54〜70話
キャスト
金さん(北町奉行遠山左衛門尉景元)/杉良太郎
お京(密偵)/水沢アキ
秀駒(芸者)/二宮さよ子
甚兵衛(蕎麦屋・長命庵主人)/村田正雄
お初(長命庵看板娘)/三浦リカ(-56話)
赤目玄蕃(南町同心)/岸辺シロー
花川戸の新八(赤目付岡っ引)/植田峻
青木紋十郎(北町筆頭与力)/伊東四朗
第54話「殺しを呼んだ千社札」1976.10.14
過去を秘めて生きる職人が抜け荷一味に悪事を強要されるが、健気に亭主の無事を祈る女房を案じた金さんとお京の働きで回避。禁制品の入札に使う小道具が千社札で、版木職人が狙われる次第。語呂合わせで長命庵の名前が使われたりする。
ロケ地
・裏取引の千社札が貼られる神社、吉田神社竹中稲荷本殿。
・職人を張り込むお京、子らに絵本を読んで聞かせる道端は大覚寺石仏前、怪しい男に連れて行かれる職人は放生池堤、悪事を強要されるのは天神島。
*職人は山本紀彦、女房は鮎川いづみ、抜け荷の悪徳商人は神田隆で手代は中島正二。ラス立ち福ちゃん入り、用心棒のセンセイで恐竜プールに叩き込まれ。
第55話「背信」1976.10.21
親の言うなりで好いた芸者を泣かす、優柔不断で頼りないことこの上ない富商の若旦那。彼にはしょっちゅう神隠しに遭うという奇癖があったが、それには思いもよらぬ秘密が隠されていた。
ロケ地
・辰巳芸者・沢千代が信心する愛染さま、赤山禅院本堂。
・秀駒と釣り船を出す金さん、広沢池(入水した沢千代を引き上げるのは東岸、早期発見で助かり)。
・若旦那が沢千代にやった櫛を狙ったチンピラが、金さんにシメられたあと消されて見つかる汀、広沢池東岸汀(追っかけてきた金さんは堤の並木)。
・青木さまが櫛の出所を確かめにゆく加賀藩上屋敷、大覚寺大門。
・惣吉の引き回しがゆく道、赤山禅院参道か(お参りの沢千代のうしろを通る趣向、別撮りを組み合わせ?)。
*沢千代(おさわ)は岩井友美、若旦那の惣吉に大丸二郎(二ツ名は怪盗むささび)。
第56話「可愛い女」1976.10.28 5
髪結いの亭主が女房の命を狙うと見えたは誤解、凶悪な賊が錠前破りを迫る脅し。いじらしい女を見た金さんは、御金蔵破りの現場に踏み込み亭主の犯行を未然に抑える。
ロケ地
・一味に加わることを断った錠前破りを殺してきた浪人とすれ違う釣りの金さん、広沢池東岸。
・髪結いのおせんがお参りの湯島天神、吉田神社。お参りは今宮社、石燈籠が落ちてくる帰りの石段は参道石段(端っこに交互に燈籠をあしらい)。直後亭主が現れるのは大本宮へ行く坂。
・亭主に女郎だったと告白し入水しようとするおせん、中ノ島橋たもと堰堤脇、亭主が去るのは橋上。
*おせんは鳳八千代、亭主を脅していた賊の首領(表の顔は善人の口入屋)は遠藤太津朗、一味の凄腕浪人に千葉敏郎、エンタツの手下に平沢彰や井上茂。*立ち回り後金さん珍しくグロッキー、肩で息←一味に浪人多数、しかも最後は剣客という演出。*今回で長命庵看板娘・お初退場、花嫁修業のため寿退職設定。
第57話「ギヤマン飾りの女」1976.11.4
冒頭、国防・外交について水野老中との議論が前フリの、異国船に救われ帰国した者たちのお話。国法により罰せられることを逆手にとり、難破から辛くも帰還した漁師たちを脅し娘を売り飛ばし肥え太る悪党どもに、お奉行の特大の雷が落ちる。
ロケ地
・恋人が失踪し荒れる魚屋の千吉が弁天一家と喧嘩する神社、吉田神社竹中稲荷舞殿脇。
・千住宿の飯盛女に売り飛ばされた千吉の恋人が物思いにふけっていると、やり手婆にどやされる水辺、広沢池東岸。
*千吉に志垣太郎、恋人のおれんに渡辺やよい。安房勝山藩代官に武藤英司、代官手付に伊吹聡太朗(クレジットの字は謎)、ヤクザは岩尾正隆。おれんを千住で見たと話すお大尽に北見唯一、遣手婆に新屋英子なんかも。*お白州、悪代官とやりあっててキレたお奉行、請求されてもいないのに証拠を見せてやると桜を出して迫る←代官、後ずさってて縁から落ちるが長袴の裾で風起こして後押しする金さんもナイス。もちろん判決は全員極刑。
第58話「陰謀の銃弾」1976.11.11 6
「陰謀」は長崎奉行のポストを狙った悪企み、「銃弾」は悪党のもとへ乗り込んだ金さんのどてっ腹にマジで撃ち込まれちゃう鉄砲玉。ポスト簒奪で消される侍の一人はお奉行の剣友、悪に対する怒りは二倍増しでぼうぼうと燃えさかる。
ロケ地
・恋人を呼び出してデートの次期長崎奉行に内定の藤堂、赤山禅院本堂脇(絹江がやって来る道に参道、彼女をつけてきた赤目らが出てくるのは拝殿脇)。
・藤堂と約束した茶店で待ちぼうけを食らっている絹江を元気づけるお京、大覚寺大沢池畔に茶店あしらい。
・江戸城イメージ、姫路城天守(幕閣に陰謀ありと言上にゆくお奉行のくだり)。
*内定者二人を消してポストを狙う悪党に菅貫、なんかダルそうなそぶりでしれっと悪事をはたらくのも、白々しい態度もさすがの巧者。つるむ悪徳商人は浜田寅彦、こやつが金さんに銃を向ける。*金さん撃たれちゃって絶対安静、しかし奉行として白州に立たないと菅貫が長崎奉行になりに行ってしまうので、根性で開廷。詰まりながら進むお裁き、ぜーはー言いながらちゃんと桜も見せて「一件落着!」の声とともに崩れ落ち。こんなだから、桜はしまえず出したまま。心配して老中の水野さまも来ているという、珍しいパターン。
第59話「友情」1976.11.18
血の気の多い幼馴染を案じる娘、幼い弟が彼の真似をするのにも心を痛める。諌めにゆく金さんだが、ところの親分が父を殺ったと知った青年は暴発して果てる。
*ロケなしセット撮り。青年は森次晃嗣、彼を憎からず思う娘は市毛良枝、南蛮手裏剣で青年の父を殺しシマを奪った親分は和崎俊也で手下に有川正治。
第60話「裏切りを覗いた女」1976.11.25
父に盗みをやめて欲しくて思い詰める娘、別れさせられた恋人に執を残すが、男の正体は賊より上手の悪党だった。
ロケ地
・奉行所で門前払いされたあと、夜回りの赤目に縋るも袖にされたおえいが泣きながら暗い流れを見つめる橋、中ノ島橋(このあと夜釣りの金さんが浮いているおえいを引き上げるのはセット)。
・訪ねてくるものの何も話さないおえいを追う和七、相国寺大通院南塀際〜鐘楼前(黒犬組一党が出て和七に斬りかかる)。
*おえいの父で黒犬組首領に加藤嘉、賊とつるみ融通させる十手持ちだった和七に藤巻潤、彼に踊らされおかしらを裏切る一味の男に木村元。
第61話「浪花の仇を江戸で討て!」1976.12.2
般若面の辻斬り強盗現ると聞き動揺する煮売り屋台の親爺、その後身持ちの悪そうな浪人が相次いで殺される。そして明らかとなる大坂での連続強盗殺人、親爺は一人息子を殺されており、仇を求めて江戸へ来ていた。
ロケ地
・白州へお出ましのお奉行が通る廊下、大覚寺宸殿廊下。
*屋台の親爺に大村崑、残った仇に吶喊をかます悲壮な役まわり。金さんは瀕死の彼に身分を耳打ち、親爺は安堵のうちに逝く。悪党は四人組、食い詰めた二人が危険視され始末される運び。
第62話「八万石の闇を撃て!!」1976.12.9
勘定奉行を暗殺した我が子を銃殺せざるを得なかった鉄砲方は武士を捨て江戸に暮らすが、腕を欲した国家老のオファーが来る。狙撃の相手は奸物で彼の倅を扇動した張本人と吹き込まれるが、国家老こそ藩金を濫費し国を疲弊させた悪党なのだった。
ロケ地
・荒垣重兵衛の息子が処刑される野、大覚寺天神島(幔幕めぐらせ、罪人をくくった杭は嵯峨帝碑の前にあしらい)。
・江戸で植木職人となった荒垣がいい加減な剪定をする奉行所の庭、相国寺放生池畔(バランス崩して池ボチャ)。
・荒垣が断りを入れにゆく真壁藩上屋敷、相国寺大光明寺(門番は峰蘭太郎)。
・帰り道の荒垣に藩命と迫る徒士組の藩士、大覚寺天神島(金さん介入)。
・真の敵を知った荒垣が藩邸へ走る道、相国寺大通院塀際〜大光明寺南通用門(こじ開けて押し入り)。
*荒垣重兵衛にハナ肇、国家老は稲葉義雄、実は正義派だった元勘定奉行(荒垣の息子が斬ったのは前任者)に大友柳太朗。*息子を銃殺した夫に含むところある内儀、ラストに彼の撃ったのは空砲とお奉行が明かす趣向。
第63話「愛と憎しみの果て」1976.12.16
三年の間にあいた、原因不明の大穴に困り果てる勘定奉行。金の動きはよくある横領で動機は怨恨、ドラマは血の繋がらぬ娘に対する父の感情を不思議なタッチで描く。
ロケ地
・勘定奉行・田河内膳正邸、大覚寺大門内外。
*勘定方組頭に根上淳、娘は瞳順子、勘定奉行は花柳喜章。
第64話「引き廻しの女」1976.12.23 6
前奉行が死罪と裁可を下した強盗致傷の女、どうにも疑問なお奉行は処刑を延ばしのばしにしてきたが、大目付からやいのの催促にとうとう強攻策。出てきたのは義民の父を死に追いやった憎き賊どもを狙う、意志強き母子だった。
ロケ地
・刑場へ向かうおさんの引き回しに乱入し奪い去る金さん、下鴨神社糺の森(青木さまと気を合わせて/おさんを乗せた馬に乗りタンデムで逃げ去るのは馬場)。
・匿う用意の小屋はちょっとした起伏の上、44話「心の旅路をたどれ」で出たのと同じ。近付く町方を小屋の羽目板から覗く際見える風景は下鴨神社泉川畔、合成か板を置いての撮影か。小屋から出て町方を引き付ける金さん、小屋近くには池、そのあと逃げるシーンに石段二種類(様態は智積院大師堂付近に似る)。この隙におさんを連れて船で逃げるお京、広沢池北岸。小屋のくだり、設定は千住河原。
*おさんに紀比呂子、母のおしげ(人柱のおたつと二ツ名)に稲野和子、金の大黒を所持する元盗賊は岡田英次。*ハラキリ芝居を止めて貰えないなど笑える青木さま全開、佐野屋潜入ではピッキングや蔵の格子切りなど大活躍、妙なことに堪能と判明。
第65話「りんどう花が嵐を呼んだ」1977.1.6
拳法使いの殺し屋が江戸に出現、こやつを父の仇と狙う娘は手がかりを得るため、肌に刺青を施し賭場で壺振り。母と許婚者とともに相対するが、殺し屋だけに卑怯にも人数を繰り出してくる。もちろんここへ桜吹雪、蹴り入れて勝つものの鉄拳を受けた腕がちょっとゴキっと。
ロケ地
・阿波地大輔の浪人を暗殺する林堂、赤山禅院本殿玉垣際。
・林堂がふみの父を闇討ちした一ノ関城下、相国寺鐘楼前。
*拳法VS柔術なので、格闘家出まくり。林堂に殺された柔術家の娘はマッハ文朱、母は高田敏江、許婚者は矢吹二朗(なぜか渡世人)、林堂は石橋雅史(顔に派手な傷入れてメチャ怖、立ち回りもハデハデ)。
第66話「危険も二倍の賭けで死ね!」1977.1.13
芸者を落籍すためや博打に使う金欲しさに、死一倍の手形を切る若旦那たち。もちろんそんなウマい話は転がっておらず、彼らの父には殺し屋が放たれる。やばいヤマを踏んだとうろたえる坊ちゃん方には金さんの鉄拳制裁、阿漕な香具師の元締にはとんだ釣り餌。
ロケ地
・叶屋の大旦那の死体検分、嵐山公園・中ノ島橋上手中州護岸法面(中州南岸・堰堤際、橋は映らず)。
・金さんに殴られたあと相模屋の若旦那がふらふらと歩く水辺、大覚寺放生池堤。
・相模屋暗殺をしくじった三下が始末される船着き、大覚寺大沢池船着き(小)、池にドボン。その三下の死体が上がる堀端、大覚寺大沢池溢水口(見物の町衆は大沢池木戸にたかる)。
*博打はやる芸者を落籍す話をしている若旦那の芝居で香具師を釣る金さん、カマっぽい若旦那ぶりが傑作。相模屋親子は太田博之と小栗一也、香具師の元締は永井智雄。
第67話「逢いに来た女」1977.1.20
女房になりたいばっかりに悪党の手伝いをする女、金さんが尽くし甲斐が無いと忠告した、その通りに始末される哀れを描く。
ロケ地
・秀駒とデートの金さん、今宮神社本殿前。
・その後不似合いな男女を見る新川沿い、広沢池畔か。
・その二人を尾行するもお京がやって来て失敗の水辺、大覚寺放生池堤。
・なお追うとゴロツキの襲撃、大覚寺天神島祠前。
・金さんを細工場へ連れてゆくおしま、冒頭の水辺と同じ・水門の傍らにヒミツの入口(鎖を引くと現れる)…水辺のヤナギの具合はやはり広沢池に似る。
*おしまは桜町弘子、はじめは金さんに色仕掛け。その旦那の唐津屋は早川保で、お白州では悔いて泣く。黒幕の唐津藩用人は睦五郎でこちらは文句なしの外道。*悪党どもが金さんを遠山の隠密と勘違い、この線で「金さんが遠山様?」のどっきりネタも。
第68話「いかさま稼業」1977.1.27 6
狼藉を働きまくる旗本の冷や飯食い連中、裏にはとんでもない陰謀。乱暴者を預からされ、老中暗殺の企てに否応なしに引きずり込まれる道場主を、金さんの大芝居が救う。
ロケ地
・乱暴旗本連が巣食う田之上一刀流道場、相国寺光源院(仏殿跡林間から植え込み越しに見る構図)。
・金さんが作った「田野上一刀流道場」に怒った道場主の田之上が、田野上の代表者・赤目に果し合いを挑む竹中稲荷、吉田神社竹中稲荷(立ち合いは本殿前)。
・老中・松平定信の寛永寺参詣を襲う旗本たち、赤山禅院参道(旗本は参道脇の林に潜み、わっと出る。駕籠には金さんでラス立ち、乱闘シーンで総門も映り込む)。
*良心の呵責に苦しむ道場主は亀石征一郎、妹は本阿弥周子。旗本たちを追い使う寺社奉行は北原義郎で黒幕の若年寄は川合伸旺。
第69話「お白州に小判の雨が降る!」1977.2.3 6
千住の長者の遺産を巡る大騒ぎ、子供たちの心底を見届けようとした長者は地獄絵図を見せられる。欲深者たちが狂奔しだすと、ちゃらちゃら馬鹿囃子が聞こえてくる仕立て。
ロケ地
・北町へ投げ文してきたおりんが帰ってくる道、不明。
・長者の墓、不明(山際、小さな池も見える)。
*長者は神田隆、白州に持ち出された早桶から狂気の態で小判を取り出し撒くのがタイトル。争いを嫌う長者の娘・おりんは渡辺やよい、番頭は柴田p彦。長男次男にくっつくヤクザに五味竜太郎と汐路章、長者に芝居を頼まれた医師は永田光男、不気味な拝み女に新屋英子。
第70話「帰って来た男」1977.2.10
婿がねが妬みを受けるほどの娘の縁談に射す暗い影、良かれと富商の軒先に我が子を捨てた島帰りの親爺が遠い昔仲間に寝物語した秘事はとんだ強請りネタに。命を賭して娘の幸を願う老爺に、遠山奉行は全てを呑み込んで虚言を事実認定する。
ロケ地
・北町奉行所、大覚寺明智門。
*越後屋の娘の「実父」は島田正吾、娘のためにする行為は全て涙なみだの泣き芝居、「赤城の山は」とか聞こえてきそうなそれに合わせた杉良のからみが見もの。富商を強請る親分は郡司良、恐喝ネタを提供したチンピラは伊吹聡太郎。
遠山の金さん 表紙
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