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スペシャル 「燃える江戸城!男たちの一番纏!」 1987 (本放送時は第182話)

 放火で人心を騒がせ、忠相の評判を落とし吉宗を追い詰める陰謀が持ち上がる。民の不満が募ったところへ薩摩が挙兵して紛争を起こし、尾張が出て事をおさめる→政権交代という図を目論むワルどもだが、小田原なんか箱根までも行かないじゃんとカルく馬を飛ばしたり、お城の火事には自ら纏を振る上様には全然通じないのであった。
お話は、陰謀の一翼を担う小田原藩の家老を誅さんとして切腹の憂き目を見た目付の遺児たちを軸に進む。め組の纏が焼失して大騒ぎのエピソードなどもあり、火事に関する話題多数。

ロケ地
・放火の被害を才蔵に聞く新さん、大覚寺放生池堤石橋
・小田原藩家老を仇と狙う姉弟がならず者に襲われる、大覚寺天神島。その姉・早苗に事情を聞く新さん、大沢池船着(小)、木戸越しのアングルもある。
小田原城、本物(イメージカット)。早苗と騎馬で小田原へ向かう新さん、舞子浜。城下で才蔵とツナギをとる新さん、坂本の慈眼堂参道。
・荒くれを集め更なる放火を示唆する尾張藩出入りの清津屋寮、大覚寺望雲亭
・早苗の無茶を諌める新さん、大沢池北西畔。
・小田原藩上屋敷、大覚寺大門。早苗の元婚約者を呼びとめお話の新さん、勅使門橋上。
・仇を求めてめ組を出た姉弟が一味に捕まる、仁和寺九所明神石鳥居
・事後、晴れて出初めの町火消し、仁和寺参道勅使門前。
・江戸城の正月風景、枳殻邸印月池畔。
*今回、尾張は名のみ出て宗春登場はナシ。*二の丸火災に際し纏を振る上様、急を聞いて馬を飛ばし城門に駆け入ったあと、火消し装束で現場にやってくるのだが、大石内蔵助みたいなそのカッコの兜や胴にばばーんと三つ葉葵があってなんだか笑える。*清津屋に雇われた浪人の一人に福ちゃん、寮に乱入の上様にぶっ叩かれる。


第180話「爆破!人質は八百八町」 1987 (本放送時は第183話)

 火薬の爆発による火事が続き人心を不安に陥れる。犯人の狙いは、これでお上に脅しをくれての盗賊の釈放。その賊は、捕縛後も盗った大金の有りかを吐かず処分保留となっていた。
裏で筋を書いていたのは気取りまくった軍学者、血気にはやるシンパの若者に爆弾騒ぎを起こさせる、賊の女房を洗脳して協力させるなどするが、正体は銭の亡者。上様に乗り込まれてしまった際の苦し紛れの発言も、「ええい者どもこの五千両が目に入らぬか」。

ロケ地
・忠相に駕籠訴する賊の女房、相国寺方丈塀際。亭主の釈放について要求のくだりは法堂基壇(下から見上げのアングル)
・軍学者・玄斉のいる寺の塀際で庭番の報告を受ける新さん、二尊院本堂塀(才蔵が聞き取り芝居に描いた腕の墨を流水で落としている)
・上様の回想、玄斉と会った前田公の茶会、枳殻邸傍花閣前芝地(野点の席セット)
・玄斉を訪ねたあと刺客に遭う新さん、大覚寺五社明神
・お紋にもうすぐ亭主に会えると話す玄斉、相国寺墓地
・賊の釈放のくだり、指定の護持院ヶ原へ向かう道でお紋を呼び止める新さん、大覚寺護摩堂(この先護持院ヶ原と記した道標が立っている)聖天堂前〜下鴨神社河合社(ここで南町の役人が賊を解放)。め組に爆破犯立てこもりと才蔵の報告を聞き馬をやる新さん、馬場
*玄斉は亀石征一郎、由比正雪ばりの風体。配下の浪人は大場順、下元年世、笹木俊志などのほか福ちゃんや小峰さんも。最後に改心しておさいたちを庇う一人は佐久田修。浪花小僧は森章二、女房のお紋は朝比奈順子。


第181話「夜叉の涙はあかね色!」 1987 (本放送時は第184話)

 係累を世継にと謀った家老の讒言に乗り奥方を手討にしてしまい、長子を虐待する藩主。その子がたまらず逃げ出し、荒くれ男にまじって普請場で働くおもんに助けられたことからドラマが展開。事情を知った元壺振りのおもん姐さんは、藩邸に乗り込み殿様を面罵し啖呵を切る。
悪家老はおもんを助けに入った上様に成敗され、DV藩主は隠居させられるが、おもんを母と慕う与一が別れ難くてわぁわぁ泣くのは容れられない。このへんはしっかり封建君主の上様なのだった。

ロケ地
・大水で破損した相生橋の普請場、流れ橋(派手に橋桁が流されている)
・新坂藩の世継が出奔と報告の庭番、枳殻邸印月池畔芝地(上様は弓の稽古中)
・泣きじゃくっておもんに縋るも駕籠に込められ連れて行かれる与一、木津堤
・お見合いしないと家出すると上様を脅すじい、枳殻邸侵雪橋
*背に鮮やかな夜叉の刺青、通り名も「夜叉のおもん」は真木洋子、泣きっぷりがナイスな与一は一柳信之。藩主は山下洵一郎で江戸家老は遠藤征慈。さぎりが色仕掛けで聞き込みの中間は小峰隆司、人買いもしている二足の草鞋は江幡高志。


第182話「妖艶!因幡の白うさぎ」 1987 (本放送時は第185話)

 旅もの。遠征先が鳥取と遠いので、公務で上洛中という言い訳じみた設定がなされている。その宿の二条城に因幡の白兎の乱行を伝える麒麟獅子が出て、宮中儀式にげんなりしていた上様は即鳥取へ。そこでは、無聊をかこつ先代の正室を色気虫の悪者に仕立てて事件化し、家老の失脚を目論む陰謀が進行中であった。

ロケ地
・漁師が連れ込まれる御後室の葵御殿、中山邸門、庭。
・贈正二位の答礼に上洛の将軍、御所イメージに京都御所建礼門。宿舎の二条城は東南櫓をイメージに。
・因幡入りの上様、才蔵が採ってきたアケビを食するのは雨滝前。鳥取大砂丘はめ組一行が道に迷って一晩中うろつく設定で出て、新さんがやぁとか言って丘を駆け下りてきたり。松原でデートの辰五郎夫婦も付近の海浜と思われる。
・御後室が参る池田家墓所、本物。参道や亀さんに乗った墓碑も映る。
・岩井温泉近くの漁村風景にたっぷり海浜が使われるほか、ラストには因幡の傘踊りがサービスで貝殻節を。
*浄月院は田島令子、郡奉行下役は二瓶正也。家老は外山高士でグルの目付は曽根晴美。*話の起こりの麒麟獅子は、将軍家宣の姫である後室・浄月院をお輿入れの際に見かけて以来ぞっこんの呑んだくれ役人が扮していたもの。幕府の力を借りようとしたのはいいが、将軍自身が来ていることにのけぞって驚く気の毒なおっさん。また上様が「呼んどいて忘れる奴があるか」などと酸素の吸いすぎ発言。ところで上様、浄月院を面罵したまま謝ってナイ。追い詰められてもはやこれまでの悪党「江戸を遠く離れたこの村で人知れず無縁仏に」も大笑い。


第183話「友情!決死の砂丘脱出」 1987 (本放送時は第186話)

 まだ砂丘まわりをうろうろしている上様、領民を手に掛ける鹿野藩主の狂態を見る。この地に別の藩のスケベ殿様に迫られて逃げたカップルがいて、追っ手がサド殿様に救援を求めちゃったりしてタイヘン。夫婦を落とすのにめ組が関所で暴れたり、一揆衆が吶喊したり大騒ぎ、最後は鹿野陣屋へ乗り込みチャンバラでワル一巻の終わり。

ロケ地
鳥取砂丘浦富海岸など映り当地を説明。樗谿神社ではツナギ場面など。夫婦を落とす山道に雨滝
・流鏑馬もどきに領民を射殺す藩主のくだり、砕石場か。
・京で待つじいのくだりで京都イメージに白川巽橋と付近の祇園の路地。
*タイトルの「友情」は追っ手の一人と上様のそれ。綿引勝彦演じる遣い手の小倉藩士は逃亡者の女に惚れていて、好き者殿様に頭に来てる設定。憤懣が昂じて将軍の悪口までつらっと口に出したりする。綿引氏は例の独特の口調で、ちょっと乱暴で不器用な一徹侍を好演。逃避行に同行する徳田新之助なる旗本が将軍と知ったあとの、かちんこちんの態度も傑作。*身分は陣屋乗り込みの際忠助が出て「吉宗公なるぞ控えい」とやるが、馬鹿殿がきょとんとしているのに家老の中田博久がくいっと顎をしゃくって上様を指し「将軍でござる」、仕草がとっても不敬。…ところで女好きの小倉藩主も相当アレだと思うが処分等の言及はナシ、いいのか。*小倉藩主に迫られ逃げた女は山本みどり、亭主の小間物屋は井上高志。刺客の見届け役は佐藤京一、峰蘭太郎、小坂和之。鹿野藩主は岡崎二朗、家老は中田博久。


第184話「夫婦喧嘩と釣り天井!」 1987 (本放送時は第187話)

 叱責を根に持った老中が尾張と組んで将軍暗殺を企てるお話。参詣の折の御休息所の天井を落として圧死させようという計画で、忠臣蔵ばりに大工の絵図面を狙うエピソードがある。うまうまと抱き込まれかけた大工の若夫婦だが、途中で陰謀に気付き注進におよび、老中は自分が細工した休息所で茶を立てさせられる羽目となる。

ロケ地
・遠乗りの上様を狙撃する老中たち、谷山林道(忠臣の自主的替え玉で失敗)
・身代りの件について報告の忠相、枳殻邸印月池(弓のお稽古中)
・休息所の千草亭、阪口青龍苑
・亭主と父の無事を祈願してお百度のお若、木島神社本殿。
*睦五朗演じる老中が誘い込まれる茶室、お話中にみしみしぎしぎし。しまいに茶を喫する上様にざらーっと砂がかかる事態に、度を失いあたふたと逃げ出す老中は上様にしっかと袖を掴まれてしまう。事が終わったあとも天井裏でお芝居の大工親子は揺すり続けてて、加納のじいさまにいつまでやってると怒られてたり。よく「被害者」も演じる睦氏、今回は悪役なんだけど、この引っ掛け芝居に慌てるさまはほんとうにお似合い。尾張の江戸家老は宮口次郎で凶悪。女癖が悪い大工は桜木健一、怒って入り婿の彼を追い出す女房は麻生美衣、父の頭領は河合絃司。


第185話「俺がまことの吉宗だ!」 1987 (本放送時は第188話)

 忍藩のお家騒動、側室が我が子を次期藩主にと暗躍、殿様毒殺計画が進む。これにからんで捕われた藩士を、重病の妻と会わせてやりたいとの「依頼」が新さんに来る。
依頼者は藩士の老父と子供たち、内容は「将軍様と似ている」新さんを将軍に仕立てて、権威で突破し救い出そうという無茶なもの。これに乗る新さん、側室たちがかけた罠も難なく突破し救出に成功。そのあとはずんずんとお城に踏み込み、成敗の雨嵐なのであった。

ロケ地
・老爺たちがおまちをさらって新さんを呼び出す西光寺、神光院本堂脇〜中興堂。
・「将軍」装束で忍藩領新郷川俣関へ騎馬で乗り込み、谷山林道切り通し〜頂上付近。逃げ出した間道にも追っ手(うち一人福ちゃん)がいてチャンバラは、分け入ったところの狭い切り通し。
・新さんたちをあぶり出すため引き回しとなる老爺の息子、奪還の舞台は日吉大社大宮橋(河畔、橋下や参道などフルに使用)
・藩士の娘に送られ発つ新さん、大覚寺放生池堤
・馬をやる「上様」を峠で待ち受け平伏の爺さま、谷山林道切り通しに祠セット。
*「偽将軍」を演じる上様、爺に「馬子にも衣装」などと言われてて笑える。また、忍へ入る際や去る際、松平健が馬をすっ飛ばすシーンが多く挿まれ迫力。*爺さまは小栗一也、捕まっている改革派の倅は唐沢民賢。御側室とつるむワルは原口剛で手下に出水憲司、お梅の方は藤木聖子。福本清三は「太田左内」とクレジット。


第186話「仇姿、つよい女が泣きました」 1987 (本放送時は第189話)

 神君の遠忌の増上寺改築をめぐる陰謀、職人の名誉と儲けを捨ててかかる棟梁が、強欲な同業者に殺害される。葬儀の寺で、旧知の左官に棟梁が実父と聞かされた元辰巳芸者のおりんは、意思を継ぎ「妹」だった遺児を補佐して奔走、この健気をはたで見ていた新さんが放っておくはずもなく、ワルは集まっているところを一網打尽にされてしまうのだった。

ロケ地
・武蔵屋の心底を確かめて上機嫌で帰途につく新さん、嵐山公園中州岸辺(背景に堰堤のせせらぎ)
・武蔵屋の葬儀の寺、おりんが出生の秘密を聞かされる橋、御室霊場放生池石橋。
・武蔵屋のライバルのアリバイについて庭番の報告を受ける新さん、仁和寺塔下。
・葬儀後の協議に容喙した新さんに差し向けられる刺客、日吉大社境内林間。
・事後、用材が間に合って良かったねのくだり、木場風景にどこかの本物の貯木場。これを見下ろす土手に嵐山自転車道
*悪辣な強欲ライバル・甲州屋に第一シリーズお庭番の和崎俊哉。強面のワルだが、アリバイがはなっから時間に無理のある疎漏なものというお間抜けもある。ラス立ちは福ちゃん入り、裏で糸を引く寺社奉行の家来で、二回上様にぶっ叩かれて、きれいに斬られポーズを決めてくるりとのけぞり。


第187話「食通くらべ日本一!」 1987 (本放送時は第190話)

 普請道楽の大名が打つ借金チャラのための大芝居、金主の札差が食通なのを利用し、鼻持ちならぬ贅六を仕立ててグルメ対決に持ってゆく。そこで出された吸物に禁制の鶴があったかどで札差は欠所・遠島の裁可が下るが忠相の罠、いい気になって祝宴を張っていた大名はぺらぺらと陰謀を喋っているところを上様に乗り込まれてしまうオチ。

ロケ地
・葛飾村へ遠乗りの上様が猟師親子と会う道、下鴨神社馬場。以降、葛飾村の描写に糺の森泉川畔が使われる(林は紅葉)
・国元へ帰る途中、川崎の手前で陣を張り休息の久留米藩主、大覚寺心経宝塔(陣幕張り巡らせ)。断罪の上様と忠相が塔から降りてくる趣向、久留米藩主マジ斬り成敗も階段で。
・猟師・権六の墓、谷山林道頂上付近か。
*メインはグルメバトル、贅を尽くした大国屋の料理に対し、浪速屋の出したのは竹皮包みの握り飯と沢庵、但し肥料が超級…おまえは海原雄山か。*思い切り憎さげな贅六に藤岡重慶、大名は川合伸旺。鶴密猟の陰謀に巻き込まれる猟師に牧冬吉。


第188話(終)「大暴れ!しばし名残の二人旅」 1987 (本放送時は第191話)

 日光ご社参をめぐる大騒動、普請等一切無用「あるもので充分」との上様のお触れが発端。もう既に甘い汁を吸っていた日光奉行が大慌て、お忍びの上様を害さんと画策、荒くれ修験者を差し向けてくる。当の上様は質素通り越してじいと二人旅、この旅程は二人の感傷旅行に仕立ててある。

ロケ地
・道中探索のお庭番たち、さぎりが温泉に入ってゆっくりなどと才蔵に持ちかける道、日吉大社走井橋
・不動院、西明寺か。
・庭番が橋の普請について聞いていると山伏が襲うのは中ノ島橋上。
・不動院の連中にさらわれた女の死体が上がる河原、日吉大社走井橋下河原。その後上様を襲う山伏たち、白山宮
・辰五郎を追っかけて日光道中のめ組の衆、広沢池東岸堤道。
・渡し舟に乗る上様とじい、木津川下流部。渡し場に着くと山伏+浪人の襲撃、流れ橋(橋上のシーンこそないものの、橋脚や橋桁ははっきり映っている)
・上様の出立について忠相に迫る老中、仁和寺観音堂脇。
・山伏浪人混成軍が襲う日光お山へ二里の山道、谷山林道
東照宮、本物のイメージショットに続いて下鴨神社楼門(衣冠束帯の上様のバックに御手洗川の太鼓橋)
*今回で終わりの「加納さま」有島一郎氏に何度かスポットが当たる。ボケてみせたり拗ねてみせたり、鬘を黒髪に替えて若い加納さまも披露。*老中が日光奉行のところへ駆けつけてワル勢揃いのくだり、普通ならここで成敗のラス立ちだが、現れた上様は断罪のみで「斬っても詮無し」とずかずか去ってしまい、あとどうなったかは描かれず。*め組が儀式に臨む上様を見てしまい「あれっ新さんじゃないの」と疑問を持つが、その後宿にやってきた新さんが座につくや餅をがっつき喉に詰まらせるのを見て「違う」…。*福ちゃん二態、山伏と浪人。両方ともかなりのアップあり。


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