暴れん坊将軍 II  →暴れん坊将軍 II 表紙


第120話「危機一髪!美しき囮」 1985 (本放送時は第121話)

 将軍暗殺計画もの、裏には尾張。街道筋に上様を誘き出して射撃、という図に持っていくのに使う回りくどい手段がドラマの過半を占める。事件は、不幸の手紙大流行ではじまったりしてなんかヘン。新さんに勇気を貰ったとか言って騙す茶屋女は、恋人の浪人が仕官を餌に操られているという哀れな設定で、最初から沈んだ顔をしており全編に暗ぁいムードが漂う。

ロケ地
・不幸の手紙を馬鹿にして捨てた魚屋が水死する大川、広沢池東岸汀。
・新さんを襲撃した覆面侍たちが逃げる途中「居合わせた」お夕に手傷を負わせる町角、神護寺石段〜五大堂前。
・お夕の茶店、仁和寺塀際の林間(九所明神石鳥居付近)
・馬でお夕を追いかけて尾張の手勢に狙撃される上様、間人海岸
*尾張公の手先は藤岡重慶。


第121話「花のお江戸で嫁とるだ!」 1985 (本放送時は第122話)

 幕府へ献上されるはずの冥加金が盗まれ、財政に大穴開いてタイヘン。この金は、多額の借金に窮した女と、陸奥出身の騙り男が組んで襲った妾宅で見つかる。お話は、この二人の人間模様を主に描く。

ロケ地
・嶋屋の妾宅、広沢池東岸(入口はセットか、或いはかつてここにあった店舗か不明。おこんと与三郎が金持って逃げるシーンでは追ってきた用心棒と水中でばしゃばしゃ)
*東北弁の騙り男に吉幾三、「東京さ行くだ」を江戸に替えて披露。借金にあえぐ三人の子持ちで、ポン引きまがいのおこんには森マリア。裏で悪事働きまくりの両替商は名和宏、アル中の用心棒は浜田雅史。とばっちり食って消される借金とりは江幡高志。*今回もラス立ち前「カーン」なし、事後庭番が与三郎に「吉宗公であるぞ控えおろう頭が高い」。


第122話「秘めた誓いの夢千両」 1985 (本放送時は第123話)

 隠れ富籤で一山当てようとして殺された指物師の父も、彼の元弟子で隠れ富籤を売る寄場帰りの青年も、娘の目を治したい一心で動いていた。上様は庶民のなけなしの銭を食い物にするワルを懲らしめ、御免富の改革を図るのだった。

ロケ地
・勧進富突が行われる湯島天神、上御霊神社(楼門、舞殿)。清次が隠れ富を売るのは境内、指物師殺しの男が目撃者の新さんを消しに来るのは福寿稲荷前。その売人が始末され浮く川は嵐峡(屋形船の客が発見)
・清次が参る親方の墓、二尊院か。
・才蔵をまいた清次が上る舟着、大覚寺大沢池船着(小)。龍虎に隠れ富の当選金を届けにくる清次、五社明神(二人とも始末されかけ)
*松前屋をシメたあと、結託していた寺社方役人を召し出す上様、なんか珍しく鷹いじってるなと思ったら、断罪されてかかってくるコイツに鷹をけしかけるという運び。ホントに手にとまらせてるから凄い。*親方の娘は、佐藤万理、元弟子の青年は井上高志。松前屋は高城淳一、用心棒は有川正治で福ちゃんや小峰さんがラス立ち要員の「センセイ」。グルの寺社方吟味物調役は中井啓輔。


第123話「南国の美女 華麗なる復讐!」 1985 (本放送時は第124話)

 父を謀殺され母を連れ去られた琉球の娘は、手踊り一座の舞い手として江戸へ。仇は薩摩藩江戸家老、琉球在番中に放埓な真似をはたらいた挙句、抗議した梨花の父を襲った悪党。江戸へ密貿易の鉄砲を持ち込んだ江戸家老は成敗されるが、拉致されていた母・お蘭は娘の危機に斬り込み命を落としてしまうのだった。

ロケ地
・忠相が薩摩藩邸へ放った密偵が追われぶら下がって隠れる橋、中ノ島橋(力尽きて落ち→土左ヱ門←発見は映画村プール)
・藩邸を窺う梨花と清豊、大覚寺御殿川河口畔(南塀を藩邸に見立て)
・お蘭を監禁してある寮へ入る家老、大覚寺望雲亭(草戸、前庭)
・梨花に事情を聞く新さん、大覚寺護摩堂(導入は裏から)。その後庭番から報告を受ける新さん、五社明神内陣。
・柳橋の料亭へ向う梨花と清豊が襲われる道、大覚寺放生池堤
・妾宅を抜け出したお蘭が娘を一目見にめ組へ急ぐ道、大覚寺有栖川(河床から見上げ)心経宝塔下〜放生池堤大沢池畔。梨花が偽手紙で呼び出される東禅寺裏の祠、大覚寺天神島の祠(石鳥居越しに高所から)
*李花は加藤由美、清豊(せいほう)は谷口孝史、お蘭は桜町弘子。江戸家老は田中浩で目付役は堀田真三。西海屋は市川青虎。西海屋用心棒に小峰さん、強面の浪人。福ちゃん、忠相の密偵を追っかける藩士でチラリ。


スペシャル「勅使下向、天下を賭けた江戸っ子神輿!」 1985 (本放送時は第125話)

 またまた吉宗に恥をかかせ失脚を目論む陰謀、裏には尾張宗春。今回の趣向は朝廷勅使接待がらみ、加納じいが京で神田祭を自慢したことから、勅使に見せる約束になっているのを利用し、神輿を損じにかかる。これを軸に、宮大工の息子の恋と成長、陰謀に加担するも改心し自刃する大身旗本のお話が展開する。二人が実は兄弟という設定もあるが、とってつけたみたいな感じで勿体ない。

ロケ地
・神田明神の縁日にやってくるめ組の衆と新さん、今宮神社楼門、境内。夜、神輿を燃やしに出る寅松と手下、高倉脇。
・弓のお稽古上様が神輿放火の報告を聞く、姫路城西の丸
・勅使の輿がゆく道、随心院長屋門前〜入る屋敷は薬医門
・宮大工の息子の恋人を送ってやる新さん、罧原堤下河原(投網の漁師あしらい)
・勅使に流鏑馬を見せる上様、下鴨神社馬場(幔幕張り巡らせ)。このあと汗を拭く上様に黒幕について報告の忠相、姫路城西の丸築地脇。
・陰謀に加担した大久保采女正を説得の新さん、広沢池東岸(水中に祠あしらい)。改心し、己を唆した若年寄屋敷へ斬り込みに走る采女正、広沢池東岸堤道。
・無事間に合って城門に入る神輿、姫路城大手門。勅使上覧の席は正面の芝地にセット。
*宗春は今回成田三樹夫が演じる。さすがに巧いが、この人ならおじゃるのほうが似合う…と思ったら今回勅使は悪者でなくほんとうにお神輿が見たいだけ。悪役陣は、神輿襲撃実行犯に汐路章、若年寄に井上昭文、高家に外山高士と豪華。怪力で危難を救う口入屋に「がぶり寄り」荒勢が出ているのも楽しい。福本先生は若年寄屋敷のラス立ち要員、家来の侍。


第124話「吉宗狙撃!消えたお庭番」 1985 (本放送時は第126話)

 将軍暗殺を企む、不行跡で罷免された元勘定奉行。隠密が上様を狙撃したことから忠相は隠密狩りを行うが、先走った町方は平穏に暮らしていた元隠密の老爺を責め殺してしまう。同じく隠密だった息子はお上に怒りを募らせ、元の主のもとに馳せ参じることに。しかしこれは腕の良い忍びが欲しくて当の主が仕掛けた罠だった。
上様はお忍び中ホントに撃たれるし、才蔵は死闘のすえ激流に呑まれるし、最後は上様自ら囮となって御狩場で大乱闘という派手な作り。スタントの少ない馬上の殺陣はさすがマツケン。

ロケ地
・水禍の青梅村へお忍びで視察の上様、山道不明(竹林に狙撃手)。才蔵が武太夫と戦い激流に消える多摩川、清滝川(荒瀬・水嵩多し)
・忠相の隠密狩りのことを藤八に話す武太夫、相国寺林間か。
・武太夫が石屋の老爺を殺させた町方を始末する大川端、広沢池東岸(繋留してあった屋形船で逃走)。この仕儀を報告のさぎり、大覚寺勅使門橋上。父の葬儀のあと脇差持って家を出た藤八を追う女房、大沢池堤(祭礼の幟あしらい)放生池堤大沢池舟着(大)、新さんが現れてきっと無事に連れ戻すと約束。
・藤八を尾行するさぎり、相国寺湯屋前。気付いた藤八は塀を飛び越え大光明寺石庭へ。
・才蔵と再会し武太夫の情報を聞き上様に報告のさぎり、大覚寺参道石橋上。
・目黒の御狩場へ向う道、白馬に乗って疾走する上様に仕掛ける元勘定奉行の手勢(忍群と家士多数殺到)天神川の大堰堤上広河原(爆薬炸裂、派手な火柱が上る場面も。浅い河床で大立ち回り)
*藤八は小野進也、父は岩城力也で女房は千野弘美。武太夫は内田勝正、元勘定奉行は御木本伸介で、隠密の一人に福ちゃんチラリ。


第125話「女の聖域 駆込寺無情!」 1985 (本放送時は第127話)

 勘定奉行と材木商に引きずられ、悪の道にそれた普請奉行の夫を見限った妻は東慶寺へ駆け込み。その前に彼女が相談に行った勘定吟味役が暗殺されたことから、悪企みは上様の知るところとなる。
妻に去られたことで悪事に躊躇しはじめる普請奉行は、上様の示唆で戻った妻に説得されワルから離れようとするも空しく斬られてしまうのだった。妻女の駆け込み仲間の呑んだくれ亭主が、巻き込まれて密殺される哀話も挿まれる。

ロケ地
・才蔵を伴い遠乗りの上様、品川の浜は琵琶湖東岸
・興が乗って鎌倉まで駆け、休む茶店は東慶寺門前茶屋、勝持寺東門前・願徳寺塀際にあしらい。こののち、駆け込み寺描写に勝持寺の参道や塀、山門など境内各所が使われる。
・忠相のもとへ急ぐ勘定吟味役が暗殺される夜の橋、中ノ島橋上。
・この件を報告の忠相、今宮神社石橋たもと。
・材木商・美濃屋が勘定奉行に提供する別業、中山邸通用門
・普請奉行に声を掛け説得の新さん、今宮神社稲荷社前。
・東慶寺から妻女を連れ出し説得する新さん、広沢池東岸(回想シーンにも登場)
*普請奉行は長谷川明男、妻女は服部妙子。勘定奉行は原口剛、悪徳商人は小林勝彦で手下の浪人に岩尾正隆、普請奉行暗殺時には福ちゃん入り。


第126話「祭り囃子が刺客を招く」 1985 (本放送時は第128話)

 秋祭りの一日、吹き矢で狙われ、爆薬仕掛けられ、め組では水甕に毒を仕込まれと、執拗に狙われる上様。その都度酔っ払いとか屋台の人とか金魚とか犠牲になってタイヘン。相手は風魔一族、狙いは「将軍吉宗」ではなく、十日前助けを求めてきた女と関わった「徳田新之助」なのだった。風魔の雇主は沼田藩江戸家老で、若君を密殺しお家乗っ取りを画策していた。

ロケ地
・南町奉行の使いというニセ同心について行き、ここらで良かろうとお相手する新さん、相国寺法堂(南側)。失敗者が消される林、鳥居本か。
・風魔の合戦のイメージ、バンク映像。
・沼田藩下屋敷、相国寺大光明寺(門、石庭、方丈、前庭)
・新さんの回想、手討ちにされると新さんに縋った腰元、鐘楼前。
・沼田藩主を招く茶亭(池泉に萱葺き)、不明。退出する藩主を呼び止める上様、相国寺方丈裏廊下
・め組に入り込んでいた腰元・実は風魔のかしらの妹が新さんをたばかり連れ出す「幼い頃遊んだ神社」、木島神社本殿前。
*風魔の娘は伊藤美由紀、兄は佐藤仁哉。沼田藩の殿様は唐沢民賢、悪い江戸家老は遠藤太津朗で腹心は黒部進。ラス立ち福ちゃん入り、冒頭のお祭り風景で子供神輿を世話する上半身裸の男でも登場。


第127話「男の約束!紀州の海鳴り」 1985 (本放送時は第129話)

 吉宗への妬心から怪しげな兵法者に魅入られてしまう紀州藩主、しかもそやつの背後には尾張。心ある若侍たちは命の危険も顧みず殿様を諫めるが失敗、梟首となった若者の父と妹からのSOSに駆けつける上様、彼らは部屋住み時代の吉宗の命の恩人なのだった。

ロケ地
・奸物と兵法家・一心斉を襲う若侍、和歌山城松の丸大楠下。
・上様の回想、暗殺されかかったところを源左衛門親子に助けられた渓流、大宮川か。
・じいの泊る東海道の宿イメージ、日吉山荘
・猪乃の恋人が殺される紀ノ川(河口設定か)、本物の海と広沢池東岸を組み合わせ。
・虎伏城の説明に和歌山城全景と天守を様々なアングルで。
・若侍の妹・雪江と連絡を取る上様、紀州徳川家廟所・長保寺、本物(湯浅)
・加納じいが藩主・宗直に会う西の丸紅葉渓、本物。会見は鳶魚閣、直訴の若侍が撃たれて消されるのは前の土橋。
・悪者の秘密基地がある紀州東照宮、本物。雑賀衆の名残りの洞窟(源左衛門監禁場所)はセットと思われる。また、神輿出して攪乱をはかる場面には日吉大社白山宮付近を使用。
・将軍スタイルで城門に乗り付ける上様、和歌山城岡口門。一心斉を糾弾ののち立ち回り、天守曲輪天守二の門
・見送りの海辺、不明(磯の浦か片男波か或いは浜の宮か)
*吉宗の恩人で息子を晒し首にされた郷士を長門勇が演じる。今回はコミカルな場面なし、泣きは思いっきり入る。怪我の手当てして貰った若様が約束した「危機にはきっと駆けつける」の言を信じているが、来るのは大目付か庭番だと思っていたオヤジ、感涙に咽ぶ…でも約束なかっても上様はひょいひょいあっちこっちに行くから…九州とかでも。倅は清家三彦、娘は早川絵美。兵法者は小沢象、上様にマジ斬りされる。手下には福ちゃんや小船秋夫も。グルの尾張の家老は北原義郎。紀州藩主には森次晃嗣、被害者顔で土壇場で反省「あれは背伸び・甘えたかった・寂しかった」のなっさけない言動が似合いすぎ。


第128話「鬼を背負った押しかけ亭主!」 1985 (本放送時は第130話)

 金で人殺しを行う一味、容赦ない詮議で恐れられる火盗改与力、ストーカー紛いの男に押し切られ祝言を挙げてしまう薄幸の女、三者の接点が悲劇となる。
火盗の鬼与力は、か弱き者が泣くのに耐えられぬ一本気な正義漢で、善人そのものに見えた押しかけ亭主の魚屋が実は闇の世界の元締という、どんでん返しの構造を持つドラマ。薄幸の女はまんま不幸なままで泣きをみるという悲哀に、涙隠したイッキ飲みをつきあってやる新さんなのだった。

ロケ地
・高飛びの男たちを追い詰め斬り捨てる火盗与力・神崎、石座神社舞殿脇〜本殿。
・火盗与力に顔を見られたことを協議の一味、屋形船は大覚寺大沢池
・摘発の際犠牲となった酒肆の小女の墓に参る神崎、京都郊外の墓地。その帰り、無心に遊ぶ子らを見て犯罪者の性根について語る新さんと神崎、相国寺方丈前〜西塀際。神崎へ注進に走ってくる岡っ引が殺し屋集団に殺られるのは法堂南の林間。
・亭主が捕縛されたあとお百度参りのおふく、石座神社石段〜本殿。
・神崎が殺し屋に呼び出される鈴鹿ノ森、下鴨神社泉川畔、ここでラス立ち。
*実は闇の世界の住人で、薄幸の女につけこみ偽装結婚を遂げる元締にうえだ峻、冷徹な大ワルと天然系のいい人を演じ分ける技量が秀逸。殺し屋メンバーは根岸一正、坂田金太郎、桂川京子でそれぞれコワいビジュアル。一味の浪人に福ちゃんや小峰さん。ラス立ちでは清太郎のみ上様に峰を返されマジ斬りされる「貴様だけは許さん」。おふくは香野百合子。火盗の鬼与力は中野誠也、臨終に新さんを将軍と知る。*職業的殺し屋がモチーフのお話、処々にどこかのドラマで見たような記号が散りばめられるのも楽しい。殺し屋の首魁は佐渡抜けだし、乱暴な破戒僧いるし、一味の一人は見張りの際道端で鋳掛屋してるし、アジトは絵草紙屋だったりと含みありげ。極めつけは、神崎殺しの金を置く「魚屋」の台詞、「やってくれるな」。*「若い」吉宗表現あり。


第129話「夜空燃ゆ!呪いのほうき星」 1985 (本放送時は第131話)

 夜空に妖しく尾を引く彗星に人心乱れ、流言蜚語飛び交う。これに乗じて流通を停滞させ大儲けを企む大ワル、火盗改長官とつるんでいて火付けまでする始末。五年前に彗星が現れた折も同様の手口でしこたま稼いだ悪党ども、摘発に動いた火盗同心は子を殺され片腕を失い、妻を富商の懐に潜り込ませ復讐の機会を窺っていた。

ロケ地
・下城する火盗改長官を呼び止め、捕えた元同心が自害したと偽情報を告げる忠相、姫路城はの門内側坂
*雌伏する元同心に綿引勝彦、ぶっきらぼうな無頼浪人を好演。妻女は衣通真由美、悪徳商人は深江章喜、火盗長官は山本昌平で上様にマジ斬られ…これってフツー元同心に仇討ちさせるとこでは。*今回の見どころは、なんといっても彗星のビジュアル。月と星雲がおんなじスケールで描かれたり、巨大彗星がとてつもない速さでびゅーっと夜空を走り去るという、トンデモ天文ショーが繰り広げられる。


第130話「弁天様の甘い誘惑!」 1985 (本放送時は第132話)

 白砂糖が不足し、闇で抜け荷品が横行。大坂から出てきた騒がしい饅頭屋が右往左往することで、親玉の正体が焙りだされてゆく。

ロケ地
・饅頭屋の弁六の夢、抜け荷が発覚し捕縛される福江藩領、駆けつける汀は広沢池東岸。お福引き回しの列がゆく道、嵐山自転車道(東公園からのかなり引いた画)
・抜け荷を探っていた忠相の密偵が死体で見つかる川端、中ノ島橋下手汀(見物衆と新さんは橋上)
・医師・珍斉の仲介で抜け荷サロン行きの駕籠に乗せられる弁六、大覚寺五社明神
・福江藩邸に忍んだ庭番が結果を報告のお庭、枳殻邸芝地(上様弓のお稽古中)
・抜け荷サロンの、大名相手の両国の船宿・弁天、嵐亭(外観、船着汀から石垣越しに萱葺き屋根を見る)、表門は中山邸門。
・事後、じいが落とした菓子が着地する大奥のガーデンセット、枳殻邸印月池畔。
*弁六は花紀京、女房は片岡あや子で浪花弁のがちゃがちゃ夫婦。妙に親切な医者の珍斉は牧冬吉。福江藩留守居役に藤岡重慶、腹心に五味龍太郎、「弁天様」のお福は佐野厚子。弁天の用心棒の浪人(一)に福ちゃん、リーダー格で台詞もけっこうあり。峰蘭さんや小船秋夫も見え、小峰さんは藩士でラス立ち登場。じいの落とした菓子をちゃっかり頂く大奥のお女中は武田てい子。


第131話「地獄の沙汰を待つ女!」 1985 (本放送時は第133話)

 「封印切り」をモチーフに、身持ちのわるい男に縁付いた女の悲哀を描く。
子供を身籠ったのを契機に、女は真人間に立ち戻って欲しくて男を告発、しかし行状改まらず、再縁して幸福に暮らす女を男が強請りにかかる。これ自体は新さんの介入により決着を見ると思われた矢先、小悪党の企んだ誘拐を横からさらう大悪党出現、不行跡で山流しを命じられた馬鹿殿、菅貫。身代金授受の場で男児を磔にして待つという挙に出るが、そこへ現れたのは上様だった。

ロケ地
・家業の飛脚屋を手伝う男児・徳松が浅草鳥越への道でならず者(実は父)にさらわれる道、大覚寺大沢池堤
・美濃屋の女将が元亭主のもとへ身代金を持ってゆくやしろ、鳥居本八幡宮(夜と昼とあり、石段や舞殿を使用)
・不足分の金を渡しにゆく料亭、大覚寺望雲亭を対岸から見てセットの室内にスイッチ。
・菅貫が大仰に「用意」して待ち構える地蔵寺本堂、神護寺金堂(菅貫は前の石灯篭基壇に立ち睥睨)。殺陣は石段から金堂前に移行してゆく。
*飛脚問屋の後家は三浦真弓、昔の男は伊藤敏八で寄場仲間は野口貴史。山流しの旗本は菅貫太郎で腹心に宮口二郎。飛脚問屋へ大金を預けに来るお使いの侍に波多野博。*菅貫の馬鹿殿はやはり絶品、上様の御前でのしらばっくれ、遊里での馬鹿騒ぎ、子を案じ走りこんできた「父」を始末する際の馬鹿にしきった傲慢な表情、締めくくりは進退を迫られての悪あがき「田舎将軍め、斬れ斬れ!」。*ラス立ち前、喚く菅貫の前に立つ家士に福ちゃん、真っ先にかかってゆき、上様の投げた編笠に当たって「オッ」。


第132話「この世の憂さを呑む女!」 1985 (本放送時は第134話)

 気風のいいうわばみ芸者・小梅と知り合う新さん、凶盗を報じる瓦版を見て「三箇条の掟」などと口走る女は果たして元盗賊。足を洗った女が伝手を頼って盗みに入った先は因業金貸し、妹芸者を無理に落籍せようとしていた当の相手。真相を知った上様は彼女にはかり盗っ人の一人として現場に入り込み、裏にいた蔵奉行を断罪するのだった。

ロケ地
・白狐の面をかぶった凶盗が捕り方に追われ船で逃げる川端、広沢池東岸
・賊について報告を聞く弓のお稽古上様、枳殻邸印月池畔芝地(幔幕めぐらせ)
・小梅の妹分が悲観して恋人と入水しかける川端、広沢池東岸
・小梅が参加して金貸し宅に入ったあと、捕り方が船で追うのは嵐山公園中州掘割。忠相出動は広沢池東岸(小梅と大坂屋の屋形船を誰何)
・小梅から聞いた賊の話を忠相らに話す上様、枳殻邸印月池(ラスト逍遥も同所)
・三宅島へ送られる小梅、広沢池東岸に柵あしらい。
*呑んべ芸者は山本みどり、妹芸者は香山まり子、小梅の父の仲間の賊は草薙幸二郎。蔵奉行は小笠原良知、手下に中田博久。*ラス立ちでは、盗っ人衣装で刀持ってない上様が、手拭を器用に絡ませて蔵奉行の手下から大刀をひったくる荒技が見られる。刀をとられる家士は福ちゃんで、その後仕方なく脇差を抜いているのが細かい。


第133話「散らすな、忠義の首一つ!」 1985 (本放送時は第135話)

 勤勉で実直な中間が、褒められたり理不尽に陥れられたりと翻弄される。上様は彼を見殺しにしようとした旗本を諭し、情婦の言いなりになった書院番頭が中間を消そうとする現場に駆けつけるのだった。

ロケ地
・書院番・相楽主水が登城の門、東福寺六波羅門。上様が厩からの帰り通る回廊、通天橋。大手門を入った広場で殿様の退出を待つ中間たち、禅堂前。上様の鼻先へ倒れかかる槍を房吉が凭せ掛けた塀、禅堂付近の塀。
・相楽邸、相国寺林光院(前庭、中仕切りくぐり戸)。切腹しようとする房吉(故郷を出た日の記憶がフラッシュバックするのは日吉大社境内)を止める下女のお梅、その声を屋敷裏で聞きつける辰五郎、大光明寺南通用門前。
・相楽の令嬢のお供をして夜道を行く房吉、襲い掛かるならず者は今宮神社石橋上。
・書院番頭・松浦が房吉を誘き出し家来に襲わせる道、仁和寺観音堂脇〜前〜九所明神(設定・西方寺境内)
・主にたばかられたと知った房吉とお梅が逃げる途中休む川端、日吉大社走井橋たもと。屋敷へ金をとりに行ったお梅を待つ房吉(板橋宿へ一里の道)日吉大社参道。お梅が駆け戻ってくるのは東本宮下坂。二人の急を聞き槍を手挟んで馬で駆けつける上様、下鴨神社馬場。二人が松浦一味に囲まれる林、下鴨神社池跡。成敗後、二人に声をかける上様、河合社鳥居下。
*ならず者の弟を房吉にボコられて怒った料亭の女将に使嗾されるスケベ親爺の書院番頭は川合伸旺、房吉のことを下郎下郎と連呼。水呑百姓ってターム消してあったけど、こっちのほうがモンダイではと思えるほどしつこく何度も言う。上様に乗り込まれちゃった際のぶつぶつ独り言「座して咎めを待つよりはいっそ人里離れたこの林の中で」も傑作。*相楽に睦五朗、複雑な人情家を好演。房吉は有光豊、お梅は東啓子。*槍持って騎馬で駆けつける上様、槍は小峰さんの背にぶっすり刺さる。共に行動する家来衆は有川正治、ラス立ちには福ちゃんも。


第134話「おやこ鷹 師走の哀歌!」 1985 (本放送時は第136話)

 仙台藩の財政危機に米を買い上げて救済する策をとる上様、実施されては甘い汁を吸えなくなる者どもが、友好の証の献上鷹を狙う。この過程で、吉宗が紀州時代から懇意にしている鷹匠一家に悲劇が降りかかるのだった。

ロケ地
・仙台藩主・伊達陸奥守が上様に鷹を献上の庭、枳殻邸印月池畔芝地。
・仙台藩の財政について陸奥守から相談を受ける上様、下鴨神社馬場(城内馬場)
・仙台藩上屋敷、相国寺大光明寺(門、石庭/庭番が潜入し聞き込み)
・仙台藩勘定組頭が元隠密と密談の屋形船、広沢池東岸に繋留。
・鷹匠の息子がさらわれる林、仁和寺茶店裏手の林間。
・仙台藩の内情について庭番の報告を受ける上様、仁和寺九所明神
・鷹を持ち出した妻を成敗しに現れる鷹匠頭、鷹を庇って斃れる林は下鴨神社河合社脇。
・さらわれた子を救いに駆けつけ大立ち回りとなる鉄砲洲一本松、木津河原(堤法面〜河原、派流を越えて中州へ殺陣殺到)
*鷹匠頭に新克利、妻女に加茂さくら。鳥見役同心に川浪公次郎、壬生新太郎、清家三彦、藤沢徹夫。勘定組頭は遠藤征慈、悪徳商人は山本清。中間に化けてる元隠密頭の、大木正司の派手なつけ髭が見もの。伊達の殿様は下元年世。*子をさらい大事な友を殺めた者どもには容赦なしの上様、立ち回りでは全員マジ斬り。


第135話「輝け!初春の忍び恋」 1986 (本放送時は第137話)

 辰巳芸者がむかし助けた男が恩を返す話。五年後、芸者には火盗改同心の恋人ができていたが、追っている凶賊にその男がいるのだった。

ロケ地
・食い逃げ男が追われるところを助け飯と金を渡してやるお京、今宮神社東門
・賊を目撃した蕎麦屋について庭番の報告を受ける新さん、不明(朱玉垣囲いの祠)
・新さんに火盗同心の恋人との馴れ初めを語るお京、東福寺三門下、背景に禅堂。
*食い逃げ男は小野進也、芸者は田中綾子で火盗同心は藤堂新二。賊の首領は真田健一郎、捜査情報をリークしていた旗本は小笠原弘。


第136話「お城を拾ったどら娘!」 1986 (本放送時は第138話)

 伊勢鈴鹿藩のお家騒動、世子を毒殺して我が子を跡継ぎにとはかる側室、これとつるむ江戸家老。実は跡継ぎにと目論む幼女はこやつらの間にできた子だったり。この情勢を察知した上様、藩主の外腹の姫を見つけ出しワルの陰謀を阻む。

ロケ地
・上様が遠乗りで医師殺害を見る道、北嵯峨農地竹林際。
・め組がお参りで八卦見に阿呆な見立てをされる神社、上御霊神社本殿まわり。
・易者のお俊が鈴鹿藩士の黒イカに襲われる町角、仁和寺九所明神
・鈴鹿藩の姫として上様とお庭を逍遥のお俊が鯉をとってやると飛び込む橋、枳殻邸侵雪橋
・国元へ発つ「姫」を見送る新さんたち、仁和寺茶店、中門、参道。
*外腹の姫は篠山葉子、詐欺まがいの八卦見が実は姫という設定、天然系の逞しさで周囲を翻弄する。祖母は風見章子。側室は水原まき、江戸家老は亀石征一郎。城代は北原将光。*眠り香を焚かれて姫を連れ去られた際、上様は別式女と家来をマジ斬り。ラス立ちでは峰打ち。


第137話「五郎左を寝とるか、詐偽女!?」 1986 (本放送時は第139話)

 加納のじいさまを好きになってしまう結婚詐欺女の話を主軸に、小金どころではなく死人まで出す連続恐喝事件をからめる。加納じいは終始舞い上がり、あの女はイケナイと諫める上様に逆らい喧嘩になったり。恐喝のほうは凶悪で、強請りたかりで札付きの北町同心が作っていた恐喝ネタリストをめぐって、強烈に悪い女二人や身持ちのわるい旗本が群がり大騒動となる。

ロケ地
・おはまがターゲットの商家の旦那の一人と乗り込む屋形船、広沢池東岸
・加納じいがおはまと出会うお宮さん、石座神社(本殿、踊り場長屋前に茶店あしらい、石段と鳥居・手前に蔵映り込み)
・吉原で喧嘩沙汰を起こし閉門中の旗本・小笠原外記邸、相国寺林光院(竹矢来あしらい)
・リストを入手した女二人組が河内屋を呼び出し強請る夜の神社、大覚寺五社明神。小笠原らがリストを奪いに現れる。
・事後、おはまのことでじいをからかう上様、枳殻邸印月池畔。
*おはまは赤座美代子、元盗っ人仲間の屋台親爺は林家珍平。小笠原は北村総一朗で腹心は剣持伴紀、殿様にネタを持ち込むチンピラは重久剛一。凶悪女二人は堺美紀子と杉本こず江、リスト作製の札付き同心は出水憲一。ラス立ち福ちゃん入り(小笠原の家来)。


第138話「風雲八ヶ岳、男の祭り唄!」 1986 (本放送時は第140話)

 お忍びで御用林視察の忠相が拉致されたと聞いた上様、諏訪へ飛んでゆく。さらった一味は甲賀三郎の裔という忍び集団、要人と高島藩勘定奉行を交換の腹づもり、背後には開墾した土地を奪われ領主を殺された恨みがあった。

ロケ地
・忠相と才蔵が迷う諏訪原村の山道、谷山林道頂上付近。才蔵が道を聞く際の「御柱」は大覚寺天神島の大木。
・茅野宿へ向かう途中霞党が出て拉致される白樺林、信州ロケか。
高島城、本物。諏訪大社(下社、上社)、本物。役者入れてのロケ。
・藩主が新さんに付けた市右衛門とさぎりが霧が峰へ向かう道、保津峡落合崖下(落下岩上に霞党の見張り)
・霞党首領の娘・お蝶の回想、無実の罪で引き立てられてゆく父、大覚寺大沢池堤
・市右衛門がお蝶を説得に赴く八島高原(池塘)、本物。
・新さんの説得に、武士は信じないと言うお蝶、落合河口付近汀。
・忠相の人質交換の霧が峰、酵素河川敷。
*お蝶は根本律子、恋人の市右衛門は柴田p彦、その母は日高澄子。勘定奉行は近藤宏で悪徳商人は長谷川弘。吉宗と懇意の殿様は大木晤郎。勘定奉行とグルの糸割符商人・武蔵屋を探りに入るめ組、宴席の用心棒に福ちゃん。おまっちゃんの踊りに手を拍ったり。


第139話「信濃路、新さん賭場荒らし!」 1986 (本放送時は第141話)

 路銀を調達に行った賭場で女道中師と知り合ったり、捕縛された盗っ人の妾たちから奪還を頼まれたりと忙しい新さん。その賊が奪ったという甲州金が今回の焦点となる。

ロケ地
・下諏訪宿イメージ、諏訪湖畔に突き出した城(高島城?)琵琶湖西岸と合成。
・捕り方が出て「黒姫小僧」を捕縛する諏訪湖畔の茶店、遍照寺山を望む広沢池東岸。黒姫小僧の護送を陰で見る妾二人、広沢池東岸並木
・信濃代官所、民家南西角と門。
・め組がお昼のところへ加納さまが遣わしたお末が合流する水辺、広沢池東岸汀
・黒姫小僧が正体を現す河原、天神川堰堤上河原。
・信濃を発つ新さん、霧が峰から流れ橋へスイッチ、お銀を川に放り投げ、追ってきた妾トリオからダッシュで逃げる。
・現地ロケは、他に諏訪湖や白樺林など。お銀の生家や和田峠などは現地かどうか不明。ロケ協力には前回と同じく長野県原村とクレジット。
*火の玉お銀は森マリア、黒姫小僧の妾三人は小林かおり、丸山秀美、森川由加里。黒姫小僧を騙っていた無宿人は汐路章、代官は市川青虎で腹心は浜伸二。*賭場へゆくという上様にダメ出したくせに博打にノリノリの大岡さま、けっこう珍しいシーン。お城で上様不在で政務溜りまくりで突き上げ食った加納じいの「もうイヤこんな生活」は、この頃の時代劇で頻出ネタ。*新さんの正体を知った「お銀」森マリアの「ねぇねぇ将軍」が傑作。


→暴れん坊将軍 II 表紙


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