1971.10-12東京12チャンネル/歌舞伎座テレビ室 37
絵島/有馬稲子 生島新五郎/片岡孝夫
第1話「狂恋の舞い」
母と、その再婚相手の義父と貧しくも仲良く暮らすお初。しかし父が勤める山村座は、尾張家の未亡人・天龍院と役者が密通したかどで手入れを受け閉鎖の憂き目に遭う。騒動の折義父も投獄され、戻るものの体を壊し、元より病の母を抱えたちまち生活は困窮。お初は金のため、前に名主から話のあった大奥勤めを志すのだった。
ロケ地
・お城イメージ、皇居巽櫓。
*密通で処分される役者は生島新五郎の義弟・八幡屋。お初の義父が母と懇ろになり実父を殺めた哀しい事実も暴露される。
キャスト
瑳川哲朗、入川保則、二本柳敏江、喜多川千鶴、岩井友見、山岡徹也、原健策、永野達雄、森章二、佐藤慶
第2話「春らんまん」
閉鎖された山村座を横目に見て、お初はお城へ上がる。主の御側室・左京の方に気に入られた彼女は、耳目を集めるほどとんとん拍子に出世してゆき、左京の方が将軍の和子を産むに際し重要な役目を仰せつかり、遂に中揩ノ任ぜられ上様から「絵島」の名を頂く。
ロケ地
・名主に伴われ千代田のお城へ上がるお初、彦根城濠端(いろは松)〜天秤櫓下〜太鼓門櫓〜石垣際〜観音台から三重櫓見上げ(そこから町を眺めたら云々の会話、ここで義父との回想シーン被り、ロケ地は仁和寺塔下の野原)〜天秤櫓(大奥御広敷門設定・名主と別れ一人で中へ)。
・将軍お成りの宴、舞手の庭、不明(芝地)。
・お初が鯉に餌をやる池泉、不明(山村座再開を聞き安堵するお初の背後に滝組)。おすめの方の侍女が左京の方を流産させようと図るのも同所(これに先立ち、庭を逍遥する左京の方とお初は芝地の枝垂桜の下)。
・左京の方が男児を産み落とすくだりのお城イメージ、皇居巽櫓。
キャスト
小畠絹子、北上弥太朗、月丘千秋、山岡徹也、原健策、牧冬吉、松村達雄、佐藤慶
第3話「風薫る」
絵島の母の病が悪化、左京の方も気を遣い宿下がりを促すが、勤め第一と頑なに拒む絵島。新五郎が母病没を告げる役回り、自分も舞台を勤めていて親の死に目に会えなかったと語り、二人は初めて心を通わせる。一方、おすめの方の放った「内通者」が入り込み、陰謀が頭を擡げはじめる。
ロケ地
・病篤い妻にお初を会わせてやりたい三郎兵衛が、新五郎に相談を持ちかける川端、広沢池東岸。新五郎を逆恨みする成田屋の総領が斬りかかる一幕もここ。
キャスト
小畠絹子、観世栄夫、瑳川哲朗、北上弥太朗、月丘千秋、松村達雄、佐藤慶
第4話「うつせみの宴」
左京の方が熱海湯治行の途次、将軍倒れるの報もたらされ、江戸へ取って返す間の緊迫の攻防。土屋以下の老中方が紀州吉宗を次期に推すなか、あくまで実子の鍋松をと、家宣は間部帰還まで露命をつなぐのだった。
ロケ地
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・江戸を出て二日目、今夜は藤沢泊まりの一行が小休止の浜(七里ヶ浜か)、琵琶湖西岸松原(間部が沖ノ島を指してあれが江ノ島と左京の方に示す)。江ノ島に渡って宴を張るくだりも西岸。
・将軍倒れるの急使が来る小田原城、彦根城天守。
*間部と左京の方のただならぬ気配に気付く絵島、間部は左京の方の天真爛漫を言い立て潔白を主張する。また、家宣逝去後落飾した左京の方を政争の具にするが如き間部に暗然となるくだりも。
キャスト
小畠絹子、瑳川哲朗、北上弥太朗、月丘千秋、三原泰子、松村達雄、佐藤慶
第5話「艶文まいる」
いよいよ間部と頻繁に睦む月光院、不義の証拠を突きつけられ窮する主を救い、また幕閣により間部と遠ざけられ煩悶するのを見かね密かに会わせてやるなどする絵島。そんな彼女の心の隙を突くのは、新五郎名義の偽の恋文だった。
ロケ地
・新五郎のもとに来た「絵島」の文を読んだ妹が想起する絵島イメージ、枳殻邸か(枝垂桜と大刈込の庭)。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・姿を消した妹を捜し亡妻の墓で見つける新五郎、宝塔寺墓地か(植え込みの背後の塔が多宝塔に酷似)。
・絵島一行が代参の寺、宝塔寺石塔越しに本堂北側と回廊。
・観劇のあと、新五郎の案内で料亭の池畔を散策する絵島、枳殻邸か(転んだ絵島を介抱する新五郎のくだりは遣水端)。
キャスト
小畠絹子、瑳川哲朗、月丘千秋、三条泰子、佐々木すみ江、松村達雄、佐藤慶
第6話「浮草の恋」
交竹院が頼まれた富商のお城出入り請願の件に容喙する宮路、絵島と新五郎を煽り立てる方向に持ってゆく。新五郎の立場をまずくする件に、命を張って口を閉ざした吉原の奴遊女は、かつて尾張家の奥女中を勤め政治の犠牲になった女だった。
ロケ地
・吉原を抜け出した「渚」を追う男衆、その堤に立ち尽くし行方について考えを巡らす新五郎、大覚寺大沢池畔か。
キャスト
月丘千秋、三条泰子、二本柳好恵、岩井友見、牧冬吉、天王寺虎之助、松村達雄
第7話「女ごころ」
間部に会えず悶々とする月光院が思いついた「心中立て」を悪謀に組み込む宮路、歌舞伎役者を大奥に引き入れさせることに成功するが、絶体絶命の危機は月光院自身が食い止める。
ロケ地
・稽古に身が入らず八つ当たりし成田屋に意見された新五郎が頭を冷やしにくる池畔、5話で絵島と話した池泉。
・丹前役者を大奥に呼ぶ話を月光院に勧める宮路、何度か出ている枝垂桜の下。
・山村座の役者入りの長持がゆく城内、彦根城。
キャスト
小畠絹子、観世栄夫、瑳川哲朗、月丘千秋、三条泰子、佐々木すみ江、岩井友見、松村達雄
第8話「はかなき心」
絵島を労い町屋敷を与える月光院、そこで愛を紡ぐ二人だが、新五郎の周囲は不吉な翳を嗅ぐ。そして屋敷は宮路の陰謀の舞台となり、新五郎は成田屋の諌めを容れて絵島に別れの文を書く。
ロケ地
・湯島切り通し下の拝領屋敷、中山邸通用門。裏口から入る新五郎のシーンは門を内側から。
第9話「恋ざんまい」
突きつけられた別離の言葉が信じられず煩悶する絵島、やつれた彼女を案じた月光院は出納業務を宮路に委ねるが、もちろんこれも策謀。宮路は得たポストを最大限に利用し、絵島を陥れる証拠つきの既成事実を次々と積み上げてゆく。
ロケ地
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・拝領屋敷の外で三味を弾く新五郎、中山邸参道。後段では絵島の爪弾く琴に和するシーンも。たまらず飛び出してくる絵島は通用門。
・團十郎が絵島に新五郎をあきらめてやってくれと頼み込む庭、阪口か。
第10話「盲目のほのお」
宮路が絵島の名を出して侮辱した薩摩藩士から訴状、間部は月光院に絵島を切れと迫る。その間部にも罠が仕掛けられ、間の悪いことに月光院の流産騒ぎが起こるのだった。
ロケ地
・返事をくれない会ってくれないと沈む絵島が佇む庭、阪口か(池泉・切石橋の上)。月光院の懐妊に悩む絵島も同所。
・新入りの女中に目を留める間部、相国寺林光院式台玄関。間部邸に近付く虚無僧、林光院境内仕切塀際、間部に色仕掛けで取り入った女中が虚無僧とツナギをとるのは仕切通用門。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・月光院流産後、知りすぎたと間部に脅され放逐された交竹院が土屋の手の者に捕まってしまう城外、西教寺大師堂裏手〜北塀前(お堂裏手の石垣際を走り、北塀の端から石段下に出る。大師堂北門前で土屋の人数が殺到、捕まるのは本堂への石段前・脇の石垣が効果的)。
・絵島の憔悴ぶりを案じた侍女のはからいで、それと知らず駕籠に乗った新五郎が入ってしまう拝領屋敷、中山邸通用門(絵島に垂を開けられて居眠りからさめてびっくり・逃げるが座敷へなだれ込み)。
第11話「落花の賦」
会ってしまった二人はもはや感情を抑えきれずぼうぼうと燃え上がり、添い遂げるため上方へ逃れようという話に。しかし絵島を指弾する評定が開かれ、罠にはまった間部は決議に従う旨の委任状を書いてしまい欠席、遂に二人は捕われる。
ロケ地
・間部邸に現れる虚無僧、相国寺林光院門前。スパイの侍女とツナギをとるのは空地側の塀の内外をクレーンショットで。
・玉椿名義の文で呼び出された宮路が絵島に呼び止められる紅葉山、彦根城玄宮園池畔。後段、玉椿に口封じされる宮路も同所。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・縄を打たれ城外へ出される絵島と連座した女たち、彦根城天秤櫓〜観月台の橋〜埋木舎前濠端(同じく引かれゆく新五郎のシーンと交互に出る)。
第12話「あだし世」
絵島の身柄は小伝馬町の牢に移され責め問いも行われるが、月光院と間部の関係についての証言は得られない。我が身に迫る危機に、間部たちは絵島切り捨てを決める。
ロケ地
・縄付きとなり城を出される絵島、彦根城天秤櫓(大奥に上がった日の回想が被る)。
・小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
第13話「花散る里」
関係者の処刑も始まり、絵島は内藤家お預けに。間部と白石は懸命に保身に走るが、幼将軍は身罷り吉宗は二人を罷免する。三宅島と高遠と、離れ離れとなり二度と会うこともなく生涯を閉じる恋人たち、恋は完結する。
ロケ地
・絵島がお預けになる内藤駿河守邸、大覚寺大門。
・新五郎に会いに小伝馬町牢屋敷へやって来るも阻まれる義妹、大覚寺明智門。門番に言われた「伝手」を土屋に求め縋るくだり、土屋邸の庭は不明(建物は茶室っぽい)。
・間部の差し金で土屋邸の座敷牢から逃げる交竹院、出る門は西教寺客殿平唐門、間部の刺客に斬られるのは真盛上人御廟石段。
・内藤家から出され高遠へ向かう絵島の駕籠、大覚寺大門〜流れ橋〜田畔の地道(不明)。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・高遠の里、山麓に萱葺屋根とお堂、不明。山川のイメージは山峡。三宅島の荒磯、不明。
・高遠の里の龍源院別院へ参篭する絵島、神光院中興堂。会いにやって来た新五郎の義妹が舞台衣装を手渡す川辺、不明(河原は石礫)。
|