家光と彦左
マキノ正博監督作品 1941.3.26東宝
天下の御意見番・大久保彦左衛門と三代将軍・家光の、主従を越えた情を描く。
神君を背負い戦場をゆく彦左、大坂冬の陣・夏の陣のイメージのあと、世も治まった秀忠の治世からお話がはじまる。
世継問題の評定が国松ぎみと決しかけたとき、どすどすと場に現れた彦左は切腹して神君に詫びるとパフォーマンス、秀忠の情に訴えて竹千代ぎみ擁立に漕ぎつけるが、この件は本多正純に遺恨を残す。
時移り家光の治世、優秀な官僚に支えられてきぱきと政務をこなす家光が嬉しくもあるが、年老いた彦左には居場所はなく、疎外感に苛まれる。元気のない彦左を気遣う家光は、天海僧正の入れ知恵でまだまだ意見せねば危なっかしい若様を演じ、彦左に怒られてみせ「孝行」。そんななか日光東照宮が竣工、彦左は異例の沙汰で名誉ある参詣道中の供先を仰せつかり最後の御奉公と「ハリキル」が、立ち寄り先の宇都宮城では本多正純が忠長公を将軍位につけるべく家光暗殺計画を企んでいた。
正純の家臣・河村靱負のはからいで吊り天井の危機からからくも逃れる主従、責任を痛感し供先を遠慮し身を引く彦左に、家光は死を禁じる旨言い渡し去ってゆく。遠のく行列に「和子」と万感の思いで呼びかける彦左で幕。
ロケ地
・大坂の陣の戦場、不明(饗庭のような丘陵地)。
・江戸・千代田城イメージ、三国濠端から見た姫路城天守、大坂城大手、姫路城天守見上げのアップ。
・竹千代ぎみが弟の国松ぎみと遊ぶ城のお庭、天竜寺(大方丈西縁から見た曹源池、曹源池北西畔から見た大方丈などのアングル。西縁も使われる)。
・街道風景、家光将軍宣下を受け上洛の道、日光参詣の道等不明。一部川堤も見える。
・彦左邸、不明(セットの可能性あり、母屋は萱葺き)。
・宇都宮城、伊賀・上野城天守。
*家光は長谷川一夫、本多正純の忠臣・河村靱負も演じ、吊り天井の段では「船弁慶」の後シテ・知盛を舞う。彦左は古川緑波、吊り天井の段でお芝居と思い込み一人のんきに笑うくだりがさすがの巧者。知恵伊豆は黒川弥太郎、本多正純は清川荘司。
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