天下を狙う美少年  荒井良平監督作品 1955.4.8大映


キャスト
天一坊/勝新太郎 おみつ・お蘭/嵯峨三智子 おさん/浦辺粂子 山内伊賀亮/大河内傳次郎 天忠/大野一広 赤川大膳/杉山昌三九 大岡越前守/市川小太夫 松平伊豆守/荒木忍

 捨て子と蔑まれて育った小僧・宝沢は、身持ちが悪く喧嘩沙汰も絶えない。彼を育てたおばばは行く末を案じ、更生の機会になればと出自を打ち明ける。父は現将軍・吉宗との話を家の外で立ち聞いた浪人・山内伊賀亮により事はいきなり大きくなり、派手な仕度で東海道を下る、オーソドックスな天一坊ばなし。

梅宮大社東参道

ロケ地
・紀州城下、祭りの人ごみにおみつを求め呼ばわる宝沢坊、踊りの行進は梅宮大社東参道。宝沢は石鳥居の上に乗っておみつの名を叫ぶ。
・喜八や源太がおみつに言い寄る林、宝沢と二人が掴み合いの喧嘩をする竹林、不明(林の路傍に五輪塔)
・天一坊が寺僧に説明を受ける清水寺、本物。導入は西門をナメて三重塔、子安塔付近から見た舞台が映る。阿弥陀堂前から舞台を望み説明を受け、本堂脇の石段を下り舞台下の道を西へ。
・京での宿舎、仁和寺勅使門(葵紋入りの本陣の札が掲げられ、続々と人が詰めかける)。能でもてなしを受けるのは宸殿座敷(能舞台は別撮り)
・宿舎の庭、なぜ手間どると伊賀亮に聞く天一坊、天竜寺方丈前・曹源池(紀州からおばばとおみつが来たと知らせが来る)
・江戸城イメージ、姫路城天守
・八ッ山御殿、内部等ほぼセットで、捕り方が殺到するシーンに仁和寺本坊表門。薙刀で迎え撃つ天忠は大玄関前、勇んで飛び出してくる大膳は南庭中仕切りの平唐門。小船で逃れる天一坊とお蘭、および炎上する御殿遠望はセットと思われる。
・旅ゆく二人、不明(古怪に枝を張るヤナギ?の根方、西の湖畔に似る)

*ナイーブな青年が、調子に乗せられ破滅に向かう筋立て。心弱りして女に縋る・懊悩の果て幻覚を見るなど繊細な天一坊を若きカツシンが熱演。やんちゃなさまも可愛く、己の言葉に平伏する一同を見るいたずらっぽい目つきなどは後年を髣髴とさせる。大河内傳次郎も見もので、押し出しのよい上品な武士から一転伝法口調になるあたりはさすが。大岡越前に毒づいたあとお墨付を燃やし、その火で炎上する八ッ山御殿での大立ち回りは圧巻。


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