舞妓と暗殺者

三隅研次監督作品 1963.8.28大映


 時は文久、薩会同盟締結直前の京。長州脱藩浪士と舞妓の恋にからめて、倒幕運動の正義の裏にある暗黒面を描く。
明るい未来を夢見て運動に身を投じた仲間と違い、軽輩の九鬼進次郎の目的は立身出世。しかし九鬼は、指導的立場にある前川が藩重職の意を受け、浪士たちを己が出世の道具に使っている実態を知り、追われる立場に。また前川は「九鬼の女」として舞妓・ひな菊を我が物にせんと横車を押し、座敷を逃げ出したひな菊は九鬼のもとへ走り、二人して前川一味に追われる「道行き」となる。

鳥辺野墓地

ロケ地

・荒れる京の情勢イメージ、斬り合いの川は桂川・嵐山公園前の堰堤下。
・九鬼の回想、仲間と語らって脱藩の際集合の浜辺、琵琶湖畔松原(この後の山越え道は不明)
・九条家の安西を暗殺する路地、建仁寺方丈西塀。
・ひな菊が八の日に参る清水の観音様への坂(この後何度も出てくる。最後の待ち合わせもここ)、不明(石段、両側は林。清水さん自身の境内か)
・西陣のひな菊の実家へ病の父親を見舞いにゆく二人、渡る砂州の多い川(州の間に頼りない木橋)、木津か。
・前川の座敷から逃げ出したひな菊が足袋はだしで走る路地、うねった腰高な石垣を持つ塀、不明。
・九鬼が前川に立身を餌に口を噤むよう迫られる葦原、不明(かなり広大、琵琶湖畔か淀河原か)
・会津の秋月悌次郎に仕掛ける道、くろ谷参道か。
・ひな菊と九鬼が追い詰められる墓地、鳥辺野(遠景に清水寺の子安塔)
・前川と対決の崖地、谷山林道か。

*九鬼は津川雅彦、ひな菊は高田美和。脚本は新藤兼人のオリジナル。*貧ゆえに体制を憎悪する九鬼、小道具に夏蜜柑。お長屋の庭いっぱいに植えられたそれは下級武士の内職で、売って麦を買う。西陣のひな菊の実家を訪ねた際土産に持たされる、会津藩公用方暗殺に赴いた際仲間が喉を湿すのにとってくるなど各所で登場。極めつけはクライマックス、身に刃を受け前川に追い詰められ絶体絶命の九鬼の脳裏に湧くぽわっと明るい点のイメージがこれまた夏蜜柑で、パワーが漲り反撃という運び。
☆古い作品のため、ロケ地情報は不正確な可能性があります。


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