さそり伝奇 風雲将棋谷 1983.12.24CX


 佐渡送りから帰った元盗賊・流れ星の雨吉は足を洗い、船宿の居候で自適の日々。しかし流れ星を名乗る凶賊が現れ、平穏は破られる。…ここまではフツーの展開、騙りの賊がとてつもなく凶悪だったり、南町の妖怪・鳥居と結託していたりするが、よくある流れ。しかし騙りのさそり使いの正体がトンデモで、ついでに雨太郎の素性もトンデモだったことが判明する。
老目明しの仁吉親分が娘の捕物小町と妖しの草紙を語る段では笑い話だった「将棋谷」が、後半のメイン。谷は平家の落人の里、凶賊との死闘はここで行われる。

摩気神社本殿

 ロケ地

・婚礼の夜を襲われ殺された道明屋の娘の死体が晒される岩場、柊野堰堤下手・左岸河原の巌。
・湯屋の二階の賭け将棋で浪人を負かした帰り襲われるお絹、今宮神社合祀摂社前(雨太郎が稲荷社から登場)。悪者を撃退したあと話す二人は東門の内外。
・上総屋の婚礼、出た天狗姿の「流れ星」を追い詰めるお絹、中ノ島橋(捕り縄を掛けるも振り切られ川にドボン)
・長の娘・朱実らがアジトにする三輪の薬王寺、不明(萱葺があったり庭に無縫塔が数基)
・雨太郎が元手下の船頭・紋平と話す釣り船、広沢池東岸(浪人らの襲撃も同所で、船上で乱闘)
・長崎屋を狙ったさそり天狗を追う雨太郎の段、出動した捕り方が彼らを見失う鳥居耀蔵の下屋敷、相国寺大光明寺南路地。このあと鳥居妾宅として門、前庭、式台玄関も映る。
・さそりの回想、次代を譲らぬ父を絞め殺した将棋谷の里、摩気神社舞殿。
・お絹が雨太郎を捕縛し大手柄と誉めそやす瓦版売り、今宮神社境内。
・雨太郎は父を殺していないと覚ったお絹が護送中に雨太郎を逃がす道、大覚寺五社明神
・将棋谷の長に自身の素性を聞かされた雨太郎が里を目指してゆく道、大沢池堤保津峡摩気橋保津峡落合落下岩(見下ろした清滝河口部に鳥居の妾・お梶の死体が転がっている)。再び道をゆく一行、保津峡汀の巌上。
・十二代さまとして里人に迎えられる雨太郎、摩気神社舞殿。哄笑とともに現れた「さそり」風太郎とチャンバラは本殿前から裏手、谷地田のススキ原で決着。
・江戸へ戻った雨太郎がお絹と再会の縁日、今宮神社境内・楼門前にセット。

*雨太郎が長に素性を聞かされる段、小さい頃から入墨あるのが不審だったとか、柄からしてなんか将棋に関係あると思ってたとか、誰にも習ってないのに将棋に堪能だったとか、さんざん「将棋」って言うし、他でも将棋谷には名人がずらずらとか出てくるのに、里の描写やなんかではそういうの一切なし。それに、財宝わんさかとか言ってた割にはお宝めいたのは代々の守刀一振りのみで里はフツーの田舎…なんなんだ。かようにお話がアバウトだし雨太郎も「夢みたい」なんて言ってる設定なのに、将棋谷へ行く道はエラく詳細に語られる。曰く、甲州路からそれて信濃・駿河国境の聖岳の山ふところの大山川を遡上すること十里、聖平を更に西へ・山道(道隈の木に印打ってあって辿るヒミツの道)を登ると視界が開けて将棋谷の里。


キャスト

・流れ星の雨太郎/松方弘樹
 義賊・流れ星に拾われ育ち盗賊となり、仁吉に捕まり佐渡送り→更生。実は将棋谷の里に隠れ棲む一族のお屋形様・11代平将監の第二子。五歳の折り凶悪な兄に狙われるところをじいやに救われるも以降行方不明に。
・さそり/綿引勝彦
 平将監第一子の「風太郎」。生来凶暴の性質で斥けられ暴発、父を殺し里から追われ江戸に流れ着き鳥居耀蔵と組み下屋敷の地下にアジトを構える。
・お絹/神崎愛
 名岡っ引・仁吉の娘で捕物小町。危機を雨太郎に救われるが、行き違いで父の仇と思い込み捕縛。潔白と知ってのちは逃走に手を貸す。
・連雀町の仁吉/花沢徳衛
 お絹の父の老目明し、雨太郎を捕縛し佐渡送りに。雨太郎が騙りの賊・さそりを追う際介入し揉み合いの果てさそりに刺殺される。このときお絹は血刀を手にした雨太郎を仇と誤認。
・紋平/赤塚真人
 雨太郎を兄貴と慕う元盗賊。船宿「きらく」の船頭。


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