第1話「情けの忘れ雛」1976.10.4 八州に斬られた男に形見を託される市、行ってみると色と欲がらみの陰謀が判明。こんなのを生かしておいては男の妻子が幸せになれない、と市は呟く。 ロケ地、弥吉が八州に斬られる高幡宿街道筋の茶店、流れ橋下にセット(弥吉の「罪状」が橋脚に張り付けられる)。友部宿へ向け歩く市、木津堤。弥吉の娘・おかよと出会う路傍の石仏、木津堤降り口。八州の「成敗」は流れ橋上〜木津河原。 第2話「父恋い子守唄」1976.10.11 父の店へ向かう子には刺客、養父を実父の仇と狙う兄に心痛める妹。ゆきずりの市はもつれたしがらみを断ち切り、去ってゆく。 ロケ地、旅に病み死んだ女から坊を託される市、保津峡落合(一部別の可能性あり)。坊が蜂の巣にいたずらし「蜂のおじちゃん」と出会う茶店、大内辻堂脇にあしらい(大内道が街道設定で旅人がゆく。登りにかかる道に赤土露出)。岸田森の殺し屋(風体は行商人)に声を掛けられる道、不明。眠ってしまった坊をおぶい行く山道、不明(彼方に里)。頭に柿を乗せて叩かせる大道芸のいる神社(紬一家のおりんが「座頭市」に声をかける)、藪田神社境内(狛犬脇)。蜂のおじちゃんが斬られて逃げ込んでくる水車小屋、不明(セットか/浪人と市が睨みあいのシーンで背後に小川)。実は紬一家の大親分だった蜂のおじちゃんの隠宅、不明(大きな萱葺)。坊をさらった一味と対決の神社、廣峰神社(参道、本殿前。坊は舞殿にくくられ、浪人は水場の前に立つ)。 第3話「潮来の別れ花」1976.10.18 行き合わせた船で市の手を引いてくれた優しい女、騙され娼婦となった彼女を解放する市だが、その行為は彼女の情夫を斬ることにつながる。 ロケ地、喜三郎が駒芸を見せる我孫子渡しの船、大堰川か。潮来へ着き悪魔祓いの太鼓を聞く市、広沢池東岸。 第4話「月の出の用心棒」1976.10.25 ゆきずりの浪人は光を失いかけていたが元々の剣の冴えから、市のアドバイスですぐに「勘」をつかむ。しかし男の負った宿業は、二人を避けられぬ戦いの場に立たせることになる。 ロケ地、野道水辺ほぼ不明。藪田浪人の回想の御前試合、相国寺方丈か。藪田浪人が斬る相手を告げられる寺、不明(お堂の縁の鼻っ先に鐘楼)。 第5話「牢破りいそぎ旅」1976.11.1. 八州に捕われてしまう市、はじめ自分を「さした」と思った青年が真っ直ぐな好青年と知り、彼の恋の道行きの手助けを買って出る。 ロケ地、市が追われ登った木の下で逢引の仙太郎とおみつ、小山の墓地は亀岡か。市の唐丸駕籠が落ちる谷(危なっかしい一本橋から落下)、保津峡落合。庄屋の息子の婚礼に招かれる芸人たちが待機する神社、藪田神社。相棒を欲しがっていた三河万歳の芸人と一緒に切り抜ける八州の「検問」、本梅川若森廃橋。おみつの花嫁行列がやって来る堤(八州の台詞では松尾土手)、木津堤(長持を大八に載せおみつに合図する仙太郎の背後に茶畑)。八州の岡っ引を斬る市、流れ橋下。恋人たちがゆく橋、流れ橋(欄干をあしらった橋桁から市の船が見える趣向)。 第6話「師の影に泣いた」1976.11.8 母の墓参に赴き師の道場に逗留する市。師には仕官話が来るが大枚の支度金が入用で、融通を頼まれたヤクザは金持ちのお弟子を誘拐という無茶を仕出かし、誰も彼も奈落の底に叩き込まれる仕儀となる。 ロケ地、冒頭とラストの麦畑、亀岡盆地か。市が渡世人に仇とからまれる茶店(竹の宿茶店)、丹波国分寺門前にあしらい。市を伴い道場へ帰る師、国分寺裏手。道場の塀、民家塀。道場へ来た弟子がヤクザにさらわれる小道、民家塀際。兄の仇のけじめをつけにやって来た渡世人に伏して許しを乞う市(道場傍ら)、民家塀際。師が金を渡すとヤクザに呼び出される羅漢の森、下鴨神社糺の森、池跡(木の根方に石仏あしらい)。 第7話「わらべ唄が聞える」1976.11.15 腕を落とされたヤクザが市に殺し屋を差し向ける。それは二人組で親子、娘は狂女を装い市にまとわりついて隙を窺うが果たせず、暫時道連れの旅が続き「市を倒し」て金を貰う段で市の予言通りヤクザの裏切り、血煙のあと娘は印象的な別れの言葉を残し去ってゆく「じゃあね」。 ロケ地、狂女と道連れの野道等不明。市に食事を奢り陰で娘とツナギをとる父、料理屋は広沢池畔か。船を出すもまた戻ってしまう浜辺、間人海岸(別れのシーンで背景に繋留島)。 第8話「雨の女郎花」1976.11.22 川止めの宿、市は旅の男との約束なんて信じないと言う飯盛女に会う。言葉と裏腹に女は心の隅で男を待っていたが、事終わり市も侍も去ったあと元の日常が戻ってくる。 ロケ地、船着きや宿はずれの子安地蔵、大堰川河川敷(河畔林は竹)。 第9話「見えない涙に虹を見た」1976.11.29 懐かしい幼馴染と行き会う市、悪童どものマドンナだった娘は羽振りの良い蕎麦屋の息子に嫁いでいたが、男は博打に狂い尾羽打ち枯らしたうえ女房を借金のカタに取られかけていた。難なく追っ手を散らす市だが、彼らはところの親分に助けを求め大出入りに発展してゆく。 ロケ地、街道筋等不明。ラスト、市に追いついてくる二人、大内辻堂を裏手から。 第10話「娘が泣く木枯し街道」1976.12.6 冷夏で凶作、食えない百姓は泣く泣く娘を売るが、待ち構えているのは悪辣な魔手。騙され娘を売った金を失った老父は縊死、理不尽に怒り娘を取り戻す市だが、悪者はネットワークを張り巡らせ再び手を伸ばしてくる。 ロケ地、野末の塚や小川等ほぼ全て不明。 第11話「風に別れた二つ道」1976.12.13 家を飛び出した百姓の倅はヤクザになろうとするが、縋った親分は外道。よりにもよって市相手の出入りに駆り出されるが、青年の本性を知る市は見逃してやるほか「思い知らせ」、家へ帰るよう諭す。 ロケ地、仁吉が娘に無体をはたらく庄屋の息子をとっちめる祭りの神社、大覚寺五社明神。仁吉の家や里、不明。桐生、吉蔵が仕切る絹市、丹波国分寺(六蔵の手下が中を窺うのは礎石際の塀、失敗して帰る仁吉たちは西側外観)。吉蔵を狙ってやって来る六蔵一家と渡りあう砧の森、下鴨神社糺の森・河合社裏手。桐生を去る市がゆく野道、平の沢池中堤か。 第12話「金が身を食う地獄坂」1976.12.20 昔馴染みの座頭と出会う市、のっけから嫌らしくを借金取り立てるゴンちゃんは権高な外道、ヤクザとつるみ人を泣かせている。善人面が癪にさわると市を狙わせるが、刃は自分に返ってくる。 ロケ地、誘拐されたゴンちゃんの妻子を取り戻しにゆく針神社、不明。 第13話「母の涙に市が走った」1976.12.27 口喧しいものの優しい武家の老女と道連れになる市、彼女の息子は藩随一の遣い手なるも才を発揮する機会を得られず、人斬り稼業に身を落としていた。 ロケ地、田畔や野道、不明。賞金稼ぎのちんぴらにハメられた兄とともに野寺に隠れる旅籠の下女、丹波国分寺(門越しに本堂を望む図や、石仏越しに境内を見て立ち回りなど。地面に色づいた銀杏の葉が散り敷く)。 第14話「雪の別れ路」1977.1.10 己の色香に誘われた女を売り飛ばす「苦み走ったいい男」、口説き文句も同じなら気を惹くために渡す櫛も同じものをたくさん持っている、とんだ色悪。一人を女郎屋に放り込んだ直後、三年前にコナをかけたまま放置していた女を見る。 ロケ地、何度か出る河畔、谷川は清滝で広河原は大堰川か。野道にははさ木が散見される。 第15話「仕込杖が怒りに燃えた」1977.1.17 女の美貌は男の劣情を誘い、持ち主をむごたらしい運命に叩き込む。亭主を斬った市を恨みもせず、共に暮らそうと言ってくれた女の、あまりに無惨な死にざまに、腹の底から静かに怒る市だった。 ロケ地、印旛沼、広沢池東岸(水無し。最初に刺客が来る際の足音や、斬った赤鯰の顔を踏みつけ泥に沈めるなど、ぬかるみを効果的に使う)。このほか、おしのが米を研ぐ沢は西岸の養魚場っぽい。おしのが米搗きに行く庄屋屋敷、不明(特徴のある虫籠窓、見たことある気がするけど写真撮ってきてナイ)。悪さをした庄屋を懲らしめた市と連れ立って帰るおしのが庄屋の触れた跡を拭う滝、菩提の滝(後段、坊がヤクザに見つかってしまう段でも出て、滝上で男がにまっと笑う)。村の情景、お獅子がゆく鎮守の参道(畦道に鳥居が二基)や木橋、不明。赤鯰一家、走田神社社務所。おしのの骨箱を携え、坊を連れて海辺をゆく市、琵琶湖西岸汀。 第16話「駆込み道中ふたり旅」1977.1.24 足抜き女郎を匿い道連れとなる市、追手をかける親分は過去に市と因縁のあった男、兄弟分の助勢を得て大人数を繰り出してくる。縁切寺へ行くという女を送り出し、市は壮絶な血煙を上げる。 ロケ地、女郎を匿ったお堂で一夜を明かした市が女の衣を着て出てくる山門、丹波国分寺(はさ木のある道で衣を被いで女歩きの市に野良の百姓が寄ってくる。衣を剥がれて男とバレてからは例のコミカルな足取りに)。女郎が見つかってしまい、仕込を振るい追手の髷を落として追い払う林は広沢池北西岸(水無し。岸辺に卒塔婆をあしらい、女郎たちの塚にしてある)。助っ人が続々とやって来る渡し場、大堰川河原か。調子のいい老船頭に頼んで船を出してもらう岸、琵琶湖西岸河口州(ここでラス立ち)。 第17話「母子道に灯がともる」1977.1.31 仏と言われた親分が殺され、遺族は旅籠を営業するもひどい妨害にあう。女将は気丈に耐えるが、坊はそんな母を歯がゆく思っていた。 ロケ地、大田原宿へ向かう市が鮒吉坊につきまとわれる道、亀岡か(はさ木の畦道や小丘)。宿を出た市が別れに際し坊を諭し戒める道、七谷川河畔林傍か。荒牛一家に小突き回された坊が奸計に乗せられヤクザを刺してしまう水辺、広沢池東岸。宇兵衛が女将の急を告げ市に縋る野道、亀岡か。 第18話「酔いどれ川」1977.2.7 昼間からできあがっている酒肆の女将は訳あり、誘い込まれるままその店へ行った市は女の悲しい境遇を見る。 ロケ地、市が竹馬で渡る川、大堰川河原か(石礫粗し)。お竜会いたさに島抜けし街道をゆく弥之助、広沢池北西岸田畔。 第19話「越後から来た娘」1977.2.14 欲望のため己の罪を人に着せようと企む八州と地回り、若い恋人たちに市が渡した心尽くしの小判は外道どもが仕込んだホットマネーだった。 ロケ地、越後から来た娘と市が宿をとれず彷徨い見つける小屋、広沢池北西岸(水無し、水脈が見えている)。市に金を貰いうきうきと馬を受け出しに走る馬子と娘、西岸。冒頭とラスト市がゆく田畔や野、亀岡盆地か。 第20話「いのち駒」1977.2.21 賭け将棋で不正をはたらき大金を巻き上げるヤクザ、ハメられた市の馴染みは縊れて死ぬ。次なる的はお大尽、江戸から勝負師を呼んでの大一番にも黒い手が忍び寄るが、目論見ははずれ血煙が上がる。 ロケ地、「上州名人」藤兵衛の屋敷、民家門。周辺の野、亀岡盆地か(山なみは冠雪し枯野。江戸から宗達がやってくる道には欄干の無い素朴な木橋が架かる。河畔林らしい林も見える)。 第21話「契り髪」1977.2.28 市の仕込みによって断たれたかに見えた女の悪縁、しかし彼女の男が赦免され帰還、新しい暮らしをはじめた女のもとへ。市との日々を失いたくない女が求めて施した仕込みの封印は、そのとき解き放たれる。 ロケ地、雪の海辺、琵琶湖岸(石積みの突堤に灯台あしらい、遠景にエリが見える)。川で染布を晒すおよう、大堰川河原。 第22話「浪人子守旅」1977.3.7 後継が生まれた途端蔑ろにされた婿養子は憤慨、赤子を連れて家を出る。曲折あって子は返し己は一人で生きていこうとした矢先、薄汚い欲望の横槍が彼の命を奪い、市は泣く赤子を抱いたまま大立ち回り。 ロケ地、文無しで家出し市の握り飯を盗った男女が駕籠舁きにからまれる街道、大内辻堂前。その男女に財布を盗られた侍が宿代を稼ぎに行く道場、この民家に酷似するも細部が違う。ヤクザにさらわれた赤子を脇からかっぱらった男女、農夫に山羊の乳を貰い走る男、民家脇(同所で赤子を捜しに来た市とばったり。隠れている物置小屋はこの民家脇のごく小さな谷地田に)。侍に貰った金で飴売りをはじめていた男女に赤子を託す市、大内辻堂前。 第23話「幽霊が市を招いた」1977.3.14 いちいち市に噛み付く狂犬のような渡世人は実は市に誼を通じたがっていて、背に負った刺青のいわれを聞いて貰い再会を期して別れる。約束の花祭りの在所を訪ねた市は、不可思議な気配を感じる。それは恋しい男のむくろの在り処を知らせる、幽冥からの呼び声だった。 ロケ地、河畔に猫柳の芽ふくらむ川をゆく渡し舟、大堰川か。街道筋、むくろの転がる下津の野原、亀岡盆地か。 第24話「大利根の春はゆく」1977.3.21 貰い乳をした女の墓に参る市が出会う人々、借金のカタに市に押し付けられた女と、病み付き虚無に陥る浪人。女は腐れ縁の亭主のもとに帰ってゆくが、病篤い男は市への刺客となり死場所を得る。 ロケ地、利根の渡し場と以降の川端、琵琶湖東岸の汀や湖畔林(東岸と判断した理由は、河口州越しに見える三上山や八幡山)。市の在所の寺、丹波国分寺(門のほか境内、本堂裏手が使われる)。 第25話「帰って来た渡世人」1977.3.28 抗争相手を殺め草鞋を履いた兄、養子に出され今や代官所手付となった弟。久方ぶりに故郷へ帰って来た兄は、他ならぬ弟に追われる仕儀となる。弟は家を出されたことを恨みに思っており、出世のため抗争相手のヤクザとも通じていた。 ロケ地、弟が貰われてゆくのを見送る兄の回想シーン、大堰川堤内地。 第26話「鴉カァーとないて市が来た」1977.4.4 空っ風の宿場では、二人のヤクザが酒肆の女将をめぐり対立。誰の得にもならぬ馬鹿げた争いに、市と「虫のダンナ」がちょっかいを出す。 ロケ地、赤牛と鮫五郎が出入りのススキっ原、酵素河川敷。事後、市に別れの言葉を投げる虫のダンナ、亀岡盆地か。 第27話「旅人の詩」1977.4.11 旅の途にある大前田英五郎と市の邂逅を描く。互いに尊重しあう二人、降りかかった火の粉を払い斬り抜けたあと男たちは別々に歩み出す。 ロケ地、京屋が寄り合いの寺、不明(石段の上にお堂、内陣は神光院中興堂に似る)。京屋が英五郎を待ち構える六兵衛の葬儀(埋葬)、不明(丘陵地)。お竹を看取ったあと、沈む英五郎の気を引き立たせるため祭りの境内でおどけて踊ってみせる市、鳥居本八幡宮。温泉に入る二人を襲う白銀屋の人数、広沢池東岸(温泉の小屋あしらい)。 第28話「上州わらべ唄」1977.4.18 義民の父が処刑されたあとも娘は遺志を継ぎ、子らを預かり育てる。ところの親分が妨害に来るが、市が通りかかり逗留してしまうのだった。市に反発する少し年かさの金太坊の、揺れる感情をからめる。 ロケ地、儀兵衛の処刑、大堰川河畔林脇か。儀兵衛が残した渡船、大堰川か(子らが岸から牽き、おひさが棹を操る)。金太坊の実家(母は春をひさいでいる)、民家各所(里の情景にも出てくる。付近の谷地田も使用か)。 第29話「終りなき旅路」1977.4.25 雨に降られ飛び込んだ宿で出会う奇妙な浪人夫婦、妻女にお貰いをさせ自分は日がな暇を持て余し端座する男、操まで投げ出し夫を支える妻。彼らが負う責務は仇討ち、守り続けた武士の一分も空しく頓死の憂き目を見る。市の振るう仕込も今回はやるせなく空虚。 ロケ地、お貰いをして歩く妻女に話を聞く市、松尾下手の堤か。荒磯の親分が住む人里離れた一軒家、大堰川畔か。阿呆陀羅経で門付けして歩く「医者」に訳を聞く市、不明(舞殿に腰掛け、背景に殿舎と社務所様の建物)。仇だった荒磯の親分が逃げ出す葦原、見失った夫婦が佇む河原、大堰川と思われる。ラスト、市がゆく街道、大堰川堤道か(水たまりだらけ)。 →座頭市覚書 |