四千万歩の男 〜伊能忠敬〜 2001.1.3NHK


 子午線一度の計測を志す五十過ぎの隠居・伊能忠敬は、測量の旅に出るため蝦夷地調査にかこつけて、公儀御用の旗を押し立て奥州路をゆく。道中では、秘事を漏らされては困る方面から暗殺部隊が繰り出されるほか、元辰巳芸者の女房がついてきてしまっているうえに、妙な随伴者も増えてゆく。蝦夷の調査も終え大図を完成させた忠敬は大いに面目を施すが、本人は歩測による誤差が肝心の数値を誤らせたことに落ち込み、再度の旅を希う。

ロケ地

  • 白河藩邸、不明(西本願寺大玄関やお東内事門に似た、控所を持つ豪壮な作り)
  • 大沢宿の夜、旅籠を抜け出した荷駄係の長助が咲田らに一行の白河到着日を報告するやしろ、鳥居本八幡宮
  • 河原で仕事中の一行に測量術を学びたいと願い出る少年、大堰川に似た礫の河原。
  • 幻燈による夜毎の悪夢に脅えた長助が、白河宿では別の宿をとったほうがいいと言い出す白坂峠、谷山林道切り通し。
  • 津軽・三厩の海岸、間人海岸か。
  • 三厩で別れて四月後、江戸へ戻っているお栄のもとに届く忠敬の文、蝦夷地での測量シーンの一部はよく出てくる小滝の落ちる砕石場跡のような崖下。
  • 千住宿近く、帰ってきた一行が渡る橋、流れ橋(橋たもとの茶店に忠敬の娘・稲と孫娘が出迎える)
  • お栄に地球そのものを見た夢の話をする忠敬、二人が乗る船は八幡掘白雲橋下手をゆき、お栄は用足しがあると明治橋たもとの堀端で降りる(以降彼女は姿を晦ます)
  • 伊豆で測量の忠敬、不明(荒磯)
  • 房総の浜辺、不明(漁具小屋に幼時の己を幻視)
  • お栄を求め佐原に向かう忠敬、往路の船は近江八幡水郷(黒橋川か)

*伊能忠敬に橋爪功、脇目もふらずたったか歩く爺さまを好演。四人も女房を持ったくせに色事にキョドるのも可愛い。元辰巳芸者の四番目の妻・お栄は高島礼子、暗殺者に啖呵切るのがかっこいいが、鳥追い姿を見ていると暴将のお庭番を思い出し、仕込み出しそうで笑える。忠敬をハメにかかる、息子の禁書所持を許してくれと「脱ぎだす」お内儀の余貴美子や、「仙台藩用人」の平泉成や、泊まらないと聞いて怒り出す白河宿の旅籠の親爺の名古屋章など、面白い配役も見られる。何言ってるかわからない訛りのお捨(新山千春)もいい味。このほか、松平定信に片岡仁左衛門、「浅草先生」高橋至時に風間杜夫、三番目の妻の父・桑原隆朝に鈴木清順。
*ロケ各所も美しい映像だが、測りたかった対象の地球そのものが夜空に大写しになるのは圧巻。ファンタジー色のつよい佐原の丘の夜空も良し、星空が精密なのもなかなかで、房総の漁具小屋で幻が消えたあと見上げる夜空に輝くオリオンがことのほか印象的。


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