潮来出島 美男剣法

 安田公義監督作品 1954.12.22大映


 兄の仇を求め江戸へやって来た若き剣士は、なんの奇縁か仇の娘と知らず恋仲に。当人たちはもちろん、娘の祖父や当の仇の父もその無惨に懊悩するが、愛憎は大利根河原の死闘のさなかで昇華される。
まだ前髪の竜四郎と知り合い師と呼ばれる平手造酒、その友であるお雪の父・門川好蔵、造酒の情婦の深川芸者、造酒の体を気遣う笹川の貸元と、若い二人をめぐる人物群もいきいきと描かれる。

ロケ地
・竜四郎とお雪が初デートの神田川畔、不明(高い堤、河原には傘が干してあり大樽が転がっている。堤には木、向こうに屋根が覗く。川水は瀞をなし対岸に家並みも霞む)
・造酒と間違えて襲われた竜四郎が松平家留守居役の北原たち四人を返り討ちにしてしまう道、西本願寺・興正寺間の北小路通(竜四郎に仇討ちはやめろと言い立ち去る造酒のくだりでは、興正寺塀際から東望の絵があり、今では見えない本堂の甍が背景を飾る)
・竜四郎が留守に訪ねてきたと長屋のおかみさんに聞いたお雪が駆け出してゆくお玉ヶ池、青蓮院か(塀下が崖、五本線の塀、起伏の多い場所に奇怪なまでの枝を伸ばす大楠)←お雪の父が仇と知るシークエンス。
・苦悩の果て師のいる下総へ発つ竜四郎、街道筋不明(林間の地道/山へ向かう丘の道・崖際で下は谷地田/路傍に萱葺民家の地道・茶店に仕立て)
・帆掛船が往来する水郷、琵琶湖(葦原の湖岸や石積護岸、河口部のような地形も。遠景に竹生島?に見える島影や河口州と思われる長く伸びた州も映り込む。石積護岸には桟橋などもあしらわれている)
・祭礼の鹿島神社、不明(はっきり神社なことを示すものは映らず)

キャスト
北原竜四郎/市川雷蔵 お雪/嵯峨三智子 お紺/水戸光子 平手造酒/黒川弥太郎 門川好蔵/市川小太夫 笹川の繁蔵/沢村国太郎 飯岡の助五郎/東良之助 門川伊作/水野浩


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