佐々木康監督作品 1960.10.16東映
キャスト
半七/片岡千恵蔵 桐畑の常吉/東千代之介 伊太郎/鶴田浩二 菊川新八郎/沢村訥升 八兵衛/堺駿二 文字春/千原しのぶ
津の国屋次郎兵衛/明石潮 お藤/赤木春恵 お雪/舟橋恵子 金兵衛/原健策 覚念/堀正夫 村木宗次郎/加藤浩 幸次郎/徳大寺伸 梶井三四郎/尾上鯉之助 岩下左内/戸上城太郎 おそよ/花柳小菊 平田喜平次/加賀邦男 神坂七之助/清川荘司 村上治衛門/高松錦之助 お美代/桜町弘子 太田兵助/香川良介 大月孫之丞/吉田義夫 須藤周馬/楠本健二
三本のお話を詰め込んだ作り、御大はキメのシーンにうっそりと登場し、現場でちゃきちゃき動くのは半七が育てた若手の目明しで、彼の祝言が決まる過程を筋立てにからめてある。
最初のヤマは富商・津の国屋の乗っ取り事件。家を出ることになった養女の縊死からはじまり、祟りネタで主を追い詰める悪党どもだが、グルの和尚や軽業師など種も仕掛けも半七に見破られ御用の運び。
二本目は仇討ち話、半七見知りの遊び人・伊太郎が仇を求める兄妹に肩入れする。道場の中に籠る仇どもを引きずり出すのに使われる小道具・ズーフラが面白い。仇の道場主を殺した女狐をとっちめる段でも出て、貸主のいる横浜新地へ話をつなぐ役割もする。
最後は異人の相手を嫌がった遊女を助けてその異人を斬った若侍・菊川の話、お尋ね者となり自棄を起こす青年を利用し女も横から掠めようとする悪仲間を、常吉親分も助勢してやっつける。菊川の罪についてはとても都合のいいお達しがありチャラに。
ロケ地
・津の国屋の養女・おきよが縊死して見つかる永昌寺、知らせを聞いた津の国屋の衆が駆け入る門は真如堂山門(赤くない)。現場の墓地はセット。
・伊太郎の挑発に乗って外へ飛び出してきた道場主の岩下と師範代を誘い込む山王境内、下鴨神社参道(脇に塀あしらい)〜楼門翼(伊太郎がスリットからズーフラを突き出し更に挑発)〜境内(舞殿脇に梶井兄妹が潜み待つ)〜二の鳥居。物陰から手が出て岩下を斬る。
・横浜新地の楼から姿を消した遊女の実家へ捩じ込みに来る男衆のくだり、騒ぎを見ていた男が仲間のダンナ方に注進に走る道、南禅寺正因庵前。
・遊女の実家・村上方へ身請け金を持ってきた菊川が受け取りを拒否されたあと、見張っていた常吉に呼子を吹かれ逃げるくだり、南禅寺法堂裏手回廊の開口部から僧堂坂を望む絵が出て、別口で追ってきた伊太郎が開口部をくぐって現れる。菊川は僧堂の塀を乗り越え、僧堂南門から出てくる。菊川が入る仲間の旗本・大月邸は天龍寺寿寧院門。
|