新はんなり菊太郎2007NHK
(木曜時代劇・BK制作)

キャスト
田村菊太郎/内藤剛志 お信/南果歩 鯉屋源十郎/渡辺徹 多佳(鯉屋女将)/東ちづる 田村次右衛門(菊太郎父)/宍戸錠 政江(菊太郎母)/香川京子 お凛/星野真理


第1話 「三年ぶりの京」 2007.1.11

 三年ぶりに戻るものの、いの一番に顔を出さなかったためお信に会って貰えない菊太郎は、そのまま父が関わった事件になだれ込み。お話は、家のため身を挺した公家の姫ィさまと、彼女を慕う青侍が曲折を経て結ばれる情話。

流れ橋

ロケ地

  • 京へ向かう菊太郎が釣りの親爺に道を聞く橋、流れ橋
  • 京へ入った菊太郎が走りこむ門、金戒光明寺三門
  • 市場をひやかしていておじゃると若侍のトラブルに際会するのは仁和寺観音堂前。
  • 彼らに突っ転ばされた老婆をおぶって送ってゆく菊太郎、金戒光明寺参道石段
  • 田村邸、妙心寺雑華院門。
  • 父が「浮気」の、蔦重の女と関係ありげな若侍を尾行する菊太郎、仁和寺疎林(北東塀際)
  • その料理屋の女・妙が屋敷を出る回想シーン、公家屋敷の門は三井寺宝泉院
  • 妙は恩人の娘と語る父とゆく菊太郎、大覚寺大沢池北辺水路際。

第2話 「濡れ足袋の女」 2007.1.18

 雨宿りのほんのひととき菊太郎と話した女が、酷い死に様を遂げる。短い会話から女の無念を汲み取った菊さんの奔走で、彼女が何より心にかけていた娘が救われる。こんな事件に関わっているので、もちろんお信とは擦れ違ったまま・邪魔者も居座ったまま。

ロケ地

  • 大黒屋の内儀・志乃が殺されて見つかる堀川、中ノ島橋下手河原。
  • お信が勤める伏見の料亭・美濃屋、錦水亭東屋前庭(池泉に橋が架かる)
  • お鈴の実父だった政吉がワル仲間に刺されて事切れる竹林、鳥居本か。

*志乃は池上季美子、お鈴は前田亜季。美濃屋主人はばんばひろふみ。
*「濡れ足袋」は雨宿りの志乃が脱いだもの、足袋を脱いだ?と関係を忖度されてしまう運び。志乃の手がかりの菓子は麩饅頭か。


第3話 「凄い男」 2007.1.25

 理不尽なキャンセルに怒った奈良大工の棟梁は、井伊家を訴えると息まいて鯉屋にやって来る。裁定を待つあいだ、棟梁は困窮の果てにコソ泥を働いた青年と出会い、彼と家族の身の上に心が行ってしまうのだった。

妙心寺雑華院

ロケ地

  • 田村邸、妙心寺雑華院門。
  • 京イメージ、八坂の塔
  • 菊さん発案の和解策でお寺の境内に建てられる孤児院、神護寺石段下に普請場あしらい(子らに囲まれ働く棟梁を眺める菊さんは石段中ほどにお座り)

*四角四面の頑固者の棟梁に伊吹吾郎、最悪だった菊さんの印象がほどけてゆき、自分も孤児だったと打ち明けた酒席で殺し文句を吐かれうるっと泣いちゃう、このとき揺する巨体がたまらなく可愛い。
*孤児院の普請場のくだりでちらっと映る設計図、西岡氏のスケッチか。


第4話 「黒猫の婆」 2007.2.1

 お信の長屋に越してきた権高な老婆、娘夫婦と折り合いが悪く公事を頼むまでになるが、折しも盗品を商ったかどでお店に危機。一身に罪を着ようとする母を冷ややかに見ている娘だが、取り調べの段で持ち出された彼女の花嫁衣裳に縫いこまれていた心遣いが、全ての行き違いを氷解させる。

錦水亭

ロケ地

  • 伏見の料亭・美濃屋、錦水亭

*老婆に淡路恵子、養女だった娘に楠見薫。信念を曲げぬ頑固婆さんと、気のきつい娘との言い争いが傑作。花嫁衣裳の襟元から出てきた金四分を見る際の、娘の表情が秀逸。
*婆さんは長屋を出て行くに際しどぶ板修理を約束するが、工事が遅れてでもいたのか、最終話でも直っていなかった。


第5話 「怪談・冬の蛍」 2007.2.8

 先代と家付き娘が次々亡くなり、奉公人だった婿の手に落ちた料理屋に「出る」女の幽霊。お信情報とバーターで父に頼まれた菊さん、苦手だけど頑張る。出てくるのはよくある欲と妬みのお仕込み芝居、しかし己を卑下する亭主の心の裡に晴れぬ悔いが蟠るのが深いところで、凍った心を溶かしに、マジもんのお出ましとなる。

ロケ地

  • 但馬屋の家付き娘を看取った医師・良庵邸、民家長屋門(外観イメージ)
  • 女房の墓に参る清太郎、西教寺墓地
  • お信のことを聞き慌て駆けつける菊さん、大堰川堤か。
  • 今回も菊さんに会えなかったお信、休みの日の用は「済んだ」と言い放つ美濃屋玄関先、錦水亭東屋・橋上。

*清太郎に吹越満、家付き娘につぐみ、先代を恨んでいた女中に押谷かがり、同じく女中のお花に久保田磨希、「浦尾ちゃん」はお団子で内情をべらべら。
*菊さんも田村の隠居も鯉屋の主も、ごっつい男どもが揃って「怖い」のが大笑い、マジもん目撃の源十郎が泡吹いて失神が更に大笑い・加えて現場へ来るのに衣の下お札だらけ。
*決着つけようと出てきたお信が帰っちゃったのはお凛の横槍←菊さんへの思いが冗談でなくなり。


第6話 「秘密」 2007.2.15

 不可解な行動をとるええしの嬢が抱えていた深い悩み、彼女一人で到底捌ききれぬ重さを、菊さんが温かく手を添え昇華してやる情話。惑い怖じながら、きっぱりと運命に立ち向かうと決めた取り替えっ子の表情が美しい。

ロケ地

  • 思い詰めた顔で橋に佇むお琴、中ノ島橋
  • 釣りに出た菊さんがついてきたお凛にまだ帰る気にならないか問う川辺、大堰川(ラストシーンも同所、右岸)
  • 伏見・美濃屋、主の親戚筋がお信と会っていると聞き溜息の政江、錦水亭東屋橋上。
  • お琴が産婆のおたつに何やら渡すお宮さん、今宮神社稲荷社

*お琴の両親に真実を告げにゆく菊さんのくだり、泣かす仕掛けのお芝居なれどやっぱりほろりと来る、説得力のある「たとえ話」。重すぎる悪戯をはたらいた老婆に見せる怒りもいい。取り替えられた「貧しいほう」の現況設定、やりすぎかもな感じ。
*釣りに出る川の設定、この川はどこへの会話で「伏見へ下って」とあるゆえ鴨川と推測される。


第7話 「大黒様飛んだ」 2007.2.22

 大風の夜、美濃屋へ飛び込んできた大黒様の軸で一騒動。多佳の差し金で菊さんが美濃屋へ出向くが、すれ違いは続行。戻ったお信はお凛拉致を目撃、次回へ。

神光院

ロケ地

  • 美濃屋は錦水亭
  • 菊さんが喜六を連れ伏見へ向かう道、大覚寺大沢池北辺並木
  • 田村邸、妙心寺雑華院(お凛が訪ねてくる)
  • 美濃屋からの帰り、喜六を返す菊さん、上賀茂神社ならの小川(後段、美濃屋を出て京へ向かうお信親子も同所)
  • 米蔵のところへ行き話す菊さん、神光院中興堂(米蔵、子らに芋を焼いている)

*美濃屋から金をせしめる算段だった米蔵、菊さんに阻まれたあとは博打うちらしく降参。怜悧な憎めぬ悪党を遠藤憲一が好演。美濃屋のおっさんも渋い。


第8話 「おかえり菊さん」 2007.3.1

 お凛騒動に決着がつくお話、誘拐事件はお凛の実家の商売がらみ。誘拐を目撃したお信はつけていって捕まってしまい、監禁された二人の会話の中でお凛の家出のわけが語られる。お凛が江戸へ帰ったあと、仕切り直しの恋人たちの台詞がタイトル。

ロケ地

  • 二人が監禁される家、酵素(家本体は民家セット、様子を窺っていたお信が去り際浪人に阻まれるのは竹林〜木。駆けつけた菊さんが浪人とやり合うくだりは、民家セット前から竹林に移動、福ちゃんが竹を真っ二つに斬るのをクレーンショットも使って撮られたくだりは別撮りかも←酵素にしては林床整いすぎ。このシークエンスの後は竹林から走り出て木の前で対峙←草刈ってある)
  • お凛を見送ったあとお信に会う菊さん、仁和寺観音堂(背景に塔)。お信に簪をやるシーンは山室堤

*今までもちらちらNHK作品に出ていたが、今回は総時間もたっぷりで極めつけの浪人役の福ちゃん、役名は三嶋源内。二人の見張りで炉の前で端座する姿勢からして決まっていて、「性に合わん」とお信の縄切ったり竹を両断も良し、菊さんの気合に呼応するのもなかなかで、刀投げ出した菊さんとのやりとりで説得されちゃって口の端で笑うのがかっこいい。
*宍戸錠の迫力でちんぴらビビらせるのもなかなか。
*「酵素」の設定、「新町通を北山裏(北山村?)に入ったところ」と銕蔵が語っているので、通り北詰の玄以あたりか。


→はんなり菊太郎

→はんなり菊太郎2


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