里見版第二弾の「江戸を斬る」、お話は今までのシリーズから翻案したものも多い。 第1話 1994.1.31 サブタイトルなし *1、2話は続き物 駿府からやって来た大御所の御落胤、しかし後見役からして思い切り怪しく、姫そのものもなんだかヘン。金四郎は水夫殺しの一件から関わってゆくが、烈公と公方さまからもダイレクトに調査依頼が来る。姉と一味の悪企みを聞いてしまった妹姫を保護した段で中ほど。 ロケ地、茜姫が入る品川・東海寺、随心院薬医門。後見役の典膳を訪ねてきた千次がボコられ叩き出される、庫裏前〜長屋門。水戸屋敷へ妹姫・ゆきを預けて出てきた金さんが稲妻を見る塀際、建仁寺久昌院前路地。 第2話 「遠山桜が悪を斬る」 1994.2.7 御落胤は妹のほうと知れ、対面の席で悪企みが暴かれる運び。疑義ありとして対面を暫時とどめからくりを解いてゆく金四郎、老中もいるし将軍が次の間に控えているのに、証拠を出せと開き直るワルに「そうかいそうかい仕方ねぇ」と桜吹雪を開陳しちゃうから凄いというかトンデモというか。ワルのほうも、将軍に銃を向け道連れ本望とかブチ上げる菅貫など過激で傑作。そして肝心の御落胤・雪姫は市井に暮らすことを望み、お柳の娘という位置におさまるのだった。 ロケ地、由比へ赴き姉妹の家の焼け跡で里人に経緯を聞く北町同心たち、酵素河川敷。詳細を知る老人のもとへ馬を走らせるシーンは酵素ダートを見上げて。老人が漁をしているところをつかまえる水辺、保津峡落合河口部。老人の回想、放火殺人を目撃し追われ落ちた崖、落下岩。水戸家を脱け出したゆきが千石屋の用心棒に襲われる路地、建仁寺久昌院前、両足院前(塔頭から法華に扮した船宿衆が出てきて金さんに援護射撃)。江戸城は書割っぽい。 第3話 「悪が群がる地獄島」 1994.2.14 埋立地無法街もの。住民も顔を知らぬ元締、別天地を夢見て船を待つ男女と、おきまりのパターン。先走って潜入する町方がバレて簀巻き、金さんは刺青を見せてナカマ扱いなどのエピソードを入れてシリーズにうまく組み込んである。スラム描写はほぼセットとスタジオ、橋はあんまり強調されてない。住民にはお馴染の面々が怖い顔を作って多数登場。 ロケ地、伊豆屋殺害犯を追うが橋下の船で逃げられてしまう、中ノ島橋。このあと対岸の弁天河岸の灯を見るシーンはスタジオ。河岸へ赴く鶴亀の船に潜り込んでいるおゆき、広沢池(船上、東岸寄り)。 第4話 「恋人を殺された女」 1994.2.21 大店の馬鹿息子が仕出かす殺し、親は幕閣を動かすほかヤクザを雇って揉み消しにかかる。恋人を亡くした娘と、現場を見たものの訳ありで名乗って出られぬ御新造と、哀しい女たちの心情を汲んだお奉行の名裁きが下る。 第5話 「意外な目撃者」 1994.2.28 殺しを目撃してしまう辻占売りの幼女、実は昼は蜆売り・夜は女装してバイトの孝行息子。しかも犯人はかつて彼の父をも殺めた男だった。 ロケ地、材木商の元締・山城屋が殺される采女橋、中ノ島橋(河内屋に不利な書付入った財布は川ボチャ。翌朝蜆とりの一太が財布を見つけるのは橋下手の川中、金さんが橋上から声を掛ける)。財布の中をあらためる一太、今宮神社高倉前・灯籠脇。財布を隠すのは稲荷社(設定は初音稲荷、ラス立ちもここで)。 第6話 「義賊を騙る悪い奴」 1994.3.7 五年前に出た義賊の名での凶行は首領の隠し金を狙っての誘き出し、真相を察知した金四郎は江戸へ出てきた「義賊」と人質の妻子を保護、騙りのほうに全部の罪を着せて一件落着、親子を対面させて江戸払いの温情裁きを見せる。 ロケ地、野ざらしの清五郎の子が父無し子と苛められている薬研堀不動、梅宮大社楼門(境内映り込み)。丁助の船の上で清五郎の妻子のことを話す金四郎ら、罧原堤下桂川(夕照はエフェクトか)。ラスト釣りのシーンも同所。 第7話 「火炎地獄は悪の罠」 1994.3.14 病を癒し当て物はピタリの世直し様が大評判、しかし裏の顔は賊の一味。江戸を売る際の陽動に、我が身を火に投じての荒行というおきまりのパターン。美女の世直し様は蜷川有紀、実は賊の首領の隠居に川合伸旺。 第8話 「悪たれ婆さんの涙」 1994.3.21 お奉行の母上様大活躍の一話、お話は昔泣く泣く乳飲み子を手放した母の哀話で、今は札付きの泣きバイに成り果てているおくま婆さんを主体に進む。淡島千景、「ビンちゃん」楠トシエのベテランが繰り広げる泣き笑い人情劇。 ロケ地、息子の結婚を期してお参りの大奥様、今宮神社本殿。おくま婆さんの泣きバイは東門外。泣きバイをする理由を聞き出そうとする茶店、境内(背景に本殿、姿を見かけて寄ってくるお柳は東門内石橋たもと)。佐原屋殺しの下手人の腕にあった入墨のことを仲間の大工に聞くおくま、稲荷社前。その藤八のことを楢屋の材木置場で探っていて怪しまれ逃げ出す丁助、罧原堤下汀(待機の船頭はおゆき)。楢屋へ乗り込むと息巻くおくまを止める大奥様、今宮神社東門。一件落着後涙の母子再会、今宮神社東門内植え込み傍(泣きバイをやめて絵本売りの店を広げている)。 第9話 「桜吹雪の大芝居」 1994.3.28 殿様をジャンキーに仕立て腰元を異国に売り飛ばす側用人、町方は手を出せぬ大名家への仕掛けは鶴亀先生が寛永寺の使僧に化けて乗り込み。佞臣が大目付名代の遠山奉行に屈したあと、つけたりっぽく悪徳商人を裁くお白州もあり。 ロケ地、松平出雲守邸を脱け出した腰元が土左ヱ門で上がる水辺、罧原堤下河原。好色と噂の出雲守に望まれてお屋敷へ上がる娘が両親と無事を祈願してお参りの宮、梅宮大社(本殿、神苑門)。 第10話 「仇討志願の若旦那」 1994.4.4 お柳が大恩ある高津屋から預かった勘当息子、クサりながらも棒手振りをはじめ更正しかけた矢先、父がライバルに暗殺されてしまう。無礼討ちを繕って高津屋を斬った大身旗本の冷や飯食いに、お柳も一緒になって白装束でかかってゆく仇討ちは芝居みたいな口上つき。 ロケ地、どら息子を預かって気鬱のお柳がお参りの宮、上御霊神社本殿。ゴロツキ旗本が町娘に悪さをするところに介入の金さん、本殿脇・合祀摂社前。 第11話 「命を賭けた御用旅」 1994.4.11 両替商に押し入り大名の借用証をタテに逃げおおせようとする賊、お鈴親分がこやつらの人質になってしまい甲州街道を連れられてゆく。第七シリーズ「お京誘拐御用旅」とほぼ同じ筋立て、隠し金のある地の代官と目明しがグルなのも同じ。 ロケ地、足を負傷した結城同心が駕籠で先発した片桐らを追う道、北嵯峨農地か。追いつく道の茶店、不明(道の向こうに甍)。いま一歩のところで逃げられてしまう渡し場、広沢池東岸。あとを追った結城らがお鈴の落としていった数珠玉を頼りに探し当てるももぬけのからのお堂、大覚寺五社明神本殿。金を馬に積み逃げる寸前の賊とやり合う小仏峠、酵素ダートと崖。 第12話 「情に泣いた娘掏摸」 1994.4.18 不幸な生い立ちの女掏摸を更正させる名裁きを見せる遠山奉行、彼女が豊後屋から掏った財布に抜け荷の割符が入っていて大騒動に。女掏摸は中野みゆきの二役で、お鈴親分が掏摸のお京に扮しての捕り物もあり。 ロケ地、お京が将軍から掏った財布をあらためる魚河岸の神社、上御霊神社本殿脇、福寿稲荷。後段、豊後屋の手下に財布を出せと迫られるのも同所。事後、家慶とお奉行が逍遥の庭、阪口青龍苑。 第13話 「愛しい娘が殺人者」 1994.4.25 昔手放して不明となった娘を捜す親、その娘は呑んだくれの養親を庇い人殺しの罪に落ちようとしていた。殺人は彼らとなんらかかわりの無い欲がらみの事件、互いに相手を殺人者と思い込み庇いあう父子という、おきまりのパターン。わりなき罪と証のたったお白州で、養い親を選ぶ孝行娘という、さらにおきまりのパターンのお話、この件の瓦版を見てヨヨと泣くお奉行の用人がさらなるおきまりをキメて前後を締める。 第14話 「女を狙う吸血剣」 1994.5.2 女ばかり狙う辻斬りを退治るお話。主犯は大身旗本の若様で、遠山奉行を追い落とし北町後任を目論む父・寄合席の思惑が発端だが、名刀を眺めて若い娘の血が吸いたかろうなどとひとりごちる若様は変態。囮になるため女装する片桐同心と伝助を見てギャーお化けの金太のお笑いや鳥居・色川コンビのギャグも挿まれるほか、ワルに嵌められかける貧乏浪人のお涙頂戴も用意されている。 第15話 「穴から噂の大泥棒」 1994.5.9 派手な手口でお上を挑発する如くの賊、次なるターゲットは札差の金蔵に集められた旗本の給金。一月もかけて穴を掘るという大技をかますが、ようやく辿りついた蔵には金さんが待ち構えているのだった。穴掘りの入口に使われてしまう質屋の親爺が懲りて改心という人情話をからめてある。 ロケ地、質屋の因業親爺が珍妙な広告に誘われ連れ込まれ一月の間書画骨董を見て過ごす「富商」の寮、中山邸門。 第16話 「幼馴染が悪の手先」 1994.5.16 阿片密売を探っていた北の隠密回りが遊女と心中を装って殺され、遠山奉行は老中に叱責を受け窮地に。母の治療代のためワルに使嗾されていた南の同心は土壇場で翻心するが、金さんを銃弾から庇い駆けつけた幼馴染・片桐に看取られ散る。 ロケ地、物売りや屑拾いに化けて浅草ドブ店の岡場所に潜入したお鈴らが虎五郎一家に捕まる、二尊院墓地下の路地。南町同心・森戸の墓へ参る片桐、二尊院墓地。森戸の妹と片桐を見て黙って去る金四郎、紅葉の馬場。 第17話 「仮面の下で笑う奴」 1994.5.23 因業な検校に苦しめられる芸者の姉とお店者の弟を救う話は、背後で検校を操っていた大ワルを暴き出す大捕物に。結果先代の検校殺しも明らかとなり、当時検死を担当した色川がクローズアップされる。 ロケ地、今の検校は二代目と捜査結果を報告する結城のダンナ、大覚寺五社明神。色川の回想、先代検校が土左ヱ門で上がる大川端、大沢池畔(小船着きの傍)。芸者の弟の吊りを止める金さん、五社明神脇の林。 第18話 「育ての父が親の敵」 1994.5.30 困窮者に施しをするなど仏と呼ばれる大店の主には暗い過去。執拗につけ回す老目明し、立ち現れる昔の仲間、遂に賊だったことが明らかとなるが、押し込み先で火の中から助けた赤子を守り育ててきたことと善行が嘉され温情判決。 ロケ地、ならず者に襲われる備前屋の娘・お久を助ける結城同心、上賀茂神社ならの小川畔。お久が父の昔の仲間に無心の伝言をされるのも同所。老目明し・宇之吉の墓に参るお鈴ら、北神饌所裏手。四国巡礼に向かう備前屋父子を見送る金四郎、神事橋。 第19話 「浮世絵に死の匂い」 1994.6.6 人気の浮世絵師に描かれた娘たちが失踪、背後に阿片の気配。手掛かりなく悩む金四郎を見かねたおゆきが魔窟に潜入しちゃって大騒動。 第20話 「父の敵は十手持ち」 1994.6.13 金貸し殺しで失踪中の男は果たして冤罪、健気に彼を信じて待ち続ける母子を皆して助ける北町ファミリー、久々に紫頭巾も出る。父を陥れたワルはヤクザとつるんだ岡っ引、由松がはじめ北町の面々に悪態をつくシーンも。 ロケ地、蜆売りの由松少年が南の岡っ引に誰何される神社、梅宮大社(お参りに来たお柳・おゆきが居合わせる。本殿と境内、蔵や神苑の門が映り込む)。追われる駒吉に扮して金さんがワルを呼び出す神社、鳥居本八幡宮(導入とラス立ちは石段や舞殿まわり、呼び出しの神輿小屋はセット)。金さんに早く釣れと急かす由松だが割れ鍋が釣れてしまう水辺、大覚寺大沢池畔・船着(小)の傍。 第21話 「遠山狙う能面の女」 1994.6.20 夫の切腹は遠山奉行のせいと思い込まされた女、家名再興のためお奉行を斬るのに殺し屋を雇う…が老僕が見込んで連れてきたのは、金四郎が変装した浪人だった。 第22話 「噂の名医は牢の中」 1994.6.27 阿片を高値で処方・薬代のかわりに女をつまみ食いのトンデモ医者が引き起こす騒動、患者をとられたと町の名医を鳥居に運動し捕縛させる。こやつは裏で抜け荷商人と結託しており、悪事には人身売買まで含まれていた。 第23話 「凶賊が探す女の謎」 1994.7.4 微罪で寄場送りになっていた男たちが脱走、彼らの正体は賊で狙いは亡くなった首領の隠し金。堅気になっているかしらの娘にお宝の在り処を迫るが、金さんの介入で一巻の終わり。 ロケ地、津波の徳蔵が可愛がっていた吉次じいさんが寺男をしている明月寺、不明(門、池端、徳蔵の無縁塚がある竹林の墓地。門入ってすぐ右手に二階建て?の建物)。 第24話 「贋金の夢を見た」 1994.7.11 博打狂いの飾り職人が巻き込まれる贋金事件、女房を人質にとられ刻印彫りを強要される。悪人ばらが桜吹雪の粛清を受けたあと、お白州で禁ギャンブルを誓わされ夫婦泣き笑いでメデタシ。前後を富籤に夢中の北町ファミリーの笑い話でくくる。 ロケ地、富籤興行が行われる善福寺、妙顕寺(富突きは本堂、三菩薩堂や石灯籠に貝塚伊吹が映り込む)。飾り職人の土左ヱ門が上がる海賊橋、中ノ島橋(検分は橋下手の河原、群衆が橋上に)。喜左衛門の寒いギャグにくしゃみの金さん、大覚寺護摩堂前。 第25話 「復讐剣が闇を裂く」 1994.7.18 罠に陥ち処刑された長崎の富商の娘の復讐譚、十年余を経て彼女は清国使節の姪となって現れる。彼女を助ける元奉公人の老爺などの情話も入り、最後は使節に化けた金さんが大立ち回り。 ロケ地、街道をゆく清国使節一行、大覚寺心経宝塔前。 第26話 「将軍暗殺の陰謀」 1994.7.25 一橋家の用人と出入りの札差が組み将軍代替わりの悪企み、刺客に雇われた浪人は息子の遊学費用を欲していた。浪人は大山勝巳で、人のよい典型的被害者。 *便宜上「VIII」としましたが、本作にはナンバーは振られておらずタイトルは単に「江戸を斬る」です。 キャスト ・北町 遠山金四郎(奉行)/里見浩太朗 原田喜左衛門(用人)/鈴木ヒロミツ 片桐新八郎(同心)/江藤潤 結城正吾(同心)/太川陽介 お鈴(岡引)/中野みゆき お喋り伝助(岡引)/櫻木健一 出目の金太(岡引)/谷幹一 |