江戸を斬る VIII


 里見版第二弾の「江戸を斬る」、お話は今までのシリーズから翻案したものも多い。
本作には新しい紫頭巾が登場する。第6シリーズまでのおゆきと少し設定は違うが、なりはそのままで登場時鈴を投げるのも同じ。着流しの裾もあらわに駆けてきて、人質をとられたり短筒を向けられたりしている金さんの危機を救う。紫頭巾を見た金さんの反応も見もののひとつ。
そして「VIII」のもうひとつの特徴は、南町の妖怪・鳥居と配下の同心・色川が繰り広げるコント。名和宏の鳥居耀蔵は欲深の悪人設定ではあるが、お間抜けもカマすお笑い要員の性格が強い。小松政夫の色川伝兵衛は前作と変わらず冴えない能なし同心で、北町ファミリーに嫌味ばかり言う嫌われ者のゲジゲジ(お柳の表現)だが、本シリーズでは極悪なことはできず惑う人の良さも見られる。この二人の掛け合いが絶妙のおかしさで必見。


第1話 1994.1.31 サブタイトルなし *1、2話は続き物

 駿府からやって来た大御所の御落胤、しかし後見役からして思い切り怪しく、姫そのものもなんだかヘン。金四郎は水夫殺しの一件から関わってゆくが、烈公と公方さまからもダイレクトに調査依頼が来る。姉と一味の悪企みを聞いてしまった妹姫を保護した段で中ほど。

 ロケ地、茜姫が入る品川・東海寺、随心院薬医門。後見役の典膳を訪ねてきた千次がボコられ叩き出される、庫裏前〜長屋門。水戸屋敷へ妹姫・ゆきを預けて出てきた金さんが稲妻を見る塀際、建仁寺久昌院前路地。
*キャストはVIIから一部残しほぼ一新、引き継いで出ていても役は変更されていてそのままはお奉行のみ。登場人物の構成は第二シリーズ以降の諸作からつまんできた感じ。*船宿へ烈公を訪ねてやって来る将軍・家慶、お忍びとか言って豪華衣装着てる…山口崇の金きら上様よりはマシだけど。*典膳の手下に福ちゃん、二宮さよ子の石つぶて食らって振り向いたアップがラブリー。

第2話 「遠山桜が悪を斬る」 1994.2.7

 御落胤は妹のほうと知れ、対面の席で悪企みが暴かれる運び。疑義ありとして対面を暫時とどめからくりを解いてゆく金四郎、老中もいるし将軍が次の間に控えているのに、証拠を出せと開き直るワルに「そうかいそうかい仕方ねぇ」と桜吹雪を開陳しちゃうから凄いというかトンデモというか。ワルのほうも、将軍に銃を向け道連れ本望とかブチ上げる菅貫など過激で傑作。そして肝心の御落胤・雪姫は市井に暮らすことを望み、お柳の娘という位置におさまるのだった。

 ロケ地、由比へ赴き姉妹の家の焼け跡で里人に経緯を聞く北町同心たち、酵素河川敷。詳細を知る老人のもとへ馬を走らせるシーンは酵素ダートを見上げて。老人が漁をしているところをつかまえる水辺、保津峡落合河口部。老人の回想、放火殺人を目撃し追われ落ちた崖、落下岩。水戸家を脱け出したゆきが千石屋の用心棒に襲われる路地、建仁寺久昌院前、両足院(塔頭から法華に扮した船宿衆が出てきて金さんに援護射撃)。江戸城は書割っぽい。
*1、2話ゲスト、「姉」の茜姫に芦川よしみ、後見役の由井典膳に亀石征一郎、実は海賊の千石屋に菅貫太郎、配下に宮口二郎。

第3話 「悪が群がる地獄島」 1994.2.14

 埋立地無法街もの。住民も顔を知らぬ元締、別天地を夢見て船を待つ男女と、おきまりのパターン。先走って潜入する町方がバレて簀巻き、金さんは刺青を見せてナカマ扱いなどのエピソードを入れてシリーズにうまく組み込んである。スラム描写はほぼセットとスタジオ、橋はあんまり強調されてない。住民にはお馴染の面々が怖い顔を作って多数登場。

 ロケ地、伊豆屋殺害犯を追うが橋下の船で逃げられてしまう、中ノ島橋。このあと対岸の弁天河岸の灯を見るシーンはスタジオ。河岸へ赴く鶴亀の船に潜り込んでいるおゆき、広沢池(船上、東岸寄り)
*赤不動の富造に織本順吉、ふだんの顔は小間物売りの老爺。手下に黒部進や小船秋夫など強面がいっぱい、福ちゃんもいて鋭く針を投げたり(役名は「越中」)。*おゆき、船頭のカッコして出てくる…魚屋でなくても太腿丸出しはお約束か。

第4話 「恋人を殺された女」 1994.2.21

 大店の馬鹿息子が仕出かす殺し、親は幕閣を動かすほかヤクザを雇って揉み消しにかかる。恋人を亡くした娘と、現場を見たものの訳ありで名乗って出られぬ御新造と、哀しい女たちの心情を汲んだお奉行の名裁きが下る。
 オールセットでロケ無し。
*片桐同心熱血ばなし。お奉行の人情裁きは、夜鷹と知られたくない御新造のため、証人に重傷のチンピラを布団に乗せて持ってきたり。

第5話 「意外な目撃者」 1994.2.28

 殺しを目撃してしまう辻占売りの幼女、実は昼は蜆売り・夜は女装してバイトの孝行息子。しかも犯人はかつて彼の父をも殺めた男だった。

 ロケ地、材木商の元締・山城屋が殺される采女橋、中ノ島橋(河内屋に不利な書付入った財布は川ボチャ。翌朝蜆とりの一太が財布を見つけるのは橋下手の川中、金さんが橋上から声を掛ける)。財布の中をあらためる一太、今宮神社高倉前・灯籠脇。財布を隠すのは稲荷社(設定は初音稲荷、ラス立ちもここで)
*紫頭巾初登場回。衣装は丁助が用意。もちろん後でお奉行の雷が落ちるが、恐れ入ってるのはお柳だけ。蔦屋は紫頭巾が悪党をやっつけて遠山様に突き出したと瓦版に書いて煽りたてたり。紫ちゃんの立ち回りはごく短くあっさり、しかし太腿もあらわに走ってくるのはお約束。

第6話 「義賊を騙る悪い奴」 1994.3.7

 五年前に出た義賊の名での凶行は首領の隠し金を狙っての誘き出し、真相を察知した金四郎は江戸へ出てきた「義賊」と人質の妻子を保護、騙りのほうに全部の罪を着せて一件落着、親子を対面させて江戸払いの温情裁きを見せる。

 ロケ地、野ざらしの清五郎の子が父無し子と苛められている薬研堀不動、梅宮大社楼門(境内映り込み)。丁助の船の上で清五郎の妻子のことを話す金四郎ら、罧原堤下桂川(夕照はエフェクトか)。ラスト釣りのシーンも同所。
*かしらの名を騙る守宮の丹兵衛に苅谷俊介。ラス立ち紫頭巾登場、立ち回り中に「お転婆も程々にしろぃ」「ハイ」と会話。金四郎の釣り船に船頭として乗り込み鈴をチリーンなんていうシーンもありお柳一人やきもき。

第7話 「火炎地獄は悪の罠」 1994.3.14

 病を癒し当て物はピタリの世直し様が大評判、しかし裏の顔は賊の一味。江戸を売る際の陽動に、我が身を火に投じての荒行というおきまりのパターン。美女の世直し様は蜷川有紀、実は賊の首領の隠居に川合伸旺。
 オールセット、ロケ無し。
*大昔から使われてきたお話、第七シリーズでもやっていて世直し様が同じ蜷川有紀なのもご愛嬌。汚い老爺に化けて蔦屋にタレコミに来る川合氏も見もの。もちろん春川ますみは世直し様を盲信する。*紫頭巾と立ち回り中の会話は「フン余計なことを」「お叱言はあとでゆっくり」。鈴が超遠投っぽいのは気にしない。*占い師の爺さんに変装のお奉行、一瞬老公を見る思いがする。

第8話 「悪たれ婆さんの涙」 1994.3.21

 お奉行の母上様大活躍の一話、お話は昔泣く泣く乳飲み子を手放した母の哀話で、今は札付きの泣きバイに成り果てているおくま婆さんを主体に進む。淡島千景、「ビンちゃん」楠トシエのベテランが繰り広げる泣き笑い人情劇。

 ロケ地、息子の結婚を期してお参りの大奥様、今宮神社本殿。おくま婆さんの泣きバイは東門外。泣きバイをする理由を聞き出そうとする茶店、境内(背景に本殿、姿を見かけて寄ってくるお柳は東門内石橋たもと)。佐原屋殺しの下手人の腕にあった入墨のことを仲間の大工に聞くおくま、稲荷社前。その藤八のことを楢屋の材木置場で探っていて怪しまれ逃げ出す丁助、罧原堤下汀(待機の船頭はおゆき)。楢屋へ乗り込むと息巻くおくまを止める大奥様、今宮神社東門。一件落着後涙の母子再会、今宮神社東門内植え込み(泣きバイをやめて絵本売りの店を広げている)
*おくま婆さんが目撃した殺し、談合を拒否して消された被害者は息子を育ててくれた大恩ある佐原屋。息子の久太郎はひかる一平。ラス立ち福ちゃん入り、用心棒のセンセイ。*立ち回り中の紫頭巾と金さんの会話は「お転婆!」「お説教はあとで」。

第9話 「桜吹雪の大芝居」 1994.3.28

 殿様をジャンキーに仕立て腰元を異国に売り飛ばす側用人、町方は手を出せぬ大名家への仕掛けは鶴亀先生が寛永寺の使僧に化けて乗り込み。佞臣が大目付名代の遠山奉行に屈したあと、つけたりっぽく悪徳商人を裁くお白州もあり。

 ロケ地、松平出雲守邸を脱け出した腰元が土左ヱ門で上がる水辺、罧原堤下河原。好色と噂の出雲守に望まれてお屋敷へ上がる娘が両親と無事を祈願してお参りの宮、梅宮大社(本殿、神苑門)
*側用人に和崎俊哉、配下に曽根晴美。藩士に福ちゃん・裃姿。*紫頭巾は金さんに先行して現れ、忠義の士である家老の娘を助ける。「会話」は「今夜はお転婆に借りを作ったようだな」。*色川と鳥居出ず、彼らのコントが無いとちょっと寂しい。

第10話 「仇討志願の若旦那」 1994.4.4

 お柳が大恩ある高津屋から預かった勘当息子、クサりながらも棒手振りをはじめ更正しかけた矢先、父がライバルに暗殺されてしまう。無礼討ちを繕って高津屋を斬った大身旗本の冷や飯食いに、お柳も一緒になって白装束でかかってゆく仇討ちは芝居みたいな口上つき。

 ロケ地、どら息子を預かって気鬱のお柳がお参りの宮、上御霊神社本殿。ゴロツキ旗本が町娘に悪さをするところに介入の金さん、本殿脇・合祀摂社前。
*高津屋に佐竹明夫、ごろつき旗本に佐藤仁哉。

第11話 「命を賭けた御用旅」 1994.4.11

 両替商に押し入り大名の借用証をタテに逃げおおせようとする賊、お鈴親分がこやつらの人質になってしまい甲州街道を連れられてゆく。第七シリーズ「お京誘拐御用旅」とほぼ同じ筋立て、隠し金のある地の代官と目明しがグルなのも同じ。

 ロケ地、足を負傷した結城同心が駕籠で先発した片桐らを追う道、北嵯峨農地か。追いつく道の茶店、不明(道の向こうに甍)。いま一歩のところで逃げられてしまう渡し場、広沢池東岸。あとを追った結城らがお鈴の落としていった数珠玉を頼りに探し当てるももぬけのからのお堂、大覚寺五社明神本殿。金を馬に積み逃げる寸前の賊とやり合う小仏峠、酵素ダートと崖。
*賊・風魔の滝蔵に浜田晃、駒木野の目明しに江幡高志。福ちゃん二態、渡し場で帰せ戻せと騒ぐ地元民と、ラス立ちでの賊一味(お白州は後列)。*旅先までは来ないみたいで紫頭巾は無し、危機を救うのはお蘭。

第12話 「情に泣いた娘掏摸」 1994.4.18

 不幸な生い立ちの女掏摸を更正させる名裁きを見せる遠山奉行、彼女が豊後屋から掏った財布に抜け荷の割符が入っていて大騒動に。女掏摸は中野みゆきの二役で、お鈴親分が掏摸のお京に扮しての捕り物もあり。

 ロケ地、お京が将軍から掏った財布をあらためる魚河岸の神社、上御霊神社本殿脇、福寿稲荷。後段、豊後屋の手下に財布を出せと迫られるのも同所。事後、家慶とお奉行が逍遥の庭、阪口青龍苑
*お忍びの将軍、影供をまいたのはいいがお京に財布を掏られ無銭飲食のピンチ…蒲焼を三人前も食ってるへんが爆笑もの。金四郎に忍び歩きを咎められ「水戸のじいの直伝じゃ」と開き直り、黄門を例に引くのも笑える。お財布に律儀に入ってる葵紋もなかなか笑える。また、騒がせたお詫びに上様から同心たちに振舞われる派手な船盛りのご馳走にも注目。*紫頭巾に金さん「まぁたお節介な」、紫ちゃんは黙ってにっこり。

第13話 「愛しい娘が殺人者」 1994.4.25

 昔手放して不明となった娘を捜す親、その娘は呑んだくれの養親を庇い人殺しの罪に落ちようとしていた。殺人は彼らとなんらかかわりの無い欲がらみの事件、互いに相手を殺人者と思い込み庇いあう父子という、おきまりのパターン。わりなき罪と証のたったお白州で、養い親を選ぶ孝行娘という、さらにおきまりのパターンのお話、この件の瓦版を見てヨヨと泣くお奉行の用人がさらなるおきまりをキメて前後を締める。
 ロケ地なしセット撮り、質屋の養子の番頭とつるむヤクザの用心棒に福ちゃん。

第14話 「女を狙う吸血剣」 1994.5.2

 女ばかり狙う辻斬りを退治るお話。主犯は大身旗本の若様で、遠山奉行を追い落とし北町後任を目論む父・寄合席の思惑が発端だが、名刀を眺めて若い娘の血が吸いたかろうなどとひとりごちる若様は変態。囮になるため女装する片桐同心と伝助を見てギャーお化けの金太のお笑いや鳥居・色川コンビのギャグも挿まれるほか、ワルに嵌められかける貧乏浪人のお涙頂戴も用意されている。
 ロケ地なしセット撮り。

第15話 「穴から噂の大泥棒」 1994.5.9

 派手な手口でお上を挑発する如くの賊、次なるターゲットは札差の金蔵に集められた旗本の給金。一月もかけて穴を掘るという大技をかますが、ようやく辿りついた蔵には金さんが待ち構えているのだった。穴掘りの入口に使われてしまう質屋の親爺が懲りて改心という人情話をからめてある。

 ロケ地、質屋の因業親爺が珍妙な広告に誘われ連れ込まれ一月の間書画骨董を見て過ごす「富商」の寮、中山邸門。
*広告は蔦屋が平賀源内にならってはじめる新企画。因業質屋は多々良純、彼に愛想をつかし面当てに身投げをはかる番頭に頭師佳孝。

第16話 「幼馴染が悪の手先」 1994.5.16

 阿片密売を探っていた北の隠密回りが遊女と心中を装って殺され、遠山奉行は老中に叱責を受け窮地に。母の治療代のためワルに使嗾されていた南の同心は土壇場で翻心するが、金さんを銃弾から庇い駆けつけた幼馴染・片桐に看取られ散る。

 ロケ地、物売りや屑拾いに化けて浅草ドブ店の岡場所に潜入したお鈴らが虎五郎一家に捕まる、二尊院墓地下の路地。南町同心・森戸の墓へ参る片桐、二尊院墓地。森戸の妹と片桐を見て黙って去る金四郎、紅葉の馬場
*森戸同心は伊吹剛。老中が森戸の件で鳥居を問い詰めるが、お奉行が森戸は決死の探索中の殉職と申し立て結果鳥居に助け舟。悔しがって色川に当るなどのギャグはなし、ちらっと金四郎を気まずそうに見てるだけ。

第17話 「仮面の下で笑う奴」 1994.5.23

 因業な検校に苦しめられる芸者の姉とお店者の弟を救う話は、背後で検校を操っていた大ワルを暴き出す大捕物に。結果先代の検校殺しも明らかとなり、当時検死を担当した色川がクローズアップされる。

 ロケ地、今の検校は二代目と捜査結果を報告する結城のダンナ、大覚寺五社明神。色川の回想、先代検校が土左ヱ門で上がる大川端、大沢池(小船着きの傍)。芸者の弟の吊りを止める金さん、五社明神脇の林。
*色川のダンナ、当時の話を聞きだすのにおだてられて飲まされ、佐原屋の裏口と大川間を走らされるという重労働。これに金四郎のご褒美は蔦屋の瓦版で賞賛の記事、しかし鳥居にご褒美を貰いに行っちゃって結局↓その鳥居奉行はギャグ要員ながら、悪徳商人に袖の下たんまり貰ってたりするワルモノぶりも描かれている。小判をこそこそ袱紗に隠す手つきがなかなか可愛いぞ名和宏。*ラス立ち福ちゃん入り、佐原屋に雇われた先生方でお白州にも登場。芸者は高島礼子。

第18話 「育ての父が親の敵」 1994.5.30

 困窮者に施しをするなど仏と呼ばれる大店の主には暗い過去。執拗につけ回す老目明し、立ち現れる昔の仲間、遂に賊だったことが明らかとなるが、押し込み先で火の中から助けた赤子を守り育ててきたことと善行が嘉され温情判決。

 ロケ地、ならず者に襲われる備前屋の娘・お久を助ける結城同心、上賀茂神社ならの小川畔。お久が父の昔の仲間に無心の伝言をされるのも同所。老目明し・宇之吉の墓に参るお鈴ら、北神饌所裏手。四国巡礼に向かう備前屋父子を見送る金四郎、神事橋
*備前屋に長谷川明男。

第19話 「浮世絵に死の匂い」 1994.6.6

 人気の浮世絵師に描かれた娘たちが失踪、背後に阿片の気配。手掛かりなく悩む金四郎を見かねたおゆきが魔窟に潜入しちゃって大騒動。
 ロケ地、柳橋芸者のお妻が死体となって見つかる川端、嵐峡船着き汀。おゆきの消息を求めて船を出す金さん、嵐峡(船上)。回船問屋を聞き込み中の片桐らは亀山公園階段下付近でうろうろ、船から見かける設定。
*正体不明の浮世絵師・唐麿に西沢利明、ワルの手先なんだけど阿片中毒で言われるまま絵を描いてるだけ、短筒出されて危機一髪のラス立ちにのこのこ出てきておゆきにじゃれかかり撃たれるというお馬鹿な最後。回船問屋と通じ鑑札を都合する勘定奉行所組頭には小沢象、金さんに元結切られて大わらわの、これもお間抜け風味。そしてなんつっても見ものは襦袢一枚のカッコで足をがばっと広げて繰り出す、おゆきのねーちゃんキック。

第20話 「父の敵は十手持ち」 1994.6.13

 金貸し殺しで失踪中の男は果たして冤罪、健気に彼を信じて待ち続ける母子を皆して助ける北町ファミリー、久々に紫頭巾も出る。父を陥れたワルはヤクザとつるんだ岡っ引、由松がはじめ北町の面々に悪態をつくシーンも。

 ロケ地、蜆売りの由松少年が南の岡っ引に誰何される神社、梅宮大社(お参りに来たお柳・おゆきが居合わせる。本殿と境内、蔵や神苑の門が映り込む)。追われる駒吉に扮して金さんがワルを呼び出す神社、鳥居本八幡宮(導入とラス立ちは石段や舞殿まわり、呼び出しの神輿小屋はセット)。金さんに早く釣れと急かす由松だが割れ鍋が釣れてしまう水辺、大覚寺大沢池畔・船着(小)の傍。
*冤罪の父に河原崎建三、女房は本阿弥周子。*結城同心、駒吉に斬られるのは士道不覚悟では。

第21話 「遠山狙う能面の女」 1994.6.20

 夫の切腹は遠山奉行のせいと思い込まされた女、家名再興のためお奉行を斬るのに殺し屋を雇う…が老僕が見込んで連れてきたのは、金四郎が変装した浪人だった。
今回お奉行はずっと侍姿、浪人のなりをする時はムシリをつける(定九郎のつもりらしい)。桜吹雪は銃で狙われ体を崩した際胸元を裂かれぱらりちらり、「目に入ったものは仕方ねぇ」とご開陳。
 ロケ地なし、夫の仇と奉行を狙った女を見送る際の茶店はそれっぽいものの判らず(村かも)
*切腹した侍は抜け荷の商人を難詰しているところへ藩の江戸留守居役がやって来て刺殺、ハラキリに見せかけ妻女に遠山が云々の嘘を吹き込む。この留守居役が亀石征一郎、妻女に気があり、「奉行を斬った」浪人ともども始末という商人にエエーって感じで惜しそうにしてるのが笑える…いつもの亀石氏の役どころだと率先して斬りそう。商人の手下に福ちゃん、台詞けっこうあり・お白州ではワルの真後ろ。

第22話 「噂の名医は牢の中」 1994.6.27

 阿片を高値で処方・薬代のかわりに女をつまみ食いのトンデモ医者が引き起こす騒動、患者をとられたと町の名医を鳥居に運動し捕縛させる。こやつは裏で抜け荷商人と結託しており、悪事には人身売買まで含まれていた。
*お話はよくあるパターンだが、自分でも徳の高い医者と認めている蘭方医を捕えさせられしぼむ色川のダンナとか、牢に放り込まれた鶴亀先生の代わりに奮起して瓦版を書く丈吉などのサイドストーリーが面白い。危機には紫頭巾もちゃんと出て賑やか、金さんとのやりとりは「コラ!」←無言でにっこり。*ロケ地なし、セット撮り。

第23話 「凶賊が探す女の謎」 1994.7.4

 微罪で寄場送りになっていた男たちが脱走、彼らの正体は賊で狙いは亡くなった首領の隠し金。堅気になっているかしらの娘にお宝の在り処を迫るが、金さんの介入で一巻の終わり。
脱走→立て籠もりの、本シリーズでも何度かやったおきまりのパターン。居座られるのはやなぎで、おっかさんをタテにとられおゆきも手を出せず監禁されてしまう。のこのこやって来てボコられ服をとられる役は結城同心。

 ロケ地、津波の徳蔵が可愛がっていた吉次じいさんが寺男をしている明月寺、不明(門、池端、徳蔵の無縁塚がある竹林の墓地。門入ってすぐ右手に二階建て?の建物)
*徳蔵の娘は引き込みに入った先の旦那にプロポーズされ、父に懇願し足を洗う。主の死後店を切り盛り、主の弟の番頭に跡目を譲る心算でいるが、この男ときたら人の気も知らず言い寄る→拒否されプッツン→賊と結託・店の跡目と隠し金の分配目論み、という挙に出るサイテーさ。でも裁定はおしまの前非を問わず無罪放免とのバランスをとるためか、町内預けの大甘…なんかムカつく。*蔦屋メンバー、南町一同に加え丁助不在の珍しい回。賊の首領に小林昭二、娘に三浦リカ、寄場脱走の一味に黒部進と大木正司。

第24話 「贋金の夢を見た」 1994.7.11

 博打狂いの飾り職人が巻き込まれる贋金事件、女房を人質にとられ刻印彫りを強要される。悪人ばらが桜吹雪の粛清を受けたあと、お白州で禁ギャンブルを誓わされ夫婦泣き笑いでメデタシ。前後を富籤に夢中の北町ファミリーの笑い話でくくる。

 ロケ地、富籤興行が行われる善福寺、妙顕寺(富突きは本堂、三菩薩堂や石灯籠に貝塚伊吹が映り込む)。飾り職人の土左ヱ門が上がる海賊橋、中ノ島橋(検分は橋下手の河原、群衆が橋上に)。喜左衛門の寒いギャグにくしゃみの金さん、大覚寺護摩堂前。
*タイトルの夢は伝助の富籤大当たりで豪遊、現実は一番違いでハズレ。*博打好きの飾り職は工藤堅大良で女房は小鹿みき。*ラス立ち福ちゃん入り、はじめ法被着たヤクザの手下で金さんに小突かれ、画面から消えたと思った二秒後に用心棒のセンセイで登場。

第25話 「復讐剣が闇を裂く」 1994.7.18

 罠に陥ち処刑された長崎の富商の娘の復讐譚、十年余を経て彼女は清国使節の姪となって現れる。彼女を助ける元奉公人の老爺などの情話も入り、最後は使節に化けた金さんが大立ち回り。

 ロケ地、街道をゆく清国使節一行、大覚寺心経宝塔前。
*仲間が二人殺されビビりまくりの浦戸屋に田口計、後ろに先生方がいるときは偉そうで笑える…お白州でお奉行に「でんぐり目」なんて言われて死罪。グルの元長崎奉行は南原宏治。*大村屋が抜け荷でハメられ踏み込まれる回想シーン、お役人に峰蘭太郎で捕り方に福ちゃん。

第26話 「将軍暗殺の陰謀」 1994.7.25

 一橋家の用人と出入りの札差が組み将軍代替わりの悪企み、刺客に雇われた浪人は息子の遊学費用を欲していた。浪人は大山勝巳で、人のよい典型的被害者。
 ロケ地、浪人の息子に声をかける金さん、中ノ島橋。蘭学塾をやめた経緯を聞く水辺、大覚寺大沢池北東畔。目安箱が置かれる評定所門前、大門。訴状を入れる者を見張る同心らは参道石橋下手の御殿川畔植え込みに隠れている。
*浪人の息子は倉田てつを、札差は小沢象で用心棒に福ちゃん(要所で登場、お白州にも引き出され)。*鳥居・色川ギャグが久々登場、珍しく低姿勢でものを尋ねる鳥居さまに調子こいて偉そうにした色川のダンナ、桶でしたたか顔を殴られ鼻血。桶をつかんだ名和宏の手が怒りにわなわな震えてるのが可愛い。


*便宜上「VIII」としましたが、本作にはナンバーは振られておらずタイトルは単に「江戸を斬る」です。

キャスト

・北町 遠山金四郎(奉行)/里見浩太朗 原田喜左衛門(用人)/鈴木ヒロミツ 片桐新八郎(同心)/江藤潤 結城正吾(同心)/太川陽介 お鈴(岡引)/中野みゆき お喋り伝助(岡引)/櫻木健一 出目の金太(岡引)/谷幹一
・船宿・やなぎ お柳/春川ますみ 半の目の丁助/左とん平 おゆき/城之内早苗
・版元・蔦屋 お蘭/二宮さよ子 丈吉/佐野圭亮 蓬莱亭鶴亀/渡辺徹
・南町 鳥居耀蔵(奉行)/名和宏 色川伝兵衛(同心)/小松政夫 もぐらの半助(岡引)/うえだ峻
・水戸斉昭/森繁久彌 ・徳川家慶/竹脇無我


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