長七郎天下ご免!

1979/10/25-1982/3/25テレビ朝日/東映 (全113話)


第21話 「初売り!命を的のかわら版」  1980.3.27

 彦左邸で開催された少年剣術大会で審判をつとめる長さん、以後優勝者の子に稽古をつけてやることに。子の家は油問屋、折からの高騰にも安値で分ける良心的な店。ここに、値を吊り上げて大儲け企む悪徳商人が魔手を伸ばす。背後には油漆奉行と南町与力がいた。
また、子の父は元武士、文をもって身を立てようと大望を抱く男。長さんは彼を焚き付け、油問屋と幕閣の癒着を批判した瓦版を書かせる。練りに練った美文は評判を呼び、焙りだされたワルどもは長七郎ぎみに乗り込まれてしまう。

ロケ地

  • 小太郎に稽古つけてやる長さん、大沢池北西畔。これを襲う浪人者が集結するのは五社明神

*少年剣士・小太郎の父は犬塚弘、理想をブチ上げるさまを熱演。油問屋の家つき娘な妻女は三好美智子。悪徳商人は福山象三、番頭は宮城幸生、雇われ浪人に福本清三←長さんに籠手打たれて悶絶、ラス立ちにも登場・もしゃもしゃのもみ上げ姿。油漆奉行は船戸順、つるむ与力は五十嵐義弘。
*ラス立ち時、長さんのふしぎなストロボ飛びあり。


第22話 「錆びた十手が輝いた!」  1980.4.3

 仏を装い無宿者の世話を見る米問屋、しかし内実は新開地で強制労働、そのうえ公儀から彼らに下賜される蔵米を私するという大悪党。その背後には勘定奉行に蔵奉行。食うものも満足に与えられずにいる人足たちと、心折れて失意の裡にある正義漢の同心のため、長さんは怒りをこめて剣を振るう。

ロケ地

  • 目黒不動谷仏村の普請場、不明(砕石場か白水峡の如き崩壊地形か、水食崖なども見える)。消された人足が放り込まれる「川」は広沢池か。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守を西の丸越しに。長七郎ぎみが登城して勘定奉行を質す場面で。
  • 三島屋、不明(料亭ふう門)
  • 不動堂谷で悪を懲らしたあと、江戸へ馬を走らせる長さん、北嵯峨農地竹林際の道。
  • 勘定奉行邸、随心院薬医門

*筆頭同心から転げ落ちた同心は工藤堅太郎、悪党が煙たがる勘定吟味役は唐沢民賢。勘定奉行は睦五郎、蔵奉行は田口計、三島屋は汐路章、強面の用心棒は岩尾正隆でナカマに福ちゃんもいる。悪党とつるむ医師は山口幸生、陽気な町医者に日高久。


第23話 「花ひらく五重の塔」  1980.4.10

 寛永寺五重塔の請負をめぐる騒動、悪党に付け込まれて悩む弟を思う勝気な姉はおさよの友達。事件解決後、弟離れを示唆しめでたく締める。

ロケ地

  • 土井利勝邸、相国寺林光院。門まわりのほか、出てきた悪党の大工をなつが尾行する際には西塀際も。
  • 心を決めて家を出たおせいが参る神社、神泉苑。法成橋を渡り、善女竜王社に参拝。このあと土井邸へ。
  • 事後、長さんに結婚の報告をするおせい、大覚寺大沢池畔に茶店しつらえ。

*おせいは沢田雅美、恋人の大工は石山律雄、絵図面と朱印状を掏られる弟は吉宮慎一、病床にある父は寺下貞信。土井家の江戸家老は戸浦六宏、つるむ棟梁は長谷川弘でこっすい手下は山本一郎。長さんが掏摸の手掛かりを求めに潜入する怪しの酒肆の主は小田部通麿で客に小船秋夫や蓑和田良太、掏摸は小峰隆司で見事に消され。
*土井利勝の藩を「ふるかわはん」と発音。あと、監禁されていたおせいがラス立ち終了後「急に静かになった??」→長さん急遽着替えてきて錠を開け「こんなの落ちてた」と朱印状渡すのは、笑うところか。


第24話 「酒がかたきの極楽とんぼ」  1980.4.17

 呑んべの苗木屋の親父が、荷の中に掏った財布を隠され巻き込まれる大騒動、中の書付は磐城平藩のお世継問題に関係していた。これにオヤジの一人娘の結婚話が絡み、泣き笑い人情劇に。オヤジのいい加減さと大芝居に振り回される悪党どもが大笑い。

ロケ地

  • 釣りの長さんが伊助に探索を命じる水辺、大沢池水門そばの汀。
  • 磐城平藩上屋敷、大覚寺大門

*酒癖のわるい親爺は坂上二郎、調子のよい江戸っ子を好演。「長七郎はナイショ」の段では、口にチャックの仕草。娘は三浦リカ。念書入りの財布を掏られた磐城屋は神田隆、グルの江戸家老は北原義郎。掏摸を斬ったり親爺をさらったりする浪人のヘッドは白川浩二郎。
*伊豆守、藩は改易にしたくないと長七郎ぎみに闇裁きをニタニタ顔で教唆。


第25話 「春を呼ぶ鉄火飛脚」  1980.4.24

 出羽矢島藩の江戸家老が両替商と組んで銅を横流し、贋金作りで私腹肥やし。これを糺さんとした藩目付は、御用達の飛脚屋を見込んで国表に糾弾の書付を届けさせようとするが、志半ばに斃れる。主を害され、手代も傷つけられた飛脚屋では、浜乃屋の衆まで出張り刺客と取っ組み合い、家老と富商は長七郎ぎみに乗り込まれ一巻の終わり。

ロケ地

  • つばめやの主が斬られる奥州街道千住付近、大覚寺護摩堂
  • 吉兵衛の墓、不明(高台、大きな五輪塔?などあり)
  • 手代が襲撃される道、大覚寺五社明神
  • 事後、京へ向けて走る飛脚のイメージに大覚寺放生池堤

*飛脚屋の鉄火娘は八代亜紀、父・吉兵衛は依田英助、手代は藤巻潤。つばめやに密使を依頼する藩目付は溝田繁、悪い江戸家老は中山昭二で腹心は出水憲司、悪徳両替商は永野辰也。ラス立ち福ちゃん入り、岡崎友紀に斬られる。
*前回に続き犯罪教唆の丹哲知恵伊豆、内政干渉になるし証拠揃えて藩主と協議しなきゃだしメンドーと縷々述べ遠回りと嘆じ、天下ご免の長七郎がやってしまうのが近道と唆す。


第26話 「くらやみ河岸に鶴が舞う!」  1980.5.1

 埋め立て工事が進む隅田川河口には、いつしかお上も手を出せぬスラムが形成され、盗賊は巣食うわ人足は無理やり引っ張り込まれるわでお手上げ。謎の黒幕を探りに入るなつだが、そこで幼い頃慕った青年と再会する。彼は、くらやみ河岸を仕切る口入屋の用心棒に成り果てていた。

ロケ地

  • くらやみ河岸の埋め立て現場(深川・州崎)広沢池西岸葦原、水少なし。ここはあとで何度も出てきて、ラス立ちにも使われる。
  • くらやみ河岸へ通じる唯一の橋・極楽橋、石清水八幡宮・安居橋。大谷川左岸下手から対岸を見る図、橋たもとの蔵映り込み。
  • 極楽橋を見張っていたなつが森蔭大介と会い話す茶店、松本酒造前東高瀬川堤。ここへ逃げた人足が走りこむが、ルートは旧高瀬川から上がってきて堤を越え、堤法面で斬られて東高瀬川へドボン。なつの幼時回想シーンは大覚寺五社明神〜放生池堤。
  • 人足をむざむざ死なせた自責の念から、スラムへ潜入したなつが伊助とツナギをとるため使う船着き、大覚寺大沢池船着(小)。書付を結んだ手裏剣を手すりに刺し、伊助が取りに来る←水中から来て水中を去る。
  • 大介の墓、北嵯峨農地・小丘。松の木あり。

*幼いなつを悪ガキから庇ってくれた大介は荒木しげる、親が改易で浪人してのち、飯より殺しが好きな悪党に成り果てているが、土壇場でなつのため仲間に刃を向ける。口入屋の大将は大木正司、人足の束ねは五味龍太郎、本所奉行は江見俊太郎。


第27話 「骨までしゃぶったお殿様」  1980.5.8

 彦佐の爺さまの頼みで、殿様芝居をさせられる太助。当の殿様は、上様お忍びのお供と、縁談の御使者のブッキングに困り果てていた。

ロケ地

  • 太助の様子を見に行った長さんが見咎められ、指南役に挑まれてしまう水辺、大覚寺五社明神。伊助やなつとのツナギも近くの大沢池畔。
  • 浦乃の駕籠が泉沢家へ向かう道、大覚寺大沢池畔。
  • 上様のお供をして小金井の御狩場で馬をやる忠正、北嵯峨農地竹林際。勢子が獲物を追い立てる野原はバンクフィルムか。

*若殿と太助はもちろん二役、タイトルの行為より蜆の殻吐き出すしぐさのほうが下品。縁談が持ち上がる姫は田中綾、ころっとほだされる単純系。姫付きの腰元・浦乃は岩崎加根子、太助の無作法に困り果てる用人は村田正雄。若殿の叔父で乗っ取りを企む大番頭は森幹太、泉沢家へ入り込んだ叔父の手先の指南役は中田博久。


第28話 「おとこの誠に目を覚ませ!」  1980.5.15

 太助の友達が肩入れする武家娘、実は元お姫さま。町場で安穏な暮らしを続けることを喜びとする彼女だが、家臣たちは悲憤のうちに亡くなった殿様の念晴らしを願い、悪党に付け入られる仕儀となっていた。

ロケ地

  • 太助と勘八がそれぞれ助っ人を連れてきて自分の代わりに戦わせようとする神社、吉田神社竹中稲荷本殿前。勘八が綾を連れてくるのは三高碑の丘から、言い争う太助たちを置いて去った長さんと綾が歓談するのは参道重ね鳥居下。
  • 釣りの長さんが騒動を聞きつける汀、広沢池観音島。船をぶつけ荷を置き去った者たちの詮議をする船着場は東岸にスイッチ。

*綾姫は佳那晃子、勘八は下塚誠。姫がじいと呼ぶ元臣下で仇討ちに躍起の爺さまは小林昭二、道場にいる若手の元家臣は成瀬正や大木晤郎。爺さまを騙し利用しようとする二本松藩江戸家老は内田稔、腹心は丘路千。船をぶつけられてお冠な船頭は宮城幸生。ラス立ち、イカ頭巾でラス立ちに福ちゃんチラリ…と思うが、暗いし。
*内田稔がいじるブチ猫から妙に目が離せない。なかなかに表情豊かな、太りじしのねこ。


第29話 「紫頭巾の女」  1980.5.22

 陥れられ獄死した父の仇を討とうとする娘だが、行く先々で当の相手が既に殺されている始末。彼女に罪を着せ、のうのうと私腹を肥やし続けようとしていた悪党どもは、長七郎ぎみに乗り込まれて一巻の終わり。

ロケ地

  • お絹を調べるようなつに命じる長さん、大覚寺護摩堂
  • 火事の被災者に炊き出しを届ける浜乃家の面々、上御霊神社高倉下。皆と別れ佐平とツナギをとるお絹、上御霊神社福寿稲荷
  • おさよが長さんにお絹のことを相談する水辺、大覚寺大沢池畔。長さんと結ばれるのは困難と述べるおさよのくだりには、主題歌の二番と回想シーンが被る。
  • ゴロツキの金次が入ってゆく佐野屋下谷寮、大覚寺望雲亭
  • 西の丸若年寄と佐野屋のことを長さんに報告するなつ、大覚寺天神島
  • お絹を呼び出しあらぬ話で嵌めようとする佐平、上御霊神社本殿裏手。企みを見破られ、拉致に移行。駕籠で運ぶルートは大覚寺有栖川(河床から見上げのアングル)→「寮」設定の大覚寺望雲亭へ。長さんと伊助が駆けつけるシーンも同所。

*お絹はジャネット八田、近江屋や上総屋を狙いに行く際に紫頭巾を着用。彼女に協力する芝居で嵌める佐野屋番頭・佐平は亀石征一郎、佐野屋は遠藤太津朗、殺害実行犯の金次は宮川珠季、西の丸若年寄・青山民部は北九州男。ラス立ち福ちゃん入り、民部の家来で複数回斬られてて悲鳴も派手。


第30話 「なみだが笑った嫁御寮」  1980.5.29

 おさよの嫁入り話が持ち上がり、各人の心中は複雑。婿がねは大久保のご隠居の推薦になる好青年、しかし彼は献上の茶壺を何者かに盗られ、窮地に陥っていた。

ロケ地

  • 田原藩の献上の茶壺が強奪される街道、不明(ダートの山道)
  • 大久保彦左衛門邸、相国寺林光院。ここで「長七郎」が田原藩主や茶問屋の主・渥美屋に引き合わされる。おさよの婿はあの渥美屋と話す彦左は庭、阪口青龍苑
  • なつに事件の推理を話す長さん、下鴨神社泉川切石橋〜河畔。父大納言の悲劇を繰り返さぬため、生涯娶らずの決意を漏らす。
  • おさよが渥美屋と会う彦左邸の庭、阪口青龍苑。導入は築山上の茶亭前、彦左が去ったあと、自らの境遇を告白する渥美屋のシーンは築山下の池泉。
  • 田原藩邸、相国寺大光明寺。見張りの長さんや伊助は湯屋角にいて、中から出てくる用人を見る運び。
  • 伊豆守邸からの帰り、長さんを襲うイカ軍団、下鴨神社糺の森。このことを彦左に話す庭は阪口青龍苑
  • 渥美屋がおさよの名で呼び出され、斬られかかる大鳥神社、鳥居本八幡宮。舞殿脇〜石段あたりを使い、長さんが駆けつけてチャンバラ。ここで「長七郎」バレ。
  • 身分を偽っていたことをおさよに詫びる長さん、桂川河川敷。導入は左岸側・臨川寺地区の堰堤脇、のち右岸側の中州汀にスイッチ。
  • 三河へ発つおさよと渥美屋を陰から見送る長さん、大覚寺大沢池堤。設定は六郷渡し手前の街道筋。

*渥美屋は森次晃嗣、田原藩主は堀内一市、内通者の用人は南道郎。田原藩主に成り代わり若年寄ポストを狙う佐野藩主は深江章喜、献上役横取りを目論む悪徳商人は谷口完。ラス立ち福ちゃん入り、佐野藩士で派手のけぞり。


第31話 「黄金の肌のたまご焼」  1980.6.5

 おさよに頼まれ、吾兵衛の姪が藤沢から手伝いにやって来る。彼女は、実家の旅籠の泊り客から厄介なブツを託されており、物騒な事態となるがもちろん長さんがすっぱり解決。元気でおきゃんな娘は、ぴしぱし浜乃家を仕切ってゆく。

ロケ地

  • 長さんがおみつを道案内してくる神田明神、上御霊神社舞殿脇。怪しの侍が出ておみつを襲うが、長さんが撃退。その後名乗りあう二人がゆく道、大覚寺大沢池堤(桜花のほかツツジが開花)
  • おみつを狙う侍について報告するなつ、大覚寺天神島朱橋護摩堂前。伊助にはおみつに封書を託した庄屋の娘・おけいの保護を指示。
  • 六郷の渡しを見張る土屋の手下、大覚寺大沢池船着(小)。池端に茶店あしらい。
  • 伊助がゆく街道、山道は大内亀岡道の坂、まだフラフラのおけいを確保する茶店は大内辻堂前にあしらい。おけいを連れてゆく街道、不明(林道)
  • おけいの回想、銀札を交換してくれない郡代に抗議して処刑された父、不明(広場、松の高木あり)。江戸へ訴えて出るため間道をゆくおけい、酵素谷川か。

*おけいは仁和令子、父の庄屋は中村錦司。長良川治水工事の公金を私した郡代は井上昭文、配下の侍は剣持伴紀や波多野博、矢部義章などで剣客は千葉敏郎。
*タイトルはおけいが始める新メニューの厚焼き玉子。劇中映し出される、ちゃっちゃっと手際よく巻いてゆく「手元」はプロか。


第32話 「やさぐれ鴉が虹を見た!」  1980.6.12

 厳父に反発し、グレていた青年の情話。悪党の手先になって小面を破壊したりするが、結局は父と同じ面打師を目指すことに。「厳父」は、藤沢宿でのおみつの恩人という設定。

ロケ地

  • 和泉屋の寮、大覚寺望雲亭。用心棒を飼ってあったり、和泉屋が黒幕と一緒に伸助を害しに出かけたり。扁額に和泉屋寮と大書。
  • 若狭屋に下った処分等のツナギをとるなつ、上賀茂神社ならの小川畔。
  • 若狭屋のライバル・和泉屋のことを報告する伊助、上賀茂神社奈良社
  • 伊豆守に黒幕への仕掛けの段取りを話す長さん、相国寺大光明寺石庭。中仕切り越しの絵や、そこをくぐって出てくる二人の絵も。
  • 面を打つよう伸助を説得する長さん、柊野堰堤下河原(巌の上)。堰堤は二段が同じフレームに入った図や、全体が入る図も。
  • 伸助が面を打つため籠るお堂、神護寺毘沙門堂。見守る長さんは東側の林間から。弁当を届けに来るおみつが上る石段は金堂下、ここでの立ち回りもあって迫力満点。

*伸助は志垣太郎、面打ちの際は牛若丸みたいななりで始めるが、一心不乱の作業の果て髭ぼうぼうの荒法師に。御中臈より拝領の小面を割られ窮地に陥る、大奥出入り呉服商は西山嘉孝。その後釜を狙う悪徳商人は高桐真、黒幕の旗本は小笠原弘、強面の用心棒は宮口二郎。ラス立ち福ちゃん入り、なりは黒イカ。


第33話 「恋三味線に罠を張れ!」  1980.6.19

 殺人を目撃したため命を狙われる三味の師匠は、守ってくれる長さんにめろめろ。しかし成敗の段で正体を知り、恋は儚く消えてしまう。師匠の求愛をそらす長さんが見もの。

ロケ地

  • 師匠が浪人に追われているところへ出くわす長さんと太助、仁和寺九所明神。釣竿担いだ長さんが、桶担いだ太助とやって来る導入部は鳥居脇、浪人たちとやり合うのは拝殿脇、本殿も映り込む。
  • 被害者宅に残されていた訴状を長さんに見せるなつ、仁和寺五重塔下〜藤棚脇。
  • 師匠を一時退避させる、吾兵衛の知人・伊豆屋の隠居所(根岸)中山邸通用門
  • 師匠が偽手紙でおびき出される権現裏の林、下鴨神社河合社(夜間撮影、ここでラス立ち)
  • 旅装の師匠に代わりの三味線を持ってきて別れを告げる長さん、仁和寺観音堂脇。

*師匠は佐野アツ子、薄幸で男嫌い設定、長さんに初恋。借金取り立ての見せしめに殺人までする両替商は山岡徹也、雇われ用心棒は岩尾正隆。悪徳商人とグルの南町与力は田口計、これもグルなお奉行は田島義文、二人とも金貰って悪事に加担するものの腰引けてて、長さんの見えすいた罠にころっと引っ掛かったりと小悪党臭ぷんぷん。偽手紙を届けに来る印象的な婆さんは和歌林三津江。


第34話 「巾着切りと玉の輿」  1980.6.26

 妹の幸せのため、掏摸をやめて真面目に働く兄だったが悪縁断てず、その腕を悪事に利用せんとする一味あり、妹の幸を願って落命する展開に。盗らせた書付を見て高笑いする悪党どもに、成敗の雨嵐。

ロケ地

  • 半次が備前屋から作事奉行の沙汰書を掏り取る道、相国寺光源院前路地。ブツを渡せと出てくる鉄造らは宗丹稲荷、逃げた半次を見失うのは鐘楼脇〜弁天社前。
  • 半次の妹・おゆきが拉致されかけているところへ行きあわせる長さん、上賀茂神社ならの小川畔。悪者を蹴散らすのは渉渓園。
  • 半次が浜乃家に保護されているおゆきに会いに来て一味に見つかり逃げ込む堀、大覚寺勅使門橋下の御殿川河床。追う一味は勅使門橋のほか、参道石橋をどやどやと行き過ぎる。夜間撮影。
  • 伊豆守邸へ急ぐ長さん(登城前に会いたいと言われてたのがおゆきの話聞いてて時間押し)、走り渡る橋は上賀茂神社神事橋(欄干のみチラリ)。伊豆守の話を聞く庭は相国寺大光明寺石庭に陶のガーデンセットあしらい。その帰り道、長さんを押し包んで斬ろうとする浪人たち、上賀茂神社神事橋と周辺(立ち回りは橋上から橋たもと、川にザブンもあり。福ちゃんの背後に藤棚映り込み)
  • 半次が潜んでいた祠、大覚寺五社明神祠。ここを出て長屋へ金を取りに行き、見つかって斬られ。

*元掏摸の半次は槙健吾、玉の輿が決まっている妹は村瀬智子。橋梁工事の計画書紛失の咎で現作事奉行を失脚させ、後を襲う企みの旗本は伊達三郎、グルの悪徳商人は牧冬吉、パシリのごろつき二人は吉田豊明と笹木俊志、浪人のヘッドは福本清三(柳田と役名クレジットあり)。書付を掏られる材木商・備前屋は村居京之輔。


第35話 「おかめが達磨に貰い泣き」  1980.7.3

 父の仇を求める青年、辻斬りに身を落とし胸を病む仇の剣客、仇討ちを政治利用しようとする腐敗した重職。三者が交錯し、悪者にはきっちり報いがおりて、有為の青年が自らの道を選び取る話の陰で、運命に流されて泣く女たちも描かれる。

ロケ地

  • 吾兵衛がおかめ面の辻斬りに遭遇する四谷近くの森、下鴨神社泉川畔。
  • 出府した山林奉行が入ってゆく会津藩邸、仁和寺本坊表門
  • 政之助の回想、父が部下の清四郎に斬られた宴帰りの道、仁和寺御室桜林
  • 政之助に稽古をつける長さん、仁和寺観音堂前。浜乃家近くの寺設定。
  • 山林奉行が悪徳商人と会う屋形船、広沢池に係留か。

*事後、侍を捨てて漆職人を志す政之助は吉田次昭、出入りの店の気のいい主は中村錦司、政之助を慕う店の娘は原あけみ。仇の清四郎は西田健、腐れ縁の夜鷹は茅島成美、この二人の哀話にはかなりの尺。山林奉行は川辺久造で腹心は唐沢民賢、つるむ悪徳商人は武周暢。悪事に気付かぬ家老は永田光男、清四郎を諌めて斬られた政之助の父は北原将光。
*おかめは清四郎が辻斬りの際かぶるお面、達磨は政之助の父が清四郎を諌めようとして与えた木彫り。


第36話 「肝っ玉かみなり娘」  1980.7.10

 雷が怖くて竦んでいたおみつを助けてくれた、親切な人気役者。彼が巻き込まれるキナ臭い事件に、おみつも巻き込まれてゆく。熱々カップルに当てられてご機嫌損ねるおみつが傑作。

ロケ地

  • 新三郎がおみつを導いた雨宿りの神社、石座神社。雨宿りは本殿付近、新三郎が浪人に連行されるシーンでは石段が映っている。設定は「中州を渡ったあたり」。
  • 新三郎が閉じ込められる、呉服商・山城屋の下谷寮、中山邸通用門

*中村座の看板・嵐新三郎は西沢利明、ラストには女形ステージも。彼といい仲の水茶屋女は風美圭。アニさんを裏切る若手役者は石田信之、人のよさそうな座の頭取は山村弘三。大奥御用達を狙う山城屋は永野辰弥、つるむ若年寄は入江慎也で大奥老女は小柳圭子、一味の用心棒は丘路千に宮城幸生。陥れられかかる大奥の実力者は武田てい子、同じく失脚をはかられる若年寄は溝田繁。中村座お出ましのわがまま御側室・お玉の方は山口朱美。


第37話 「真珠の涙に燃えた剣」  1980.7.17

 伊勢の国から、父を殺した賊を求めて江戸へ来た娘。村人がもしもの時にと蓄えた真珠、それを食い物にする外道を懲らすのに、一旦ハメてかかる経緯が見もの。

ロケ地

  • 弁当泥棒をはたらいた三太を追いかける長さん、駆け込む門は今宮神社楼門。三太が幼い妹に弁当を与えているのは境内祠脇、「姉」のあおきが出てきて三太を叱るうち南海屋の衆が来てモメるのは東門内側、おあきの勤め先の茶店は一和。
  • 海へ出かける長さん、おあきも弟妹を連れて来ている浜は琵琶湖岸。
  • おあきの父が殺された神社(伊勢・国崎の鎮守、八幡宮)、不明。
  • おあきの回想、三太らがすくすく育つのが夢と語っていた父、広沢池東岸(葦原)
  • 南海屋を探ってきて報告するなつ、広沢池東岸。「船着き」の上で長さんが釣りの最中、カメラは水側から?
  • おあきの回想、旅に出る彼女を追ってきた三太たち、夕陽の土手は不明、雨の野末は北嵯峨農地小丘・木の下。
  • おあきらが国へ帰る道、琵琶湖(松原、遠景に河口州のシルエット)

*おあきは相原友子、真珠を盗られ殺された父は岩田直二。今は真珠を買い付ける商人だが、正体はおあきの父を殺した凶賊な南海屋は山本昌平。これとつるむ長崎奉行は今井健二、腹心は有川正治。
*志摩の里「くにさき」は鳥羽市国崎町か(よみは「くざき」)。


第38話 「命を担保のバカ踊り」  1980.7.24

 男運のわるい女の哀話。利用するつもりが優しさに魅かれ、真実になりかかった恋だが、やはり運命に勝てず儚く消える。タイトル通りのバカ踊りが、長さんのお説教と男の瀕死の情景に被る。

ロケ地

  • 禁制品荷揚げのあと始末されかかる浅吉たち、広沢池東岸。検分シーンは昼間、設定は箱崎町の川っぷち。
  • 唐津藩下屋敷に忍んだ結果を長さん(釣り中)に報告する伊助、大覚寺大沢池畔・背景に五社明神。
  • おりんの家を出て神輿小屋に隠れていた浅吉が見つかり、危機一髪に長さんが現れる境内は上御霊神社本殿裏手。小屋はセット。
  • おりんがちんちら踊りをして金を作ろうとしていることで長さんのお説教を食らった浅吉が、走り出して突っ伏す川端、上賀茂神社ならの小川畔。浅吉を捜す水夫たちがどやどや出てくるのは河畔の祠脇から。

*浅吉に頼られ匿う飴売り女のおりんは根岸季衣、踊りはお座敷ストリップで傘で隠すもののすっぽんぽん。四人も男に死なれた「かまきりの性」は…全部事故では。浅吉は小野川公三郎、長さんを庇って撃たれ「五人目」に。水夫のかしらは浜伸二で荒くれの手下は平沢彰や蓑和田良太、抜け荷の回船問屋は鈴木康弘、グルの唐津藩留守居役は近藤宏で鉄砲ぶっ放す配下は中村孝雄。
*タイトルの「担保」には「カタ」とルビあり。


第39話 「母恋い夢枕」  1980.7.31

 御落胤もの、お家騒動ではなく、隣藩が領地欲しさに改易狙いで若君を亡き者にせんと図る。もちろん長さんが護ってやるのだが、若君を渡すにはお説教と条件提示がついてくる。

ロケ地

  • 坊を預けたあと斬られて死んだ女の長屋を家捜しした一味のことを報告する伊助、大覚寺護摩堂前。背景に大沢池をちらり。
  • 浜乃家を襲った黒イカが逃げ込む飯田屋の下谷寮、広沢池東岸の料亭(料亭跡)
  • 飯田屋が寮へ向かったと知り駆けつける長さん、駆け抜ける道は大覚寺五社明神(有栖川寄り、祠前)
  • 事後、若君を迎えに来た鳥居家の国家老にお説教をかます長さん、大覚寺天神島。おさとが家老を案内してくる際に朱橋を渡る。

*御落胤の生母・おさとは中村玉緒、子と離されたのち飯田屋の世話になっていて、情人と高島藩の悪謀を知る。伊那谷の材木を一手にして成り上がろうとする飯田屋は葉山良二、高島藩江戸家老は原口剛で腹心は国一太郎。御落胤を育てていた元腰元は三浦徳子、鳥居家国家老は山口幸生。ラス立ち福ちゃん入り、静止どアップあり・喉の筋をヒクリ。


第40話 「情けで築いた江戸堤」  1980.8.7

 大川の築堤工事に邁進する関東郡代と、彼に協力する「昔の女」。彼らの恋の名残の情話と、ポスト狙いの悪党どもの跳梁がからみあう。

ロケ地

  • 釣りの長さんと太助の前をバカ旗本の屋形船がゆく川端、広沢池東岸。水に放り込まれた芸者を助けるのは、通りかかったお勝の配下二人。
  • 早暁仕事に出るところを梅造に狙撃されるお勝、大覚寺大沢池畔。このことを長さんに報告する伊助、今宮神社楼門
  • 大金を条件に暗殺を引き受けた松吉がおみつとばったり会う帰り道、大覚寺護摩堂前。二人が話すのは天神島
  • 今戸の築堤工事現場、嵐山公園桂川中州下手。杭打ちのラストシーンでは、中州舳先がはっきり映る。
  • 松吉が関東郡代を襲うも母を刺してしまう夜道、大覚寺五社明神
  • 一家して今宿へ帰るお勝一行、北嵯峨農地・畦道。

*今宿の川人足元締・お勝は丘さとみ、グレた倅の松吉は松嶋修で駆け落ち相手は千野弘美。お勝が惚れた関東郡代は水島道太郎、倅の存在は知らず。悪い旗本は川浪公次郎で悪徳商人は森幹太、黒幕の作事奉行は高城淳一、彼らに使い捨てられた盗賊は福本清三、「梅造」とクレジット。旗本の配下は出水憲司。


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