徳川おんな絵巻


 「大奥」シリーズの系譜に連なるオムニバスドラマ、舞台は諸大名の奥向き。二話でひとつのお話がスタンダード、一話完結の回もある。語り手は筝曲をバックに杉村春子で、「〜なのでございます」と大奥タッチ。第40話からナレーションは村松英子に代わり、作風も怪奇もの等にシフト。全52話、1970年10月3日〜1971年9月25日に放映。


第1話「尾張公の遊女妻

 時は八代吉宗の御世、尾張宗春の「恋」を描く。倹約政策に真っ向から逆らう宗春の吉原通い、豪奢な宴を繰り広げる彼は或る日、向こうっ気の強い門付け芸人の女と知り合い惚れこみ召すに至る。以降、宗春の行動を快く思わない公儀と、寵愛を一身に受ける太夫の存在を憎む公の奥向きと、双方から恋人たちに手が回る。

 ロケ地、公儀隠密から宗春を逃がしたお春が「駕籠」を止め小休止の茶店、不明(橋の奥に石段、お春らが去る道には並木)。江戸城イメージ、姫路城角櫓。吉宗に宗春の所業を報告する密偵、彦根城玄宮園龍臥橋。尾張上屋敷、西本願寺大玄関門。宗春の正室が尾張のお国御前に放った急使が早馬を駆る街道、北嵯峨農地・陵前。名古屋城、本物の天守。

*宗春に大出俊、お春「春日野太夫」に藤純子。
*吉宗が放つ密偵が「藪田助八」だったり、腹心がちゃんと「加納」だったりするのも面白い。

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第2話「女の生地獄

 寵愛まぶしいお春の方に嫉妬するお国御前、様々な嫌がらせの果て身重のお春を流産せしめる。宗春には公儀の沙汰が下り死を賜るところ、お春が上使の前で自刃したことでお家は安堵され、宗春の隠居で決着。

 ロケ地、公儀隠密と通じるお国用人・田宮邸、不明(長屋門)。桜町天皇の祝いに上洛する宗春のためお春の方が催す宴に向かう宗春、西本願寺興正寺間・北小路通(傾いた衣装をまとい長煙管を吹かし牛に乗って行列、お春は宝恵駕籠道中。京町筋の下屋敷に向う設定)。京にある宗春を思うお春の方をからかうおふく、石橋不明。お春の届け物の饅頭に盛られた毒に苦しむ腰元たち、粟生光明寺本堂縁先。お春を成敗と薙刀を振るい階段から落とすお国御前、方丈回廊階段(いま脇にEVのあるところ)

*用人・田宮と公儀隠密を血祭りに上げる宗春、返り血のついた顔のままお春に会いにいったりする。


第3話「いれずみ美女

 舞台は出雲、殿様は松平不昧公。風流人の公はちょっとアブない趣味もお持ち、側室たちの背に刺青を施し薄物を着せて眺め茶を啜る。新築の茶室に牡丹を欲した殿様は、江戸からわざわざ彫師を呼び牡丹の似合う肌を探させる。

 ロケ地、宍道湖と町なみ、濠を映したあと松江城(現存天守)。洗い髪の女たちを観察する彫宇之、今宮神社境内、石橋〜東門。墓参の武家娘を剥いてみる彫宇之、金戒光明寺本堂脇〜墓地(怒った父親が抜刀するのを役人が出て「アレは上意」と制止)。殿様が窯場へ馬をやる松林、琵琶湖西岸松原。巫女のお咲をデートに誘う宮大工の清吉、出雲大社イメージ画のあと映る回廊は近江神宮内拝殿回廊。滝で水浴びのお咲を見て「牡丹」に選定する彫宇之、菩提滝(滝壺と周辺の岩場や坂)。お城へ上がると清吉に告げに来るお咲、四手網の漁師小屋、琵琶湖か。城へ上がるも褥も刺青も拒否するお咲をその気にさせるため清吉に別れを告げさせる嫁ヶ島、本物のイメージ画のあとの島の松原は琵琶湖西岸松原(遠景に高島の岬が見えるのでおそらく舞子浜)

*川崎敬三演じる不昧公は変態ではあるものの紳士、嫌がるお咲に約束したとおり手も触れず几帳越しのお付き合いを守り、刺青拒否にも「もう諦めよう」。どうしても彫りたい長門裕之演じる彫宇之が、殿に内緒で清吉に金を渡しお咲に別離を言い渡させる。お咲は倍賞美津子。

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第4話「炎の肌

 お咲の背に咲いた大輪の牡丹を愛でる殿様、しかし「約束したから」と一向に手も触れずの日々が続き、もう元の恋人なんかどうでもいいお咲を苦しめる。殿様は浮世離れした芸術家で天然だからいいとして、彫宇之まで牡丹が萎れる意味を誤解するからトンデモ展開にまっしぐら、清吉にお咲を帰すよう計らうが、こっちはこっちで進んでいた出世のための良縁が壊れたとお咲を責める始末→お咲暴発。

 ロケ地、明々庵へお咲を伴う不昧公、本物(外観)。牡丹を愛でられるだけの日々、庭の池辺に佇むお咲、阪口青龍苑。参勤交代の行列がゆく街道、不明(道端に一本松。淀堤か)。江戸、松平藩下屋敷、東本願寺内事門。大名諸侯を招き催す野点、阪口池畔のほか芝地の茶亭(不明)。国元へ帰った不昧公が清吉を呼びお咲を帰すと告げる神社、近江神宮外拝殿、手水舎。公が嫁入り行列で城を出てゆくお咲を天守から見下ろす「門」まわり、芦浦観音寺(門を内側から見たクレーンショット)。新床での清吉の暴言に外へ走り出るお咲、琵琶湖西岸松原。清吉に迫られ錯乱の果て刺してしまう四手網の漁師小屋、不明。二人の「心中」死体が見つかる浜、琵琶湖西岸松原(苫屋あしらい)と汀。

*不昧公アブなすぎ、お咲に触れたいにもかかわらず約束破ったらこの身は炎にとかぶつぶつ…それ妄想。彫宇之かなり鬼畜、お咲の遺骸を抱き嘆く公が触れた牡丹が「発色」するのにTPOも弁えず高笑い「俺の仕事は確かだった」…しかし己の目すりは反省し自嘲。


第5話「お転婆娘の御殿奉公

 舞台は出羽・本荘、殿様御寵愛のお道の方を守るため乞われて城に上がったお初だが、働き空しく老女のいじめに耐えかねたお道の方は自刃してしまう。

 ロケ地、本荘城、伏見城。城を下がった庵崎がお初とぶつかる街角、相国寺方丈塀南西角。そのあとお初についてゆき剣突を食らうのは上賀茂神社ならの小川神事橋。東照宮改修のための出国を前に菩提寺へ詣でる殿様、琵琶湖西岸松原(お道の方が駕籠を止めお初に錦貝調達を依頼)。菩提寺・永泉寺、宝塔寺(ご先祖の墓は塔前に並ぶ墓碑、これ越しに伏見城を遠望するショットがある。今は木が茂っていてこのアングルは得られない。偽恋文でお道の方を陥れようとするのは本堂縁先、多宝塔がちらっと映り込む)。近衛彰子(将軍家御台所の姉)を迎える玄関、大覚寺式台玄関。象潟近くの御殿で催される歌会、五大堂観月台(大沢池を古象潟湖に、堤を九十九島に見立てる趣向)。お道の方に頼まれた文を持ち飛脚屋へ急ぐお初、相国寺大光明寺南路地(文箱を落し中を見て足袋はだしで取って返す)

*武芸の達人設定のお初に美空ひばり、お道の方に高田美和、近衛彰子に加藤治子、殿の意を受け不正を探る勘定方の庵崎に伊吹五郎、殿様は里見浩太朗、老女・沢野に北城真記子、これとつるむワルに南原宏治。
*老女のいびりは古典的でセコく、近衛彰子接待の段ではお衣装違いなんか出てくるのはほとんど吉良さま。

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第6話「お初の仇討ち

 お道の方の死後一旦城を下がるお初、しかし父まで城代の凶刃にかかり、庵崎の要請に従い再びの奉公に出る。沢野に警戒されつつも動くお初、証拠を握るや即反撃、荒事に突入。

 ロケ地、錦貝の海にお道の方の遺髪を投げるお初、琵琶湖(岸近くに船)。庵崎が材木横流しで不正と発表の城代、立ち騒ぐ藩士たちの情景に伏見城。庵崎が材木商をシメる城下の道、相国寺大光明寺南路地。ラスト、殿の勧めでお初の婿とされた庵崎と船上で痴話喧嘩、琵琶湖上。

*庵崎不正の知らせにどよめく藩士たちのくだり、お廊下でキョドる人は福ちゃんかも。
*加賀騒動と、石見国浜田城主・松平周防守の江戸屋敷で起こった草履打事件を脚色した「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」をインスパイアしたお話。


第7話「お妾拝領仕る

 舞台は会津若松、殿様の不興を買い国へ返された側室は、同じく側室の実姉に憎まれ幽閉の日々を送る。その番を仰せつかった藩士は次第に見張る相手に惹かれてゆき、願い出て拝領の運びとなる。

 ロケ地、会津若松城、本物。罪人として国へ返されるお紋の方の駕籠を沓掛峠に止め、国を眺めるよう勧める護送役の神尾、谷山林道か。城へ着くも用人に賄い部屋への幽閉を言い渡されるお紋の方、彦根城天秤櫓下。早馬が駆け込む城門、佐和口多聞櫓。出仕の神尾がゆく道、佐和口多聞櫓前堀端埋木舎の中から濠と櫓を望むアングルもある。馬場でお紋の方が家臣に下賜されると噂する藩士たち、嵐山東公園か(並木の向こうに土手)

*お紋の方に中村玉緒、神尾に天知茂。

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第8話「嫁地獄

 姑の仕打ちに加え殿の魔手、耐える二人だが身籠った子が殿のお胤疑惑でもうタイヘン。藩祖の法要の席で神尾暴発、そのまま逐電の仕儀となる。玄関に「家禄一切返上仕り候」と大書していくのが迫力。

 ロケ地、姑にたばかられたお紋が赴く城下はずれの薬草園(殿様が待ち構えている)、不明(丘の中腹と思われる立地、庭には特徴のある刈り込み。林の間に見える山は三上山にそっくり)。藩祖法要の大法寺、宝塔寺(石塔越しに本堂、二人が逃げるシーンに回廊)

*笑ってても怖い天知茂、玉緒ちゃんの絡み迫力ありすぎ。


第9話「新入り女中大活躍

 舞台は浜松、城主は水野忠邦。天保の大改革は身内にも及ぶが、イジワル老女はこれをお志摩の方苛めに利用する。優しく健気な志摩の方(労咳病み設定)に仕えるお半下に江利チエミ、お元気娘設定。
志摩の方が亡くなり殿様が失脚しお国替で大騒ぎの段で中ほど。

 ロケ地、浜松城、本物(劇中使用はなし)。江戸城イメージ、皇居外苑巽櫓。鼻に一筋白粉を塗って鯉の餌を届けに行き老女・村岡に面当てするお里、彦根城玄宮園蘇鉄山橋。小太刀の稽古で村岡にしごかれるお里、不明(芝地、塀と柴垣と幔幕)。父の死後も店に残った清七に結婚の意志が変わらないか問うお里、上賀茂神社ならの小川神事橋

*水野の殿様は栗塚旭、お里の許婚者・清七と二役。華美と咎められ水野に恨みを抱く島津公に名和宏。

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第10話「女と男の決斗

 お槙の方の女房道中、蒲原宿で島津とかちあってしまい遺恨を返されることに。お槙の方や老女は逃げてしまうが、お里は捕われた中間とお志摩の方の遺品を貰い受けに、島津の本陣へ斬り込みを敢行する。

 ロケ地、慌しく荷物の搬出がなされるお城の蔵、彦根城佐和口多聞櫓(内側)。お半下のおみちと中間の与平次が引き離される定めを儚み入水しかける橋、中ノ島橋(清七が通りかかり阻止)。城を発つ風景、彦根城天秤櫓。清七に与平次らの経緯を報告しきっと帰ってくると告げるお里、上賀茂神社ならの小川神事橋。東海道をゆく女房道中、病を発したおみちを背負って歩く与平次、谷山林道(道標に小夜の中山)。水野の女房道中が蒲原宿泊と聞き、吉原泊を取りやめて蒲原へ向う薩摩の一行、木津堤流れ橋

*お里の斬り込みは、取り違えた箱をめぐって薩摩藩士に側室が挨拶に来るか腕ずくかと言われた故の行動なんだけど、ちょっと無茶苦茶かもの荒事で名和宏もたじたじ。騒動のもとの中間・与平次は河原崎建三で、薩摩の殿様の意向を受けて動く藩士に汐路章。


第11話「女は度胸で勝負する

 若くして家督を継いだ若様だが、将軍や幕閣の機嫌に翻弄され幾度もの転封を余儀なくされ藩財政は疲弊する。その若様が母と頼む町家出の世話役・お松の方は、持ち前の器量で藩の苦衷を救う働きを見せるが、行き違ったままの旗本の恋人を忘れ切れない。

 ロケ地、姫路藩主・松平直基邸、大覚寺明智門。屋敷を抜け出した若様を探す家来たち、回廊内庭。川で魚とりの子らと喧嘩する若様を助けに入るお松、不明(後段の友禅流しの川も同所と思われる)。恋人だった旗本の三男坊が千石の家へ養子に入ったと聞き門前に佇むお松、建仁寺僧堂。下城してきた三十郎を見て逃げるお松、僧堂前坂両足院前路地。江戸城イメージ、皇居外苑巽櫓。越後村上城イメージ、犬山城天守。城受け渡しの上使としてやってきた三十郎が去るのを城から見下ろすお松、彦根城天秤櫓(内側)。山形城イメージ、石垣越しに彦根城天守の天辺。城下の両替商の接待で野点の席につく幼君・直矩、芝地の庭不明(奥に鳥居や宝筐印塔、二層の建物の端っこが映り込む)

*転封は四回、姫路→村上→山形→白河。真ん丸綱吉を見て笑ってしまう幼君や、幕府の使者(中村錦司)の誘惑をはねつけるお松が不興を買う設定。お松に浅丘ルリ子、三十郎に緒形拳。

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第12話「女のいくさ

 お松のはたらきで白河染めは大評判となり藩財政を潤すが、これを狙う者も現れる。白河の地に移封を願う若年寄が指定した巡察使は、他ならぬ桜田三十郎だった。

 ロケ地、陸奥・白河城、彦根城天守(前回山形城として使われたアングルと違い、花頭窓が派手に映る)。麻疹に罹った若君のため水垢離をとるお松、菩提滝。参勤交代の列がゆく道、不明(松林が沿う地道)。白河藩を辞したお松が訪ねる桜田の屋敷、建仁寺僧堂

*賄賂を一切とらず、見逃してくれとのお松の頼みも受け付けない三十郎だが、帰参して報告した内容は「白河藩に不正見当たらず」。これによりお家断絶となってしまう桜田家、お松が訪ねた際には当人も行方知れず。廃屋でさめざめと泣くお松、見ている側にも徒労感がどっとのしかかる。


第13話「白鷺城の若き獅子

 姫路藩主の急逝、弟たちが後を継ぐことになるが、大方の予想を裏切り信望厚いほうではなく乱暴者の政岑が殿様に。それにはやはり裏、城下の商人と組んだ用人は阿呆な君主を欲していた。しかしせっかくなったのだからと政務に精励する政岑、木綿問屋の変更を試みるが用人らが暗躍、企みを阻止し生母を追放する段で中ほど。

 ロケ地、町で酔っ払って寝ている榊原家の部屋住み・政岑を屋敷へ連れてゆくお菊、途中でへたりこんでしまいゲロ吐きの橋は大覚寺参道石橋。門は大門。お国入り行列が渡る橋、不明(琵琶湖西岸、高島あたりのクリーク河口か)姫路城天守、本物。姫路に呼ばれるお菊がゆく街道筋、不明。城入り前のお菊と会う生母・月蓮院、永観堂弁天社の鳥居前。寺で用人と密会する月蓮院、永観堂中門大玄関

*政岑に石坂浩二、長い冷や飯食い生活にトラウマを持ち要らざる子を作らぬため女を遠ざける。月蓮院は木暮実千代、用人は遠藤辰雄、二人の絡みがあるがなかなかに気持ち悪いエンタツが見もの。

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第14話「永遠の初夜

 「思想」からお菊に手をつけぬ政岑、正室にしてからと独り決めして工作するが縋った相手が悪く、将軍の姫を拝領する話が出来。姫路に残ったお菊は貞心院の陰謀に落ち、永訣かと思われた二人は意外な場所で再会を果たす。

 ロケ地、政岑の手がつかぬことを嘆き庭に佇むお菊、彦根城玄宮園池端。江戸城イメージ、皇居外苑巽櫓。生母を幽閉の上原別邸、不明(萱葺きの門)。お菊の唐丸を運ぶ道、不明。江戸表からの早馬が疾走する道、および政岑が母の病を聞き馬をやる道、不明。

*姫路でお菊だから「皿」かなと思っていたら「壺」で、アレとは関係なく怪談に非ず。拝領の壺割ったことにされたうえ、貞心院の差し向けた老女をはずみで刺し殺しちゃったお菊は、志村喬の城代が一命を賭して隠してくれる設定。


第15話「幻の姦通

 加賀百万石も内情はタイヘンのお話。財政難に登用された男は重臣連や以与の方を相手に孤軍奮闘、お控様の世話に呼ばれた亡きお民の方の妹・お貞は彼を慕うが、姉から託された若君や彼の身をを守るため殿の側室になる道を選ぶ。しかし筆頭家老となった内蔵允の婚儀が決まった日、お貞の方は慕情やみがたく秘密の地下通路を恋しい男のもとへ向かう。

 ロケ地、金沢城イメージに金沢城址兼六園。踊りの稽古帰りのお貞に姉の危急を知らせるじいや、平野神社本殿前。お貞が加賀へ向かう街道、加賀入りして百姓一揆を見る道、不明。お民の方の葬儀が行われる寺、宝塔寺(本堂大屋根)。解放すると約した一揆首謀者たちの処刑、不明(侵食地形の崖、かかし半兵衛で見た岩場に酷似)。重臣連に政策推進を邪魔され悩む大槻内蔵允を見かけ励ますお貞、大覚寺回廊、内庭。殿様帰城シーン、彦根城佐和口多聞櫓。花見の席でお貞に大槻の仕様をブチる以与の方、彦根城玄宮園池端。

*お貞に岡田茉莉子、大槻内蔵允に田村高廣、殿様に山形勲、不吉な運命を暗示する狂女(若君が「河媼」と恐れる)に北林谷栄。高廣さん、軍用金の獅子の蔵の鍵ぶっ壊したり、お貞の方ラブなど大活躍。

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第16話「愛と野望と

 恋を隠して内蔵允に重臣の娘を娶わせたのも無駄、殿の死後世子を廃嫡との遺言も強引に反故にされ、恋人たちは永遠に引き裂かれる。

 ロケ地、通路を閉ざしたお貞が鍵を見つめる庭、彦根城玄宮園。閉門となる内蔵允邸、相国寺林光院。城内イメージ、姫路城水二門。墓参のお貞の駕籠が一旦通行を止められる城門、彦根城天秤櫓。亡き殿に祈るお貞が、狂女の声を天啓と聞く墓所、二尊院三帝陵。新藩主帰城の行列が入る、彦根城佐和口多聞櫓。内蔵允が幽閉される窟、不明。

*世子暗殺を心に決めたお貞は「通路」を開けて内蔵允邸に向かうが、女は野望を、男は恋の真実を求めすれ違うのが哀れ。


第17話「十八年目の浮気

 官軍を迎える小諸藩のどたばた、城代は隊長の薩摩藩士といきさつがありヤバいと大騒ぎ。城代の奥方の発案で、城代は急死とつくろい葬儀を出して官軍の皆様を歓待の大芝居。ホントに埋めちゃって宴の段、早とちり娘の心中騒ぎで城代生存がバレるくだりで中ほど。

 ロケ地、小諸の説明に小諸城址懐古園。城代・松井郡兵衛邸、宝塔寺塔頭・霊光寺。小諸城城門、彦根城天秤櫓。小諸入りの官軍がゆく街道、不明(道のかたわらに溜池、道隈から里を見る風景は盆地ふう)。城代の娘が屋敷街を触れて歩く道、宝塔寺参道。山寺へ逃げ込む侍たち、不明(石垣の向こうにお堂、境内では水場と崖に面した低い塀←ぶっ放した大砲の弾が真下にぼっとん)。埋葬の墓地、不明。

*城代は伊藤雄之助、もうナニ喋ってるんだか半分わからないファンキーさで、わちゃわちゃと落ち着きのない仕草もいいだけ騒がしい凄まじさ。他作品では血も凍る狂態も見たけど、なんにしろ目が離せない怪優。奥方は森光子で、隊長は近衛十四郎。

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第18話「女上位の天国

 官軍と女たちの関係にかんかんに怒った侍たちは山寺を出てくるが、女たちに怒られてしまうていたらく。郡兵衛さんは城に潜入、屋根裏を行ったり来たりするがしまいに真っ逆さまに落ちてきてバレバレ。於徳の強弁で格好はつくものの、なっさけないまま。

 ロケ地、小諸城を出立する官軍一行、彦根城天秤櫓

*前回は小鳥を斬っただけの近衛十四郎、今回は多人数相手の立ち回りあり。コミカルなシーンなれどさすがの太刀ゆきがカッコイイ。


第19話「可愛い悪魔

 妲己のお百と呼ばれた女の転変、大坂から深川、秋田へ流れ行き殿様の目にとまる段で中ほど。

 ロケ地、天満屋がお百を囲う掘割沿いの別宅、宇治川派流沿い大倉浜酒蔵。お百を連れて逃げる天満屋がゆく街道、不明。お百に目をつけたならず者の由蔵が二人を待ち構える街道の茶店、日吉大社西本宮参道(奥に山王鳥居)。天満屋が由蔵に財布を盗られる橋、走井橋。追いかけた天満屋がお百の簪で由蔵に刺され倒れ伏すのは大宮橋(後段、天満屋の番頭とお百の兄がやってきて供養する場面もある)。由蔵に連れ去られたお百が芸者として出ている深川木場近くの花街、祇園・辰巳大明神(イメージカット)京都御所九条池高倉橋(池越しに側面から。ここはお百を秋田へ連れてゆくと言う佐竹の殿様のご落胤・中川采女の段で北望のアングルでも使われる)。由蔵が采女に斬られる石段、西教寺・真盛上人廟石段。由蔵の血のついた脇差を見るお百、采女と舟遊びの屋形船は嵐峡か。お国入りの佐竹の殿様が路傍にいたお百に目をとめる街道、不明(松林の土手)。秋田城(久保田城)郡上八幡城天守

*お百に野川由美子、由蔵に山本麒一、采女に江原真二郎、殿様に仲谷昇。

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第20話「呪われた恋

 中川采女は自分と同じ境遇の先代の弟を抱きこみ共謀、寵愛を受ける「八重菊」お百を利用し遂に殿様を毒殺し幼君を擁するに至るが、お百の線から事が奥方に露見。逃げ込んだ湿地でほぼ心中といえる最期を遂げる二人、シメは天満屋の番頭の述懐。

 ロケ地、先代の弟が住持する山寺、西教寺墓地(密談を家老の配下に聞かれ始末)。秋田城イメージ、郡上八幡城天守と彦根城天守。采女とお百が逃げ込むも追っ手に囲まれる湿地、西の湖

*采女に殺される国家老に加藤嘉、またまた登場の天満屋番頭の曽我廼家五郎八がいい味。
*歌舞伎の妲己のお百とは違い、運命に翻弄された女として描かれている。


第21話「雪サこんこん

 減封のうえ誰もが嫌がる僻地にお国替えとなる松平武元、幕閣への返り咲きを工作するも不調、倦んだ殿様はヤケで遠乗りに出た先で、とんだ野の花を摘む。

 ロケ地、棚倉城天守、犬山城天守。古伝に謂う濠のヌシの大亀が現れ山伏らが代替りと騒ぐ堀端、芦浦観音寺濠。国替えに大騒ぎの掛川城、会津若松城天守遠望。国替えの行列がゆく街道、琵琶湖東岸松原。御三家への工作が不調で頭にきた殿様が単騎出てゆく城門、芦浦観音寺門湖岸松原。城を抜け出した「オラの方」を探す侍女たち、不明(植え込みの中に萱葺の亭ある庭)

*殿様が雨宿りの際手をつける村娘は川口晶、迎える際も傑作なやりとりがあるが、掛川時代の奥向きの様子を聞いてやらかす「オラの方ふうお鈴廊下騒動」が大笑い。殿様はあおい輝彦で設定は田沼時代。

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第22話「さいはての花開く

 田沼から水野に時代が変わるもお呼びかからず、怏々と楽しまぬ殿さま。遂にオラの方とも齟齬を生じるが、彼女の誓文を見て誠心を知り心打たれる。しかし復縁の帰り道、ヌシが現れ城からは水野の使者到着を知らせる家臣が駆けて来るのだった。

 ロケ地、棚倉城城門、芦浦観音寺。江戸城イメージ、皇居外苑巽櫓。宇迦神社の神官にオラの方の誓紙を持ってこさせる殿さま、大覚寺天神島


第23話「年上の佳人

 世継の養子が急逝、藩主は年寄で病持ち。お家存続の危機に老女が思いつき家老が息子に厳命する窮余の策は、御国御前・菊重の方への胤付けというトンデモ話だった。

 ロケ地、伊予松山城、本物。城を出る老女・幾野、知恩院北門。筆頭家老・一柳直人邸、大覚寺明智門。菊重の方が参詣する藩主菩提寺・大徳寺、善峯寺山門。はじめに会った宗匠姿を改め侍のなりで菊重の方に見える家老の息子、善峯寺本坊庭園。がばちょキスのあと逃げ去った直文が父家老に立ちはだかられてしまう際に山門を俯瞰で。

*菊重の方に八千草薫、公家の出で天衣無縫の姫様設定。家老の息子・直文に田村正和、放蕩息子設定だが、菊重の方にマジ惚れして父が与えた任務にカリカリ。喘息持ちの藩主は加藤嘉。

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第24話「白昼の逃亡

 一発必中で身籠る菊重の方、秘事が漏れぬよう直文は追放され関係者は暗殺される。和子が生まれぬうちに藩主が江戸に没し密やかな企みは全て徒労に終わるが、真実となっていた恋は天晴れな侍女の献身により成就するのだった。

 ロケ地、伊予松山城、本物。下城シーン、知恩院北門、黒門道坂。宿下がりした菊重の方の侍女・お波が、浪人になって用心棒稼業をしている直文を見かける松前の浜、琵琶湖西岸・舞子浜。菊重の方が道後温泉へ湯治の折、お波が菊重の方の真情を釣りをしていた直文に告げる川べり、保津峡(奥道後設定か)。逃げた二人を匿う桑村の山村、不明(お波が働く峠の茶屋は田畔の農地に、そこから見上げる中腹の萱葺民家が菊重の方と直文が滞在する百姓家。家老が探しにやってくる際には棚田が大映しになる。菊重の方の打掛を被いだお波が入水の池は汀に広沢池のような葦原。お波の注進で炭焼き小屋へ逃れる恋人たちが辿る沢はごつごつの岩が連なる渓流)。藩主重篤を知らせる早馬が疾走する道、不明(はざ木が沿う土手)

*お波の献身で逃げ延び山村で子を産み育てる二人が描かれ、直文が彫っている地蔵が現代の道端に置かれ「お波地蔵」となる趣向。
*冷徹な老女と違い、息子を「逃がした」城代が「お波の入水」を見た際「ワシの嫁ワシの孫」と取り乱すのも見もの。


第25話「仮面の女

 宇都宮吊り天井の話。家光に老中を罷免された本多正純は怒りに燃えて領地へ帰還、日光参詣の将軍が宇都宮に立ち寄る際を期して、茶室にからくり仕掛けを施す。正純に異心ありと見る土井大炊頭が放つ密偵たちと、防ぐ本多家との丁々発止が描かれ、将軍が江戸を発った段で中ほど。

 ロケ地、江戸城イメージ、皇居外苑。本多正純邸、東本願寺内事門。春野の腕を試す左源太、初午の祭礼が行われている稲荷、不明。宇都宮城、彦根城天守(石垣越しに天辺)。土井の密偵・春野が宇都宮へ向かう街道筋、不明(開けた畦道、遠景に高い山が霞む)

*春野に加賀まり子、彼女を幼馴染と「誤認」するからくり技師に中山仁、本多正純に佐藤慶、配下の怖い藩士に宮口二郎。

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第26話「悪霊の城

 陰謀は着々と進行、仕掛けの要諦が判らぬまま将軍は城へ。発動する茶室のからくり、天井はきっちり下がってきて作った本人も止められず歯車に身を投じ、もう横に寝ててあとちょっとだった上様は九死に一生を得る。

 ロケ地、怪しまれた隠密の左源太が逃げる石垣際、彦根城。「お新」に干瓢屋と左源太の死を告げ逃げるよう示唆する新八郎、天秤櫓廊下橋上。将軍一行がゆく古河手前の街道、不明(湖畔)。宇都宮入りを前に通過を促す土井に否と言い出立する将軍、不明(河原か)。宇都宮城、警護兵が詰めるのは天秤櫓天守映り、下馬する将軍は天秤櫓下の石垣際。

*大事を前に互いの真の気持ちを確かめ合い運命を共にすると誓う本多夫妻、幼馴染ではなく隠密とはっきり知るも「お新」を庇う新八郎と、二つの恋が描かれる。カルい感じの左源太はとっ捕まった挙句、からくりの実験台にされギャーな最期でお気の毒。


第27話「花嫁学校

 舞台は九州・小倉、天保年間。城下の薬種問屋の娘・おたねと学問所の藩士・南市郎太は、言い交わした仲ではないがほとんど親も承知の二人。蘭学を志す南だが、藩侯が嫌うため儘ならず煩悶。そんななか、お転婆のおたねが南を思って仕出かす数々の無茶が、南を脱藩させるきっかけを作る。

 ロケ地、小倉城、本物。小倉藩学問所・思永館の門、知恩院黒門。おたねがらみで南を訴えた者ありと聞き学問所を飛び出してゆく南、黒門道坂。学問所内部の描写は萬福寺(大雄宝殿、回廊、天王殿前、法堂ほか境内各所)。脱藩し江戸への道を辿る南、不明(川堤か)

*おたねに上月晃、南に中尾彬。おたねの父も学問所の教授も若い二人をひそかに支援し逃がしてくれるが、紹介した先は高野長英で蛮社の獄始まってたり。

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第28話「恋を追う女

 あちこちで人に助けられながら市郎太を探し求めるおたね、緒方洪庵の適々塾で再会を果たすが、語学力不足から南の入門は足踏み。彼を励まし学問を続けさせるおたね、洪庵が南を見直すきっかけも盲腸を発症して作ったり。

 ロケ地、入門を断られおたねの長屋に帰って来た南が、外で遊ぶ子らの「あかんたれ」という言葉に反応して見る裏の川、不明(巨椋池幹線水路か有栖川下流部か)


第29話「浮世絵の女

 川越の殿様に見初められ側室となったお雪の方がお国入りの道中を前後に置き、回想の形で「駒形屋お雪」の転変を描く。お雪につくヒモ、彼女をモデルに使う絵師、きちんと躾けていいところへ嫁にやろうとしている妹などが登場し、浮世絵で人気の婀娜っぽい美女の可愛らしい内実が描き出される。

 ロケ地、川越城、上田城櫓(冒頭映し出される現代の川越に本物の川越城本丸御殿)。お雪の方の駕籠が川越指してゆく道、北嵯峨農地・陵前。お雪の水茶屋・駒形屋のシーン直前挿まれるのは浅草寺か(宝蔵門?)。春衛の世話を焼いて女房気取りと怒らせ、しょんぼり佇むお雪を見初める松平直恒、大覚寺大沢池堤(お雪が佇むのは水門脇の池辺、殿様は遠乗りの途中で、その前に馬をやっていた道は北嵯峨農地)。殿様から来た話をお雪に告げる版元と春衛、シーン直前に挿まれた水景は中ノ島橋上手堰堤の落水(橋映らず)、これが外に見える座敷という趣向(怒ったお雪が窓外に放ったお銚子がじゃっぽんと水音を立てる)

*お雪に朝丘雪路、三味と小唄が必見。絵師・歌川春衛に津川雅彦、芸術第一の鬼畜ぶりが絶品。版元・大雅堂に南原宏治、別段の性格設定はなく普通に話しているのに目が怖い。

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第30話「情事の秘密

 川越のお城の奥向きでのドロドロはなく、引きずった江戸の事情がべたべたの愛憎劇。大雅堂に託した妹を案じつつ過ごすお雪の方は、或る日江戸から届いた新着の錦絵に、春衛が描いた水茶屋女の妹を見てしまう。

 ロケ地、川越のお城へ入るお雪の方、知恩院黒門(内側から俯瞰)黒門道坂。江戸、死んでいたのはお雪でもお波でもなく自分の腕と悲観し鴨に石を投げる春衛、広沢池観音島(お波がやって来てお茶目をやり、このあと舟遊びデート)。川越城奥御殿、腰元たちと目隠し鬼をして遊ぶお雪の方、阪口青龍苑(殿様が訪ねてきた春衛を伴いやって来る)。川越城イメージ、上田城櫓(濠越し遠景)二条城隅櫓。ラスト、湯島天神境内の水茶屋で働くお雪、今宮神社門前茶屋・一和

*前回見せなかった顔が出る南原宏治、お波に襲いかかるケダモノ。津川雅彦は相変わらずの色悪、ご夫婦で演じる壮絶な愛憎バトルも見もの。


第31話「嵐の中の女

 好きあった男とは身分違いで添えず親の勧める先へ縁付く女、しかし十日目、嫁した夫は元恋人との果し合いで頓死、夫の弟と仇討ちの旅に出ることとなる。以前から義姉を慕っていた弟が思いを滾らせるのは当然、情に押し流されてしまったそのとき「仇」の所在が知れ、三人の男との因縁に女は命を絶つしかないのだった。

 ロケ地、舞台となる彦根藩の説明に彦根城天守と欅御殿、楽々荘など(ドラマの舞台に彦根城は出てこない)。宿下がりのお珠が出てくる城門、知恩院北門黒門道坂(喜四郎と行き会う)。お珠の夫となった遠藤喜一郎とお珠の恋人だった田崎伸太郎が果し合いの西方寺、善峯寺多宝塔脇(遊行松越しに護摩堂が映り込む)。仇討ちの旅に出るお珠と喜四郎、御油へ四里の東海道、琵琶湖西岸松原。旅の途中、無事本懐を遂げたのちの身の振り方を義姉に問う喜四郎、不明(北嵯峨農地に似た畦道)

*お珠に三田佳子、伸太郎に高橋幸治、彼に頭を割られて頓死する夫に今井健二、義姉を慕う喜四郎に目黒祐樹。珠をめぐる三人の男で心情が細かく描かれるのは喜四郎、義姉と二人旅籠の狭い部屋に泊まらされ悶々等お決まりのアレ。珠の自刃後の経緯は描かれずエンド。この回一話完結。今井健二、伸太郎にとっては身分を鼻にかける憎たらしいヤツだけど、別段ワルいことしてない被害者なのは珍しい。


第32話「美しき女教師

 維新前夜の会津、官軍が迫り戦意高揚するなか、婦女子の教育に当っていた中野竹子は曲折を経て娘たちを率い戦う決心をする。はじめ主戦派に反発する竹子が、悩みつつ変わってゆくさまを描き、官軍母成峠に現る段で中ほど。

 ロケ地、会津若松城天守、本物。生徒らを連れて遠足の川辺、柊野堰堤下左岸岩場。藩校・日新館門、不明(門構えのアップのみ、彦根城天秤櫓か)。足取り重く登城の家老・西郷頼母、彦根城埋木舎前内堀端。銃撃を受け倒れるのは大手橋(竹子と行き会い天守を仰ぐシーンの直後)。白虎隊の調練が行われる城内、彦根城佐和口多聞櫓内側。官軍のイメージ映像、欄干のついた木橋や野原に道、不明。

*竹子に南田洋子、西郷頼母に中村竹弥、容保公に葉山良二。兄の威を借り主戦を唱えイニシャチブをとろうとする権高な勘違い姉ちゃんが「娘子軍」命名の運び。

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第33話「戦場のなでしこ隊

 城と運命を共にする覚悟の娘たち、妙にはしゃぐ一幕もあるが官軍の容赦なき砲撃がはじまり、血みどろの結末が待っている。

 ロケ地、鶴ヶ城、本物。官軍が砲台を築く小田山(城を望む設定)中山池畔。炎にゆらめく天守、彦根城天守。白虎隊と娘子軍の出陣、彦根城大手橋。娘子軍が守る柳橋、犬飼川下河原橋


第34話「母恋い三度笠

 顔も名も知らぬ母を求めて阿波へやって来る渡世人、何の手がかりも得られず落ち込むが、無頼から助けたお女中の伝手で涙の対面。しかし当の母は幼君の乳母で政争の渦中にあり、彼を息子とは呼べない立場なのだった。

 ロケ地、説明部分に徳島城址。阿波めざし街道をゆく源太、舞子浜(歌つき)。父の情報を求め和尚に話を聞く寺、不明(墓地)。その帰り、侍に襲われる腰元を助ける境内、不明(どう見ても神社)。腰元が持ち帰った金平糖に毒が仕込まれていて幼君あわやの縁先、不明(後段でも出てくる)。寺を訪ねまわる源太、落胆して出てくる寺二件、はじめのステップ付きの門は不明、あとの門は建仁寺僧堂。度重なる幼君の危難、讃岐の松平を頼るべく街道をゆく忠臣が斬られる山道、谷山林道か(分岐道、谷川沿いの林道)。お乳母さまの母に邪慳に扱われた源太がゆく雨の道、下鴨神社参道

*お乳母さま(お歌)に淡島千景、源太に橋幸夫、幼君を狙う後見役の叔父に天津敏、源太にお乳母が母と告げてしまう腰元に岩井友見、忠臣の爺様に北村英三。

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第35話「涙の祭り囃子

 母はないものと自分を納得させる源太だが、小雪が知らせた事情を看過し得ず協力、幼君が阿波踊りの上覧の席で危難に遭うところへ斬り込みをかける。しかし彼はとどまるよう勧める母に別れを告げ、再び草鞋を履くのだった。

 ロケ地、天守イメージ、松前城か。一旦当地を離れかける源太、手水を使った河原で虫の息の忠臣・村田を見つけお歌へ伝言を託されるのは落合少し上手の清滝河原。お歌の要請で讃岐へ赴く源太、ヘアピンカーブの山道は谷山林道雲心寺道分岐か(弟分が彼の代わりに撃たれる道は不明)。母子として抱き合うお歌と源太、建仁寺方丈か。旅ゆく源太に追いついてくる小雪、舞子浜(その前の道は不明)


第36話「姫君と用心棒

 輿入れを前に恋も知らぬ身を嘆く姫様は出奔、おきまりのアバンチュールもの。紀州家の姫なもんだから超弩級の世間知らず、ごろつきガキに連れられ賭場へ入り込み、危ういところを一家の用心棒をしていた浪人に助けられる。出合茶屋に姫を連れ込んだ浪人は、あらぬ妄想に駆られたりもするが結局は紀州家に使いを出し、姫様の冒険は淡い恋の思い出を残し終わる。

 ロケ地、説明部分に和歌山城雑賀崎。紀州藩上屋敷、西本願寺大玄関門(扉が開いていて玄関がのぞく)。飴を奢ってくれたちんぴらガキの仁吉と歩く姫、下鴨神社参道石橋。賭場から姫を連れて逃げた神保浪人が一息つくやしろ、河合社南西角(追っ手が来るのも同所、慌てて逃げる際には門が映る)

*姫に松原智恵子、浪人に入川保則、貸元に遠藤辰雄、ちんぴらガキに雷門ケン坊、神保の旦那の情婦には三島ゆり子。
*姫様は伊勢や源氏を読んで恋に憧れているので、なんかあるとそこから引いた和歌(伊勢物語98段の「知る知らぬ…」)が出て妄想の世界に。妄想は相手の神保もお盛んだがこちらは生臭く、姫を押し倒すにとどまらず殿様のおほめに預かり姫と祝言で「高砂や」。このほか、質屋に「備前長船」を持ち込む神保が桐箱に蛇仕込んで押し借りのエピソードや、三島ゆり子と痴話喧嘩の段も傑作。一話完結。


第37話「まぼろしの恋

 酒肆の娘が助けた男は記憶喪失、思い出せぬまま時は過ぎ二人は恋仲、しかしというおきまりのお話。「若様」は迎えに来た家来に家の大事を聞かされ娘に帰還を約し去るが、ひさごの追廻・卯之さんはもう戻ってこないのだった。

 ロケ地、新三郎が刺客に襲われ斬られて濠落ちの鎌倉河岸、瀬田橋竜宮玉垣傍堀端(船あしらい、玉垣下には躑躅の一株が満開)。津山藩邸、大覚寺大門。おしのが「殿様」と会う庭、阪口青龍苑

*おしのに十朱幸代、記憶喪失の若様に伊吹吾郎、ひさごの板前に財津一郎。出自を知るため行く賭場の中盆に福ちゃん、酒肆で強請りのチンピラに川谷拓三。一話完結。


第38話「子供がいっぱい

 舞台は肥後、名君・細川重賢の治世。大火で孤児となった子らを集め養育する武家娘は、自身の身の上から彼らを放っておけず、遂に殿の許しを得て孤児院設立に漕ぎつける。できたばかりの肥後わらべ所に、年嵩のグレた少年がやってきてひと悶着ありそうな段で中ほど。

 ロケ地、熊本城天守、本物。印籠を盗んだゲンを追いかける近習頭の吉村、彦根城濠内側土塁際。彼を家へ引っ張ってゆくおみつ、通る路地は金戒光明寺永運院下坂。おみつの家(馬廻役・松野伊兵衛邸)、不明(塔頭の門?)。家計の足しにと子らを連れて山で雁皮採りの山、不明(滝や谷川に架かる木橋など映る)。松野家での養育は違法として役人に連れて行かれる子ら、金戒光明寺長安院下坂。吉村邸、相国寺大光明寺門。お城へ乗り込み孤児について請願するもたらい回しのおみつが歩き回る城内、彦根城石垣際、天秤櫓太鼓門櫓天守下など。官許の孤児院「肥後わらべ所」となる本妙寺、毘沙門堂薬医門。おみつに気持ちを告げ寺を出る吉村、仁王門(内側)

*おみつに林美智子、父に大友柳太朗、吉村に松方英樹、殿様に高橋長英。

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第39話「みなしごたちの太陽

 夜這いと間違え伝次をはたいてしまうおみつ、そのまま弟分を連れて出奔した彼はきっちり盗賊団のもとへ。賊は子を使い二件まで盗みを重ねるが露見しお縄、この騒動の責任をとると近習頭を辞する吉村、わらべ所専任となりおみつと共に生きる道を選ぶ。

 ロケ地、わらべ所へやって来た目付に雑言を吐く伝次、毘沙門堂方丈式台玄関前。吉村の婚儀のことを聞くおみつを見つめる伝次、本堂囲いの格子を挿んで内と外。賊一味がゲン入りの瓶を運ぶ城下の道、彦根城濠端(遠景に天守)。追われた賊がわらべ所に逃げ込むくだり、毘沙門堂薬医門下石段仁王門(内側)。殿様に近習辞退を申し出た吉村が下城するのを待っているおみつ、彦根城西の丸北端・観音台への橋付近。イメージに熊本城の映像を挿入。

*賊の首領の汐路章、帰りたがる子に猫撫で声で「おじさんがお寺に火をつけちゃうよ。おともだちが焼け死んだらかわいそうでしょ」と脅す…メチャ怖。伝次は雷門ケン坊。


第40話「女相続人の恐怖

 父の急逝で高遠藩御用の商家を継ぐことになった娘は、遺言をタテに結婚を迫る番頭に悩まされる。彼の仕掛けで人を殺したことになってしまい危ういところへ「兄」が出てくるが、これがまた全財産俺のもの主張のトンデモなのだった。

 ロケ地、父の死を聞きお城を下がってくる小夜、彦根城太鼓門櫓〜天守の見える石垣際〜湖畔(西の湖か)。三州屋の弔い船、広沢池西岸・観音島脇から東望。小夜の回想、江戸店へ帰る父を見送る街道筋、保津峡駅付近の崖道か(地道)。同じく回想、恋仲の桜井とデートの川辺、落合河口汀。猫を捨てたり船上で番頭に迫られたりする「沼」、西の湖か。桜井が気にかけつつ通り過ぎる三州屋門前、中山邸通用門と参道。

*小夜に山本陽子、桜井に中山仁、番頭に勝部演之。買収されて偽証の船頭に小峰さん。
*この回からナレーションが杉村春子に代わって村松英子に。お話の傾向も様変わり。

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第41話「闇に光る眼

 番頭はあきらめないし兄は居座るし、三州屋の跡取り娘の悩みは解消しないまま「殺した女」の亡霊が出てキャー、これは「兄」が正体を現す段で解決するが、別の真実も露わとなる。

 ロケ地、暇をとったはずの女中の死体が見つかる沼、不明。小夜の恋人・桜井が三州屋を突き落としてしまった杖突峠、保津峡落合落下岩。事後小夜が佇む沼、不明(クリークの河口ふう水辺)

*番頭の仕組むおみちの亡霊より手がこんでいる、南町同心の仕込みが笑える。井戸から血どばーは悪党をも震え上がらせるが、いったいどうやって…恐るべし、南町の技術。


第42話「怨霊おはぐろどぶ

 殿様の横恋慕で父を斬られ、恋人と逃げた女は追われて入水。その後女は吉原の楼主に助けられ女郎に、そして男との再会。しかしお忍びの殿様がやって来てしまう。狂乱の殿に斬られた「東雲太夫」が「出る」精霊流しの夜で中ほど。

 ロケ地、信三と逃げるおしの、葦原〜早苗の田畔〜萱原〜琵琶湖(船上、対岸に三上山が霞む)

*おしのに野川由美子、信三に栗塚旭、殿様に川合伸旺、楼主に北村英三、つるむ岡っ引に汐路章、楼の老僕に藤原釜足。川合伸旺の殿様の好色ぶりと狂乱が迫力。

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第43話「呪いの剃刀

 おしのの死後一月して楼に現れたのは双子の妹、信三とともに姉の死の真相を聞いた彼女は、殿様を誘き寄せるため二代目・東雲太夫となる。

 ロケ地、おいとに詫びつつおしのの位牌を抱き船でゆく信三、琵琶湖

*見ものはなんといっても「憑かれた」殿様の狂乱。太夫の打ち掛けをまとい楼外へよろばい出て見境なく刀を振り回す川合伸旺、頭をめぐらし見得を切るカッコよさ、必見。最後はぐいっと背を反らせて絶命、体のしなやかさも見事。老いた牛太郎の藤原釜足もいい味、二人に味方して楼主をビビらせるお芝居が傑作で、墓掘り返してる北村英三の脇にちょこんと座り、埋葬された女が生き返った中国の昔話をぼそぼそ呟くのがメチャ可愛い。


第44話「復讐の女豹

 父を忍者に惨殺された娘は、伊賀忍者に拾われ仇討ちのため鍛錬の日々を送り成長。仇を三人まで討った段で、所司代の密偵とやりあうが彼は娘に求愛、心乱れる娘に養父は残る仇の名を告げる。

 ロケ地、伊賀・御斉峠に近い山中の勘兵衛の小屋付近、清滝河原落合河口(左太夫が小屋の焼け跡で千鶴を拾うのも同所、木橋あしらい。鍛錬の汀も同じ)。千鶴に殺られた下忍たちが晒される林、広沢池畔。猪十とやりあうのは東岸。京イメージ、東寺五重塔を門越しに。所司代屋敷、御所管理事務所正門。千鶴が潜り込んだ旅の一座がゆく路地、金戒光明寺永雲院下坂。猪十は京にと千鶴に告げる左太夫の配下、長安院下坂。京へ出た千鶴が猪十を探す市中、石段に雲水あしらい。左太夫の手下が狩られるシーンの一部に三門

*千鶴に安田道代、左太夫に長門勇、所司代密偵の小次郎に杉良、猪十に宮口二朗、怪しい島原の楼主に田口計、下忍に志賀勝や川谷拓三。

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第45話「姿なき殺人

 求める仇の最後の五人目の正体は、左太夫と入った黒幕の屋敷で明らかになり養父との悲しい別れとなる。そして千鶴は、己をつなぐ鎖を断ち切った小次郎とともに旅立つ。

 ロケ地、所司代の塀を飛び越えて表に出る小次郎、御所管理事務所西塀際。桔梗屋に打ち込まれた手裏剣の呼出状を見て朱雀野へ赴く小次郎、下鴨神社池跡(窪みから左太夫登場)。街道をゆく小次郎と千鶴、不明(山道)

*オカルトはなく、最後の忍者たちの悲哀を描く情話。


第46話「生きていた霊魂

 関ヶ原の敗者・大谷刑部の姫は追っ手に惨殺される際、己が身に手をかけた一党を呪う。発現は八十年ののち、一党の子孫の娘は浜で倒れていた鳥追い女を保護しともに暮らすが、しばらくして一党のうち三家までに怪異が及ぶ。

 ロケ地、霧姫が篠塚一党に斬殺される山中、保津峡落合。八十年後、敦賀へやって来た鳥追い女・おえんが石を積む老婆を見る河原、落合河口汀のほか少し上手の清滝河原(対岸に小滝落ちる・遠藤辰雄が水浴び)。三味を弾くおえんに霧姫の霊が下りる巌頭、落合落下岩。敦賀藩御狩場代官屋敷、芦浦観音寺(遊行僧が入ってくるくだりでは中を使用)。おえんがお広に保護される海辺はマジ海の模様、不明。

*霧姫とおえんは水野久美の二役、遊行僧に佐藤慶で不動明王の真言唱えたりする。遠藤辰雄の旅の商人は上方言葉、おえんに言い寄るヒヒ爺で川で水浴びなんかしている。

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第47話「呪われた美女

 お広を襲う霧姫の段から再開、その場は遊行僧の守仏で難を逃れるが、姫とおえんは分離し難くなっており、怨霊を鎮めるには自らを滅する道しか残されていないのだった。

 ロケ地、篠塚の代官屋敷、芦浦観音寺(門内側、参道も使用)。遊行僧に霧姫を祓えないと告げられるおえん、清滝河畔(木の小橋あしらい、自刃も同所)。入水のおえん、琵琶湖か(松原越し)

*殿の寝所を襲いお広とまとめて殺ろうとする姫、代官が持ち出したご先祖の刀(姫を斬ったヤツ)に阻まれるが、表現が笑える→切っ先から怪光線が迸りギザギザ軌跡を描いて姫をビビビ直撃、極太マッキーで描いたみたいな線なの、これが。


第48話「妖異 鬼火ヶ淵の精

 能登・二宮、七尾藩領で起きた白鳥の精と殿様の恋と、のちの怪異譚。妻も娶らずいかがわしいスラムに遊ぶ殿様、或る日スケッチに出た峡谷で一人の美女を拾うが、素性の知れぬ女として側近がこれを密殺。しかし殿は瓜二つの女を拾ってくる。

 ロケ地、殿がおりんをナンパする鬼ヶ淵、保津峡落合(清滝の流れに白鳥イメージを被せる)。いなくなったおりんを回想する殿様のモノローグに被る甍、不明。おりんにそっくりの茜を拾う鬼ヶ淵、落合(茜が泳いでいるのは保津川のほう、巌頭に祠あしらい)。おりん入りの長持をサルベージさせる殿、落合河口州。ラスト、七尾家滅亡後、鬼ヶ淵は笛ヶ淵と称されたが今は…と語り入り現在の落合が映し出される。この際、水遊びのファミリーの向こうに保津川下りの船が見えている。

*殿様・七尾正臣に天知茂、お城では屋根裏とおぼしき秘密のお部屋に籠り切り、おりんの絵姿が飾ってある。コレがちょっとトンデモの見栄えで、女児が描いたような代物。でも茜がこの絵をさすると笛が実体化したり、鍵となる小道具。おりん(茜)は加賀まりこ、スラム住人で殿様に悪い遊びを斡旋する怪しの老人に天本英世。
*イメージの白鳥はコブハクチョウ。
*一話完結。


第49話「悪魔の城

 舞台は甲斐・徳美城、武田家滅亡の折自刃した城主の奥方が祟ると評判のお城。ここで失踪した姉(側室)を探すため潜入する妹、入ってみると姉のほかにも行方不明者がおり、彼女は次々それを見つけることになる。死者を悼む殿様の態度を見た彼女は優しい人と認識、しかし姉の亡霊が枕辺に立ち、城を去るよう忠告してゆくのだった。

 ロケ地、徳美城、彦根城(天守のほか、小萩が登城するシーンに埋木舎前堀端や天秤櫓、観音台の橋や石垣、櫓など各所が使われる)。殿の生母・北の丸へ挨拶にゆくくだり、式台玄関や頼母と行き合わせるくぐり戸等不明。見つかった失踪者の一人の腰元が罪人扱いで埋葬される墓地(城内設定)慈眼堂墓地(南西端に土盛りを作る)
*妹・小萩に武原英子、殿様の伊丹左京勝守に村井国夫、北の丸に月丘夢路、姉と恋仲だった御納戸役に島田順司、怪異な容貌の絵師に金田龍之介。恋人に見返られたとクサり、投げやりな島田順司がけっこうハマる。

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第50話「霧の夜の恐怖

 遂に姉の死体を見つける小萩だが、北の丸に怪しまれる。その御母堂の頬にざっくりと痛ましい刀傷あり、見つかった惨死体にあったものと同じで謎が深まる。また、母を絶対視する殿様の言動に綻びが見え始める。

 ロケ地、小萩が花摘みの庭、不明(このあと猫の声に導かれ姉入りの氷室発見、入口はセットかロケか不明)。姉を含め三つになった土盛りの前で手向けの笛を吹く殿様、慈眼堂墓地。姉の恋人だった佐田が全ての殺しの下手人として刑場に引かれるシーン、櫓は彦根城か。彦根城はラスト当地を去る小萩と頼母のくだりに出てきて、戒められ番士が立つ城門を見るシーンに天秤櫓

*小萩を助けてくれる頼母が正体を現すシーンが傑作(鬘はがして上衣脱ぐと忍者スタイル、以降言動もきりっと変化)。殿様が狂乱の態を見せる瞬間、顔が赤変するのも笑える。それまで憎さげで何もかも裏でコイツが?の御母堂、小萩を伽に送り出したあといささか唐突な感じで豹変、健康で明るいあの娘なら息子の心も溶けるかもと期待したり…結局息子の悪行を覆い隠していたワルい人ではあるんだけど。


第51話「鬼門櫓の怪

 弟の変死で急遽婿をとりお国入りの姫、間もなく夫も怪死し衝撃に声を失う。そして懐妊中の姫自身に伸びる怨霊の手、しかし遺骸を探し当て伏して詫びる母の姿に霊は去ってゆく。

 ロケ地、お国入りの姫の行列、雪嶺を望む野は不明、城門は芦浦観音寺参道(残雪)、天守は鶴ヶ城(お国入りシーンはオープニングの背景映像)。怪しの琴の音を確かめに行き不明の千草を探す腰元たち(庭)、芦浦観音寺内部か(萱葺?屋根と大刈り込み)

*舞台はは弘前城、丑寅の櫓に変事が起こり、怨霊発生の因は抜け穴建設の際の、姫の父の無体。
*姫に高田美和、母の芳雪院に木暮実千代(仏壇に呟く姿や、横穴に現れるのも怖い。怨霊じゃナイのに)。
*怨霊は大和から呼んだ名工設定ゆえか水干姿、娘のなりは戦国〜江戸初期ふう。
*一話完結。


第52話「影のない女

 百年の時を越えて結ばれる恋人たちの魂、非業に死んだ姫の面影を映した観音像は、姫の恋人に酷似した仏師の手により顕現する。

 ロケ地、羽後の国を旅する仏師・友次郎、琵琶湖(西岸の葦原、大きめの川の河口部で遠景に八幡山。旅僧に声を掛けられる道標は、はっきり流れのある川辺)。僧に示された方向へ行き辿り着く館、下鴨神社河合社(導入は裏塀、友次郎が開ける扉は不明)。不気味な老婆宅で鎧武者を見て逃げ出す友次郎、下鴨神社泉川畔〜糺の森。像が完成し姫が消えた直後館内から切り替わって野末の塚、下鴨神社池跡。このあと琵琶湖畔に切り替わり、老婆が去ってゆく遠景に沖ノ島や高島の岬。

*仏師は大出俊、百年前の姫の恋人と二役。小夜姫は古城都、寛政期まで生きてる百年ものの老婆で姫の侍女に高森和子。この婆さんが時空歪ませて友次郎に姫の幻を見せ呼び寄せた設定。酒井氏の館は羽後・赤尾津。


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