→暴れん坊将軍 II 表紙
第100話「吉宗越前白洲の対決!」 1985 (本放送時は第101話)
江戸へ出たままの母を探しに来た男の子、「離れ離れの母子」に弱い新さんの奔走も空しく、岡場所に堕ちた母は子に背を向け無実の罪を着て去って行こうとする。ぎりぎりの切所となるお白州、新さんは町人態に作った「新吉」として現れ、情をもって「母」の心を溶かすのだった。
ロケ地
・駿州宇津谷峠で盗賊・弁天おたきを謀殺するお役者紋左、保津峡落合(母を探しにきた市松と叔母が通りかかるのは崖道、紋左が水筒に毒を仕込むのは河口、虚無僧姿のおたきが水を飲むのは落下岩・石仏あしらい)。
・市松らが強請りのならず者に絡まれるのを助ける新さん、今宮神社境内。
・め組がおちかのことを聞き込む町角、今宮神社稲荷社前。
・庭番に紋左捜索を命じる上様、嵐亭庭(ラスト、じいに皮肉を言われるのも同所)。
*お白州で顔を上げた「新吉」を見て、大岡さまびっくりして顔歪めるのが可愛い。紋左の悪事が暴かれたあとうるうる涙目で不明を詫びる姿もなかなか。*弁天おたきに仕立て上げられてしまう「母」は新藤恵美、お役者紋左は北村総一郎。彼を操っていた寺社奉行は江見俊太郎。江戸入りの市松たちに絡むならず者に福ちゃん、新さんにぶっ叩かれて前はだけて「覚えてろ」退場、役名「亥助」とクレジット。
第101話「春風に消えた恋女房」 1985 (本放送時は第102話)
人を殺め江戸へ逃げてきた女、子持ちのやもめ男に縁付き幸福な日々。だが亭主の就職先がトンデモ旗本で強盗の罪を着せられかかり大騒ぎ、そして女房の「過去」から追っ手がやって来るのだった。
ロケ地
・子を連れてお参りのお夕が小諸から追ってきた目明しを見て逃げ去る寺、仁和寺金堂。燈籠越しのアングルで建具を変えてある。
・お夕に事情を聞く新さん、仁和寺茶店前のに御室桜林に床机セット。その後歩くシーンは塔をバックの林間〜観音堂前へ。
・目明しとともに旅立つお夕を見送る街道筋の茶店、下鴨神社参道にあしらい。
*今回のワルは金に汚い旗本寄合席、罷免されたことを恨んでいて、ラス立ち前には「若僧に将軍職など勤まらんわ」とブチあげる名和宏、マジ斬りの刑に。事後才蔵がさっと懐紙を出し刀を拭うけっこうレアな場面も見られる。*旗本屋敷へ潜入のさぎり、中間のなかに逃亡者を発見するため絵草紙屋に扮装して入るのはいいが、扱う本はスケベ本。売り言葉が下品で笑える。*夫婦はなべおさみと神保美喜、目明しは穂高稔、旗本の家来に五味龍太郎。
第102話「質に入っため組の喧嘩!」 1985 (本放送時は第103話)
両国橋架け替えをめぐる騒動、普請奉行と結託し談合で請負を目論むあくどい商人、これらの妨害に遭い殺されかかった業者はおさいの恩人だった。その道楽息子のケアもし入札を無事果たさせるお話、め組の喧嘩が身請けのカタに使われたり、吉原で成敗の大立ち回りが行われたりする。
ロケ地
・両国橋の測量をする役人、橋脚は渡月橋(橋上の風景は映画村日本橋)。
・喧嘩できないめ組がならず者にボコボコにされる縁日、今宮神社境内。
*道楽息子は高松しげお、頑固親父は中村靖之介。普請奉行は江並隆で悪徳商人は市川青虎、ヤクザは早川研吉で手下に有川正治と小船秋夫。*成敗に入る段で夕霧太夫を使う新さん、その前に花魁に誘われてついっと登楼してたり、事後は姿を見せないとして狐狸妖怪みたいに言われてたり。しかし「なか」での剣戟はアリなのか。*サブタイトルの「め組」表記は○にめの字。
第103話「一大事!花嫁候補勢揃い!」 1985 (本放送時は第104話)
許婚者を毛虫のように嫌った水戸の姫、考え付いたのは将軍さまにオネガイ。目安箱に賽銭つきで入ってたソレに乗る上様、しかしこれがもとで姫が誘拐されてしまうという仕儀に。実行犯に、身を持ち崩した姫の腹違いの姉が絡んでいるという哀話が挿まれる。
ロケ地
・冒頭いきなり加納じいらに嫁取り宣言の上様、枳殻邸印月池畔(姫ギャグもあり)。
・水戸藩下屋敷、大覚寺(大門の内外、式台玄関)。
・恩着せ旗本に使嗾されるお夏がツナギをとる町外れ、五社明神裏手、護摩堂脇。
・身代金を乗せた船が下る神田川、嵐峡。嵐山公園で立ち回り。
・事後、菊姫が上様に目通りの庭、枳殻邸印月池畔〜侵雪橋。
*じいが先走っての嫁選び、おきまりの姫ズラリ秋波ギャグが連続。すっぱだかで風呂に入ってた上様が姫たちに囲まれ、出られず悲鳴を上げる一幕も。*奇策を思いつかせるほど姫に嫌われる許婚者は山内としお、口調も仕草もまんま田中サマで、おネエ言葉ですりすり寄って甲高い声で鳴く。菊姫は杉かおり、お夏は竹井みどり。水戸家のじいは牧冬吉、荒っぽい侍女は大和撫子。身代金狙いの旗本は北原義郎。
第104話「母も哀しき女郎蜘蛛!」 1985 (本放送時は第105話)
盗賊・毒蜘蛛の伝蔵の女房・おりんは、足を洗うため自ら捕まり八丈に。年経て赦免となり江戸へ帰還、そこで見たのは亭主の盗みで祝言間近の娘が追い詰められる姿だった。
ロケ地
・忠相に神君拝領の軸が盗まれた件について問う上様、枳殻邸印月池畔・侵雪橋たもと。
・お咲に掛軸盗難の件で店も危ないと告げる両替商の若旦那、大覚寺放生池堤(水少)。
・書置して家を出たお咲を追うおりん、嵐山公園内料亭・錦前。お咲が身投げしようとしていた橋、中ノ島橋。
・伝蔵にナシつけにゆくおりん、アジトの妙輪寺、常寂光寺仁王門。
・奏者番の堀左京亮が伝蔵とツナギをとる屋形船、罧原堤下汀(船宿設定、門あしらい)。
・伝蔵の手先に襲われるおりんを助ける新さん、今宮神社(石橋、稲荷社、若宮社)。
・回想シーン、おりんが赤子のお咲を捨てた浅草鳥越神社、今宮神社楼門。
・おりんの墓、二尊院か。
・ラスト、馬をやる上様、下鴨神社馬場。
*おりんは藤間紫、奏者番は近藤宏、伝蔵は葉山良二。
第105話「偽りの恋七年目の仇討ち!」 1985 (本放送時は第106話)
上様、七年越しで燻っていた乳兄弟の仇を討つお話。
死んだ男にはおきまりの「グレて勘当された腹違いの不肖の弟」がいて、彼もまた永年仇を探していた。上様は「弟」の協力者でこれも同じ相手を父の仇と狙う娘の心情を勘案し、仲を取り持つマメさを見せるが、政務溜りまくりで加納じいに嫌味をされ「くわぁ」と無言で吠えるのだった。
ロケ地
・刀鍛冶集めてコンテストの浜御殿、大覚寺五大堂観月台を池越しに見る。
・木場の情景、東京か大阪の「木場」か。
・銘刀を集める吉野屋に赴きキツイ嫌味を放った帰り、用心棒・岡島に呼び止められ挑まれる新さん、南禅寺僧堂坂。その後才蔵に吉野屋探索を命じる新さん、法堂前。岡島をつけるさぎり、三門。
・吉野屋を仇と狙い紀州藩邸に腰元として潜伏中の木曽屋の娘・お妙が出てくる紀州藩上屋敷勝手門、南禅寺僧堂通用門。岡島とツナギをとる妙、仁和寺九所明神(石鳥居〜拝殿〜本殿)。・紀州時代の回想、乳兄弟と馬を駆けさせる紀州藩主の上様、下鴨神社馬場。
・吉野屋が銘刀を持って入る紀州藩上屋敷、大覚寺大門。
・お妙に仇の正体を聞き闘いに赴く岡島の前に立ちはだかる新さん、仁和寺観音堂脇路地。
・岡島が紀州藩用人・佐竹を呼び出す護持院ヶ原、下鴨神社河合社塀際/糺の森→ラス立ち。
*刀フェチの用人に銘刀を貢ぎ材木の入札情報をゲットの吉野屋、小道具に使われる刀はさすがに凝っていて丁子の乱れも鮮やかに見せる。中茎の一ツ葉葵も面白い。*今回、乳兄弟の仇討ちゆえ上様マジ斬り「兵馬の恨み思い知れ」でずばーっと斬り下げ。その後乳兄弟の死の因となった神君の佩刀を岡島に渡し「とどめを」。*岡島浪人は小野進也、お妙は田中綾子。吉野屋は高野真二、用人は浜田晃。
第106話「吉宗、狩り場の標的まとに起つ!」 1985 (本放送時は第107話)
火事で傾き主も縊死した回船問屋、刀を脱して商人となり店を救ったと見えた男は冷血の大ワル、上様の不興を買ってクサる旗本の兄に将軍すげ替え・暗殺しちゃえばとつらっと勧めたりする。お話の軸は、回船問屋の火事にまつわる母子の人情話。
ロケ地
・江戸屋の若い衆が水夫を追いかけ殺害する二の橋、中ノ島橋たもと(刺してドボン)。
・巻狩りの鍛錬上様、枳殻邸芝地に幔幕張り巡らせて(幕の上に傍花閣が頭を出す)。試射の旗本・大槌主計頭の行為に疑義を呈し巻狩り差配にダメを出す上様、侵雪橋たもと。
・翡翠製品密造工房もある江戸屋向島寮(白雲庵)、中山邸門。
・水夫の遺留品を探す江戸屋の衆、中ノ島橋下に船(湛水域)、囃すめ組は橋上で乱闘は橋たもと(茶店あしらい)。
・庭番の報告を受ける新さん、今宮神社境内。
・江戸屋先代の吊り、大覚寺天神島。
・将軍暗殺トレーニング→ラス立ち移行の荒野、不明(荒地養生のためか松が植えられている。饗庭の演習場みたいな感じ)。
*失火の罪を被った母は白木万理、江戸屋の「娘」は三浦リカ。旗本は原口剛で弟の「江戸屋」は佐藤仁哉。*暗殺の練習してるところへ乗り込み上様、「カーン」認識直後間髪入れず「撃て撃て!」のタイミングが笑える。
第107話「蛸さま命!の女剣士」 1985 (本放送時は第108話)
上様が目をかけた林奉行、身持ちのわるい叔父がいて彼を失脚させようと陰謀をめぐらす。これに道具として使われる蛸踊りが芸の幇間、実は奉行の知行地の寺の者で、ご本尊を盗まれた際女郎買いをしていて居たたまれず逐電したものだった。タイトルの女剣士は和尚の妻女、本尊新調のため江戸へ味噌売りに来て客寄せに習い覚えた剣技を披露。
ロケ地
・林奉行・高林武一郎を召し剣の型を上覧の上様、枳殻邸芝地(ゲストハウス前に幔幕張りめぐらせ)。
・武一郎叔父の悪企みを庭番に聞く、馬場で馬をやる上様、下鴨神社馬場。
・「叔父」が悪徳商人と密談の屋形船、罧原堤下か。
・味噌売りの大黒さま・妙の回想、信妙寺は慈眼堂、想像妊娠でガッカリの夫婦は、日吉大社走井橋。
・置屋へ訪ねてきた妙と話す幇間と成り果てた和尚・タコ善、下鴨神社泉川畔。
・武一郎が拝領刀を見せに上司宅へ赴く夜道、相国寺大通院西塀際。タコ善と黒イカ集団連係で拝領刀を掠め取るのは鐘楼脇。
*林奉行に宮内洋、初代お庭番・助八。今回ラス立ちの際彼が「叔父上、このお方に見覚えがございましょう」とやって「カーン」、叔父の介錯もつとめる。叔父は外山高士で部下に黒部進と野口貴史、悪徳商人は武藤英司。タコ善は夢a、妻は小林かおり。置屋の女将は若柳禄寿。
第108話「涙が仇のあで化粧!」 1985 (本放送時は第109話)
抜け荷を追っていた勘定吟味役が消され、結婚間近だったお糸は芸者となり真相に迫ろうとする。彼女の身の上を知った仲間の芸者衆は甚く同情、稼業を利して捜査に協力。お師匠さんの姐さんがお糸の生き別れの姉だったという、くっさい設定もついている。
ロケ地
・勘定吟味役・奥平が襲撃される夜道、広沢池東岸並木(稲荷の幟と祠あしらい/半年前)。
・小芳とお糸のお稽古を覗いてお団子奢らされる新さん、仁和寺茶店。前の参道を奥平の死体が犬に掘り返され見つかったと町方が走る。発見現場、広沢池東岸。
・嗅ぎ回っていることを勘付かれたお糸と小芳が誘い出される産土神社の祠、仁和寺九所明神脇の祠(背景に瓦練り込み塀)。
・御用船を使っての抜け荷の荷揚げ場・将監河岸、大覚寺大沢池船着(大)。着いた船に上様乗り込んでてラス立ち、殺陣は船着きの上から天神島へ移動してゆく。
*仇討ち芸者に西崎みどり、婚約者の勘定吟味役に伊庭剛、どちらも被害者役がよく似合う。小芳姐さんは松本留美。勘定奉行は永野辰弥、御船手頭は田中浩、悪徳商人は幸田宗丸で用心棒は出水憲司。
第109話「妹よ!この兄に罪ありや」 1985 (本放送時は第110話)
病の妹を抱え困窮する痩せ浪人、押し込み強盗にスカウトされ乗ってしまう。しかし殺生無用の条件など頭から履行されず、深みに。町で彼の窮状を見ていた上様は、遅すぎた介入を後悔するのだった。
ロケ地
・凶行をはたらいた後金を分配する強盗団の首領・尾形、大覚寺大沢池に屋形船(田所に決断を迫る段も同所)。
・田所の腕を試す尾形、不明(蔵の裏、塀は海鼠壁、周囲は林)。
・田所を訪ね谷中・法性寺裏の長屋へ赴く新さん、お寺のイメージに仁和寺塔、九所明神拝殿越しに。
・田所の回想、蝉取りの寺(庫裏前)、不明。夕暮れ帰り道の土手、松尾橋下手堤か。花見の水辺、不明。思い出にひたる田所が釣りの岩場も不明(淵)。
・尾形らに呼び出され流山に向かう綾乃、北嵯峨付近の竹林か。
・江戸を売った強盗団が巣食う流山の寺、西明寺(本堂、山門。先にイメージで出てくる遠景のお堂は不明、西教寺大師堂に似た建物)。
*田所浪人は星正人、妹は片山由香。血も涙もない強盗団の首領に遠藤太津朗、コミカルさのかけらも無くひたすら凶悪。手下は岩尾正隆に谷口孝史などお馴染みの面々。彼らとつるみ帳簿の穴を埋めようとする代官は汐路章。
第110話「あらイヤだ!魚の心は恋ごころ」 (本放送時は第111話)
女だてらに威勢良く魚を売り歩く娘と知り合い、惚れられる新さん。娘にはヤクザな兄がおり、こいつが落し物の財布をガメて凶事に巻き込まれる。事件は、次期勘定奉行と呼び声の高い目付の若様のご乱行。町で娘を追い掛け回し過って死なせ、現場に目立つ財布を落とす間抜けぶりがとんだ事件に。
ロケ地
・大川端で町娘にからむ若様、中ノ島橋上(財布落し)〜中州岸(もみあってドボン)。よくも妹を傷モノにと新さんにからむ兄貴も同橋上(ここで財布拾い)。
*自ら手を下しにもゆく目付に川合伸旺、息子の悪友に中田博久・坂口徹郎、賭場の男に伊達三郎・滝譲二と強面が揃い、中嶋俊一の若様もけっこう怖い。対照的に、にぱーと明るく笑う幸薄い魚屋に西川峰子、ダメ兄貴は森川正太。ラス立ち福ちゃん入り・目付の家来。
第111話「新様まいる、おてふ恋日記」 (本放送時は第112話)
東啓子がこれでもかと降りかかる災難に泣く幸薄い娘を演じる哀話。なにしろ上様なんか、御法をたてにおてふを晒すという忠相に怒気を発し鯉口をゆるめたりするのだ。また、負傷し追われる身を救われた盗っ人は、天然気味なれど聖母の如く優しい彼女に多大な恩義を感じ、体を張って庇う。しかしおてふの不幸度数はクサいレベルを超えて凄すぎ、寂しく江戸を去る運命となる。
お話は、勤め先の放蕩息子に無理心中を迫られたおてふが、過って刺し殺してしまうことにはじまる悲劇。大岡さまは定法通り心中者に対する処分を下し、あとで請け出してやる心積もりをするが一歩遅く、息子を溺愛していた油屋の女将が横からかっさらっていって無体をはたらく。この危地を救うのが彼女に手当てして貰った盗っ人、己の運命に嫌気さしていたおてふは自ら賊一味の引き込みとなる。ここで不幸にもうひとつの上乗せ、賊を使嗾していた新任伊勢山田奉行なんてのが現れ、用済みになった盗っ人たちを始末にかかるのだった。
ロケ地
・釣り帰りのめ組と新さんの情景におてふの日記文が重なる道、大覚寺大沢池堤。
・雨宿りのお堂でばったり会うおてふと新さん、宝塔寺本堂(多宝塔映り込み)。
・馬鹿息子が放火した油屋の火事場から九ちゃんが持ち出したおてふの日記を読む新さん、大覚寺天神島大木の根方。
・失踪したおてふを追って馬を走らせる新さん、嵐山自転車道。
*おてふが助けた盗っ人・お成り組の袈裟三に伊吹剛、彼がおてふを庇って死ぬのがまた罪悪感をもたらして最悪。逆恨みの油屋の女将は松村康世、伊勢山田奉行は深江章喜で腹心は林彰太郎。*おてふ失踪は加納じいのはかりごと、感情移入激しい上様を案じて遠ざけたもの。ラブラブ日記読んじゃったもんだから上様ヒートアップ、忠相やじいを口汚く罵り当たりまくり。「若い吉宗であった」表現入り。
第112話「古き女房に花束を!」 (本放送時は第113話)
年若い藩主をよいことに藩政を壟断する足利藩江戸家老、悪徳商人と組み民は泣かされるばかり。事件は、窮した百姓がその商家に押し込みを働いたことからはじまる。そして、新さんがめ組の若い衆と行った酒肆で知己を得た剣術の先生が足利藩の隠し目付で、生真面目で頑固な剣客が御恩とヒューマニズムの板挟みになり苦悩するドラマが描かれる。
最後は江戸家老の心無いひとことで頑固親父ブチ切れ、お役目を返上しワルの企みを阻止するに至る。道場破りで家老方の用心棒と見えた荒くれ剣客も実はいい人設定で、改革派の若侍を逃がしにかかりラス立ち突入、今回は上様と明かすことなく成敗を終える。
ロケ地
・改革派の若侍・木次が室橋勘兵衛の娘とデート、大覚寺護摩堂縁先に腰掛け。
・室橋道場、宝塔寺塔頭・霊光寺。道場を出た室橋と新さんが話しながら降りる石段は参道(背後に楼門、橘紋の大提灯も映る)。
・佐野屋を襲った百姓の首領が足利藩へ護送されるのを阻止する若侍たち、仙吉に金を渡し落とす祠は酵素奥の藪にある神社。
・室橋を呼ぶ江戸家老、大覚寺望雲亭(対岸から主屋を見るショット)、設定は上屋敷か別業か。
・女衒から逃げる足利領の村娘を助ける新さんと室橋、大沢池堤に茶店あしらい(新さんが女衒を叩き込む池には水少なし)。
・仙吉を逃がしたかどで同志が捕われたあと木次が隠れる墓地、宝塔寺墓地(多宝塔映り込み)、ここで室橋は翻意を決する。
・佃島の下屋敷へ若侍を護送の山道、不明(雑木と竹林の混じる山間)。
・江戸家老が唐丸で国元へ送られる忍峠、不明(切り通し)。
・事後、茄子を植え出す話で盛り上がる上様トリオ、不明(池泉)。
*室橋は清水章吾、古女房の酒肆の女将は宮崎総子、娘の恋人の若侍は川崎公明。江戸家老は小沢象で悪徳商人は森幹太、家老に雇われると見えて土壇場で正義派に転じるでっぷり武芸者は野口哲夫。
第113話「花の吉原人質新さん!」 (本放送時は第114話)
め組の衆と吉原に登楼するもお金が足らず居残りとなる新さん、籠められた行灯部屋で勝気な振袖新造・お銀と出会う。その身の上から、幕閣が棟梁たちと談合し、工事費用をがっぽり着服していた事実が明るみに出る。
ロケ地
・居残りから帰った新さんが加納じいにガミガミ叱られる町角、仁和寺塔下。
・お銀の父の弟子・清吉に談合事情を聞く新さん、仁和寺経蔵脇(背景に金堂)。
・お銀の父と同じく談合に応じなかった棟梁が死体で見つかる水辺、広沢池東岸。
・棟梁は殺されたのではと話し合うお銀と清吉、梅宮大社神苑汀(ゴロツキ出て二人を拉致)。
*お銀は高見知佳で人情家の置屋女将は正司歌江、父の大工は河合絃司で清吉は小林芳宏。顔役は須藤健と玉生司郎、普請奉行は上野山功一で勘定奉行は福山象三。ラス立ち福ちゃん入り。*居残りではお約束のでっかい体で掃除洗濯ドブ掃除、髷切った顔役に死装束着せて座敷に放り込むお茶目も。
第114話「借金取りを呑んだ女!」 (本放送時は第115話)
見た目からして凶悪な賊の一団が江戸へ。目をつけたのは裏店に住む駄菓子売りの老爺、大店を畳んだ際に大金を手にしていた。じいさまの住まいは自身番の隣、目立たず入るのに向かいの小料理屋が利用される羽目になる。
ロケ地
・一味と思しき破戒僧を尾行したさぎりが露見し囲まれ襲われる林、植生と林床からすると酵素か鳥居本か。
・青梅山中へ賊を追う上様、街道は北嵯峨、一味の首領と対決する滝は琴滝。
・金をお上に差し出して江戸を離れ温泉場の下働きとなるじいさん、イメージに日吉山荘。
*小料理屋の女将が亡夫の借金背負ってキツキツのところを賊に追い込みかけられ悪事に手を染めかけたり、賊とやりあった上様が手傷負い片袖血に染めての大苦戦を強いられるなどお話は深刻。なのに小料理屋を手伝う新さんがおちゃらけ路線で笑える。赤い襷も可愛いが、焦がした魚の串を慌てて火からおろす際の腰つきが微妙にサンバしている点は必見。*賊の首領はもと侍、上様の顔を知っていて殺ってしまえとブチ上げる。作州浪人と名乗るのがなんだかお決まりでおかしい。こやつらにはもちろん峰など返さない。*女将は浅茅陽子、駄菓子屋の爺さまは南利明、賊は首領が遠藤征慈であとは沢亜樹、ストロング金剛、広瀬義宣、長沢義典、宮城健太郎。一味に手を貸す金貸しの元締は丘路千、爺さまの倅に峰蘭太郎、女将が身売りに行くと無体のスケベ楼主は小峰隆司、尾行中の才三が破戒僧をごまかすのにお喋りする店の人が福ちゃんだったり(愛想よくニコニコ)。
第115話「大奥を盗みに来た女!」 (本放送時は第116話)
大奥もの、暴将でもお局さまたちはドロドロ、でも暴将だから女の世界もなんだか荒っぽい。
お話は、御客あしらい役の菊岡が若年寄と組んでお局さまたちの失脚を画策するもの、それぞれ野心逞しく上を狙う。菊岡はお局さまたちを争わせ自分は着々とシンパを増やすが、上様は彼女の胡散臭さをお見通しなのだった。
ロケ地
・大奥での不審死(死体発見は枳殻邸)が三人目と聞き、さぎりに大奥潜入を命じる上様(弓のお稽古中)、枳殻邸印月池畔。
・尾上の方に頼まれ、調査にかける薬を持って城を出た菊岡の部屋子が刺客に遭う町角、大覚寺参道石橋〜五社明神(め組が有栖川でドブさらい中)。
・今度は自分が持ってゆく菊岡、小石川薬草園門に中山邸(門、参道)。
・菊岡について報告を受け疑惑を持ち始める上様、枳殻邸傍花閣前や池畔。
・菊岡に茶を点てさせゆさぶりをかける上様、枳殻邸縮遠亭(内部はセット)。
・上様に疑惑を持たれたと焦り若年寄を呼び出す菊岡、広沢池東岸に屋形船を仕立て。
・療養を終え帰った部屋子を迎える菊岡、御広敷御門は相国寺大光明寺(門、前庭)。
・ラストじいと逍遥は枳殻邸印月池畔。
*荒っぽいお局さま、毒を処方したと医師を責めるくだりはほとんど火盗改の責め問い。*菊岡は一柳みる、父の医師は神田隆、グルの若年寄は勝部演之。お局さまたちは北川めぐみに白石奈緒美。部屋子に放たれる刺客に福ちゃん、菊岡にツナギの際台詞あり、役名「十蔵」でクレジット。ラス立ちにも登場。部屋子は河野美地子。
第116話「戦慄!湯の里の美少女」 (本放送時は第117話)
旅もの。因習の生贄にされる・将軍さま助けての訴状を見た上様は甲府へ。
行ってみると確かに娘が生贄にされかかっているので身柄を確保、脱出にかかるがなんだか妙に山中をうろうろするうち、山伏は襲ってくるわ、湯治場には怪しの老人がいるわ、通りがかりの浪人夫婦なんか「茶店地獄」まがいにかかって来る。そして遂にどこかぎこちなかった当の少女が正体を現すが、上様の「根は優しい子と信じている」説得パワーが打ち克って、徳川一族を連綿と恨んで雌伏してきた「六波羅衆」の野望は潰えるのであった。
ロケ地
・甲府山中、小川で休む上様を襲う山伏たち、酵素河川敷。
・甲府路をゆく辰五郎夫婦、北嵯峨農地畦道(山なみの向こうに富士山を合成)。
・猿回しと出会う山中、鳥居本八幡宮境内。
・山道、浪人夫婦に声をかけられる上様、酵素ダート。
・鳴神村を見下ろす峠、谷山林道頂上付近(小盆地を見下ろす)。
・浪人夫婦が豹変し斬りかかってくる山道、谷山林道作業場。
・娘を伴い谷あいをゆく上様、保津峡落合。
・娘が上様に銃を向け、安土山城守まで出てラス立ちとなる林、鳥居本八幡宮広場。
・辰五郎夫婦と行き会う帰りの街道、北嵯峨農地畦道に茶店あしらい。
・事後、才蔵配下の忍びとなった娘が庭番たちとゆく汀、広沢池東岸。
*娘は松岡ふたみ、父の大目付は川辺久造。怪しの「村長」は長谷川弘、浪人夫婦は唐沢民賢と衣通真由美、巻き込まれた猿回しは森章二。
第117話「めぐり逢い 運命の凶弾」 (本放送時は第118話)
父を知らず育った息子は、母の故郷の話が大嘘だったと知りグレる。大水で消滅した母のふるさと、いまその治水事業に携わる気鋭の関宿藩作事奉行が実父と知れる過程で、ワルの手伸び父は狙撃されてしまうのだった。上様の大暴れで悪党どもが屠られた後、息子が助けようとした娘と、再会を果たした「夫婦」と、共に根無し草として生きてきた人々に明るい未来が開けるハッピーエンドが用意されている。
ロケ地
・大滝屋の品川お台場普請、広沢池か。
・仙太が女郎屋から連れ出したお菊を隠す小屋、広沢池東岸。
・仙太が訪ねて何もない葦原を見る母の故郷・関宿藩領中瀬村跡、広沢池西岸湿地。
・仙太がお菊をダチのもとへ落とそうとする目黒川、広沢池東岸汀。
・関宿藩作事奉行である父を水天宮に呼び出す仙太、広沢池北岸に祠セット。
*父・作事奉行は西沢利明、仙太の母は加茂さくら、仙太は吉田友紀。悪辣な川普請割元は石橋雅史、つるむ前作事奉行は剣持伴紀。割元の手下で奉行を狙撃する鬼蔵は高並功、牛太郎に小船秋夫。
第118話「吉宗がまさか!結婚詐欺!?」 (本放送時は第119話)
食中毒を出した公儀御用の菓子屋、罪をよそに被せる。これと結託の北町奉行、大枚受け取ってニンマリの座敷に上様乗り込みで成敗。これを軸に、処刑寸前の我孫子屋を救おうと時間稼ぎをするめ組や、恋の恨みでケチな意趣返しを企んだ炭屋の人情話が描かれる。
ロケ地
・次郎吉がお見合い相手の我孫子屋の娘を待つ料亭の庭イメージ、不明(池泉)。
・我孫子屋に頼まれて毒を入れたと書置きし「入水」した上州屋番頭の死体が上がる大川、嵐山公園中州下手河原。
*タイトルは、新さんをダシに婿を高望みして己を袖にした我孫子屋の娘をハメる炭屋の次郎吉のエピソード。これに桜木健一、我孫子屋は北村英三で娘は山本ゆか里。上州屋は多々良純で、番頭は中村錦司、北町奉行は江見俊太郎で悪事に加担の同心は出水憲司と諸木淳郎。捕り方や投石の町衆、ラス立ちに小峰さん出まくり。*我孫子屋が引き回しまで行くのは、北町潜入の才三が刺されて証拠提出が遅れたため。
第119話「“にが手”は恋の指南役!」 (本放送時は第120話)
剣の腕はからきしだが理財に明るい旗本の次男坊・荒見作次郎、兄の飛騨代官の善政も彼に拠るところ大。この才をお隣ゆえ漏れ聞いた美濃の小藩の殿様に見込まれ、妹の婿がねにと話が出るが、腕自慢のお転婆姫は軟弱者はイヤとお冠。その上、藩政を壟断する郡奉行が彼を狙う。難を排し彼らが結ばれるプロセスに徳田新之助大活躍、姫様はちょっと新さんに惚れていたりもする。
ロケ地
・作次郎をお面つけて襲う鈴姫、一発入れて倒したところで介入した新さんに扇ではたかれる町角、仁和寺観音堂脇。逃げた鈴姫が初めて負けたと打ち震えるのは九所明神。
・作次郎の噂をする上様トリオ、枳殻邸印月池畔。
・お面の曲者について報告の庭番、今宮神社稲荷社前。
・美濃岩村藩上屋敷の庭、女たちに武芸の稽古をつける奥女中・ふじ、相国寺大光明寺石庭(扇子の武士について調べろと姫様)。
・作次郎に襲撃女は岩村藩の姫かもと告げる新さん、今宮神社石橋たもと。
・訴状を持って江戸入りした岩村藩の百姓たちが侍に襲われ消される道、大覚寺天神島(ふじが居合わせ、新さんに事情を話す)。
・鈴姫と待ち合わせの新さん、仁和寺中門(褪色激しい)。市中を見物し道場破りもしたあと雨宿りの新さんと鈴姫、大覚寺護摩堂縁先。ほのかな恋心を新さんに告げる鈴姫、広沢池東岸。
・岩村藩主の作次郎への期待について庭番に聞く新さん、今宮神社稲荷社前。
・姫を騙って作次郎を護持院ヶ原へ呼び出す郡奉行、下鴨神社馬場、河合社脇→ラス立ち。
・事後、作次郎との婚儀を報告のため上様に目通りの鈴姫、庭逍遥は枳殻邸侵雪橋上。
*鈴姫は坂上味和、作次郎は加藤純平、ふじは北林早苗、殿様は平井昌一、郡奉行は田口計で手下に川浪公次郎・女スパイは湖条千秋、美濃の娘たちが売られた湯女風呂の主は西山嘉孝。
→暴れん坊将軍 II 表紙
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