大岡政談 魔像
1989.12.27CX/松竹 (年末時代劇スペシャル)


 朋輩の嫉みを受けた新参の御書院番・神尾喬之助は、妻を陵辱し死なしめた者たちへの復讐を期し江戸の町に潜む。徒手空拳の彼に命懸けで手を貸す夫婦あり、よろず揉め事仲裁を生業として生きる豪快な亭主は、神尾と瓜二つの外見をしていた。

建仁寺方丈

ロケ地
・園絵を拉致した駕籠がゆく道、下鴨神社馬場(連れ込まれる荒れ寺はセット)
・妻の死後登城する神尾、江戸城イメージは姫路城天守、西の丸、菱の門。
・御用部屋で朋輩にいたぶられたあと不気味な笑いを残して去る神尾に激怒し追う戸部、建仁寺方丈廊下(南側)。追いついて斬られるのは西側廊下。神尾乱心と騒ぎ走り回る御書院番衆、清凉寺回廊二条城鳴子門二条城本丸櫓門二条城内濠端
・殿中での神尾の仕儀を聞き激怒する脇坂山城守、屋敷の門は大覚寺大門
・閉門の処置がなされる神尾邸、妙心寺大龍院門(路地見下ろしのアングルも)。
・囚われていた伊豆五を釈放する大岡越前守のくだり、南町奉行所は大覚寺明智門。大岡が語る御書院番衆の横暴、民衆をいたぶる風景の一つは車折神社参道(他はセット)
・壁辰宅へ現れた神尾を取り逃がした一件を聞き怒るほか脅え強がる山城守、座敷は不明(花頭窓のある座敷、庭が見えていて紅葉)
・脇坂邸へ向かう筆幸親子を尾行するお弦、北野天満宮本殿脇。途中茶店で休む親子、今宮神社門前茶屋・一和(お弦はそっと同じ床机に座り筆幸の献上物の包みと生首入りの一件をすり替える。首はもちろん御書院番衆の一人のもの)。親子が脇坂に会う座敷は建仁寺久昌院、屋敷イメージに塀越しの庫裏上部が挿まれる。
・壁辰の娘・お妙を連れ出し結婚を迫る筆幸の倅、大覚寺大沢池堤(遠景に塔や五大堂)。あんたも筆幸も脇坂もキライと罵り駆け去るお妙、大覚寺放生池堤
・残り九人が寄り集まる長岡頼母邸にカチコミをかけた神尾と右近、捕り方に追われ逃げる夜道は随心院参道、植え込みからお弦が手招く。騎馬で出役のシーンには拝観口付近も使われている。捕り方と大立ち回りを演じる神尾(実は右近)中ノ島橋(捕り方二人ドボン)。橋下に船、打って出ようとする神尾をお弦が制し、船は出てゆく(このあと船をやるシーンはセット)
・捕まった右近が江戸払いに決まったあと、逃げおおせた神尾が妻の墓に参るのは金戒光明寺墓地、文殊塔が映る。伊豆五の援助の申し出を断り一礼して去った神尾が、旅装の右近に別れを告げるシーンは粟生光明寺山門、内側に茶店をあしらいそこに右近がいる。右近は山門をくぐって去り、やって来たお弦といちゃつきながら旅立ってゆく。
・神尾がゆく道、琵琶湖西岸・舞子浜汀。

*神尾喬之助と茨右近は杉良太郎の二役、スクエアな神尾とでぇへへ右近の対比ももちろん見ものだが、たっぷりと見せる立ち回りは必見。
*お弦は藤真利子。大岡さまは丹哲で壁辰は石橋蓮司、この二人は神尾に同情的で、見逃す方向で気脈を通じる。レンジの娘役は洞口依子、神尾に惚れる経緯は唐突だが、いじらしく可愛い。神尾の妻女は伊藤美由紀、父の伊豆五は長門裕之。岡っ引で江幡高志、瓦版売りで赤塚真人、大迫の郎党で牧冬吉など脇の脇も楽しい。御書院番衆、中心になって神尾をいたぶる戸部は亀石征一郎、一番首を取られる大迫は河原崎建三、このほか宮内洋や中田博久、西田良やエクランメンバーなどよく見た顔がずらずら。彼らの後ろ盾の脇坂山城守は菅貫で脇坂に貢ぎ伊豆五に取って代わろうとする筆幸は山田吾一。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ