1998CX
キャスト
秋山小兵衛/藤田まこと 秋山大治郎/渡部篤郎
おはる/小林綾子 佐々木三冬/大路恵美 嘉助/江戸屋猫八
おもと/梶芽衣子 弥七/三浦浩一 傘徳/山内としお
生島用人/真田健一郎 田沼意次/平幹次郎
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第1話 「父と子と」 1998.10.14
田沼意次邸の剣術試合で七人抜きをしてのけた大治郎に、奇妙な依頼がくる。腕を叩き折って欲しい相手は他ならぬ田沼の娘、彼女が大身旗本の息子を婿とするにあたって付けた条件「自分より強い人でなくてはイヤ」が起こり。倅・大治郎から話を聞いた秋山小兵衛は、田沼の妾腹のお転婆娘・三冬を尾行し、彼女の危機を救う。そして三冬が旗本の若様を散々に打ち据えた試合を見分した帰り道、秋山父子は旗本に雇われていた用心棒に立ちはだかられ、果し合いを受けるのだった。
ロケ地
・大治郎が七人抜きの試合会場・加賀町の田沼中屋敷、大覚寺大門、宸殿前白州。
・おはるに櫓を使わせ大川を渡る小兵衛、西の湖(狭い葦原の間、太鼓橋)〜橘寺前の畑と水面を合成した画。このあと出てくる大川の情景も同所。
・大治郎におはるとの関係を告白した小兵衛がおはるといちゃつく堀端、八幡堀。
・鐘ヶ淵を望む寺島村の小兵衛隠宅、酵素民家セットと周辺。
・浅草元鳥越の旗本・永井和泉守邸、大覚寺大門(夜景、田沼邸とはアングルを変えてある)。
・永井邸の賭場で探りを入れていた弥七を襲う用心棒、随心院土塀。
・三冬の身の上を小兵衛に告げるおもと、大覚寺大沢池北西畔に茶店セット(背景に心経宝塔が大きく映る)。
・和泉屋を出たあと上野山下で浪人たちに襲われる三冬、大覚寺護摩堂脇〜五社明神。
・根岸の和泉屋寮へ足を引きずって辿りつく三冬、中山邸門。
・真崎稲荷の道場へ小兵衛を訪ねて来た三冬を父の隠宅へ伴う大治郎、船を下りたあとゆく川端は広沢池東岸(池水は半ば抜かれた状態、三冬を送り届けたあと刺客とやりあうのは北岸、遠景に団体所有の民家を映し込む)。
・三冬が永井の若様を打ち据えたのを見届けた秋山父子に立ちはだかる永井の用心棒・浅田虎次郎、随心院土塀。場所を移しての果し合いの草原、琵琶湖畔の湖成三角州の葦原か。
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第2話 「井関道場四天王」 1998.10.21
三冬の通う道場で持ち上がる後継者を巡る騒動、酒癖こそ悪いが腕も立ち磊落な剣客が密殺される。小兵衛は田沼の意を受けて三冬と芝居を演じろくでなしが後釜に座るのを阻止、大治郎は友となった剣客の仇を「剣術の神様」の代わりに討ち果たす。
ロケ地
・浅草寺界隈へ出かける大治郎、喧騒の屋台は今宮神社石橋付近にあしらい、背後に楼門。このあと渋谷寅三郎と知り合うきっかけの暴れ馬騒動はセットへスイッチ。茶店で酒を酌み交わす大治郎と渋谷、真如堂茶所。
・里帰りするおはるを見送る小兵衛、西の湖畔(点景にユリカモメ、鳥の声は行々子…葦原は枯野)。
・隠宅前に出した縁台で寝ている小兵衛の顔を眺める三冬、酵素民家セット前。
・田沼と後継問題について打ち合わせに不二楼へ赴く小兵衛、八幡掘(船上)。
・渋谷が暗殺された市ヶ谷の道場西側のくらやみ坂、金戒光明寺長安院下坂。
・打ち合わせのため和泉屋寮に三冬を訪ねる小兵衛、中山邸門、庭。
・弥七が後継候補の一人・小沢が手下と渋谷殺害について話すのを聞く市ヶ谷八幡宮境内の料理茶屋・万屋、中山邸通用門(暖簾あしらい)。
・後継問題に決着がついたあと、小沢と手下を誅する大治郎、北野天満宮参道。
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第3話 「まゆ墨の金ちゃん」 1998.10.28
牛堀九万之助に大治郎襲撃計画を聞かされる小兵衛、剣客として気強く対するも心は千々に乱れ新床もパス。事情を探り、襲撃の夜には道場まで来てしまうが杞憂に終わる。
ロケ地
・盃事を終えた小兵衛夫婦が渡る大川、西の湖(牛堀の話を聞き考え込むシーンに湖畔)。
・大治郎に小兵衛の挙動が変と知らせた帰り、三浦金太郎に一手所望され立ち会う三冬、仁和寺塔東の疎林(背景に九所明神や塔、塀)。
・三浦に刺客仕事を持ちかけた浪人が代稽古をつとめる村垣道場、大覚寺明智門。
・村垣の駕籠が入る料亭、錦水亭東屋。
・村垣と会っていた侍のことを聞くため根岸の寮に三冬を訪ねる小兵衛、中山邸門、庭。
*金ちゃんを演じる伊原剛士が特○。台詞回しなど加藤剛版の財津一郎と通じるものがあるが、ビジュアルが凝っている。白塗りに眉墨・口紅が細い切れ長の目によく似合う。また着物の色目が唸るほどで銀鼠の裏地が真っ赤、これで裾かっさばいての立ち回りが目を惹く。師匠の牛堀とのやりとりもよい温度。*村垣に大治郎殺害を依頼した溝口家用人の設定、「剣の誓約」がまだなので、大治郎と田沼中屋敷の試合で立ち合い不具となった若者の父に変えてある。
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第4話 「御老中暗殺」 1998.11.4
三冬がいたずら気まじりに掏摸から取り返した飯田平助の財布から、分不応相な金子と毒薬が出る。平助は田沼の御膳番、父の危機に三冬は小兵衛の示唆で屋敷へ。
ロケ地
・飯田平助の財布を掏った男をとっちめる三冬、上賀茂神社北神饌所裏手。財布を改める川辺、ならの小川神事橋下手汀。
・田沼意次上屋敷、随心院薬医門、表書院。平助が出る通用門、拝観入口。尾行する弥七、土塀南東角。平助が入る一橋家控屋敷、毘沙門堂薬医門。
・浜町中屋敷へ「お忍びで出る田沼の駕籠」、随心院薬医門〜参道〜土塀北東角。
・一橋家の家臣が待ち伏せする林、下鴨神社池跡。小兵衛入りの「田沼の駕籠」がやって来る、馬場。大立ち回りは池跡で。
・事後、今回の件で確認した父の愛情を噛み締める三冬、梅宮大社神苑池中亭土橋。
*平助の息子・粂太郎は存在が示されるのみで登場せず、名も出ない。
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第5話 「老虎」 1998.11.11
洗練とは程遠いものの滅法強い田舎剣客の青年が遭う悲劇、半年も音沙汰ない倅を案じて老いた父が江戸へ。秋山父子に田沼さままで合力、老剣客に仇を討たせてやる。
ロケ地
・大治郎が語る山本源太郎との荒稽古の回想、広沢池北岸〜遍照寺山中腹。
・源太郎が投宿していた本所四ッ目の長明寺、神光院(山本孫介と秋山父子が出てくるシーンに山門と参道。佐倉勝蔵が森川道場の弟子に孫介の姿を確認させる料理屋・米滝は参道にセット、二階の座敷から山門を出てくる孫介を見せる趣向(クレーンか合成か)。佐倉が源太郎を誘き出しに訪ねたくだりでは、小坊主が本堂西側廊下をお茶持って歩く)。
・田沼上屋敷、随心院薬医門。
・謀殺された源太郎の遺体を掘り出す広尾の原、酵素河川敷・木の前。
・田沼上屋敷の庭での御前試合、大覚寺宸殿前白州(秋山父子と孫介が現れるのは右近の橘の向こうから、田沼さま着座は宸殿前廊下)。
*山本父子もそれぞれに味があって良いが、なんといっても佐倉勝蔵の本田博太郎が凄い。田沼に呼び出され有頂天の内心の「ひとりごと」、次の間の孫介を見てガクーの表情、遺体掘り返しに立ち会うずぶ濡れの絶望の顔など、抑制が利いて一回も喚いたりしないが、冷や汗の感触が伝わってくる。
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第6話 「深川十万坪」 1998.11.18
怪力の気のいい婆さんが侍の無体から子を救うのを見た小兵衛は、その後の危険を見越し行動する。果たして意趣返しにやって来る馬鹿者ども、そして懲らしめた後の名家の仕ざま、小兵衛の怒りは激しく深い。
ロケ地
・深川八幡へ出かけた小兵衛夫婦が見る金時婆さんと馬鹿侍の紛争、上賀茂神社ならの小川。
・金時婆さんの家へ侵入った「泥棒」侍の死体を届けにゆく小兵衛、和田倉門は二条城本丸櫓門、松平下総守邸は大覚寺大門。
・小兵衛を深川十万坪に誘い出し謀殺しようとはかる下総守の家士、琵琶湖西岸(河口州と思われる草原、対岸に近江八幡の鶴翼の山なみ。事後小兵衛が手を洗う際には汀も)。
・今回の件について話す田沼さまと三冬、大覚寺放生池堤(田沼さまは釣り、生島用人池ボチャ)。
・不二楼へ小兵衛を迎えに来るおはる、八幡掘明治橋上手。
*金時婆さん・おせきに「さびしんぼう母」藤田弓子、辛い過去にめげず健気に生きる婆さんを好演、歩く姿が特マル。
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第7話 「箱根細工」 1998.11.25
小兵衛の剣友を見舞いにゆく大治郎、老剣客とその息子の確執を見ることとなる。暗殺者に成り果てた「息子」との対決が見もの。
ロケ地
・父に呼ばれ大川を渡る大治郎、西の湖(太鼓橋、園地汀)。
・箱根へ向けて街道をゆく大治郎、嵐山自転車道(後段、小兵衛と弥七がゆく道も同所)。
・目つきのわるい浪人とすれ違う箱根山中・入生田の街道筋、酵素ダート待避所に茶店あしらい。
・塔の沢へ向かう大治郎、谷山林道。
・横川彦五郎が逗留する塔の沢の湯宿・田村屋の内湯、保津峡落合河口に湯船をセット(小橋を渡ると浴槽というしつらえ)。
・江戸、桔梗屋の番頭が殺されて見つかる寺、不明(花頭窓のあるお堂)。
・横川老人に斬りかかる浪人、保津峡落合付近の河原。
・桔梗屋親子を襲う浪人、谷山林道。
・息子だった浪人のことを語る横川、保津峡落合河口汀。
・息子の塚に佇む横川、仁和寺境内か。
*原作とは、大治郎が投げるのは大刀など、細かいところをちょっと変えてある。ドラマでも出てくる「仕掛人」の文言は原作にもあるが、藤田まことが「近頃江戸には仕掛人という金ずくで人を殺す…」なんて発言するのには思わず心の中でアンタでしょと突っ込みが入る。*横川彦五郎に山本学。
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第8話 「嘘の皮」 1998.12.2
大身旗本の跡取りと侠客の一人娘の恋、まとまる筈もない話を達人・小兵衛が捌いてゆく。タイトルは小兵衛が双方の親についた「嘘」。
ロケ地
・浅草寺へ散策にやってくる小兵衛夫婦、嵯峨清凉寺本堂を門越しに。参道石畳に縁日をあしらい、天王町の汁粉屋・梅園は境内茶屋の湯豆腐・竹仙を用いる。
・お照とデートの村松伊織、大覚寺天神島(婆やが父が急病と連れに来て船に誘う)。一人になった伊織が鎌屋の若い衆に襲われる駒形堂、護摩堂(居合わせた小兵衛と弥七は釣り、夜泊石前の大沢池汀。駆けつけるシーンは放生池堤)。
・伊織の手当てを不二楼で済ませたあと船で屋敷へ送ってゆく小兵衛、嵐山公園中州湛水域(中州西端の取水口構造物や川端の建物が映り込むほか、鎌屋の手下が尾行するシーンには渡月小橋の桁もちらっと映り込む)。
・お照が預けられている稲屋へ船を出す小兵衛、橘寺の前畑に水面を合成(汀にはヤナギが鬱蒼と生え、建物を一部覆うかたち)。
*鎌屋辰蔵に石橋蓮司、白髪まじりの髷がお似合い。むすっとして一回も笑わないが、怖いというより娘の行く末を案じる父の優しさのほうが出ている。原作と違い「引退」は描かれず。一の子分の徳井優もいい味。
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第9話 「天魔」 1998.12.9
江戸に舞い戻った魔性の青年剣士を討ち果たす小兵衛、立ち合いは自分がと申し出た息子に、残り少ない自分の試合と微笑う。
ロケ地
・父の言いつけで千代太郎警戒のため湯島の金子道場へ向かう大治郎、随心院土塀南東角。
・金子道場の主が病と聞きターゲットを牛堀道場に変える千代太郎、鳥居本八幡宮。
・小兵衛の回想、目黒に住む弟子・笹目庄平を訪ねる小兵衛、民家南塀を青田越しに遠望(後段、庄平の急を聞き駆けつけるシーンでは同所をセピア色で)。・金子道場から帰る三冬を襲う千代太郎の手下・猿、随心院土塀際。
*千代太郎の怪しい雰囲気を演出するのに、軽業の見せ物小屋で「韋駄天大王」なる出し物を生業としている設定がなされる。隈取化粧や得物の金棒(赤鬼が持ってそうなヤツ)がいい味。*原作では千代太郎と雌雄を決するのは大治郎。
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第10話 「兎と熊」 1998.12.16
医者の娘を拉致して毒薬を要求する侍あり、真相は大身旗本の跡目騒動。町場の者を侮っての所業は、小兵衛の介入でお家を潰す結果となる。
ロケ地
・家の近くでさらわれる房野、妙心寺大通院裏路地(前後を固められてしまうシーンでは、大通院墓地越しのクレーンショットも)。
・和泉屋根岸寮、中山邸(門、庭、建物)。
・村岡道歩の回想、目隠しされて駕籠で連れ回される道、妙心寺福寿院道〜玉鳳院前路地(放生池越しのアングル)。花房筑後守の三ノ輪下屋敷、毘沙門堂薬医門。
・「毒薬」を渡したあと始末されかかる道歩親子の危機に乱入の小兵衛たち、立ち回りは毘沙門堂宸殿、式台玄関、枝垂桜周辺などで。
・江戸払いの内田久太郎が渡る橋、流れ橋。
・三年後江戸に戻り待ち続けた房野と再会するのは妙心寺大通院裏路地、熊さんは大通院裏塀のラウンド部分から現れる。
*原作では事おさまってのち小兵衛の談話として出るだけの、房野と内田久太郎が心を通わせる挿話をふくらませ、「兎と熊」のいじらしい恋物語を仕立ててある。三冬を出すため、誘拐事件について小兵衛に話を持ってゆくのは宗哲先生ではなく三冬で、和泉屋かかりつけの医者が道歩という設定に変えてある。*花房家の用人に渡した「毒薬」は小兵衛が道歩宅に送り込んだ「医生」大治郎が調合した胃薬…あの手つきでは毒になってるかも。
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