喧嘩安兵衛 決闘高田ノ馬場
1989.7.1日テレ/東映

 三国峠で父の仇を討った新発田藩浪人・中山安兵衛は、仇の連れの剣客とやり合い足を滑らせ谷底に。負傷した彼を救った西条藩士・菅野六郎左衛門はその後も厚くケア、叔父甥の契りを結ぶこととなる。しかし菅野の主君は暗愚で追従者に誑かされており、一徹な菅野を煙たく思うワルに陥れられ敗北丸わかりの決闘に臨む運びに。「叔父」が膾となって斃れるそのとき決闘の場に駆け入る安兵衛、堀部弥兵衛の娘の赤いしごきを借りてくるくると襷掛け、血の雨降る大立ち回りを演じやんやの喝采を浴びる、高橋英樹の魅力満点の痛快人情劇。

下鴨神社河合社と馬場

 ロケ地、父の仇を三国峠に討つ安兵衛、谷山林道切り通し。釣りの菅野主従が崖落ち安兵衛を見つける谷、清滝か。菅野が世話した上州・馬庭念流の樋口道場、大覚寺明智門。樋口に免許皆伝を受け江戸へ向かう安兵衛がゆく中山道、谷山林道。西条藩主が追従者と小判撒きで腰元にいたずらの池泉、不明(萱葺きの亭など背後に)。菅野の家を出て裏長屋に落ち着いた安兵衛を探し当て酒肴を持ってくる酒肆の女将・お駒、大覚寺護摩堂。そこへ「人殺しだ!」と走ってゆく民衆、放生池堤。現場に駆けつける安兵衛、お尋ね者の浪人が子を人質に白刃をかざすのは五社明神。菅野が追従者の村上に覚悟を迫り却って決闘を申し込まれる庭、不明(中山邸無畏庵に似る)。その決闘の高田の馬場、下鴨神社河合社脇馬場。
*義士部分は頭と末にサワリのみ、討ち入りと引き上げでフレームを形成。三国峠の仇討ちではメチャクチャな立ち回りを演じる安兵衛が、樋口道場での修業を終え江戸で喧嘩屋となる成長ぶりも丁寧に描かれ、長屋衆との関わりもスムーズに導入される。なんといってもキャストが豪華。菅野の叔父夫婦に田村高廣と南田洋子、堀部父子に下條正巳と堀ちえみ、長屋衆や町人に森川正太・春やすこ・志賀勝・阿波地大輔・多々良純、憎たらしい追従者に品川隆二ときて運命の女の酒肆の女将に萬田久子。ナレーションは芥川隆行で脚本は鈴木生朗。中津川道場の門弟に福ちゃん。


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