宇都宮釣り天井の謎 1996.4.30ABC松竹
信州・高井野へ押し込められている福島家だが、嫡子が暗殺されるなど攻撃は止まない。ここへ大久保党から真の敵は公儀でなく本多正純と情報が入り、迎撃作戦が練られる。領地の陣屋を要塞化するほか、正純を失脚させるため罠を仕掛けるプランと、二つの策を柱に福島家は動く。
軍資金は旧領・広島の山中に怪しい隠し方をした一件だし、若殿の死に憤激する近習が「実は豊臣の御曹子」だし、正純の城に仕掛ける城崩しは将軍暗殺にまでヒートアップするし、暇さえあれば忍者が大挙して襲う騒がしい展開には哀しい愛憎劇もきっちり絡んでくるうえ、福島への攻撃そのものが大がかりな陰謀のほんの一端だったりする。宇都宮城への仕掛けに尺を割き、表題の高井野陣屋のエピソードで前後をきれいに締める。
ロケ地
・信州・高井野の福島家陣屋、芦浦観音寺(門だけでなく内部も使用。忍者対策で要塞化する話の際出てくる縄張りのCGはここの建物を基に作られている)。
・本多正純のことを語る際のイメージ・お城の廊下をブイブイ歩く正純は東福寺方丈縁先(石庭や経蔵が映り込む)。
・大久保一族の処刑、罧原堤下汀。
・高井野陣屋外堀工事、不明(背後の山の中腹にガレ場。屋形の裏手設定で土塁の上に柵や物見櫓あしらい)。
・広島城、本物(この時点では浅井氏の居城)。
・正則が軍資金を隠してある鷹ノ巣山・三篠川上流の滝、琴滝(滝中ほどの祠から一旦覗き、侵入は滝壺から。滝裏の洞窟はもちろんセット)。
・雪乃に金を託し浅野の侍をひきつけて逃げた彦四郎がお涼と鉢合わせする山道、保津峡落合崖道。流れ弾を食らったお涼を手当てするのは河口巌上。
・正則が信玄に仕えた大工・新左衛門尉を訪ねるくだり、「信州・諏訪」とテロップが入るイメージに高島城。
・正則の回想、名古屋城修復を押し付けられた回想話のイメージ、本物の名古屋城天守。
・宇都宮城イメージ、二条城隅櫓(普請中の城はセット)。
・雪乃が芸人一座を引き連れ船でやってくる川、嵐峡(川端で彦四郎が焚き火、雪乃が船底に付けた金箱を示す)。
・宇都宮城下の口入屋で打ち合わせ後、彦四郎が雪乃を送ってゆく夜道、大覚寺護摩堂前(彦四郎が去ったあとお涼が出て雪乃に茶々入れ)。
・江戸城イメージ、姫路城天守(堀留から)。廊下で密談する土井利勝と大久保彦左衛門は東福寺方丈縁先(仏殿映り込み)。
・宇都宮城の甍イメージ、粟生光明寺庫裏と周辺の屋根。
・仕掛けを自分で作動させるべく図面を見る彦四郎、外の気配に走り出てお涼と戦うのは走田神社本殿前(銀杏の落ち葉散り敷く)。
・図面を持ち去った雪乃が来し方を振り返る雪の道、広沢池東岸付近池底。
・雪乃を追って道をゆく彦四郎、走田神社参道。
・日光参詣の将軍が宿泊している本陣、走田神社社務所(大久保彦左衛門と共に中に入る雪乃を、前の田の積み藁の陰から彦四郎が見つめる。「大」の字の札が下がる彦左衛門の宿舎は不明)。
・裏事情を全て知った彦四郎が高井野へ向けて馬を走らせる中山道、山室堤。
*屋形の防備は周囲を水田にし松川を整備し濠とする計画。橋は跳ね橋、事あらば堰を切って「水の砦」の言葉は正則から発せられる。その砦を稔りの田にと言う彦四郎に、染五郎がよくハマる。*福島家家臣で真弓明信が出ているお遊びも。
キャスト
高月彦四郎/市川染五郎 福島正則/宇津井健 滝惣左衛門/金田龍之介
雪乃/田村英理子 大蔵伝内/蟹江敬三
お涼/南野陽子 新左衛門尉/花沢徳衛
本多正純/石橋蓮司 土井利勝/平幹二朗 大久保彦左衛門/丹波哲郎
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