老が別の仏を持って来ている津久井南郷庄屋六左衛門邸、民家門。九州へ行く筈の殿様が引っ掛かっている平家落人部落の平久保平右衛門邸、民家門と裏手の塀(農地の一部は酵素河川敷)。丈太郎を拉致した御庭番衆を追ってゆくお島、大覚寺五社明神〜明智門(津久井代官所)。狼煙をあげる御庭番のくの一、天神川若布谷の巌上。
・水野忠邦が入る大坂城、本物の極楽橋から天守を望むアングル。
・最後の戦闘で落命した浪人・ボヤ源とヤマ勘の塚、天神川大堰堤上の河原。
・江戸へ再興願いに赴く宮川藩の殿様一行と別れの半兵衛、琵琶湖西岸松原。
キャスト
かかし半兵衛/渡哲也 八重、初江/秋吉久美子
小杉丈之進/神田正輝 山田勘十郎(ヤマ勘)/勝野洋 多々良源内(ボヤ源)/若林豪 沢木剣四郎/羽賀研二 政五郎/綿引勝彦 金次/森川正太 お島/野村真美 お勝/岡安由美子 一色丹波守/金田賢一 作兵衛/花沢徳衛 平久保平右衛門/長門裕之 神保頼母/三橋達也 荒井武左衛門/近藤洋介 闇の黒兵衛/寺田農 水野忠邦/丹波哲郎
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