萩原遼監督作品 1939.10.21東宝
キャスト
瀧川仙太郎(大原屋泊り客)/河原崎長十郎 彦太郎(長兄)/中村翫右衛門 お咲(姉)/山田五十鈴 おつう(妹)/高峰秀子 安田東馬(隊士)/橘小三郎 松永恭平(隊士)/市川扇升
高瀬川三条小橋越しに「池田屋」を望む旅籠・大原屋、その日常をフレームにして幕末のひとこまを描く。
最近些か左前の大原屋、主は池田屋の主人と将棋友達で入り浸り。事件の前に待った待たぬで大喧嘩、「その日」は池田屋におらず難を逃れる。
長兄は友禅職人だが、洗い屋をはじめて新選組に出入りし仕事を貰う。
姉娘は先斗町の芸妓、実家へ立ち寄るたび叱られ、よそ者扱いと拗ねる。
妹娘は家の手伝い、若い新選組隊士と淡い恋をするが、その男は手柄を焦り池田屋事件で斬り死に。
旅籠には長期滞在の泊り客がいて、絵描きの浪人。志士ではないが、亡き友の妻女が地下活動に関わっており、事件当日は彼女の身を案じ探し回るうち新選組が池田屋に討ち込み、騒動を町衆とともに傍観する立場に。
ロケ地
- 友禅流しの川、鴨川と推測。設定は鴨川と思われるが、堀川や西高瀬川の可能性もある。流量はたっぷり、右岸堤で隊士が調練、左岸には町屋が建ち込み護岸は石積み。左岸側には礫河原が広がり、隊士の有田や松永が休んでいて川中に仕事中の彦太郎が立ち込む。堤が今ほど高く見えないのは、浚渫前ゆえか。
- 新選組屯所、不明。寺院塔頭か。
※大原屋と周辺のセットが出色。池田屋との位置関係がわかりやすく、大原屋自身の立地もよく「現地」を考慮して作られていて、鴨の水を望む勝手口側の路地が印象的。瑞泉寺の道標もある細かさが楽しい。
※この映画は山中貞雄追悼作品で、監督の遺稿「木屋町三篠」が原作。脚本は「梶原金八」名義の「鳴滝組」。
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瑞泉寺 |
三条小橋たもとから西望 |
※写真にある池田屋跡のパチンコ屋は、例によってまた潰れていた。覚えているだけでも幾度となく業態が変わっていて、その都度碑は残されてきたが、この先どうなるかは不明(2007/11/3現在)←2009年追記;「海鮮茶屋池田屋はなの舞」がオープン、東映の協力もあり大階段なども演出されているという。
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