あかね空

 深川で京豆腐を作り商う一家の話、芸達者を揃えしっとりと描かれる情味深い佳作。
 かっちりと硬い深川の豆腐、柔らかな京豆腐を持ち込んだ京屋ははじめ受け入れられなかったが次第に評判となり、ところで一番の名店の女将の死の間際に店を譲られることに。新店でのスタート、よそへ修行に出ていた長兄も帰り経理を任され順風満帆に見えたが、同時に家族間に隙間風が吹き始める。なに故か長兄ばかり構う母、長兄に伸びる京屋蹴落としを目論む魔手、長兄を放逐した心労で父が倒れあっけなく亡くなり、改まらぬ長兄を心ならずも切った母も逝き、その葬儀が済んだ夜に悪党が長兄の借金をタテに店を乗っ取りにやって来る。
軋む感情が迸り兄弟は相争うが、もののわかった助け手はちゃんと複数居て、再スタートをきった三人兄弟が暖簾を上げる暁の空は見事に美しいのだった。

新日吉神社

ロケ地
・深川八幡、お参りの本殿は新日吉神社本殿(長兄の回復を祈ってお百度を踏む母のくだりでは後生車つきの百度石あしらい。茶店があしらわれたりする鳥居前は不明)
・品川の豆問屋に奉公していた長兄が帰ってくる海辺の道、舞子浜
・深川の堀端に八幡堀、白雲橋・明治橋間の堀端のほか明治橋上なども使われる。
・母に引導を渡された長兄が鳶として働く木場の情景、八幡掘新町浜
・京屋潰しを目論む平田屋が長兄に甘言を用いて接触するくだり、父に反発する長兄の愚痴を調子よく聞いて同調し信用させる屋形船は大覚寺大沢池
・夜に外出する長兄を怪しんだ妹が尾行して平田屋の企みを聞く賭場の廊下、妙顕寺の回廊か(今はない、反った自然木を使った渡り廊下に似る)
・母の野辺送りの川端、罧原堤下河原か。

キャスト
おふみ(母)/浅野ゆう子 永吉(父・京屋主)/赤井英和 おきみ(末妹)/前田愛 栄太郎(長兄)/松田悟志 悟郎(次兄)/近藤公園 政五郎(鳶の頭領)/石倉三郎 平田屋/遠藤憲一 伝蔵/内藤剛志 秀弥(料亭・江戸屋女将)/三田佳子


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ