嗤う伊右衛門
2004.2.7東宝
蜷川幸雄監督作品

キャスト
岩/小雪 民谷伊右衛門/唐沢寿明
又市/香川照之 直助/池内博之 宅悦/六平直政

 新解釈の四谷怪談、お岩と伊右衛門の「永遠の」純愛物語。
誇り高く「心正しき」女・岩は、愛する伊右衛門の幸福を願うあまり家まで譲って身を引き、その後彼が妻帯したと聞いても動じないが、すべて与力のはかりごとと聞かされ伊右衛門が不幸の裡にあると知るや暴発する。一方、岩のため家督を守って屈辱の日々をやり過ごしていた伊右衛門は、岩の激情を優しく受け止めたあと掛け違いの呪わしき運命を血煙あげて斬って捨てる。
ラストは、閉じた空間に愛を紡ぐ二人の睦み笑いで締めくくられる。

 ロケ地、又市と「老婆」との密事、鳥居本八幡宮舞殿。お梅との暮らしを覗いたお岩の前に立ちはだかる直助、随心院土塀。行方知れずになったお梅の赤子が見つかる林、下鴨神社糺の森池跡。田宮邸、萩ロケの模様(奥に海鼠壁の見える路地、入口の簡素な門が風情たっぷり)
*爛れた顔を堂々と晒して町をゆくお岩さま、これがこのうえなくキレイ。小雪の背の高さもよくハマっている。よく気をつけて見てないと細かい事情が判らない運びも、余韻を残す方向に働いてマル。びちゃびちゃ水浸しの長屋も、又市や宅悦の小汚さも必見のビジュアル。


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